【15選】運用型広告、2020年の主要アップデートまとめ

【15選】運用型広告、2020年の主要アップデートまとめ

毎年気づくことなのですが、運用型広告における「1年間」という単位はかなり出来事の多いものですよね。この期間内にどのような新機能が出たのか、どこの仕様がどう変わったかなど完全に把握することも、変更と進歩のスピードについていくるのも相当大変なのは間違いないでしょう。

2020年も残りわずかということで、数ある広告媒体のアップデートを振り返るのにちょうど良い時期です。全部網羅するのはもちろん難しいのですが、2020年で特に重要だったと思われるアップデートを15選まとめさせていただきました。

全体的なアップデート

iOS 14による運用型広告の広告配信やトラッキングに対する影響

iOS 14による運用型広告の広告配信やトラッキングに対する影響まとめ

2020年のアップデートの中で広告運用者にとってもっともインパクトが大きかったのは恐らく、9月にリリースされたiOS 14によるプライバシー保護機能の強化なのではないでしょうか。

AppleのITP(Intelligent Tracking Prevention)機能に加え、端末の広告識別子であるIDFA(Identifier For Advertising)の利用にユーザーの許可を今後必要とする機能の導入によって、ユーザーの個人のプライバシーが守れるようになった一方で、デジタル広告の効果測定やターゲティングに利用できるオーディエンスデータの取得がさらに厳しくなったアップデートです。

とにかく、ネット利用に関してとっくにモバイルファーストの世の中になっている上に、スマートフォン機種のシェアでiPhoneが6割近くも占める日本への影響は特に大きいアップデートだと思われます。従来の「クッキー」に基づいたトラッキングから離れざるを得ない時代と言えますので、広告媒体にとってプライバシー保護と正確な効果測定を技術でいかに両立できるかは今後も非常に重要な課題になります。

Google 広告のアップデート

2020年もGoogle広告に多くの新機能が登場しました。基本的には近年と同じ方向に進んでいると言えますが、自動化・機械学習を利用したプロダクトに重点が置かれている他に、広告の形式と掲載可能な場所を拡大している動向が見てとれます。

Googleに商品の無料掲載が可能に

Googleのショッピングタブを始め検索結果、画像検索など(いわゆるSurfaces across Google)への商品の無料掲載も2020年の比較的大きなニュースでした。このアップデートは米国を対象に4月にロールアウトされ、10月にようやくに日本のユーザーにも導入されました。

参考:List your products on Google Shopping for free – The Keyword

厳密には広告のアップデートではないのですが、元々ショッピングキャンペーンでしか出稿できなかった一部の掲載枠に今後無料のリスティングが掲載可能になっているため、広告運用者も広告とSurfaces across Googleの棲み分けを念頭に置いておくテーマの一つだと言えます。

また、ショッピング広告と商品の無料掲載とで、掲載できるのに満たすべきデータ要件が異なることがあるため、要注意です。

参考:Google に商品を無料で表示するためのデータ要件と資格要件 – Google Merchant Center ヘルプ

画像表示オプション(ベータ)が登場

2020年7月にGoogle広告に「画像表示オプション」をベータ版として一部の広告主に提供することが発表されました。こちらの新機能では検索広告の説明文の横に画像が表示されるようになります。

Google広告「画像表示オプション(ベータ版)」が広告表示オプションに追加へ

検索広告で従来の文字だけではなくユーザーに直接視覚的にアピールできる手段としては訴求の幅がかなり広がりそうなアップデートでした。

ちなみに(同じベータ版の)スワイプ可能な画像をベースにした検索広告フォーマットのギャラリー広告が、2019年に登場して早くも2020年8月に廃止となりました。こういう文脈もあってか、ギャラリー広告が本来担っていたであろう領域を今後画像表示オプションがカバーしていくのではないかと考えられます。

