このご時世やテレワークの推奨により、オフラインでのリード獲得が難しくなりました。そこで運用型広告を活用しリードを獲得したい企業も多いのではないでしょうか?
一方、BtoB(Business to Business)向けの広告運用で苦戦されている企業も少なくはありません。BtoB向けの広告運用は、BtoCと比べて顧客数が少ない、決済に関わる人が多い、検討期間が長い、というような特徴があります。
BtoB向けの特徴を把握しながら、広告を運用しなければいけません。そこで今回は、BtoB向けの広告配信を成功させるために押さえておきたいポイントから、活用できる媒体や配信手法を紹介します。
目次
BtoB向け運用型広告で押さえておきたい3つのポイント
冒頭でも述べた通り、BtoBマーケティングはBtoCと少し違います。BtoBの特徴を踏まえた上でのキャンペーン設計が重要になります。最低でも以下の3点はキャンペーン設計する上で押さえておきたいポイントです。
少ない潜在顧客へ向けてターゲティングを絞る
BtoCと違い、潜在顧客が少ないため、ピンポイントにターゲティングをする必要があります。近年、広告技術の進歩によりBtoB向けのターゲティングができる媒体も増えてきました。
たとえば、ディスプレイ広告であれば購買意欲の強いユーザーターゲティングで、ERPや会計ソフトを検討している人に向けでディスプレイ広告が配信出来ます。そのようなターゲティングを積極的に活用したいところです。
ノイズを減らし、課題解決できることを具体的に示す
顧客にならないような一般のユーザーが広告にアクセスしないように工夫することが重要です。BtoCだと、顧客数が多いですが、BtoBの場合は顧客数が多くありません。顧客にならないような人の不必要なアクセスを集めても広告費が無駄になってしまいます。
そして商品を通して課題解決ができることを分かりやすく伝えましょう。BtoBにおいては何かしらの課題を解決したく商品を検討することが多いと思います。
たとえば、システムの場合、今までExcelや紙で経費精算をして集計などしており、時間も手間もかかっていると思います。もっと効率的に経費精算をしたい、経理の手間を省き、別の仕事を依頼したいなど課題感があることが多いのではないでしょうか?
「月〇時間かかっていた経費精算がたった1時間に!経費精算をラクにする〇〇」
たとえば、このように課題が具体的に解決できることを数値に表すことができると強いですね。BtoBだと導入や購入する際に必ずと言っていいほど社内説得が必要になるので、数値を出してどれくらい改善できるかを出せると、社内決済が通りやすくなるでしょう。
デバイスや配信の時間帯、商圏を意識する
デバイスはPCで配信時間もなるべく、平日の就業時間中に配信することをおすすめします。情報収集する際も会社の就業時間中でPCを開いて集めることが多いため、PC経由のコンバージョンが多い傾向にあります。(もちろん、相手の業態や企業規模などによって異なるケースもあります)
ただ、中堅、中小やベンチャー企業、あるいは業種業態によっては土日も働いており、情報収集しています。SNS広告を見て問合せに至るケースも十分にあります。自社のサービスの特性を踏まえて調整する必要があります。
他にも、関東しか営業所がない場合は、関東にのみ広告を配信した方がいいですね。ほとんどの運用型広告では、地域をセグメントした配信ができるので自社の商圏内にて広告を配信しましょう。一方、リモート商談も増えてきているので、全国対応可能な商品を扱っているのであれば、全国に向けて配信をしても問題ないでしょう。
BtoB向けで使える運用型広告の6つの手法
それでは、BtoB向けで使える運用型広告の媒体や設定などを紹介していきます。
検索連動型広告
見込顧客が検索したキーワードと連動して広告を掲載できるため、ターゲットの量と質が心もとないBtoBにとって、顕在化したユーザーに訴求でき、費用対効果が高い検索連動型広告。検討まで時間が長く、ユーザーが商品を検討する上でインターネットでリサーチすることが多いため、BtoBではまさに主戦場となる広告です。
提供しているジャンルのキーワードや、比較やおすすめなど購買に近いキーワードは最低限押さえて配信したい所です
