スマホのカメラ機能が進化したことで、ビジネスシーンでもSNSの投稿や広告クリエイティブなど、手軽にスマホで撮影をすることが増えてきました。
写真は普段から撮る機会も多いですが、動画となると「ただ何となく撮っている」という方も多いのではないでしょうか。趣味程度ならそれで充分ですが、ビジネスで使う動画となると、よりクオリティの高い映像を撮影する必要があります。
そこで今回は、スマホで上手に動画撮影をするための事前準備と、撮影テクニックについて紹介していきたいと思います。
目次
撮影前に確認しておきたいスマホの設定
まずは撮影前に、スマホの設定確認から行いましょう。
※Android・iPhoneどちらでも設定できる内容ですが、機種によっては設定できないことがあります。
1.解像度
ほとんどの場合、HDか4Kのどちらかが選択できるようになっています。解像度が高いほど高画質で、きめ細かく映し出します。
ただ、高解像度で撮影するとその分ファイルサイズも大きくなるため、スマホの空き容量がいっぱいで保存できない……ということも起こりかねません。動画視聴者が4Kで見ることが多い想定でなければ、基本的には容量も抑えつつ画質も綺麗なHDで充分でしょう。
2.フレームレート
フレームレートは1秒あたりに表示する画像数のことです。ほとんどのスマホでは、30fps(1秒間に表示される画像数が30枚)もしくは60fps(1秒間に表示される画像数が60枚)のどちらかを選択します。
フレームレートが高いほど、滑らかな動きを撮影することができますが、ファイルサイズが大きくなるため、基本は30fpsの設定で撮影することをオススメします。テレビや映画などのような高いクオリティを求める映像を撮影したい場合は、60fpsと4Kの解像度をセットで設定すると良いでしょう。
3.グリッド表示
撮影する被写体(撮影する対象物)をよりバランスよく配置するために、画面上に縦横2本の線(グリッド線)を表示させることができます。撮影時の構図を考えるときのガイドラインとして活用しましょう。
4.撮影モード
スマホには、様々な撮影モードがあります。写真の場合ポートレートやパノラマなどがありますが、動画用には以下のようなモードが用意されています。
- スローモーションモード:動きの速い被写体を撮影する時に、撮影した映像をスローモーション再生できます。
- タイムラプス:1枚ずつ撮影された写真をつなげて、コマ送り動画にできます。
撮影する場面に合わせて、適切な撮影モードを選択しましょう。
編集で困らないよう撮影時に最低限気をつけるポイント
何も考えずに撮影すると、その後の編集で苦労することがあります。
背景に余計なものが映り込んでいたり、映像が足りなかった場合などは再撮影が必要になる可能性もあるため、以下の4つのポイントを事前に確認しておきましょう。
背景に余計なものを入れない
撮影する被写体の背景には、余計なものが映り込まないように注意しましょう。
外で撮影する時に人や車、建物の看板などが映り込むと、被写体に視線が集まりにくくなってしまいます。被写体を際立たせるために、単色の背景を用意するなど準備を整えてから撮影するのがオススメです。
ワンカットの長さ
スマホで動画を撮影する際、ワンカットの長さも重要なポイントです。ワンカットとは、一つのシーンを連続して撮影したものを指します。
近年SNSや動画共有サイトでは、短いカットで強い印象を与える動画の方がよりシェアされる傾向にあります。同じシーンが続くと視聴者が飽きてしまうため、情報はギュっと凝縮してなるべく短いカットで撮影することが望ましいです。編集することも考慮して、ワンカットは10秒から30秒程度で撮影すると良いでしょう。
周囲の明るさ
撮影場所の明るさは、動画のクオリティに大きく影響します。
明るい場所では、被写体がはっきりと見えることで鮮明な動画が撮影できます。暗い場所で撮影すると、画像にノイズが出たり、被写体が見えづらくなることがあります。暗い場所であれば必要に応じて照明を使うなど、被写体を明るく照らして撮影しましょう。
雑音や風の音
