
Facebook広告では1つのFacebookページあたりに同時に配信できる(ステータスが配信中または審査中のもの)広告数の上限を予算に応じて制限することを予定しています。適用は2021年2月16日以降とのことです。
参考:Improving Ad Performance Through Ad Volume Guidance
参考:ページごとの広告数の上限 | Facebook Businessヘルプセンター
広告費に応じた制限とだけ捉えるとネガティブに感じる今回のアップデートですが、その背景を知ると広告パフォーマンス改善の観点で合理的なものだといえます。
今回は本アップデートの詳細と、もし上限を超えてしまいそうな場合はどうするべきか解説していきます。


目次
なぜ広告数の上限を設けるのか
Facebook広告では、同時に配信する広告が過度に多いとそれぞれの広告に十分なデータが蓄積されにくくなります。その結果、キャンペーンや広告セットのパフォーマンスが安定するまで必要以上に多くの予算を費やしてしまうことがあります。しかしながら、機械学習・コンバージョン最適化に期待するあまり非常に多くの広告を同時配信してしまっているケースもあるでしょう。
このように広告予算に対して適切でない運用が行われてしまうケースを防ぐ目的で、今回のアップデートが予定されています。
適用は2021年2月16日以降とまだ先ではありますが、もし今後上限に引っかかってしまうほど多くの広告を配信している場合は早めに広告の数を絞ることが推奨されています。
広告費に対するページごとの広告数の上限
広告費に対する広告数の上限は以下のとおりです。広告費は過去12ヶ月で最も広告費が多かった期間を参照します。なお、広告費や広告数は広告アカウントやビジネスマネージャ単位ではなくFacebookページ単位であることに注意してください。
過去12ヶ月で最も多かった月間広告費 | 広告数の上限 |
---|---|
10万ドル未満 | 250件の広告 |
100万ドル未満 | 1000件の広告 |
1000万ドル未満 | 5000件の広告 |
1000万ドル以上 | 20000件の広告 |
参考:ページごとの広告数の上限
ページごとの広告数の上限が適用されている状態では、既存の広告を停止するまで新たな広告を追加したり公開することが出来なくなります。
広告数の確認と上限に達してしまった時の対応
まずは、あなたが運用している広告が今どのくらいの数なのか確認してみましょう。以下のリンクから、ログイン中のビジネスマネージャで確認できる範囲での各Facebookページの広告数を確認できます。
※記事執筆時点では、ビジネスマネージャや広告マネージャからの動線がなく、ページごとの広告数の上限に関するヘルプページに記載されているリンクからのみ確認できました。
広告数の上限は最も少ないものでも250件あります。よほど広告セットを細分化していたり、1つの広告セットで多くの広告を配信していなければ、250件以上になることは考えにくいのではないでしょうか。
むやみに広告数を増やさないアカウント設計とは?
とはいえ、もし現在250件以上の広告が配信されているページがあれば今後対応が必要になります。以下のような方法で対応を検討してください。
むやみに広告数を増やさないアカウント設計は広告パフォーマンスに良い影響を与えますので、上限に達していない場合でも導入を検討するのをおすすめします。
広告セットを統合する
Facebook広告ではコンバージョン最適化を促進させるために、できる限り1つの広告セットにコンバージョンデータを蓄積していくことが重要です。目安として、週に50件のコンバージョンが獲得できる粒度が推奨されています。そのため、あまり広告セットを細かく分けてしまうと広告のパフォーマンスに支障が出てしまいます。
今回のアップデートも、過剰に多くの広告を配信していることでデータがうまく蓄積されず成果が出にくくなることが背景としてあります。それを考えれば広告セットもできるだけ統合するよう設計していくのが理想でしょう。
Facebook広告の広告アカウント構築については、以下の記事で詳しく解説しています。
多くのバリエーションを入稿するのに適した機能を使う
カタログを使用したダイナミック広告や、画像やテキストなどを自動で組み合わせて配信するダイナミッククリエイティブ広告はそれぞれ1件としてカウントされますので、商品数が多くてどうしても上限を超えてしまう場合は活用すると良いでしょう。
インプレッションが少ない広告を停止する
広告セットの中で相対的に品質の低い広告はインプレッション数も少ないため、上限に引っかかっているのであれば停止しても問題にはならないでしょう。なお、広告セットあたりの広告数は6件までが推奨されています。多すぎず少なすぎない件数の目安にしてみてください。
使用するクリエイティブ数は広告セットあたり6つまでとします。配信システムでは、広告の配信数が多い場合にコンバージョンの予測精度が高くなります。6件を超える数の広告を追加しても、得られるメリットはわずかです。
引用元:広告数の管理について
Facebookページごとの広告数を整理する
広告数の上限はFacebookページ単位で計測されますので、1つのFacebookページで複数ビジネスの広告を配信している場合は、その分上限に届きやすくなってしまいます。複数の広告代理店や、インハウス運用などが混ざっていて広告数の取り合いのようになってしまう可能性もあるでしょう。
広告数の上限確認ページから、広告アカウントごとの広告数上限の設定を行えるので、必要な場合は活用してください。
Facebookページの追加は非推奨
Facebookページを増やせば、実質上限がなくなると考える人もいるかもしれません。しかしビジネスを公に管理するページが増えるデメリットの方が大きいのではないでしょうか?そもそも過度に多くの広告はパフォーマンスに悪影響を与えることも踏まえて、本当に必要かよく考えたうえ、出来る限り制限内に収める方法を選びましょう。
改めて広告アカウントの設計と運用を見直そう
広告数上限の導入はまだ先ではありますが、パフォーマンスの観点から出来るだけ早い適用が推奨されています。
広告の配信データを得るためには相応の広告費が必要になりますので、貴重な予算をデータ蓄積のために使いすぎてしまうのは考えものです。
もし現時点では上限に達していなかったとしても、意図がないまま推奨されない設計や運用になっているかも……と思った場合はこの機会に見直してみてください。