たとえば、顧客管理システムを提供している企業が出稿する場合、「CRM」や「SFA」といったキーワードがサービスのジャンルに当たるキーワードです。購買に近いキーワードであれば「CRM 比較」「CRM おすすめ」といったものが当てはまるでしょう。比較を検索している人は、導入を前提で考えて検索している人は多いはずです。
まず購買に近いキーワードで配信してみて、コンバージョンが獲得できるかを試してみましょう。ある程度、意欲が高い人に向けて配信しているため、これらのキーワードでコンバージョンが見込めない場合は、ランディングページや問合せ導線に問題があるケースもありますので、合わせて改善を行っていきましょう。
その他にも、冒頭で話した「ノイズを減らす」に当てはまりますが、法人用と分かるような広告文で、無駄なクリックを減らすことも重要です。BtoCと違い、顧客数も少なく、1クリック当たりの単価が高いため、コンバージョンに近いユーザーだけにしっかりと広告文を当てることが大切です。以下の記事にBtoB向けの検索連動型広告の活用方法を詳しく説明しているので、参考にしてみてください。
参考:BtoB向けの検索連動型広告で成果を出すために注意したい3つのポイント
Google ディスプレイ ネットワーク(GDN)
GDNは、Googleと提携する200万以上のウェブサイトで構成され、リーチ範囲はインターネットユーザーの90%以上と言われている広告プロダクトです。ほとんどのインターネットユーザーをカバーできるといっても過言ではないでしょう。
- 対象が広すぎるため、上手く活用できない……
- BtoC向けだったら上手く活用できているんだが……
- リマーケティングくらいしか上手く使えていない……
といった課題を抱えている運用者も多いのではないでしょうか?そんなGDNでも、BtoBでも十分に使える手法があります。
カスタム インテント オーディエンス
カスタム インテント オーディエンスは、キーワードやURL、アプリ、YouTube コンテンツを指定することで、特定のジャンルに対して購買意向の強いユーザー層を定義し、ターゲティングできる機能です。例えば「CRM」というキーワードで設定をすると「CRM」に興味がある人に向けてターゲティングできます。
先ほどの顧客管理システムを提供している企業に当てはめると、「CRM」「SFA」「顧客管理」場合によっては「MAツール」などにまで広げてみてターゲティングしてみるのがいかがでしょうか。
ターゲットにしたいユーザーが良く見るWebサイトのURLや、同じようなサービスを提供している企業のURLを指定することでそれらのジャンルに興味がある人に向けてターゲティングできます。
カスタム インテント オーディエンスについては以下の記事で詳しく説明しています。
参考:Google 広告のカスタム インテント オーディエンスとは?仕組みと設定方法
購買意向の強いオーディエンス
「購買意向の強いオーディエンス」は、特定のジャンルの商品購入を前向きに検討しているユーザーにアプローチできるターゲティングです。用意されているカテゴリには、BtoB向けでも利用できるものが増えてきました。
以下は一例ですが、このようなターゲティングもできます。
ビジネス サービス > ビジネス テクノロジー > 企業ソフトウェア > CRM ソリューション
ビジネス サービス > ビジネス テクノロジー > 企業ソフトウェア > ERP ソリューション
ビジネス サービス > ビジネス金融サービス > ソフトウェア > 会計ソフトウェア
顧客管理ツールを提供している企業でも「ビジネス サービス > ビジネス テクノロジー > 企業ソフトウェア > CRM ソリューション」のターゲティングを活用すればコンバージョンが狙えそうですね。
このようなBtoB向けの購買意欲の強いオーディエンスは、日々増えており時折、目を通して自社で使えるターゲティングが無いか見てみましょう。
プレースメントターゲット
アドセンス枠がある特定のWebサイトのURLを指定し、ディスプレイ広告を配信できるのがプレースメントターゲットです。
たとえば経費精算システムや勤怠管理などを販売されている企業であれば、実際に「勤怠管理システム」「タイムカード管理」などのキーワードで検索して上位に出てきたサイトをプレースメントターゲティングしてみるのもいいでしょう。
他にも、経理担当者や総務担当者が普段よく、情報収集をするメディアがあると思います。