参考:Google to sunset Gallery ads beta, focus on Image Extensions

スマートショッピングの新しい機能「新規顧客の獲得目標」

7月にベータ版として展開されたこのアップデートにより、「新規顧客の獲得目標」を設定可能となり、より新規顧客を促進できるように調整可能となりました。

Google スマートショッピングキャンペーンで「新規顧客の獲得目標」を設定可能に

スマートショッピングは自動配信・自動最適化を前提にしたプロダクトのため、ターゲットとするユーザータイプの指定が困難でした。今回のアップデートで新規の見込み顧客に向けた施策をより正確に展開できるようになったため、痒い所に手が届くようなアップデートだったのではないでしょうか。

検索語句レポートの確認可能なデータが限定される

9月にGoogle広告の検索語句レポートから確認できるクエリーの範囲をプライバシー保護という理由で限定するアップデートがありました。このアップデート導入後は「多くのユーザー」によって検索される語句しかレポートに含まれなくなる仕様になりました。

参考:Google Ads to limit Search Terms reporting, citing privacy

減少した検索語句データ量はアカウントによってまちまちですが、国内外の情報を見れば約20%少なくなっていることが多い模様です。広告運用者からはデータの不透明化という目線で語られる一方、今後の広告運者の業務が変わっていくことを示すアップデートというふうにも捉えられます。

Googleの検索語句レポートのアップデートから垣間見える広告運用者の未来像

すべての Google 広告キャンペーンで、標準の広告配信が使われるように

2019年9月に先行して検索とショッピングキャンペーンおよび共有予算で利用可能な広告配信方法が「標準」のみになったことに続き、2020年4月以降はディスプレイキャンペーンや動画キャンペーンなど含むすべてのキャンペーンにおいて、1日の予算の配信方法から「集中化」が設定できなくなり、「標準」のみに変更されることになりました。

Google 広告「広告配信の集中化」を廃止、標準配信のみへ

この変更に踏み出した背景にはやはり最近の自動入札の標準化があると考えらえますね。自動最適化の精度が上がるにつれてキャンペーンに導入されるケースも増えていますし、その場合に例えば、同時に「自動入札」で設定したキャンペーン目標と、できるだけ速く予算内に広告出稿を「集中化」する目標を両立できなくなる可能性が高くなりますので、この「集中化」設定の終了は時代の流れを加味して自然な決断かもしれません。

Yahoo!検索広告

既にGoogleの検索広告で利用できているものの、Yahoo!広告ではこれまで未導入な機能が2020年から少しずつ展開されていく動きが目立ちました。一部の領域ではありますが、仕様がGoogle 検索広告に段階的に近づいている印象がありますね。

Yahoo!広告、検索広告の拡大テキスト広告にタイトル3と説明文2が入稿可能に

Yahoo!検索広告の従来の拡大テキスト広告には「タイトル3」と「説明文2」が追加されました。2月に発表されたアップデートですが、実際に反映されたのは8月です。

【8月19日に実施】Yahoo!広告、検索広告の拡大テキスト広告にタイトル3と説明文2が入稿可能に

今回のアップデートで訴求の幅が広くなっただけではなく、同時に表示可能なテキストも増えており、広告が検索結果画面に占める面積が大きくなるためより見つかりやすくなることを期待できそうですね。また、Google 広告の拡張テキスト広告(ETA)のフォーマットと同じ仕様になったのでGoogle・Yahoo!の広告作成の同時進行がしやすくなったのではないでしょうか。

Yahoo!、動的検索連動型広告に「ドメイン全体」を指定できる機能を試験提供

Yahoo!の動的検索連動型広告(DAS)は特に品目が多いECサイトやポータルサイトの広告アカウントの運用者に重宝されるプロダクトの一つですね。このDASに関して4月にアップデートがありました。今まではターゲティング・配信先や自動生成される広告見出しの基になっているURLをページフィードで指定する必要があり、サイトの規模次第で全体を網羅するのに苦労する広告運用者もいると思いますが、今回のアップデートでドメインを指定するだけでDASを利用可能になったため、導入ハードルが大きく下がったと言えます。