周囲の雑音や風の音は、動画のクオリティを下げる原因となります。特に屋外での撮影では、風がスマホのマイク部分に当たることでノイズが入ってしまうことがあります。
周囲の雑音や風の音を軽減するために、撮影場所選びを入念に行い、風防のついたマイクを用意するなど、対策をしましょう。
スマホの持ち方
手ブレ補正機能がついているスマホもありますが、完璧にブレをなくしてくれるとは限りません。なめらかな動画を撮るためには、スマホの持ち方も大切なポイントです。
スマホを片手で持ってしまうと手ぶれが起こりやすく、画質が悪くなる可能性があります。そのため、両手でしっかりと持ち、腕を軽く曲げた状態で脇を閉め、身体を固定することでスマホを安定させて手ぶれを抑えることができます。
プロっぽい動画を撮影するテクニック
ここまで紹介した基本がわかっていても、いざスマホのカメラを構えるとどのように撮影すれば良いのか迷ってしまいますよね。そこで、プロっぽい動画にするために簡単にできる撮影テクニックを紹介します。
寄りと引き
まず押さえておきたいのは「寄り」と「引き」のテクニックです。
寄り
引き
被写体を近づけたり遠ざけたりすることで、印象を変えることができます。
- 寄り:被写体に近づいて撮影することで、被写体の詳細な表情や感情を捉えることができる
- 引き:被写体から遠ざかって撮影することで、被写体が置かれている環境や全体像を表現することができる
「寄り」と「引き」を組み合わせると、緩急のある動画になります。被写体を「寄り」で撮影してから「引き」で周囲の風景を映し出すことで、被写体と周囲の関係性を表現することも可能です。
たとえば洋服の紹介動画であれば、服を寄りで撮って素材感を伝え、そのあとに引きで全身を撮影することで着た時の様子やどんなシーンで着るのかを、視聴者にイメージしてもらうことできます。
説明的なシーンは中間の距離で撮影
説明的なシーンを撮影する場合は、中間の距離で撮影するとわかりやすいです。
商品を紹介する動画を作る場合、商品の距離が近すぎると実際より大きく見えてしまい、遠すぎると商品が小さく見えてしまいます。周りのものも一緒に映すことで、実際の大きさがイメージしやすくなります。
アングル変更
アングルとは、カメラの角度のことです。アングルを変えることで、被写体の印象が大きく変化します。
目線より高い角度から撮影すると、空間を広く見せることができます。一方、目線より低い角度から撮影すると、被写体が大きく見えるので迫力のあるシーンを演出することが可能です。
1つのものを同じアングルで撮り続けると、間延びした動画になりがちです。さまざまなアングルで撮影することで飽きを防ぎ、視聴者に新たな発見を与えられるようにしましょう。
動かないものはカメラが動いて撮影
動かないものを撮影する場合、カメラを動かすことで、面白みのある映像を撮影することができます。木々や建物など、動かない被写体を背景に、カメラを上下左右に動かすことで、空間や奥行きを表現することができます。
横に広いものを撮影する場合は、左右に動かして撮影することで、被写体全体を映し出すことができます。行列や電車など横に長いものを撮影するときに取り入れたい手法です。
高さのあるものを撮影するとき、上下にカメラを動かすと被写体全体を映し出すことができます。高い建物や木々を撮影するときなど、高さを表現したいときに試してみると良いでしょう。
動くものはカメラ固定で撮影して自然な印象に
動くものを撮影する時にカメラも一緒に動かしすぎると、映像が不安定でどこか素人っぽさの抜けない映像となります。代わりに、被写体が動いている中で、カメラを固定して撮影することで、より自然な印象の映像を撮影することができます。スマホ用の三脚があると便利です。
まとめ
SNSや広告で使う動画は、短い時間で惹きつけることが重要です。伝えたい情報を一瞬で理解してもらうためには、画質の悪さや手ブレなどノイズになってしまうことは極力避けたいですよね。
基本を押さえた上で、ぜひアングルなども意識して雰囲気のある動画に仕上げていただければと思います。
上達するには、実際に手を動かして動画撮影してみるのが一番の近道です。今回説明した撮影テクニックを意識しながら、動画撮影に臨んでみましょう。