動画広告は構成が7割、覚えておきたい基本のフレームワーク3選

動画広告は構成が7割、覚えておきたい基本のフレームワーク3選
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動画広告やYouTubeなどの動画媒体が注目される今、動画制作に取り組む方は増えてきていますよね。テキストや画像、バナーといったフォーマットは比較的作成のイメージがつきやすいと思いますが、動画だと何から手をつけていいか分からないという声をよく聞きます。

また、動画広告制作と聞くと、動画撮影や編集といったイメージが強く、一層制作のハードルが上がるように思いがちですが、実際の動画広告制作では、その前段階の構成の部分が最も成果を左右するポイントであり重要です。

今回は動画構成に悩んでいる方はぜひ見ていただきたい、成果への近道となる3つのフレームワークを紹介していきます。コンバージョンの獲得を目的として動画広告を利用しているけれど、成果につながらないという方も、構成を見直すのに活用できるのでぜひご覧ください。



ABCD

「ABCD フレームワーク」とは、Googleが推奨する動画のフレームワークのことで、効果的な動画クリエイティブを作るために必要な要素をまとめたものです。

ATTRACT(ひきつける)、BRAND(ブランド)C:CONNECT(つながる)D:DIRECT(誘導する)との頭文字をとってABCDフレームワークと呼ばれています。まずはこれら4つの要素を1要素ずつ解説していきます。

ATTRACTBRANDCONNECTDIRECT
ひきつけるブランドつながる誘導する

ATTRACT

「A」はATTRACT(惹きつける)のことで視聴者の興味関心を動画広告に惹きつけるということを指しています。Attractの重要な要素は以下の3つです。

要素説明
構図商品や人物などの被写体をアップで使用する
ペース冒頭5秒間に2つ以上のシーンを入れる
人物冒頭に人物を映す、可能であれば人物から視聴者に語りかけるシーンにする

視聴者の興味を動画冒頭でを惹くにあたって短い時間で映像を切り替えたり人物がアップで映すなどインパクトを残し視聴を続けてもらうことを意識して考えてみましょう。

BRAND

「B」はBRAND(ブランド)のことで視聴者にブランドを認知してもらうことを指します。

BRANDの重要な項目は以下の3つになります。

要素説明
紹介冒頭5秒間で商品やブランドを紹介する
強調各企業のマーケティング目標に効果的なロゴ表示をする
位置YouTubeの表示のされ方を意識しロゴは中央から左に表示する。

Attractで視聴者の興味を惹いた次のシーンでは宣伝したいサービスや商品、ブランドロゴを
アピールします。YouTube広告ではスキップできるようになるまでの冒頭5秒間が重要なため、この5秒間の間にATTRACT+BRAND まで入れ込む構成を意識して作って見ると良いでしょう。

CONNECT

次に「C」は「CONNECT(つながる)」を指し、ブランドが持つストーリーと視聴者を結びつけることをいいます。 CONNECT」の重要な項目は以下の2つです。

要素説明
惹きつける視聴者の感情に訴える手法を活用する
関連付ける動画の冒頭に人物を登場させることで視聴者と感情的なつながりがもてるので人物はストーリーの中心に置く。


CONNECTでは視聴者の感情に訴えかけるために動画やエフェクト、BGM、SEなどを用いてストーリーを伝える工夫を加えてみましょう。

DIRECT

最後の「D」は「DIRECT(誘導する)」を指し、視聴者に望むアクションを明確に提示することをいいます。

 「DIRECT」の重要な項目は以下の3つです。

要素説明
提示するアニメーションやナレーション、テキストカードなどを使い行動を促すフレーズを示す
動機付ける「期間限定」「数量限定」といったフレーズでお得感や切迫感を与える
行動を促す具体的な行動を促すフレーズ「詳細はWebで」「購入はこちら」などを使用し行動喚起する


