リスティング広告の運用にはさまざまなテクニックが存在します。テクニックは目先の売上を上げるため、手っ取り早く成果を上げるための一つの手段として時として重要度が高めになる場合もありますが、ほとんどの場合はテクニックに依存すると本質を見失い、厚みのない施策になってしまうことがあるので、往々にしてお薦めはしていません。
とはいえ、やはり成果を出すのが至上命題であるケースではテクニックのバリエーション、取捨選択とも呼べる個々の千里眼こそがリスティング広告プレイヤーの厚みと言っても過言ではありません。今日はそんなどっしりと厚みの効いた動的検索広告(DSA)と検索広告向けリマーケティング(RLSA)を組み合わせて利用したGoogle アドワーズ運用テクニックを共有致します。
※動的検索広告と検索広告向けリマーケティングの詳細や細かな設定方法などは上記リンクからご確認ください。
目次
これまでのランディングページ離脱後からのアプローチ
これまでは、ランディングページ離脱後、再度ランディングページへ訪問してもらうには、通常のリマーケティング(Yahoo!プロモーション広告はリターゲティング)に頼り切る傾向が強かったと言えます。そして、それはこれまでも有効に働いてきました。リマーケティングは一度設定してまえばその後の運用が非常に楽ですから、運用者にとっても良いことですよね。ただ、これだけリマーケティングが巷に溢れている昨今では、リマーケティング以外のコンテンツ向け広告を発見することのほうが難しくなっています。こうなると、私たちの目に見えない一定層のユーザーには通常のリマーケティングは無視されている可能性も否めません。
こういった敏感なユーザーを再度呼び戻すには、通常のリマーケティングのクリエイティブを頻繁に変更したり、入札を強化したりなど、さまざまな対策がありますが、それでも呼び戻せないユーザーも少なからずいるはずです。こういったユーザーに再度検索連動型広告でアプローチするにも、どういった検索キーワードで再流入するのか?を見極めるのは非常に難しい(※注1)傾向があります。
(※注1)
Google アナリティクスのマルチチャネルなどをよく見ている方はお気づきかもしれませんが、検索で再訪するユーザーの検索キーワードの傾向は初回とその大分あとで比較しても、非常に似通っている場合が多いです。「リスティング広告の運用代行先を探している」という方は何度も「リスティング広告 運用代行」といったキーワードで流入しますし、多少バリエーションが効いたとしても「リスティング広告 代理店」など、親しいキーワードで収まることが多いです。
動的検索広告と検索広告向けリマーケティングを合わせて使った、これからのランディングページ離脱後からのアプローチ
上記の問題は動的検索広告と検索広告向けリマーケティングを合わせて利用してある程度解決することが出来ます。「動的検索広告×検索広告向けリマーケティング」を利用することで、リスティング広告の専門用語や機能、悩みなど、Googleが自動で収集したインデックスデータをトリガーにして検索広告向けリマーケティングを発動することができれば、競合他社の設定していないようなクリック単価の安いキーワードなどでサイトへ再誘導することができるようになります。
普通のユーザーが検索をする専門用語や機能、悩みのフレーズなどはwikiなどの情報を求めているような所謂インフォメーショナルクエリ(※注2)で有るため、通常はこういったキーワード単体への入札はコンバージョンから決して近いとは言えませんよね。その為、直接的な入札は控えられがちではありますが、一度サイトを訪問しているユーザーがインフォメーショナルクエリを投げかけている、となれば、そのインフォメーショナルクエリの価値は通常のインフォメーショナルクエリの価値とは全く異なってくるはずです。
ただし、こういったインフォメーショナルクエリを網羅的に取りこぼしなく検索広告向けリマーケティングのみで人的に拾っていくのは施策者のレベルに依存する事になり、標準化するのは非常に難しいのが現状であるため、こういった部分を動的検索広告と検索広告向けリマーケティングを合わせて利用することで、これらをある程度自動化しながら効果的に発動することが出来るようになります。
今回ご紹介したこの機能(動的検索広告×検索広告向けリマーケティング)はさまざまな商品を持つビジネスや、拠点が複数あるビジネス、店舗を多く抱えるビジネスにはとびきり有効に働きます。
(※注2)
インフォメーショナルクエリとは、疑問や悩みを解決するための情報を得るために投げかけられる検索語句のことを指します。
動的検索広告でリスト作成も安く、素早く
「リストが少なすぎてリマーケティングや検索広告向けリマーケティングがうまく発動しない」
といった話も頻繁に聞きます。これらの解決策はそんなに難しくなくて、リストを増やせばいいのです。リストとは原則的に一度サイトに訪問したユーザーが対象となるわけですから、そのユーザーを安く増やすことができればいい。こういった時こそ、動的検索広告を利用すると便利です。
動的検索広告を利用することで安くリスト作成を行い、更に一度サイトを訪れたユーザーに対して動的検索広告と検索広告向けリマーケティングを合わせて発動させる。これにより、モチベーションの高いユーザーにより多く再訪してもらうことが可能になります。
テクノロジーに逆らうのではなく、テクノロジーに寄り添う、共存する
こういった小難しいテクノロジーの話をすると担当者レベルでは懸念を示す方もいるでしょう。ただここで大事なのは、自身での管理が難しい部分を、一部テクノロジーに委託するといった姿勢です。テクノロジーは確かに近い将来あなたのビジネスを奪う敵になる可能性が高いです。いえ、確実に奪い去ると言っても過言ではないでしょう。ただ、だからといってテクノロジーを敵視するのは大きな間違いです。
現時点ではテクノロジーに逆らうのではなく、テクノロジーに寄り添う、共存する姿勢こそが、クライアントに最高のリスティング広告ソリューションを届けることが出来る、唯一無二の方法と言えるでしょう。
リスティング広告コストはトータルマーケティングコストで評価する
動的検索広告+(動的検索広告×検索広告向けリマーケティング)により、安いクリック単価でリマーケティングリストを作成することができ、さまざまな形で再訪を促すことが可能になります。これらを適切に評価するには1つの機能単体でコストを図るのではなく、トータルマーケティングコストで評価することが不可欠であることを忘れてはいけません。
え?キャンペーン単位や広告グループ単位、キーワード単位で顧客獲得単価を評価しているですって?そういったルールベースを組んでいるから仕方ない???もうそんな時代ではないことには気づかなければいけませんね。