Yahoo!、動的検索連動型広告に「ドメイン全体」を指定できる機能を試験提供

Yahoo!ディスプレイ広告

Yahoo!ディスプレイ広告に関しては、やはりプラットフォーム自体が従来のYahoo!ディスプレイネットワーク(YDN)からYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)へのシフトを遂げたことが大きかったでしょう。その変化に伴うアップデートの数々から特に影響がありそうと考えたものを紹介します。

旧YDNキャンペーンの作成が不可になり、新しい仕様の「ディスプレイ広告 運用型」のみが作成可能に

11月25日以降旧YDNキャンペーンの作成が不可能になり、新しい仕様の「ディスプレイ広告(運用型)」で行うことになります。過去に旧YDNで造られた既存キャンペーンの配信自体は2021年5月ごろ(日にち未定)まで可能ですが、できればお早めに新しいキャンペーンタイプに既存キャンペーンを変換したり、新規作成したりすることをお勧めします。

参考:【ディスプレイ広告】ディスプレイ広告(YDN)の提供終了とディスプレイ広告(運用型)への移行について – Yahoo!広告

また、どのような仕様変更があるのか、旧YDNキャンペーンを新しい形式に変換する際の注意点に関してこちらでまとめました。

YDNからYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型、YDA)への変更手順

※旧YDNキャンペーンの作成が不可になったことで、一部適用できなくなった箇所はありますが、ご了承ください。

「属性・ライフイベント」がオーディエンスカテゴリーに追加

YDN(Yahoo!ディスプレイネットワーク)がYDA(Yahoo!ディスプレイ広告)に変更されて、ターゲティングの仕組み自体も変わるなかで、オーディエンカテゴリーに「属性・ライフイベント」に基づくターゲティングが9月に追加されました。

Yahoo!ディスプレイ広告「属性・ライフイベント」がオーディエンスカテゴリーに追加へ

具体的には「属性・ライフイベント」のカテゴリーでは、家族構成や年収・学歴などの特定の属性を指定する、就職や結婚などのライフイベントを予定しているユーザーをターゲティングできるようになりました。Google 広告にすでに似たようなターゲティングもあり、もしこちらでうまくいった「ライフイベント」などの施策があれば、比較的簡単にYahoo!広告にも展開できるかもしれませんね。

Yahoo! ディスプレイ広告、コンバージョン経路と横断リーチレポートの作成が可能に

9月に反省された今回のアップデートにより、コンバージョンへの間接的な効果やキャンペーン間でのユーザーの関連性が確認できるようになりました。

Yahoo! ディスプレイ広告、コンバージョン経路と横断リーチレポートの作成が可能に

これまでのレポートでは把握できなかったラストクリック以外での貢献度を加味した調整や、本当に意図したユーザー層へリーチできているかの仮説検証に活用できそうですね。レポート作成自体も簡単で今後のYahoo!ディスプレイ広告の運用者にかなりありがたいアップデートでした。

Facebook広告

2020年のFacebook広告の主要アップデートでは、やはり最適化を重視している内容が多いのではないでしょうか。必要なデータをより蓄積しやすくすることや、クリエイティブ量と質に関するアップデートへのフォーカスがとにかく強かった印象です。

Facebook広告、広告数の上限を設定へ

Facebook広告では同時に配信される広告数が過度に多いとそれぞれの広告に十分なデータが蓄積されにくくなる背景があり、1つのFacebookページあたりに同時に配信できる広告数の上限を予算に応じて制限する、というアップデートが発表されました。

Facebook広告、広告数の上限を設定へ|むやみに広告数を増やさないアカウント設計とは?

