リスティング広告アカウントを殺す18の誤り

リスティング広告アカウントを殺す18の誤り

時間を掛けて構築したアカウントのはずなのに、上手く成果が伸びなくて困った!なんて経験は誰にでもあるかと思いますが、実はちょっとしたミスによって、構築されたアカウントの力が十分に発揮できていないケースも実際に見受けられます。ミスの種類はジャンル問わず、多岐にわたります。

今回はそんなアカウント(で得られるはずの成果)を殺してしまう18の誤りと題しまして、よくある様々なミスと対処法などを紹介していきます。

この18この誤りは弊社内の取り組みであるグロースハックにて、これまでに蓄積してきたアカウント分析の経験からブレストによって項目を洗い出して絞り込みを行ったものですが、それぞれの項目に最低限必要な解説を入れましたので、かなりボリューミーな内容となりました。ここで出します項目やカテゴリの関係がMECEではない部分もありますが、そこは大目に見ていただけると幸いです。

尚、本記事は代理店側、広告主側、インハウス側などのポジショントークを抜きに、フラットな視点で書き出しましたので、すべてのリスティング広告アカウントに適用可能な内容となっているはずです。

予算に関わる誤り

リスティング広告は資産運用と同じで、限られた予算の中で売上の最大化となるためには、どのプロダクトにどのくらい予算を充てるのかを考える事が非常に重要で、しかもそれを非常に早いサイクルで回すことが求められます。

ここでは予算の設定や配分によって、リスティング広告アカウントを殺してしまうケースをご紹介します。

1. 予算設定による機会損失

これは、キャンペーン予算の設定でよくある誤りです。費用対効果が良いにも拘らず1日のキャンペーン予算設定額が低すぎるために、広告の表示機会を逃し、その間に得られたであろう売上やコンバージョンも逃してしまうという非常にもったいないケースです。

例えば、キャンペーンの予算設定が低く、夕方を迎える前に広告費が設定した予算額に近づいてしまい、夕方から夜間の広告掲載が大きく抑制されしまう、なんてことがよく起こりがちです。仮にその商材が夕方から夜間にかけての行動が活発化するような商材だとすると、ビジネスチャンスを完全に投げ捨てているとしか言いようがありません。非常にもったいないですね。

Google アドワーズで提供されている「予算共有機能」を利用してアカウント全体の1日予算を大幅に制限してしまうということも、それと同様にビジネスチャンスを逃してしまいかねません。

2. ポートフォリオの構成ミス

これは、広告費用の掛け方自体に問題があるケースです。

  • Yahoo!へ●万円、Googleへ▲万円といったように、媒体ごとに予算がきっちりと決まっている
  • 月額の予算配分ミス(年間計画で決まってしまっている、1日の利用金額が決まっている、など)
  • プロダクト毎に予算配分が決まっている(検索連動型広告に●万円、リマーケティングに●万円、など)

特に広告予算額をきっちりと決めてしまっている場合は要注意ですね。

ただし月額の予算配分について、大手の企業ですとあらかじめ予算計画を決めなければならないルールとなっている場合もあります。もう計画は決まっているので…で終わるのではなく、その上で状況に応じて予算配分を変動できるような環境を整えておくというのも大切ですね。

また、このセクションで声を大にしてお伝えしたいのは、ある時点で費用対効果が良い媒体があるにもかかわらず、媒体ごとや月額の予算の上限があるためにそれ以上予算を充てることができないケースが本当に多くのアカウントで多発しているという事実です。これは組織の問題とプレイヤーの問題、両方で多発しています。

費用対効果が良い間は広告費を充てれば、さらなる売り上げにつながるということですから、可能な限り柔軟に予算を配分できるのがベターです。これこそがリスティング広告ポートフォリオです。

アカウント構成に関する誤り

細かくアカウントを構築したはずなのに、思ったような成果が出なかったり、意図しない広告が表示されてしまう場合はありませんか?

