リマーケティング、サイトリターゲティングの仕組みと設定、考え方までのスベテ

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「スベテシリーズ」の第七回目は、「リマーケティング、サイトリターゲティングの仕組みと設定、考え方までのスベテ」をお送りします。

Google アドワーズのリマーケティングは2010年4月、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(以下、YDN)のサイトリターゲティングは2013年4月から提供が開始されたプロダクトで、ウェブサイトを訪問したユーザーに対して広告を配信することができるというものです。

リマーケティングリストを元にした類似ユーザーや、Google アナリティクスと連携したGoogle アナリティクスリマーケティングや、データフィードを用いて商品やサービスを動的にクリエイティブに用いる動的リマーケティング、検索連動型広告にユーザーリストを活用してターゲティングを行う検索広告向けリマーケティングなど、提供以来繰り返しアップデートが行われ続けてきています。

今回はリマーケティング、サイトリターゲティング(※以下、表記はリマーケティングで統一)にスポットを当ててTipsなどをご紹介していきます。

リマーケティングの仕組み

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おおまかな説明をすると、リマーケティングとはリマーケティングタグを読み込んだ訪問者をリスト(ユーザーリスト)化し、そのリストをターゲティングの要素として広告配信を行うというものです。

この時リマーケティングタグは入力フォームや成約ページも含め全てのページに挿入します。リマーケティングに使うユーザーリストは主にどのURLを訪れたかという点を中心に構築するため、リマーケティングタグの抜け漏れによるユーザーリストの欠損を防ぐためです。

このリマーケティング機能を利用したさまざまなプロダクトを紹介していきます。

検索広告向けリマーケティングリスト(RLSA)

従来の検索広告キャンペーン(検索連動型広告)に対し、リマーケティングで活用しているリマーケティングリストを紐付けることで、1度はウェブサイトを訪問したことのあるユーザーが、アカウントで指定した入札キーワードに関連する検索語句で検索した場合に、対象となるユーザーに対して通常の入札価格よりも高く設定したり、通常とは異なった広告訴求を配信することが可能となる機能です。

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従来の検索連動型広告ではビジネスと程遠くて出稿ができなかったキーワードも活用できるので、「「どのキーワードに出す?」から「誰に出す?」で大きく成果が変わる、検索広告向けリマーケティング(RLSA)の解説と設定方法」を参考にチャレンジしてみてください。

動的リマーケティング

2014年10月よりGoogle アドワーズですべての業種で動的リマーケティングが開始されています。これは閲覧した商品やサービスを広告のクリエイティブとして配信することで、従来のリマーケティングよりも訪問者と広告のマッチング精度が高まるため、高い効果を発揮しやすいプロダクトの1つです。

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ECなど比較的商品のバリエーションが多い場合は、従来のリマーケティングだけでも十分に成果を上げることが出来るのですが、人材や賃貸など人の好みやこだわりが強く左右する場合は訪問と離脱を繰り返す事が多く、従来のリマーケティングだけでは思うような効果が得られない場合もあります。

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動的リマーケティングでは見た商品やサービス、それに関連するものが広告クリエイティブとなるため、従来のリマーケティングよりも商品やサービスとの訪問者のマッチング精度が高まるため、コンバージョンの効率も高まります。具体的な仕組みと設定方法については「消費者と商品をマッチさせる動的リマーケティングの始め方」をご参考ください。

リマーケティングの配信戦術

リマーケティングはただ設定をして広告を配信すれば良いだけではありません。どのようにユーザーリストを設計し、どのように運用コントロールを行うかというしっかりした戦術が必要不可欠です。

訪問者の購入モチベーションを加味したり、自社サイトが複数ドメインある場合の活用したり、ロイヤリティの高い訪問者へのアプローチなどやれることは様々あります。次より売り上げを上げるために参考いただける配信戦術の一例をご紹介いたします。

追跡期間に応じた段階的な配信を検討

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リマーケティングはユーザーのモチベーション毎に適切に配信の強弱を行うことで、より成果を上げることが可能になります。

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Google アナリティクスのマルチチャネルなどを見て追跡期間ごとにリストを分け、それぞれの段階に応じた入札を行うというやり方です。