いくら視聴者に興味をもってもらえても、コンバージョンを促す目的に動画広告を用いるのであればその先の購入やサービス登録など行動を起こしてもらう必要があります。

その際に必要な要素がDirectで動画広告の最後に「今すぐ購入する」、「期間限定」などのコールトゥアクションと呼ばれるフレーズをつけ、視聴者に対してアクションを起こしやすい導線作りを行います。

Googleの公式の見解では「DIRECT」の要素を含まない動画が多く改善の余地となると発表しており重要な要素となるので構成を考える際にはマストで押さえておきたい要素となります。

以下のGoogleによる記事内にはABCDフレームワークに沿って制作された動画も紹介されていますので、ぜひご覧になってみてください。

参考:コンバージョンを促す動画広告に必要な「ABCD フレームワーク」で TrueView アクション広告を分析する - Think with Google

CAMS

画像引用元:動画の企画は、まずフレームワーク「CAMS」で構成する


『動画広告"打ち手"大全 最強の戦略74』では動画の構成において、次に紹介する「CAMS」というフレームワークが発表されています。

参考:動画広告"打ち手"大全 最強の戦略74

CAMSとは、CATCH(つかみ)、APPEAL(ベネフィットの紹介)、MOTIVATE(動機付け)、SUGGEST(行動の提案)の頭文字をとったフレームワークで視聴者から期待する行動を引き出しやすく、評価と改善が進めやすいという特徴があります。

人がサービスやものを発見してから行動に移るまでの心理に重なっており、動画作りにも応用することができます。4つの要素をそれぞれ解説していきます。

CATCHAPPEALMOTIVATESUGGEST
つかみベネフィットの紹介動機付け行動の提案

CATCH

「C」はCATCH(動画冒頭のつかみ)で視聴者の心をつかみ、視聴の期待を高めることを指しており、動画の冒頭3秒までの1シーンで視聴者の心をつかみ、視聴を続ける気持ちにさせるための役割があります。

動画冒頭で「この商品はこんな風に役立ちます」といきなり商品の便益となる部分を伝えるのではなく、まずは自分ごと化できるような悩みや課題に対してメッセージを伝え、それ以降の動画の視聴に続いてもらいます。

経費精算のクラウドシステムサービスを例にして説明します。

「この経費精算システムでは交通費、出張旅費、交際費精算など経費に関わる全ての処理をまとめて効率化できるクラウド型の経費精算システムです。」

冒頭にいきなり製品の紹介がはじまっていては商品の興味を持ってもらうきっかけとしてはやや弱いのではないでしょうか。YouTubeなど興味のある動画を視聴しようと思ってサービスを利用しているユーザーにとってはなおさらです。

「手入力の工数やミスが多い…」「ミスの指摘や差し戻し時のやりとりがストレス…」

視聴者の悩みや課題に対して訴え興味を持ってもらうには、このように共感を得られるようなメッセージを伝えることが有効です。

APPEAL

「A」はAPPEALのことでブランドのロゴや商品、サービスなど、企業のことがわかる要素を示し商品の便益を紹介していきます。APPEALはCATCHと連動していて、CATCH部分で伝えた悩みや課題に対するアンサーをAPPEALでは示してあげます。


また、APPEAL部分では動画内で伝えたいメッセージを2〜4シーンほどを目安としてまとめます。複数シーンを織り交ぜて伝えることで視覚的にも視聴を続けたくなるような設計を意識して構成を組むと良いでしょう。

また、YouTube広告のTrueViewインストリーム広告などのスキップ可能な広告では、スキップ可能になるまでの5秒の間に、CATCH+APPEALのシーンを少なくとも1シーンは入れ、スキップされてしまった場合でも誰が、何をアピールしているかわかるように、5秒以内にブランドに関する要素を示しておきたいです。

誰が、何を紹介している動画なのかがわかるようにすることが動画設計をする上で覚えておきたいポイントとなります。

MOTIVATE

「M」MOTIVATEでは視聴者の不安や疑問を解消するための補足となる情報を伝え、購入や登録などの行動に対する動機付けを行います。

具体的にお客様の実際の声であったり販売実績データ、商品の詳細や価格などに関する情報、新発売、期間限定などの情報等が該当します。自分の悩みや課題に対してこの商品、サービスはどのように役に立つのかを補足としてMOTIVATEでは伝えることができれば良いため、内容を詰め込みすぎず必要な要素に絞って1〜3カットで伝えることが推奨です。