ターゲットとするユーザーが見そうなメディアを把握しているのであれば、狙い撃ちして配信して見ましょう。
なお、プレースメントターゲティングについて詳しい解説は以下の記事に記載しています。
参考:プレースメントターゲットとは?仕組みと設定方法、考え方
コンテンツターゲット
コンテンツターゲットとは、特定のコンテンツを持つウェブページをターゲティングして広告を配信する手法です。広告主はどのようなテーマを持つサイトに対して広告を配信したいかを「キーワード単位」で指定することができます。
勤怠管理システムを提供している企業であれば「勤怠管理システム」と指定すれば、「勤怠管理システム」が含まれているコンテンツのWebサイトに広告が配信されます。「勤怠管理システム おすすめ」「勤怠管理システム 比較」と指定すれば、勤怠管理システムの比較をしているようなコンテンツ内に広告が配信されるでしょう。
参考:Google 広告「コンテンツターゲット」の仕組みと設定、考え方
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA ※旧YDN)
一見するとビジネス用途では使われるイメージのないYahoo!JAPANですが、Yahoo!広告公式サイト記載の情報によると、スマートフォンからのYahoo!JAPANは、ビジネス層・経営層や主婦層のユーザー数が多い傾向にあり、ユーザー数はそれぞれ国内でNo.1と記載しています。年齢層では男女ともに40代、50代のユーザーが多く、他メディアと比較して年収700万円以上のユーザー構成比が高い傾向。
BtoB向けの配信先の一つとして検討する余地はありそうですね。Yahoo!ディスプレイ広告でもBtoB向けに活用できる手法があるので紹介します。
サーチターゲティング
Yahoo!ディスプレイ広告のサーチターゲティングは、ユーザーの検索履歴がトリガーとなり広告配信を行えるターゲティングです。例えば「CRM」と設定をすると過去30日間にCRMを検索した人に対して広告を配信することができます。
販売するプロダクトのジャンルや同じようなサービスを提供している企業名やサービスでサーチターゲティングを設定すると、検討している人に配信ができるでしょう。
ユーザーの検索語句の履歴を利用するため、その他のYahoo!ディスプレイ広告のメニューに比べ精度の高い傾向にあります。
注意点としてはYahoo!内である程度の検索ボリュームがないとサーチターゲティングが出来ません。その他サーチターゲティングについて詳細は以下の記事に記載しています。
参考:YDN、サーチターゲティングの仕組みと設定、考え方までのスベテ
Facebook広告
BtoBでSNS広告なんて使えるの?と思うかもしれませんが、Facebook広告はBtoBでも十分に使えます。顧客情報を元にしたターゲティングの精度が非常に高いため、すでに顧客情報がある会社にとっては、ぜひともチャレンジしてもらいたい媒体です。
その他にも、以下のように経営者向けのターゲティングもあります。
利用者層>仕事>業界>マネジメント|潜在リーチ:8万5,000人
利用者層>職場>肩書き>代表取締役|潜在リーチ:1万3,000人
利用者層>職場>肩書き>オーナー経営者|潜在リーチ:1,800人
Facebookの利用者層としても、30代、40代が多いSNSですので、これらの層にアプローチしたい企業は取組みたいですね。
類似オーディエンス
Facebook/Instagram広告では、顧客データを元に、その顧客データに近いユーザー層をターゲティングできる類似オーディエンスという仕組みがあります。その精度は非常に高く、顧客データを保有している企業はチャレンジしたい所。顧客データがない企業であれば、Webサイトに訪れたユーザーの類似オーディエンスから試してみるのもいいかもしれません。
リード獲得広告
ホワイトペーパーなどを使ってリード獲得している企業であればぜひ使いたいのがFacebook広告のリード獲得広告。リード獲得広告とは、広告のクリックからフォームの送信完了までが、すべてFacebook内で完結する広告です。
フォームの一部の項目では、ユーザーのFacebookプロフィールの情報をもとにあらかじめ情報が入力されるため、スマートフォンの狭い画面での情報入力の煩わしさの軽減が図れます。よってリードの獲得効率が高くなる傾向にあります。