ここではアカウント構成のミスによって、リスティング広告アカウントを殺してしまうケースをご紹介します。

3. マッチタイプを活用していない

例えば、入札キーワードのマッチタイプがすべて「完全一致」または「部分一致」といったように偏った設定を行っているケースがこれに当たります。

「完全一致」のみのアカウントでは、入札キーワードと完全に一致する検索語句の範囲内だけでしか広告が表示されませんので、入札キーワード毎の入札コントロールは確実に行うことができるものの、それ以外の検索語句で広告が掲載される事がないために新たなキーワードの発見は難しいので結果として機会損失を生みますし、「部分一致」のみのアカウントでは様々な検索語句をカバーできる反面、成果の良い検索語句があった時にその検索語句だけの入札をコントロールすることが非常に難しく結果として全体の費用対効果が下がるなど、それぞれのメリットもありますがデメリットも大きなものがあります。

キーワードマッチを正しく理解し、キーワードマッチごとに役割を与えることでより戦略的な施策が行えるような陣形を組みましょう。

※参考になる過去記事:

4. キャンペーンの設定ミス

ここで一番多く見受けるのは、広告配信地域や広告配信スケジュールの設定ミスです。

例えば、ローカルビジネスのリスティング広告でビジネスの対象とならない地域への広告配信をしてしまった、電話コンバージョンが目的となるキャンペーンで、電話を受けてサービス提供ができない営業時間外に理由もなく広告を配信し続けてしまうと言ったケースが多いです。

また、47都道府県を「北海道」「東北地方」「関東甲信越地方」「北陸地方」「東海地方」「関西地方」「中国地方」「四国地方」「九州沖縄地方」といったように、全県をある一定のまとまりとしてキャンペーンを設定し、それぞれのキャンペーンで最終的に全47都道府県分の配信エリアを指定をすると「不明地域(日本だけど都道府県が不明)」に広告が配信がされなくなり、機会損失を生むというケースもしばしば見受けられます。不明地域用に1キャンペーンを作成し「47都道府県をすべて除外」することで不明地域のみ配信できるようになります。

5. 意図しない広告露出

入札単価のバランスが崩れてしまって意図しない入札キーワードで広告が表示される、部分一致の入札キーワードに対して意図しない検索語句(検索クエリ)で広告が表示されるといったケースです。意図しない広告掲載によってビジネス成果に繋がりにくい広告クリックばかりを得てしまうという事になりかねません。

部分一致の入札キーワードに対して意図しない検索語句で広告が表示されてしまうケースでは、検索語句レポートを確認し、意図しない検索語句での広告掲載がされないように除外キーワードの設定を行いましょう。ただし、除外キーワードのマッチタイプ設定ミスや自己除外によって、意図する検索語句でも広告が表示されなくなってしまった!という事態に陥らないように気をつけましょう。

※参考になる過去記事:

6. 適切ではないリンク先URL

これは、「理由もないのに」リンク先URLが全て同一またはすべてトップページというケースです。

リンク先URLを絞り込む場合は複数のリンク先URLでスプリットランテストをするなど、様々な可能性を試した上で最も効果が高いリンク先を見つけていくということが大切になります。

7. ディスプレイ広告がチューニングできない

Yahoo!プロモーション広告ではスポンサードサーチのキャンペーンでインタレストマッチ、Google アドワーズでは検索連動型広告のキャンペーンでコンテンツターゲットを配信してしまうといったケースがこれに当たります。

検索連動型広告とディスプレイ広告では、考え方、配信方法、チューニングの方法が異なるため、1つのキャンペーンで検索連動型広告とディスプレイ広告を同時に配信することは得策ではありません。検索連動型広告とディスプレイ広告とではキャンペーンを分けて管理をしましょう。

8. ターゲティング設定のミス

主にディスプレイ広告の運用時によくある誤りで次のようなケースが主に挙げられます。

  • ディスプレイ広告で(意図的な場合を除き)コンバージョンユーザーを除外していない:

リピータ―を狙う施策であれば問題ありませんが、新規顧客を狙いたい場合はコンバージョンユーザーを除外しましょう。

  • インタレストベース広告(リマーケティングやインタレストカテゴリなど人に紐づく広告)で除外キーワードを設定する:

特殊なケースを除き、これは「コンテンツの内容」ではなく「人」に紐づく広告のため、除外キーワードを設定することは機会損失となりえます。

  • リマーケティングで使うユーザーリストがサイトの全訪問者だったりCookieの保持期間がデフォルトのまま:

多くの場合ビジネスの成果に繋がりやすいのは訪問直後のユーザーで、時間とともにコンバージョンに至りにくくなります。

1日に多くのコンバージョンを生むようなキャンペーンではコンバージョンオプティマイザーの導入により、Cookie保持期間が30日のデフォルトであっても、経過時間を加味した入札を行ってくれますが、それ以外の場合は訪問からの経過日数ごとにユーザーリストを作成して入札をコントロールできるようにしても良いでしょう。

  • Google アドワーズで「ターゲティング方法の最適化」「柔軟なリーチ」の設定ミス:

