SNSで動画を視聴するのがあたりまえになり、動画広告に取り組む方も増えたのではないでしょうか?しかしながらいざ制作しようとすると、何から始めたらいいかわからない……という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、UGC風の縦型動画やブランディング目的のハイクオリティな動画でも使える、動画広告制作の流れを徹底解説します。自分で作る場合と外注する場合の両方を想定しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
STEP1:制作に必要な情報を整理する
まずは下記のステップに分けて、制作に必要な情報を整理していきます。
STEP1-1:動画広告を配信する目的を明確にする
STEP1-2:ターゲットや広告の訴求軸を固める
STEP1-3:配信媒体や広告の種類を決める
STEP1-4:スケジュールと見積もりを算出する
1-1. 動画広告を配信する目的を明確にする
先ほど、動画広告市場は盛り上がっているという話をしましたが、単にトレンドだからという理由で配信すると「工数や費用をかけたのに十分なインパクトが見込めなかった…」という結果になりかねません。
はじめに動画広告の特徴を理解し、配信の目的を明確にしておきましょう。
動画広告のメリットとしては、主に以下が挙げられます。
- テキストや静止画より多くの情報を伝えやすい
- インパクトが出せて印象に残りやすい
- 多彩なターゲティングができる
- 視聴回数や視聴率、視聴単価など詳細な効果測定や分析ができる
動画広告のメリットや特徴については、以下の記事にまとめているので、制作に入る前に一度読んでおくことをおすすめします。
1-2. ターゲットや広告の訴求軸を固める
自社・顧客・競合分析(いわゆる3C分析)をすると、訴求すべき強みやどんな人に向けて広告を配信するべきかが見えてきます。
- 自社(Company):どんな強みをもっている?
- 顧客・市場(Customer):ユーザーが解決したいことは?
- 競合(Competittor):競合のポジション、戦略は?
顧客・市場の定量的なデータや口コミなどを参考にしながら、ターゲットを明確にしましょう。
自社/競合分析はこのように1つのシートにまとめることで、強みや弱みが明確になります。
あまり分析をせずに価格訴求ばかりしていたら、実は競合商品に比べて値段が高かったため全然ユーザーが反応してくれなかった……ということも起こりかねません。
訴求軸はターゲットにとって有益な情報や、他社商材と比較したときの独自性や優位性などを打ち出せると良いでしょう。
1-3. 配信媒体や広告の種類を決める
動画広告と一口に言っても、配信面はInstagramやYouTube、TikTokなどさまざまで、フォーマットも多岐にわたります。
媒体は、以下のようなポイントを踏まえて選定しましょう。
- 媒体のユーザー数から優先度を把握
- 商材に合ったユーザーにリーチできるか
- どの配信面に表示されるか
- 商材に合ったクリエイティブの表示フォーマットか
- 競合他社がやっているか
フォーマットによって動画広告の制作の仕方も変わってくるため、事前に入稿規定や審査ガイドライン、どんな表現が好まれるかを確認しておくことが大切です。
媒体の選び方についてはこちらの記事が参考になります。
1-4. スケジュールと見積もりを算出する
動画制作の要件が固まったら、スケジュールと見積もりを出していきます。
スケジュールを決める前にまずは各作業の担当者を整理しておきましょう。複数人が携わるプロジェクトをスムーズに進める上で「誰が何を担当するのか」「誰が責任者なのか」を明確にしておくことは重要です。
<担当者と作業工数の例>
構成:ディレクター(社内) 約5営業日
絵コンテ:Webデザイナー(外注) 約5営業日
撮影・レタッチ:カメラマン(外注) 約10営業日
動画編集:Webデザイナー(外注) 約10営業日
納期:○月○日
動画の秒数や求めるクオリティによって、作業工数や外注すべきかどうかは大きく変化します。
社内に知見があったり、UGC風の縦型動画を制作する場合は、すべて自社で対応することも可能です。リソースが足りなかったり、高クオリティの動画を求めている場合は、外注を検討しましょう。
もし作業工数の見積もりやどこまで外注するか判断がつかない場合は、一度制作会社にその旨を相談してみるのも良いと思います。
制作費の見積もりやスケジュールを固めて、関係者から合意を得られたら、制作・発注を進めていきます。
STEP2:動画の構成を考える
動画制作に必要な情報を整理したら、次は動画の構成を考えていきます。
2-1. フレームワークを活用する
動画の構成を1から考えるのはハードルが高いですよね。私も実際に使っている、基本のフレームワークを3つ紹介します。
私は、長尺でしっかりと商品の特徴を説明する必要がある場合は、ABCDかCAMSをベースに考えることが多いです。その中で、ブランド認知はABCD、購買へ繋げたい場合はCAMSと使い分けています。
TikTokのような短尺動画やスキップ可能な配信面の場合は、冒頭のインパクトがより重要となるため、AIBACを基準に考えます。
フレームワークについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
どのような動画を作るにしても、最低限以下を意識して制作することができると良いでしょう。
- 開始数秒で視聴者を惹きつける要素を取り入れる
- 起承転結を意識し、飽きさせない構成
- 最終的に商品の購入や検索など、具体的な行動喚起をする
2-2. 動画制作に必要な情報をまとめ、関係者に共有する
絵コンテ制作に入る前に、今まで収集した情報や構成案を整理しておきましょう。
現時点で決まっている情報を1つのファイルにまとめ、関係者に共有して方向性を確認しておくと、その後の絵コンテの修正も少なくなります。
また、動画の撮影や編集を外部に依頼する場合も、このファイルを共有すれば概要がすぐに把握できるので便利です。
2-3. 絵コンテを作成する
絵コンテとは、動画全体の流れをまとめた設計図のことです。動画のイメージを絵コンテで細部まで鮮明に伝えることで、スムーズに進行できます。
絵コンテは、以下の項目に沿って作成すると良いでしょう。
- シーンの順番(No.)