私が取組んでいるBtoB案件でも導入するとほとんどがCVRが向上し、CPAが下がる傾向にあります。Facebook広告の事例ページを見てみても、クラウドPOSレジアプリ「ユビレジ」ではリード獲得広告を導入し、CPAが64%削減され、CVRが7倍にもなったそうです。
参考:ユビレジ目的別の広告を組み合わせ、リード獲得数の最大化を実現
一方、フォーム入力がカンタンになり、手軽に送信できることによってリードの質が下がる傾向にあることがデメリットでもあります。そのことを念頭に置きながらインサイドセールスで上手く引き上げをしていきましょう。
リード獲得広告の詳細はこちら
参考:広告にフォームが含まれる?モバイル時代の課題を乗り越える、Facebookリード獲得広告のキホン
Facebook広告のヘルプ
参考:リード獲得広告について
LinkedIn広告
仕事やキャリアに関する情報を取得交換についてのSNSであるLinkedIn。Facebookがプライベート用のSNSであるのであれば、LinkedInはビジネス専用のSNSといったイメージでしょう。
2019年時点で世界6.45億人のユーザーが登録しています。近年日本でも利用する人が増えており、2020年1月現在、日本国内でおよそ250万人が登録しています。(2020年1月時点、LinkedIn広告管理画面内データより)
もちろんLinkedInでも広告を配信することができ、LinkedIn広告の強みは、会社情報を元にしたターゲティングと職務経歴を元にしたターゲティングです。
会社情報を元にしたターゲティングであれば、特定の会社に所属するユーザーに向けてターゲティングできたり、会社の規模や従業員数によってターゲティングできたりします。
職務経歴を元にしたターゲティングであれば、役職や特定のスキルを持つ人に向けて広告を配信出来ます。このようにBtoB向けに活用できるターゲティングが多く、ビジネス向けのSNSの為、ユーザーの質も高いと言えるでしょう。詳しくは以下の記事で紹介していますので目を通してみてください。
参考:LinkedIn広告とは?|LinkedInの特徴や配信面、ターゲティングの種類など
Twitter広告
これもまたFacebook広告のようにBtoC向けのイメージがあるTwitter広告。しかし近年、BtoBでもTwitterのオーガニック運用で成果を出している企業も増えてきておりBtoB向けの使い方が注目されています。
そういった背景もあり、Twitterで情報収集される方も多いのではないでしょうか?Twitterをみて、商品を知ったという方も多いはず。Twitterで情報収集されているようなユーザー向けに、ターゲティングを工夫すればBtoBでも十分に活用できるメディアといえるでしょう。
フォロワーターゲティング
フォロワーターゲティングとは、特定のアカウントを指定し、そのアカウントをフォローしているユーザーに広告を配信できるターゲティングです。
たとえば、EC周りのソリューションを提供している企業であれば、ECについてのノウハウを発信しているインフルエンサーを指定したり、EC関連の情報サイトのアカウントを指定したりしてターゲティングできますね。
一方、SNS広告全般に言えますが、SNSで広告に接触して、その場でいきなり問合せをするということは稀だと思います。よって、ホワイトペーパーなどの資料を請求させるような導線を準備してリード獲得で実施することおすすめします。
Twitter広告のターゲティングについては以下の記事で説明しています。
参考:【すぐわかる】Twitter広告のターゲティングの種類と使い方
BtoBでも運用型広告は使い方次第
これまでのようにイベントなどオフラインでのリード獲得が難しい状況もり、BtoBであってもオンラインでのリード獲得は優先的に取り組むべき施策のひとつでしょう。
Web広告の中でも特に運用型広告は、少額から始められてPDCAも回しやすく、チャレンジしやすいリード獲得施策のひとつです。リード獲得のオンライン施策がうまくいっていない、という場合には検討してみるのがオススメです。
6選といいながら主要な運用型広告の手法のほとんどを含めていることからも分かる通り、BtoBであってもアプローチする先は同じく人間ですので、使い方次第で活用できます。すでにBtoB向けで運用型広告を取り組まれている方も、今回ご紹介した広告手法で参考になるものがありましたら幸いです。