リスティング広告の飲み会、集会で真面目な話になると(※なかなか真面目な話にはならないのですが、)非常に、よく聞かれるのが「入札単価、どうやって決めていますか」「初動の入札単価の決め方、どう教えていますか」という旨の質問です。
・お見積りツールで出た推奨単価を入れる?
・とりあえず100円スタート?
この類の会話を聞いていると、多くの方が「アカウント構築時、スタート時点の入札単価」に迷っているようですね。
この記事では、特に初動時の入札単価の決め方・考え方について、解説していこうと思います。
目次
初動の入札単価陣形、組み立ての判断基準
おおまかには下記の3ポイントをおさえておけば問題ないでしょう。
- 基本は目標(上限)獲得単価×想定コンバージョン率を目安に大まかな基準を作る
- アカウント内でもキーワードごとのモチベーションの高低、役割を考えた配置
- マッチタイプを考慮し、アカウント内で辻褄が合う入札単価で確定させる
次から、具体的に見ていきます。
基本は目標(上限)獲得単価×想定コンバージョン率を目安に大まかな基準を作る
リスティング広告での集客をはじめる・はじめている方であれば、多くの方がGoogleアナリティクスなど何らかのアクセス解析ツールを入れていることでしょう。過去のデータをもとに、だいたいのコンバージョン率がわかっていることと思います。目標の獲得単価と掛け算をすれば、その計算式で出た数字が現実的な入札単価の基準になります。
データを持ちあわせていない場合は、とりあえず現実的なコンバージョン率を代入してみましょう。内緒ですけど、下記のようなイメージで代入してみるのはいかがでしょうか。内緒ですけど。
- ファッション通販など、多品系ECなら0.2-0.5%
- 青汁やコスメ通販など、単品系ECなら0.5-2.0%
- ゲームやポイントサイトなど、ライトな会員登録系サービスなら3.0-5.0%
- 人材・転職系会員登録なら1.0-3.0%
※あくまで筆者の体感値です。Webサイトやビジネスモデル、集客の手法は千差万別ですので上記の限りではございません。よく言われるのは「ECサイトなどではコンバージョン率1%で計算する」などといったものもありますが、あくまで参考までに利用してください。「経験」をだしにはあまり使いたくはないのですが、こういったものこそ経験値がものをいう部分でもありますね。
アカウント内でもキーワードごとのモチベーションの高低、役割を考えた配置
キーワードのモチベーションや、役割を加味して入札単価に強弱をつけておくのも、初動時の非常に重要な作業です。先ほどのコンバージョン率も加味しつつ、キーワードごとによりコンバージョンする可能性が高いと想定できるものは入札を予め高めに、一方でコンバージョンする可能性が低いもの、キーワードの裏に隠された検索者のモチベーションが低い、特定できないようなキーワードは、入札を低くしておきましょう。
※図の場合では「お中元」というキーワードよりも「お中元 生ハム」という具体的なキーワードの入札単価が高くなるべきです。
※私は以前、アカウント内のほとんどのキーワードが入札単価100円で設定されているアカウントを見たことがあります。でも考えて見て下さい、「お中元」と、「お中元 人気」と、「お中元 生ハム」では検索者のペルソナが違いますし、検索行動に至っている文脈(コンテキスト)や背景が違いますよね?
