ヒトの思考を凌駕する動的検索広告の解説と設定方法

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Googleアドワーズの機能の一つに「動的検索広告」(Dynamic Search Ads、DSAとも呼ばれます)という機能があります。動的検索広告は、Googleがオーガニック検索用にインデックスしたページの情報を利用し、入札したキーワードではなく、そのインデックスされたウェブサイトのコンテンツに基いて自動的に広告を表示する機能なのですが、仕組みを理解することで強力な武器となりうることはあまり知られていません。

あまり日の目を見ることがない動的検索広告、その仕組みや設定方法についてお伝えいたします。

 検索語句のトレンドは常に変化

動的検索広告のお話に移る前に「なぜ、いま動的検索広告なのか?」という背景をお伝えしたいと思いますが、まずはこの背景を理解するために、検索にまつわるトリビアをご紹介します。

  1. 検索語句(検索クエリ)が3語以上で構成されている割合 54%
  2. 過去6ヶ月に検索されたことのない、新規検索語句の割合 20%
  3. 入札キーワードと完全に一致しない検索語句の割合 70%

※いずれも2013年、Grow Business with Google & Google Partnersでの発表より。

それぞれを噛み砕いて見ていきます。

1. 検索語句(検索クエリ)が3語以上で構成されている割合 54%

例えば「アメリカ 格安 航空券」のように、3つの言葉以上で検索される割合が全体の54%であることを示します。施策側の私たちが考えるよりも多くのユーザーは3語以上の長めの検索語句で検索をかけていることがわかります。ウェブリテラシーが日々高まる中で、検索語句の数は徐々に増えていくものと考えるのがスムーズかもしれませんね。

勿論、PCとスマートフォンでの検索語句の数は大きく変わってくる傾向がありますので、デバイス毎に検索語句の数などを考慮したキーワード選定、入札の強弱、私たちでいうところのアカウント設計は非常に重要です。

2.過去6ヶ月に検索されたことのない、新規検索語句の割合 20%

さまざまなインターネットサイトやマスメディアなどで生まれた言葉など、過去6ヶ月のデータでは存在しなかった新しい言葉を含んだ検索語句が全体の20%であることを示します。更には、完全一致やフレーズ一致などの限定性の強いキーワードマッチを利用する際にはこの数字を念頭においておいたほうがいいでしょう。

3.入札キーワードと完全に一致しない検索語句の割合 70%

入札キーワードが「アメリカ 航空券」(キーワードのマッチタイプは部分一致とします)である場合、検索語句が「アメリカ 航空券」といったように、入札のキーワードと検索語句が完全に一致する割合が30%、検索語句が「アメリカ 航空券 格安」「格安 航空券 アメリカ」など、入札のキーワード「アメリカ 航空券」と完全に一致しない割合が70%であることを示します。

部分一致や絞り込み部分一致などのマッチタイプを活用して、できるだけ取りこぼしの無いように入札キーワードの洗い出しを行っても、実際の検索語句レポートをなどを見ていると、どこかのサイトのコピペ(旅行会社のサイトやホテル業界などでは楽天トラベルやるるぶトラベルの宿のタイトルをコピーしてそのまま検索をする、なんて行為は日常茶飯事です。また、タイトル以外にも「住所」や「キャッチコピー」などの検索が多いのが現状です。更に言えば代表的なもので言えば賃貸サイトでの物件名も同様。)であったり、語句の組み合わせではなくて文章で検索される傾向も強くなってきている現実を踏まえますと、ヒトの思考だけでのキーワードの洗い出しには限界が出てくるということは想像にたやすいのではないでしょうか。

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※検索のトリビア

動的検索広告の解説

では、これらヒトの思考でまかなえない検索語句のフォローをどうするのか?そこで登場するのが動的検索広告です。

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※動的検索広告の仕組み

冒頭にも紹介いたしましたが、動的検索広告はウェブサイトのコンテンツに関連する検索語句で検索された場合に広告を表示します。つまり、通常では入札されていないキーワードでは広告が表示されませんが、ウェブサイトのコンテンツに関連する検索語句であった場合、広告が表示され、機会の損失を防ぐことが可能となります。基となるインデックスデータはGoogleが自動で収集するので、ウェブサイトのコンテンツが増えても自動的に動的検索広告の対象となり、意図的に動的検索広告の設定対象コンテンツでない場合を除いては、何も設定を変える必要はありません。また、動的検索広告で対象とするウェブサイトのコンテンツは指定が可能なので、すべてのページから特定のページのみにするなどの柔軟な設定が可能です。