これらターゲティングの拡張設定はデフォルトで拡張配信するようになっています。意図しないターゲットに広告が配信される可能性があるので、初期段階では無効にし、ある程度コンバージョンが蓄積された上でこれらの機能を使うかどうか判断しましょう。

※参考となる過去記事:

広告に注視していない

広告はビジネスの見込みユーザーへアピールするための大切な手段です。アカウント構成がしっかりしていてもここが疎かになってはいけません。

ここでは設定している広告によって、リスティング広告アカウントを殺してしまうケースをご紹介します。

9. 広告文訴求が考え抜かれていない

自社や競合分析が足りないために広告文訴求にUSP(Unique Selling Proposition)が含まれていない、広告グループを細かく分けたにも関わらず広告文訴求が一言一句全て同一、キーワードと広告文を合わせることにこだわった結果日本語が不自然になっている、商材のフェーズにあった広告文を利用できていない、といったように、広告文訴求がどう見ても「イケていない」ケースです。

最低限競合優位となる訴求を設定したり、広告グループを分けたからには無理のない日本語で広告文を入札キーワードと合わせる、商材のフェーズにあった広告文を利用するなどして、劇的に成果をあげましょう。広告文はクリックを誘発させるだけのものではなく、購買に結び付けるための強力なトリガーであることを忘れてはいけません。

※参考となる過去記事:

10. 広告のABテストを行っていない

広告(テキスト、イメージともに)のABテストを行うことは、よりコンバージョンを高めるために必要な施策の1つです。常に2~3種類の広告を設定し、AでもBでもCでもなくZを見つけるくらいの気概で広告のABテストを継続していくことが大切です。

※参考となる過去記事:

11. 設定した広告の種類が足りない

イメージ広告だけ、テキスト広告だけ、イメージ広告で対応バナーサイズが足りないなど設定内容に漏れがあるケースです。

イメージ広告のみまたはテキスト広告のみしか掲載できない広告枠も存在するため、イメージとテキスト両方設定して機会損失が起きないようにしましょう。対応バナーサイズ不足に関しては、すべてのバナーサイズを用意できることが理想的ですが、そうでない場合はインプレッションへのインパクトが大きいサイズごとに優先順位をつけて準備するという方法もあります。

※参考となる過去記事:

12. 広告表示オプションを使っていない

広告の掲載順位や実際のクリック単価の決定影響する広告ランクは、「入札単価✕広告の品質+広告フォーマット(広告表示オプションなど)」で決定されます(下記、過去記事参照のこと)ので、広告表示オプションの利用は広告ランクに好影響しか与えません。指定のランディングページへのみ誘導したいといったような理由があってこれら広告表示オプションを使わない場合をのぞき、積極的に広告表示オプションは設定をしましょう。

※参考となる過去記事:

過剰や過少

いわゆる「やり過ぎ」「やらな過ぎ」な設定を指します。手間を掛けて細かい設定を行う方が成果は上がりやすくなりますが、ある時点で掛けた作業時間の割に効果が上がらなくなったり、むしろ悪化の傾向に働く場合もありますので、何事も見極めが重要になります。この見極めの目利きこそがプレイヤーの質です。

13. 過剰や過少な設定

次で挙げるような項目が過剰または過少な設定の例になります。

  • 除外キーワードの設定:

きちんと検索語句レポートや設定する除外キーワードの内容を精査をしないまま、大量に除外キーワードを設定することで知らずのうちに自身で入札しているキーワードやその関連語句まで除外をしてしまって意図せず広告が表示されなくなるケース、設定しなさすぎて意図しない検索語句で広告が表示されるケースがあります。

  • すべての広告グループが1広告グループ1キーワード:

意図的な戦術としてこの構成をしている場合は特に問題はありません。この構成の場合は入札するキーワードが増えれば増えるほど管理が煩雑になるため、戦術上どうしても必要な場合を除いては安易に採用するべきではありません。

  • ユーザーリストを「有効期間を1日」や「1ページ単位で大量」に作成する:

蓄積されるユーザーが分散してしまうため、広告が配信できる要件のユーザー数を下回るリスクが発生します。

  • フリークエンシーキャップ設定が過剰:

過剰な設定は機会損失にしかなりません。本当にフリークエンシーキャップが必要なのか、他にできることはないかを考えた上で、それでも必要という場合にのみ使うのが良いでしょう。

  • 地域、デバイス、曜日、時間の設定が細かすぎる:

細かく設定してしまうことで、チューニング作業も見るべき場所、調整すべき場所が多くなります。それだけ作業もその時間も必要になるので、それ以外にやるべきことに掛けられる時間が減ってしまうようであれば本末転倒なことになりかねません。

※参考となる過去記事:

運用のPDCA

行った施策に対して振り返りを行わなかったり、新しいことにチャレンジせずアカウントを放置してしまうと、ビジネスを悪化させたり頭打ちにさせてしまうことにもなりかねません。

14. 詳細なレポートを確認しない

ここで言う詳細なレポートは主に「デバイス別」「検索語句」「プレースメント」の3つを指します。これらのレポートでは、デバイス別の良し悪しの確認、意図しない検索語句やプレースメントで広告が表示されていないか、または思いもよらなかった検索語句やプレースメントで大きな成果を上げていないかを確認しましょう。月曜日と金曜日など日頃のルーティーンワークに組み込むことをお勧めします。

管理画面で通常確認できるレポートよりも、レポートの表示にもう一手間の操作が必要になるため見落とされがちですが、これらのレポートを活用しビジネスへの影響度も加味して適切なチューニングを行いましょう。

※参考となる過去記事:

15. 新しいプロダクトにチャレンジしない

例えば、検索連動型広告しかチャレンジせず、ディスプレイ広告をやったとしてもリマーケティングだけ、Google アドワーズだけしか取り組んでないと言ったケースです。

リマーケティングだけ実施していたとしても、コンバージョンユーザーのリストを作成してそこから類似ユーザーへ配信、前項でご紹介しておりますプレースメントレポートを見て新たなターゲティングの開拓などまだまだできることはたくさんあるはずです。コンバージョンユーザーリストの活用など、ちょっとした設定だけで大きなビジネスチャンスを得ることも珍しくはありません。

運用型広告の代表的な存在であるリスティング広告を投資運用ととらえた時に、ビジネスを伸ばすためには常に新しいチャレンジに取り組まない理由はありません。少額からチャレンジを始めてみましょう。

16. 施策実施後の確認を怠る

これは、アカウントの構築から導入が完了した!チューニングが終わった!といったように施策を実施した段階で安心してしまい、その後の挙動や確認を怠ってしまうパターンです。よくありがちなものとしては次のような物が挙げられます。

  • 入札の最適化機能(コンバージョンオプティマイザーや自動化ルールなど)に依存して放置する:

急激な予算消化や、主力キーワードのインプレッション激減など、設定によっては思いもよらない動作をする可能性があります。

  • 入札キーワードの出稿状況を確認しない、広告が上位に表示されていない:

掲載開始直後やチューニング後などにミスを見落としていないかを実際にプレビューツールなど使って確認をしましょう。

  • 配信デバイスの設定ミス:

特にディスプレイ広告で多いミスで、PCだけに広告配信をしたかったところ、スマートフォンにも配信してしまうミスは良く聞かれます。

運用体制

運用体制に関する誤りは、一見してアカウントそのものには影響しないように思われますが、これらの誤りによってアカウントをチューニングする機会の損失や、チューニング上のミスに繋がる事にもなりかねません。

17. 運用チームの体制

これは、プロジェクトに関わるメンバーが多すぎたり、社内外のルールによって、アカウントの成果を伸び悩ませてしまうケースです。主に次のような物が挙げられます。

  • アカウントの構築、運用、レポーティング、営業といったように完全分業制になっている:

登場人物が多いことによってコミュニケーションコストが増加、また、コミュニケーションのすれ違いや連携ミスが多発しやすくなります。

  • アカウントを細かく分けすぎる:

検索連動型広告とディスプレイ広告、はたまたPC・タブレットとスマートフォンといったように、配信プロダクトやデバイスでアカウントを分けるケースです。入稿作業や入札といったチューニングをアカウント単位で行うことになるために作業効率は確実に下がります。

  • アクセス解析の権限がもらえない、タグを設置してもらえない:

広告の効果測定や改善のために必要な事項に対して、理由はどうであれ関係各所が協力してもらえないケースです。言わずもがな、関係各所の協力が得られない状態での広告配信は、どんなにアカウントがしっかりしていても、アクセス解析のデータが見れないことによる分析の不足や、タグ未設置等によって広告を正当に評価できないと言ったネガティブな面が目立つとなります。

18. 作業の煩雑化

アカウントの運用の他に付随する様々な作業が発生する、またはそのボリュームが膨大である場合、現場が疲弊してしまう可能性があります。次に挙げる例はほんの一例ですが、本当にそれが必要な作業なのか?をきちんと精査した上でこれらのタスクを依頼する必要があります。