注意点として、全ての入札管理を手動で行える場合は追跡期間に応じた段階的配信が効果的ですが、将来的にコンバージョンオプティマイザーを利用することで自動化を考えている場合、段階的配信のように追跡期間ごとにユーザーリストを分けていることでコンバージョンオプティマイザーの分析に狂いが生じる可能性が高く、成果が悪化する可能性もあります。その場合は30日のリスト1つで拡張CPCを最初は利用し、コンバージョンオプティマイザーが利用できるようになったらそちらに移行するほうが長期的に見て効果が高くなる可能性もあります。

参考:入札戦略ツールの使い方、徹底解説

異なるドメインへ訪問するユーザーへの配信

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リマーケティングは異なるドメインに訪問したユーザーへも広告を配信することが可能です。

自社で保持しているメディアサイト(例:http://A.jp/)などにリマーケティングタグを貼り付け、そのメディアサイトに訪問したユーザーに自社のサービスサイト(例:http://B.jp/)の広告を配信する、などといったことが出来ます。

購入者への配信

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これまでのリマーケティングは原則的に未購入者への初回購入を促すための代表的な施策の1つでした。ところが、このリマーケティングを既存客に向けて配信することで多くのアプローチを可能にしています。「メルマガが開かれない」と騒がれる昨今では、リマーケティングでメルマガの役割を補完することが出来ます。時代とともに、リマーケティングそのものの役割自体が変化しているとも言えるでしょう。※リマーケティングを利用する側が役割を与えて上げた、とも言い換えることが出来るかもしれません。

このパラグラフの参考記事:リピート型通販サイトがリマーケティングを使って売上を上げた3つの方法

リマーケティングで最も重要!ユーザーリストの作り方と考え方

リマーケティングの質を左右するのは「ユーザーリスト」に蓄積されたユーザーの質であることは紛れも無い事実です。極端ですが、1,000人蓄積されたユーザーリストがあるとして、コンバージョンに近い100人が含まれたユーザーリストと、コンバージョンに近いユーザーが10人しか含まれていないユーザーリストであれば断然前者ですよね。

ここではユーザーリストに出来るだけ質の高いユーザーを集めるための考え方についてご紹介していきます。

特定のページに辿り着いたユーザーリストを作成して除外する

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トップページのみ訪問し、商品やサービスの詳細を見ずに離脱した人は購入にながりにくいと考えられますし、マイページのログイン画面に到達したロイヤリティが高いユーザーは、リターゲティング広告を配信しなくても継続購入する可能性があるため、新規獲得など既存ユーザーを対象外としたい場合は除外を検討しても良いでしょう。

対象とならない属性(年齢、性別など)の除外を検討してみる

提供する商品やサービスに対して、ターゲットとなる年齢や性別がハッキリと定まっている場合、例えば女性向けの脱毛などは、男性がメインターゲットとはならないため、配信除外を検討してもいいかもしれません。ただし、女性向け商材イコール男性に売れないとは限らないこと、また、Googleの定める属性はそのユーザーの行動パターンから類推されるものを含んでいますので、実際は男性なのに女性と判断される場合がある場合がありますので、あくまでも実績値ベースで検討することをおすすめします。

時間帯、配信地域を除外

飲食店やマッサージ店など、地域性のある店舗ビジネスを行っている場合、営業時間外であったり、店舗が遠くて来店が現実的ではないような地域への配信も必要がないかもしれません。ただし、「渋谷駅周辺の飲食店を横浜の自宅から探す」といったシチュエーションは容易に想像がつきます。こういった場合は、Webページからの予約をコンバージョンとしていたり、顧客のデータがあるのであれば、その状況を見ながら配信地域や時間帯などを決めるという選択肢もあって然るべきです。

Google アナリティクスリマーケティングの活用

Googleアナリティクスリマーケティングはレポートデータに基いて柔軟にリストが作成できる反面、ユーザーリスト作成はGoogle アドワーズよりも複雑となっているため、何をどうして良いかが分かりにくく、着手したくてもできていないというプレイヤーも多いのではないでしょうか?

ここではGoogle アナリティクスリマーケティングの中でも、簡単に成果を上げることができるリストの紹介と作成方法についてご紹介いたします。この手法を取り入れることでリマーケティングでできる事の幅がグッと広がると思います。

コンバージョンした全ての訪問者の「訪問別ページビュー数の平均値」「訪問時の平均滞在時間」を超えるユーザーのリスト

一般的に、コンバージョンをした訪問者のページビュー数や滞在時間は、コンバージョンに至らなかった訪問者に比べて大幅に多い/長い傾向があります。一般的なサイトでは商品ページやサービス紹介ページなど複数ページを持ち、コンバージョンに至りやすい訪問者ほどサイトを回遊して複数のページを閲覧し、結果、コンバージョンする傾向が強いことから、「コンバージョンした訪問者はページビュー数が多かったり滞在時間が長い」→「ページビュー数が多い訪問者や滞在時間が長い訪問者はコンバージョンに至る可能性が高い」という仮説を立てることができます。