広告文についてはインデックスされたコンテンツに基づいてタイトルとリンク先URLは自動生成されますが、説明文(広告文1、広告文2)は設定が必要になります。広告タイトル・説明文・ランディングページの関連性を維持するために、説明文には送料無料など当たり障りのないオファーの訴求をまず設定して動的検索広告を試してみることをおすすめしますが、多品通販などのウェブサイトでは特定のカテゴリや商品のコンテンツごとに説明文の変化をつけることも可能です。

動的検索広告のメリットとデメリット

動的検索広告は、現在のアカウントで入札されたキーワードを補う役割と、キーワードや広告設定の半自動化を担う役割の2つの側面があり、それらも踏まえてメリットとデメリットを上げてみます。

メリット

  • アカウントにおけるキーワードの網羅性が高まる
  • 競合他社も設定していないようなクリック単価の安い検索語句で多くのクリックが獲得できる
  • キーワードの管理が不要(ただしキーワードの除外設定は必要)なので時間の節約ができる

デメリット

  • インデックスされたページが少ない(おおよそ数百ページ未満)と効果を発揮しにくい
  • 広告タイトルはページ内容に左右されるため、意図しないタイトルとなる可能性がある(プレミアムポジションに動的検索広告が表示された時に、通常よりも長いタイトルを生成できるというメリットもあります)
  • ターゲットするページよっては即時のコンバージョンに繋がりにくい

ヒトの想像を超える検索語句で広告表示が可能になるため、それらの検索語句では競合も入札していない可能性が高いこと、動的検索広告はキーワードごとの品質スコアはありませんが、従来の部分一致キーワードやフレーズ一致キーワードよりもクリック率が高い傾向にあり、且つ、コンテンツを基に広告を表示する機能であるため、広告とランディングページの関連性も高くなる傾向から、結果として広告ランクが高くなりやすく、結果的に安いクリック単価で多くのクリックが獲得できる傾向があります。その反面、単品通販などインデックスされたページ数が少ない場合は効果を発揮しにくいという一面もあります。

動的検索広告の設定方法

動的検索広告は、Googleアドワーズ管理画面より設定することが可能です。

手順.1 動的検索広告用キャンペーンを作成する

「キャンペーン」タブ → 「+キャンペーン▼」ボタン → 「検索ネットワークのみ」 → キャンペーンのサブタイプは「すべての機能」を指定。ここでキャンペーンのサブタイプに「動的検索広告」を選んでしまうと、他の機能と併用が効かなくなるため指定はしません。

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その他、キャンペーン名などは従来と同様に適切な値を設定します。

手順.2 広告表示オプションを設定する

手順.1でキャンペーン名などを設定したら、そのページを下の方に送り、続けて動的検索広告の設定を行います。

「動的検索広告」→「ウェブサイトの内容に基づいて広告を表示する」を選択し、ウェブサイトのドメインを入力します。ここではホスト名やサブドメインを省いたドメインのみを入れてください。www.example.comやabc.123. example.comではなくexample.comだけ入力します。入力が終わったら「保存して次へ」をクリックします。

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手順.3 広告を追加します

広告は従来と同じ手順で設定します。広告の種類は「動的検索広告」を選び、動的検索広告で設定可能な説明文(広告文1、広告文2)と表示URLを入力します。はじめは特定の商品やサービスでしか適応されないような訴求を設定することは控えましょう。ただし、運用開始してから検索語句のレポートを参考に広告グループを特定の商品やサービスに細分化してより適切な広告文を追加すると良いでしょう。