広告予算を過去12ヶ月後でみて月額が最も多かった月に比例し、小規模(250件まで)から大規模(20,000件まで)と4段階に上限を定められています。

参考:ページごとの広告数の上限 | Facebook Businessヘルプセンター

適用自体は2021年2月16日以降とのことなので、厳密には2020年の仕様変更ではないのですが、もし今の時点で既に広告数が非常に多い場合、データをより蓄積しやすいようにお早めに広告数を絞ると良さそうです。そうでない場合でも今回のアップデートをアカウントを再設計・最適化するチャンスとして捉えてもいいでしょう。

Facebook広告の「20%ルール」が撤廃、広告画像内のテキストの制限が廃止に

Facebook広告が定めていたルールの1つで、広告に用いる画像内のテキスト量が画像面積の20%を超える場合、配信が制限されてしまうというのがありましたね。それゆえに、例えば別媒体でテキストが比較的多めなクリエイティブのパフォーマンスが良くても、このままFacebook広告への展開が難しく、画像内テキストを減らす作業を毎回余儀なくされましたが、今回のアップデートにより、この「20%ルール」を撤廃することになりました。

Facebook広告の「20%ルール」が撤廃、広告画像内のテキストの制限が廃止に

実は、Facebook広告側からはできるだけテキストを少なく抑えるように引き続きお勧めしているのですが、テキスト多めなクリエイティブでもペナルティーを恐れずに配信できるようになりました。特に今まで「画像だけ」でメッセージがなかなか伝わりにくかったプロモーションを展開しやすいくなったアップデートでしたね。

Amazon広告

本来ユーザーがアクションを起こしやすいことが強みのAmazon広告では、2020年にブランド認知度向上につながるアップデートが比較的多く、ダイレクトレスポンスのしやすさに加えてブランディングを強化していく動向が目に留まりました。

Amazon広告のスポンサーブランド広告、モバイルでの表示サイズが変更

3月にAmazon広告でスポンサーブランド広告のモバイル端末向けに表示サイズ変更のアップデートがリリースされました。

Amazon広告のスポンサーブランド広告、モバイルでの表示サイズが変更

反映後、モバイル表示で掲載面積が倍近く広くなったため、ユーザー視点で見ると広告の視認性に大きく影響するアップデートだったと言えます。Amazon広告のリリースによると、新旧の表示をテストした結果、クリック率が平均で13%向上したそうです。これまで以上に自社商品の認知・購入を促進させることが期待できますね。

スポンサーディスプレイ広告でブランドロゴとカスタム見出しが追加可能に

2020年にベータ版から一般公開となったAmazonスポンサーディスプレイ広告ですが、10月についによりブランド認知しやすいアップデートがありました。

Amazon広告のスポンサーディスプレイ広告でブランドロゴとカスタム見出しが使用可能に

従来Amazonに登録している商品情報自体が広告クリエイティブとして完結していましたが、今回のアップデートによって、見出しとブランドロゴを使用し表示内容をカスタマイズすることが可能となりました。出品がセラーセントラル・ベンダーセントラルを問わず商品ターゲティングのクリエイティブに反映されたため、ブランド認知促進に幅広く活用できそうですね。

まとめ

言うまでもないのですが、2020年にリリースされた広告媒体に関するアップデートを漏れなく紹介することはほぼ不可能ということで、今回は特にインパクトが大きくかつ重要度が高いリリースに絞ってピックアップしてまいりました。やはり、1年間はあっという間に感じていても、振り返ってみると良くも悪くも広告媒体の新機能、ルールが絶えず進歩し続けていることを俯瞰できるのではないでしょうか。それに加えて、本記事がちょっとした備忘録やリファレンスガイドにもなれれば嬉しいと思います。

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Jan Hugendick

Jan Hugendick

ドイツの出版社でマーケティングやSEOに携わることをきっかけにリスティング広告に興味を持ち、 ドイツの某メディア大企業直属のWeb広告代理店に転職。そこで5年間、多国・多業界 のアカウントを担当することを経て、2016年にアナグラムに参画。広告運用の他、ブログ執筆と編集を行っています。

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