SUGGEST

「S」SUGGESTは、視聴者に対して期待する購入やサービスの登録などのアクションを視聴者に提案することです。SUGGESTで重要なのはどうやって行動ができてどういった結果が得られるのかを具体的に提示することです。
サービスに関するホワイトペーパーのDLを促したい場合、「まずは資料をDL」と伝えるよりも「無料登録で資料を無料DL」と伝える方がより具体的なためその後の行動に期待できます。

CAMSが活用されている場面

CAMSのフレームワークは、皆さん一度は見たことがある通販番組でも利用されています。通販番組の販促のVTRや、商品を実際にその場で試すシーンで使われており例として以下のような流れとなります。


CATCH「最近家の包丁が切れ味が悪くなったなぁ、ふと感じても放置してはいませんか?」
APPEAL「そんなときにおすすめなのがこの万能包丁です。」
MOTIVATE「包丁の切れ味を実演」
SUGGEST「今なら超特価の〇円!購入はこの電話番号から」


通販番組の流れを見ると、視聴者に対して行動を促す場合にCAMSのフレームワークが有効であることがわかります。

AIBAC

画像引用元:動画広告の制作ノウハウや知識がなくても、簡単に最適なクリエイティブ制作が可能な新しいフレームワーク『AIBAC(アイバック)』を公開|株式会社リチカのプレスリリース


動画広告自動生成ツール「RICHKA」を展開する株式会社リチカは100,000本以上の動画広告制作実績のノウハウを基に、動画広告の制作に必要な要素をまとめた新しいフレームワーク『AIBAC』を開発、提唱しています。早速どのようなものか見ていきましょう。

『AIBAC』の名称は、以下4つの要素の頭文字からできています。

要素説明
Attention開始2秒で視聴者への「注意喚起」
Interest商品や特徴を端的に伝えるための「興味関心」
Benefit商品の訴求を欲求レベルで伝える「利益」
Action次の行動に誘導させるための「行動喚起」

また、『AIBAC』の各4つの項目における具体的なポイントを100個以上まとめた「AIBACディクショナリー」もあわせて一部一般公開されています。

Attentionのポイント例: 対象のターゲットを明示する」:「第二新卒集まれ!」
Actionのポイント例:定量的な数値を含めて示す:「30秒でかんたん登録!」



各項目ごとに有効なメッセージや訴求内容が具体的にまとめられており動画制作の際のヒントとして役立つでしょう。

どのフレームワークをどのように選ぶべきか

ここまで3つのフレームワークを紹介してきました。どのフレームワークも活用できたらとても有用なものになると思いますがどのような基準で選べば良いのでしょうか?

ABCD

Googleの推奨するコンバージョン獲得向け動画フレームワークであり、

活用場面は視聴者に対して行動を促しコンバージョンを獲得できるYouTube広告メニューの一つ、TrueViewアクション広告での活用がベターです。動画の要素でPDCAを回して費用対効果を改善していくには、まずABCDフレームワークを活用してみましょう。

CAMS

CAMSもABCDフレームワークと同様にTrueViewアクション広告で有効です。

CATCHを省略した「AMS」、さらにMOTIVATEも省略し、メインの訴求であるAPPEALと行動を促すSUGESTの構成にする「AS」といったようにを応用することもできるので尺の短いアウトストリーム広告などでも汎用性を持って活用できます。

AIBAC

AIBACフレームワークはフィード面や縦長表示される面において短い秒数で最大限サービスや商品を訴求できる点に特化している点でSNS広告の制作に対して活用するのがオススメです。

フレームワーク活用場面
ABCDYouTube広告(コンバージョン獲得向けのTrueView広告)
CAMSYouTube広告(コンバージョン獲得向けのTrueView広告)、アウトストリーム広告
AIBACSNS広告(フィード広告や縦画面広告)

動画広告のPDCAの回し方

動画広告には詰め込める要素が多く効果検証も静止画のバナーと比べるとより複雑になります。


またユーザーにすぐ飽きられてしまうなど、クリエイティブの消耗も早く、早いスピード感で新たな広告を生み出し続けていく必要があります。しかし、それでは制作費がどんどんかかり、費用対効果が下がってしまいます。少ない工数、費用で成果の高いクリエイティブを生み出していくためにはどうすればいいのでしょうか?