  • 計測パラメータを大量に作成して付与する:

キーワードや広告文ごとなどの成果を細かく確認したいというお気持ちは非常にわかります。しかしながら、キーワードや広告文を追加するごとに数千~数万のパラメータを発行してそれを付与するとなると、現場は確実に疲弊します。また、これは何かしらのアクションをしようとすればするほど、実際にかかる時間の2倍以上の時間(パラメータ発行、確認、入稿、調整、再確認などなど)を要することにもなります。

これは見えない機会損失を発生させることにも繋がる為、注意が必要です。

  • 求めるレポートの種類や頻度が多すぎる:

広告主からすると、運用状況はとても気になるものです。しかしその報告が度を超した場合、上に同じく現場は確実に疲弊します。そのレポートが本当に経営判断するために必要かどうか?と言った視点で再度検討する必要があるでしょう。尚、本当に必要な意思決定のためのデータ抽出、レポート提出を嫌がるようなプレイヤーは3流です。

番外編:マインドや都市伝説

ここまでの18の誤りとは異なる番外編として、マインドや都市伝説によってアカウントの運用に影響を及ぼしてしまうケースをご紹介します。

付録.1 品質スコア、品質インデックスにこだわり過ぎる

品質スコアや品質インデックスは広告ランクを決定するための重要な要素の1つであることから、「品質が高いとクリック単価が安くなる」というイメージを強く持たれがちで、これは非常に極端な例えですが「品質が上がれば売り上げが上がる」といった都市伝説的な空気も漂わせます。

しかしながらこの説は前提条件があり、「競合他社の広告ランク(品質や入札単価を含む)がまったく変動せず、自社の掲載順位も変動しない」場合に同じ掲載順位を維持するために必要なクリック単価は安くなるというものです。

品質スコアを高めれば、上位に掲載されるために必要なクリック単価は安くなりやすいのは間違いありませんが、自社よりも次点の広告主にも大きく左右されてしまうケースのほうが多いため、ここに割いた時間の割にはクリック単価が安くならない、寧ろ順位が上がって高くなったなどといった骨折り損のくたびれ儲け的な結果になりがちです。

ビジネスを拡大するという大名目であるならば品質にこだわり過ぎるのではなく、コンバージョンを増やすにはどうしたら良いか?クリック単価を下げる以外にコンバージョン単価を下げる施策はないか?に主眼をおいたほうが賢明といえます。

※参考となる記事:

付録.2 キーワード数がKPI

入札したキーワード数が多ければ多いほど、「アカウント運用のやってる感」は確かに感じられます。しかしその追加されたキーワード群は、本当に有益なものになっているでしょうか?追加したキーワードの大多数がインプレッションすらしないキーワードだとすると、キーワード数と言うのはKPIとして妥当とは言えません。キーワードの追加に時間を費やすことが決して無駄とは言いませんが、他にもっともっとできることがあるはずです。

Google アドワーズであれば動的検索広告(DSA)や商品リスト広告(PLA)も活用することで、キーワードの追加設定無しで多くの検索語句と広告をマッチングさせることも可能です。

蛇足ですが、前項でも出てきた品質スコアや品質インデックスは、そもそもインプレッションが発生しないと付与がされない事を覚えておくと良いでしょう。

※参考となる記事:

付録.3 意味のない順位指定

広告主が掲載順位を細かく指定するというケースです。最終的には入札単価によって順位が変動しますので、順位を指定したりそれを維持し続けるというのは至難の業(Google アドワーズの入札戦略である程度コントロールできますが順位の指定はできません)です。

もちろん競合の状況や商材によっては、希望する順位あたりに広告が掲載されている方が費用対効果が良いケースも僅かではありますが存在します。そのため、場合によってはちょっとでも順位が指定からずれると広告主が運用者に連絡をして、常に指定の順位に調整させるといったケースもあります。

しかしながらそこのこだわり過ぎてしまうために、他にやるべきことに手がつかなくなってしまうようでは元も子もありません。

まとめ

以上、アカウントを殺す18の誤りをご紹介してまいりました。18の誤りということで、内容としては非常にネガティブに映るかもしれませんが、裏を返せば「アカウントを伸ばす為の18のポイント」でもあります。

日頃の運用の中で、この18の事項と照らし合わせながら「アカウントを殺してしまっていないか?」「もっと伸ばすにはどこを見るべきか?」と言った視点でアカウントをチューニングするのにお役立ていただければ幸いです。

recruit

関連記事