広告は、手順.2に続く広告グループの追加設定を行う画面で設定することもできますが、従来と同じ手順にて後ほど追加することも可能です。

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手順.4 動的広告ターゲットを追加する

「自動ターゲット」タブ → 「+動的広告ターゲット」ボタン → 「すべてのウェブページを広告対象に含めます」を指定。

※予め、サブドメインや対象とするページを指定したい場合は、「条件を満たすウェブページ…」を選択して条件を入力します

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以上で動的検索広告の基本的な設定は完了です。この手順で設定することにより、動的検索広告でも他の機能と併用が可能です。

おまけ:動的検索広告のみで他の機能を利用しない場合の設定手順

とりあえず動的検索広告のみ使えれば良いので簡単に設定したいといった場合は、新規キャンペーン作成時に選択するキャンペーンのサブタイプから「動的検索広告」を指定します。上記で紹介した広告表示オプションの設定や自動ターゲット設定は、キャンペーン作成の流れの中で指定します。

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動的検索広告の開始前に除外キーワードの設定を!

初期の配信ではすべてのページを対象としてテストを行うことをお勧めいたしましたが、この場合、会社情報、IR情報、店舗を持つビジネスでは店舗検索などのコンテンツも動的検索広告の対象となりうるため、これらに関連するキーワード、例えば「会社情報」「株価」「IR」「店舗検索」「郵便番号」「住所」など、ビジネスの成果に繋がりにくいこれらのキーワードでも動的検索広告が表示されてしまう可能性があります。これらのキーワードは予め除外しておくことが必要です。

また、検索語句の確認についてですが、従来の検索連動型広告では「キーワード」タブで確認するのに対し、動的検索広告では下記イメージのように「自動ターゲット設定」タブから確認します。こちらのタブから確認することで、検索語句だけではなく、その時に表示された広告文タイトルとリンク先URLも確認することが可能なので、不要な検索語句だけではなく、成果に結びつきにくいランディングページのURL把握などにも活用することができます。

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実際の分析事例については、GoogleのInside AdWords 日本版公式ブログにも公開されているので、参考にしてみてください。

Inside AdWords-Japan: 動的検索広告の最適化成功事例 – 検索語句のカバレッジ拡大と掲載結果の改善に成功

http://adwords-ja.blogspot.jp/2013/12/casestudy-dsa-optimization.html

まとめ

従来の検索連動型広告と比べると地味に見えてしまいがちですが、我々の想像を超えた検索語句にも対応、しかも検索語句がサイトコンテンツに関連した場合のみ広告を表示する機能であるため、従来の部分一致の拡張表示のような関連性の低い検索語句での表示も抑えることもでき、キーワードの設定も不要なのでヒトの作業を大幅に減らすこともできます。初期設定のすべてのページを対象とすることでも成果は出る機能ですが、インデックスデータを扱う広告であるため、サイト構造やページ構成なども理解すると、フィルタリングやより詳細なターゲティングも容易となるのでさらなる成果を引き出すことも可能です。

最後に補足となりますが、動的検索広告では、既に設定されているキャンペーンのキーワードを補完します。しかしながら例外があり、アカウント内で入札している部分一致キーワードにおいて、動的検索広告の入札金額が安くとも、その広告ランクが高い場合、入札キーワードよりも動的検索広告が優先して表示されてしまうケースもあります。初期段階では入札価格を「入札しているキーワード>動的検索広告」とすることで、動的検索広告の広告ランクが、入札しているキーワードを超えないようにし、徐々に入札金額を変更させていくのがよいでしょう。キーワードの入札金額に比べ、動的検索広告の入札金額が大幅にも安く設定されているにも関わらず、動的検索広告が優先して表示されてしまう場合は、入札キーワードに紐づく広告の品質が低い可能性がありますので、広告の見直しなども視野に入れましょう。

Hiroki Tanaka

Hiroki Tanaka

アナグラム株式会社 テクノロジーエキスパート。 広告代理店に入社後、リスティング広告の社内データダッシュボードの戦略構築とインフラ整備等を管理・運用型メディアコンサルタントチームのマネジメントを歴任。 2012年より現職にて、リスティング広告の運用から、Googleアナリティクスやタグマネージャー導入と運用の支援、criteoなどデータフィードを用いた広告の導入支援や運用、クルーの執筆したブログ編集、ちょっとした買い出しなどを行っている。