成果に合わせて作り直しが可能な設計にする

視聴者にとって共感、興味を持ってもらえる動画を目指しフレームワークを抑えた上で、ターゲットや悩み、フレームワークの要素を分解して考えていくと良いでしょう。それぞれの要素を整理しておくことで、動画のパターンも考えやすく次にどのパターンを作るのか仮説検証もしやすくなります。

先ほど紹介したCAMSフレームワークを使って実際に要素ごとを分解した仮想のシートを作ってみましたのでこちらを元に解説します。

商品:30代女性向け美容液を想定
<
Noターゲット悩みCATCH
つかみ
APPEAL
ベネフィットの紹介
MOTIVATE
動機付け
SUGGEST
行動の提案
130代女性乾燥小じわが目立たないなめらか肌に厳選された成分が角質層まで浸透酵母を発酵させた天然由来成分詳細を見る
230代女性乾燥肌がうるつや肌に厳選された成分が角質層まで浸透酵母を発酵させた天然由来成分詳細をみる

まずはCATCHの部分のみ変えた動画を2本制作し配信テストを行います。

Noターゲット悩みCATCH
つかみ
APPEAL
ベネフィットの紹介
MOTIVATE
動機付け
SUGGEST
行動の提案
330代女性乾燥肌がうるつや肌に厳選された成分が角質層まで浸透酵母を発酵させた天然由来成分初回限定◯円で購入する
430代女性乾燥弾むようなハリのある肌に厳選された成分が角質層まで浸透酵母を発酵させた天然由来成分初回限定◯円で購入する

配信結果で2の「肌がうるつや肌に」のCATCHの動画の成果が優勢なものの、サイトへの遷移率が低い結果となったため、次にSUGGESTのメッセージをより具体的で行動を起こしやすい内容に動画内容を変更してテストします。併せて、CATCHのテキストも新たなものを追加してテストを進めていきます。

Noターゲット悩みCATCH
つかみ
APPEAL
ベネフィットの紹介
MOTIVATE
動機付け
SUGGEST
行動の提案
530代女性乾燥弾むようなハリのある肌にしっかりと潤いを与えて肌の悩みにアプローチ酵母を発酵させた天然由来成分初回限定◯円で購入する
630代女性乾燥弾むようなハリのある肌にしっかりと潤いを与えて肌の悩みにアプローチお客様の声初回限定◯円で購入する

SUGGESTは「初回限定◯円で購入する」、CATCHは「弾むようなハリのある肌に」の4のパターンの動画の成果がよかった結果が出たので、次にBENEFITとMOTIVATEの要素を検証するためテストを行っていきます。

このようにフレームワークの要素を分解してテストを行っていくことで検証したい要素を見失わず、仮説も立てやすく動画広告の成果を改善を進めていくことができます。


動画広告の成果が出なかったからまた一から作り直す、配信を止めるなどの決定を行う前にまず動画のどの部分がよくなかったのか、どうすれば良くなるのかを要素を分解し検証していくことが重要となります。

まとめ

今回は動画の3つのフレームワークを紹介しました。動画広告の構成は成果を最も左右する重要な要素であり最も時間がかかる部分でもあります。

構成を1から考えることは難しいですが、今回紹介したフレームワークに沿って考えることでスピード感を持って成果を出していくことができる手段になるでしょう。動画の構成作りで悩んでいる方はぜひ効果検証の方法とセットで活用してみてはいかがでしょうか。

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