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Google アナリティクスでビジネスの目的とする「コンバージョンに至ったユーザー」に絞り込み傾向値を調べます。コンバージョンをした訪問者はこれに近い属性を持っていると仮説立てできますので、この値を元にして、この属性を持っている訪問者だけのリマーケティングリストを作成します。

購買者と異なる動きを除外

前項ではコンバージョンをした訪問者にフォーカスを当てましたが、逆にコンバージョンに至らなかった訪問者の傾向値を確認し、主としているリマーケティングリストから除外をすることで、明らかにコンバージョンしないであろう訪問者だけを除外します。

「参照元の中でコンバージョン数が多い参照元から訪れた」ユーザーのリスト

Google アナリティクスの参照元レポートを見ると、コンバージョンが多い参照元(ドメイン)が存在する場合があります。コンバージョンの多い参照元のうち、訪問数とコンバージョン数のボリュームがある程度大きい場合、これらの参照元から訪問する訪問者はコンバージョンへ至る可能性が高いと仮説立てすることが可能です。

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既に意識の高いユーザーであることは間違いありませんから、これらの訪問者が再訪の機会を失わないためにも、コンバージョンが多い参照元から訪問したユーザーのリストもあると良いでしょう。

明らかにモチベーションの異なる参照元を除外

前項で「参照元の中でコンバージョン数が多い参照元から訪れた」ユーザーのリストを紹介しましたが、それとは反対に、明らかに成果に結びついていない参照元などが出てくるケースがあります。それらはほとんどの場合でポイント目当てでポイントサイトから流入してきたユーザーや、特定のメールマガジン広告などがそれに当たるケースが多いわけですが、こういった配信先から流入してくるユーザーは除外を行っても良い場合があります。

「ブランドネームでサイトに訪れたユーザーでコンバージョンしていない」ユーザーのリスト

ブランドネーム、つまり、会社名や商品ブランド名、商品名、サービスなど固有名詞を指す検索語句で検索してサイトに訪問した訪問者は、既に商品やサービスに関して認知をしており、コンバージョン至る可能性が非常に高いです。そのため、これらの検索語句で訪問したにも関わらず、残念ながらコンバージョンに至らなかったユーザーに対してのリマーケティングは非常に効果が高い傾向にあります。

「入力フォームに到達滞在したユーザーでコンバージョンしていない」ユーザーのリスト

入力フォーム(エントリーフォーム)まで到達したにも関わらずコンバージョンに至らなかった訪問者の中には、入力フォームを見た時に「項目の入力が面倒くさそう」「時間が掛かるから後でいいや」と思って離脱する訪問者が存在します。ただし、こういった訪問者は「後でまた来て買おう」と思いつつも購入せずに終わってしまうことが少なからずあります。このようなコンバージョン機会の損失を埋めるためにも、このユーザーリストに対して再訪を促すリマーケティングは強力なものとなると言えます。

 スマートリストの利用

Google アナリティクスリマーケティングには「スマートリスト」と呼ばれる機能があります。

これはGoogle アナリティクスが計測された様々なデータ(例: 位置情報、端末、ブラウザ、参照 URL、セッション継続時間、ページ閲覧深度など)を分析することで、その後のセッションでコンバージョンを達成する可能性が高いユーザーを見極め、ユーザーリストを更新していきます。

一言で表すとユーザーリスト作成の自動化と言えますが、スマートリスト利用時は下記の作成要件に注意する必要があります。

  • e コマース トランザクションが毎月 500 件以上で、1 日のページビュー数が 10,000 回を超えるサイト
  • 満たないサイトでは、類似するビジネスの会社から、Google アナリティクスに匿名で提供されたコンバージョンデータに基づく

作成要件を満たさないリストは自社サイトのコンバージョンデータに基いていないユーザーリスト出ない可能性が高いため、思ったような成果が出ない可能性がありますので、スマートリストを利用する場合は継続的に作成要件が満たせるかどうかを事前に確認しましょう

このパラグラフの参考記事:複雑なGoogleアナリティクスリマーケティングで簡単に成果を上げる5つの手法と設定方法「広告に接触すると買わなくなってしまう人をきれいに配信対象から外すこと」を可能にするリスティング広告のリターゲティングテクニック5選