- 映像 / キャプションの説明
- テキスト
- 音声
- イメージ
- 演出
- 秒数
媒体によっては動画の秒数に規定があります。セリフ・ナレーションを自分で読み上げて、実際に話し切るのにどのくらいの秒数がかかるか、確認した上で原稿を見直しましょう。
絵コンテ作成の詳しい方法は、こちらの記事で紹介しています。
STEP3:動画を撮影・編集する
関係者ですり合わせて納得のいく絵コンテが完成したら、いよいよ動画の撮影・編集です。
3-1. 動画に必要な素材を用意する
映像や写真など、動画に必要な素材を用意しましょう。
素材サイトを活用すると、自分で撮影する時間や費用を抑えることができます。まずは、素材サイトにイメージしている映像・写真がないか、探してみるのがおすすめです。
イメージ通りの素材がなかったり、商品・社員を登場させる場合は、撮影が必要になります。
SNS広告の場合、UGC風の動画の方が広告だと意識せず自然に見てもらいやすい傾向があるため、スマートフォンで撮影するのも良いでしょう。ご自身で撮影をされる場合は、以下の記事に撮影のポイントをまとめているので、参考にしてみてください。
カメラマンや出演者など複数人の協力が必要な場合は、しっかりと事前準備をしてディレクションするのが重要です。ディレクターが確認しておきたい情報や当日の流れはこちらの記事で詳しく解説しています。
3-2. 動画編集
素材が用意できたら、不要なシーンをカットしたり、テキストやBGMを入れて動画を編集していきます。
UGC風の動画の場合はスマホアプリで簡単に編集できるので、以下の記事を参考に、ぜひチャレンジしてみてください。
PCで編集する場合はCanvaやLetro Studioも使い勝手がよく、私も使用しています。おすすめの編集ソフトは、以下の記事にまとめてありますので、参考にしてみてください。
また、自分で動画を制作してみると、意外と忘れがちなのが、BGM・効果音・ナレーションです。
TikTokやYouTubeなどの動画プラットフォームは、音声ありで視聴しているユーザーが多いため、映像に合わせたBGMやナレーションを追加することで、よりユーザーの興味を引くことができます。効果的な取り入れ方は、以下の記事で紹介しています。
一方、動画編集を外部へ委託する場合は、以下のような情報を共有しておくと、スムーズに進行できるでしょう。
- ターゲットや構成をまとめたファイル
- 絵コンテ
- 動画のファイルサイズ
- アスペクト比
- 再生時間
- 素材の提供(自社で用意する場合)
- 希望納期
STEP4: 動画の最終確認
自分で作成、または外部に制作依頼をして完成した動画の最終確認をします。
確認するポイントは、以下の通りです。
- ユーザー目線で、わかりやすい内容になっているか
- 実際の配信面で見た時、文字の大きさなど、視認性が担保されているか
- ナレーションはしっかり聞こえるか
- テンポや間の取り方に違和感がないか
- 誤字・脱字・不適切な表現はないか
最低限これらのポイントをクリアしていないと、せっかく時間や費用をかけて作ったのに、成果が全然でなかった……という事態になりかねません。何度も見ていると目が慣れて、ミスや違和感に気づかないことがあるため、必ず複数人でチェックしましょう。
まとめ
動画制作は静止画よりも複雑な表現ができる分、さまざまな知識を必要とします。一人で考え込まず、デザイナーやカメラマンなどプロの助けを借りながら、より良い動画広告を作っていきましょう。
また、「動画を制作したら配信して完了!」ではなく、配信結果から次の施策に繋げていくことがクリエイティブの質を高める秘訣です。広告クリエイティブのPCDAを回して、広告の質や表現力をどんどん高めていきましょう。