リスティング広告は、1クリックごとに広告実費が発生する集客手法です。初動の段階で、仮説を組み立てて配信することが成功への近道です。
マッチタイプを考慮し、アカウント内で辻褄が合う入札単価で確定させる
※キーワードのマッチタイプについては、こちらの記事も参考になさってください
例えば「[青汁]」(完全一致) 「+青汁」(絞込部分一致)「青汁」(部分一致) 同じキーワードでも、マッチタイプによって役割が違います。
どういうことか掘り下げますと、この場合、完全一致は”攻め”の役割を担います。陣形などで申しますと確実に一定上の成果を上げることができる前衛部隊ですね。ただし、運用開始後などにその前衛部隊のコンバージョン率が予想以上に低く、獲得単価が許容よりも高くなる場合は入札単価を下げていく、などといった柔軟な発想も必要です。優れた軍師は撤退時期を知っている、などと考えると良いかもしれません。
それに対し、部分一致は、表記ゆれや、こちらで想定できない掛けあわせキーワード、さらには「青汁」から派生するような関連キーワードにも、広く広告を表示させてくれる役割を担っています。コンバージョン件数を稼ぎにいくというよりも、設定時に自分で想定できなかった関連キーワード・派生キーワード・掛けあわせの複合キーワードに安いクリック単価で広告を掲載、コンバージョンまで結びつけばラッキーだな、という感じです。
下記に図も掲載しています。
一般的に部分一致のキーワードは入札単価が高くなればなるほど、意図していない関連キーワードに広告掲載が拡大していきます。同じキーワードであれば以下の様なイメージです。
完全一致 > 絞り込み部分一致 > 部分一致
ピラミッド構造がキープされている状態が運用管理もしやすく、上記図で記載した意思どおり、マッチタイプの役割通りに動いてくれるアカウントになります。
月間検索数が多く、競合も広告を出稿してきてクリック単価が高騰しているキーワードの入札単価に要注意
アカウント全体のコスト消化に対して、上位を占めるようなキーワード・広告グループ達の入札単価管理には特に注意が必要です。金曜日に入札単価を大きく引き上げて退社、月曜日にアカウントにログインしたら札束が燃えていて血の気が引いたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
想定コンバージョン率が高いor クリック単価が安く、尚且つクリック数が集まらない(検索数が少ない)ニッチなキーワードはコストが暴走するリスクが小さいので強気の配置でOK
例えば、「生ハム お取り寄せ」のようなキーワードは、もともと検索数が少なく、想定入札単価も高くはありませんのでアカウント全体での成果を悪化させる要因にはなりにくいです。少々無理をした入札単価を設定しても、それでコンバージョンにつながる可能性が大きくなるのであればチャレンジすべきです。
その他、入札単価を引き上げ「強気」で配置すべきシーンの例
シーン1:広告文・リンク先のABテストの判断を早めたい
獲得単価の悪化というリスクを負ってでも、1日、1分でも早くABテストの判断をしたい場合であれば表示機会を増やすことにより、クリック数を短期間で集め、判断に足るデータを集めてしまうというやり方です。
シーン2:「どうしても1位掲載だ!」と社長・上司・クライアントに指示されている
こうした意向などは、なるべく叶えながら成果を出す方法を模索したいものです。
そしてキーワードプランナーの見積もりを鵜呑みにしてはいけない
Googleアドワーズのキーワードプランナーを使って、上限クリック単価の範囲と、それぞれの入札単価に対するトラフィックの見積もりを得ることができます。デフォルトでは、すべてのキーワードで 1 日に獲得できるクリック数の見積もりが入札単価ごとに表示されます。この数字は目安でしかないので、見積もり通りの予算・入札単価を設定したからといってその通りになるわけではありません。
※Googleキーワードプランナーでの見積もり取得イメージ
結局いちばん大事なのは、運用開始直後。いかに素早く意図のある入札単価設計に調整できるかが勝負。
これに尽きると思います。初動時の入札単価も大事ですが、新しいアカウント・キャンペーンを稼働させてから、
設定したキーワードが
- 意図したエリアに
- 意図したデバイスで
- 意図した掲載順位で
- 意図した広告文で(誤字脱字などもチェックしましょう)
上記の自分が意図した条件で、ちゃんと広告表示されるか確認し、調整を行うことが理想的です。
実際に検索することなくとも、Googleアドワーズ「広告プレビューと診断」、Yahoo!プロモーション広告スポンサードサーチ「広告プレビューツール」を使えば簡単に条件指定した上での広告掲載状況が確認ができます。
※上図はGoogleアドワーズ「広告プレビューと診断」のキャプチャ。
日本国内でのECサイトを展開されている方であれば、言語:日本語/デバイス:デスクトップまたはノートパソコン、スマートフォンにも広告を出稿されたい方は、デバイス:フルブラウザ搭載の携帯端末(iPhoneなど)での表示もご覧いただくことをオススメします。
店舗型のビジネスを展開されている方であれば、地域:東京都,日本 など、店舗があり広告を出稿したいエリアそれぞれでの広告掲載状況を確認してみてください。全てのキーワードを確認するには時間がかかりすぎてしまいますのでコスト消化が多い、またはコンバージョン数が多い(と想定されるような)主軸のキーワード・主要なキーワードいくつかで掲載状況を確認されると良さそうです。
いかがでしたでしょうか。アカウント構築時の入札単価で迷う方の問題解決に少しでもつながっていれば幸いです。
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