その他ユーザーリスト作成時の注意点

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ユーザーリストの作り方詳細は省略いたしますが、基本的にどのURLを訪問した人をどのようにまとめたいか?というのが基本的な設定方法の仕組みとなりますが、設定方法によっては意図しないユーザーリストが生成されかねません。ユーザーリスト作成時は次の点に注意しましょう。

URL指定時に「http://」と「https://」は含めない

例えば「exsample-site.com/items/」が含まれる階層を指定したい場合、URLを「http://exsample-site.com/items/」と指定してしまうと、「https://exsample-site.com/items/」を訪問したユーザーは含まれなくなってしまいますので、意図的に「http://」と「https://」を分けたい場合でもない限りはこれらをURL指定時には含めないようにしましょう。

過去の訪問者を含めるか含めないか

上図キャプチャで「これらのルールに一致する過去のユーザーを含める」「過去の訪問者の設定」にチェックを入れると、指定したルールに応じてそれまでに蓄積された訪問者を含めた状態でユーザーリストを作成することができます。新規にリマーケティングを始める場合、リマーケティングタグを設置してから広告配信の開始までの期間のデータが蓄積されているわけですから、新たなデータ蓄積を待たずに広告配信を行える状態になれる場合が多いのでチェックを入れておきましょう。

対して何らかの影響によってユーザーリストの質が悪くなった場合など、これらの原因を取り除いた上で新たに同条件でリフレッシュしたユーザーリストを作成したい場合などはチェックを外し、ユーザーリスト作成後にユーザー蓄積を行います。

動的リマーケティング固有の注意点

動的リマーケティングの効果を高める方法は従来のリマーケティングとは異なる部分があり、次の点において注意が必要です。

  • ユーザーリストはページの役割ごとに作成する
  • 表示されるクリエイティブはデータフィードに依存する

それぞれ説明していきます。

ユーザーリストはページの役割ごとに作成する

動的リマーケティング実施の際にはページの種類ごとにカスタムパラメータを付与することができ、Google アドワーズはこのカスタムパラメータによってページの重要度を判断しています。

特にこのカスタムパラメータの中でも「xxx_pagetype(xxxはビジネスタイプによって異なる)」は、そのページの役割がどういったものか判断する要素となっていますので、必ず全てのページに設定してページタイプごとにユーザーリストを作成しましょう。

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カスタムパラメータの内容に応じたユーザーリストで作成する方法ですが、従来のユーザーリストを作成する過程で、ルールを「URL」ではなく「dynx_pagetypeといったカスタムパラメータ」を指定して、「offerdetail」などといったリスト化したい値を指定します。

表示されるクリエイティブはデータフィードに依存する

動的リマーケティングはデータフィードを元にして動的にクリエイティブが生成されます。

タイトル表記をどうするか、商品画像をどうするかで成果が変わってきますので、色々変更するなどチャレンジしてみましょう。

このパラグラフの参考記事:データフィードを使った商品リスト広告、動的リマーケティングの成果を上げるために行いたい3つの習慣

まとめ

リマーケティングはサイト訪問者へ再度アプローチするための広告という至極単純なプロダクトなのですが、ユーザーリストの質、訪問者のモチベーション、訪問者の意向と商品サービスのマッチングなど、実はとても奥が深いプロダクトでもあることは間違いありません。

しかしながらユーザーリストを細かく分けすぎると、誰に何を配信しているかがわからない、そもそも配信に必要なユーザー数がユーザーリストの分散によって確保できないなどの弊害が発生します。度が過ぎると追跡期間が長くていつも表示されるこの広告ウザい、サービスを利用しているのにいつも会員登録を迫られてウザいと言った事態も発生しかねません。

追跡型広告は悪!みたいに過度な風潮とならないよう、仕組みとルール、そして節度を守ってリマーケティングは配信したいですね。

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Hiroki Tanaka

Hiroki Tanaka

アナグラム株式会社 テクノロジーエキスパート。 広告代理店に入社後、リスティング広告の社内データダッシュボードの戦略構築とインフラ整備等を管理・運用型メディアコンサルタントチームのマネジメントを歴任。 2012年より現職にて、リスティング広告の運用から、Googleアナリティクスやタグマネージャー導入と運用の支援、criteoなどデータフィードを用いた広告の導入支援や運用、クルーの執筆したブログ編集、ちょっとした買い出しなどを行っている。