BtoB向けの広告運用に取り組んだ際に一度はこんなことを思ったことがあるのではないでしょうか?
- 商材が難しく理解に時間がかかる
- 今まで関連がなかったサービスなので顧客のイメージや商品メリットがピンとこない
- BtoCと比べてネット上に関連情報が少ない
広告運用においてBtoB向けの商材を扱う際に商品や市場理解に時間がかかるなと思うことが多いのではないでしょうか。
化粧品などのBtoC商材であれば、自分で購入することで商品体験し良さが理解できますがBtoB商材は会社で導入するようなサービスがほとんどで、関わりのないサービスだと自身でも体験することができなく、商品理解が難しいですよね。商品理解が進まないと良いクリエイティブを作ったり、広告運用のパフォーマンスを上げることが難しいのではないでしょうか。
そこで今回は広告運用においてBtoB向けの商材を扱う際におすすめのリサーチ方法などを紹介します。
目次
なぜリサーチが重要なのか?
BtoB、BtoC関係なくですが、広告運用において成果を上げるためにはリサーチが重要です。リサーチができていないと、顧客の特徴やニーズがつかみにくく、さらに競合と比べて扱う商材の強みが理解できないため、成果を上げやすいクリエイティブを生み出すことなど広告運用面で不利になります。
例えば、顧客が求めていることがわからなければ、どんな切り口で商品を表現すれば反応してくれるかわからないですよね。
他にも顧客が求めていることがわかっても他社製品と同じことを伝えていても自社商品は選ばれにくいでしょう。
顧客が求めており、なおかつ自社しかできない部分からバリュープロポジション(他社にはない自社商材の価値)を見つけて広告クリエイティブやターゲティングなどの運用に落とし込んでいく必要があります。
このバリュープロポジションを見つけ出すには3C分析を徹底的に行うことが重要です。
3C分析を使った戦略的なクリエイティブ作成の方法を紹介しているので見てみてください。
顧客インサイトだけでは足りない?3C分析を使った戦略的な広告クリエイティブの設計方法
このように重要な調査・リサーチですが、比較的情報の少ないBtoBだと、まず情報の集め方自体が難しいかと思います。
BtoB商材のリサーチ手法8選
ここからは、具体的なリサーチ手法を紹介していきます。
営業担当へのヒアリング
一番オススメなのが営業担当の方へヒアリングすることです。なぜおすすめかというと効率よく、商材理解と顧客理解が深まるためです。
まずは商材理解という観点から説明します。
優秀なセールスであればあるほどセールストークが上手い方が多いかと思います。その話を実際に聞いたり、商品説明のロープレ(ロールプレイング)をしてもらったりすることで、単に資料やLPを見るよりも商品理解が得られるでしょう。
たとえば、資料やLPには載っていない「営業の場面で顧客ウケが良い機能や性能」などに気がつけるキッカケになることもあります。「LPや資料で押している機能よりも、実は別の機能が営業現場では刺さりやすい」のようなことも少なくなく、その機能を広告訴求に反映させることでパフォーマンスが改善した事例も多々あります。
このように、営業担当者からの情報共有により商品理解が進み、広告(またはLP)改善のアイディアに繋がりますね。
次に顧客理解についてです。
営業担当者は数多くの顧客と接点を持っています。そのため、どのような顧客だと受注しやすいか、あるいは難しいのかなどの貴重な情報を把握できており、そのような顧客の特徴やパターンなどペルソナとしてまとめることで、より顧客理解が進むでしょう。
営業現場での顧客の反応を元に作るペルソナは、空想で作るものよりも具体性が高くなりますね。
こうして営業担当へのヒアリングをすれば、短い時間で商品と顧客に関する理解が一気に上がることが期待できます。
「でも、実際に営業担当の方へどのようなことを聞くといいの?」と疑問に思う方もいますよね。以下によく質問する内容をまとめてみました。参考までに活用してみてください。
トピック | 質問 | 目的 |
---|---|---|
顧客について | 受注が多い企業の傾向や特徴は? | ターゲットとなる業種、規模、役職、部署の明確化 |
商品が刺さっている顧客像の明確化 | ||
逆に受注が難しい企業の傾向や特徴は? | 受注が難しい顧客像の明確化。広告で集めるべきではないターゲットを見極めること | |
どんな課題を抱えていてサービスを検討し始めるのか? | 顧客の抱えている課題の理解とカスタマージャーニーの理解 | |
商談内容について | 顧客に刺さるセールストークや機能などはどんな感じか? | 現状の勝ちパターンの理解 |
顧客が導入に当たり気にしている点は何か? | 導入する際の障壁の理解 | |
他社と比較検討される際、どの会社とバッティングするか?また、どういった部分で比較されるか? | 競合についての理解 | |
商談がうまくいくときのパターンは?(顧客属性、セールストーク) | 勝ちパターンの理解や広告・LPなどの改善点の明確化 | |
失注する理由で多い点はなにか? | 失注する理由の理解 |
もっと細かく質問すれば色々とありますが「誰に何をどのように話して受注しているのか?」この部分が分かるだけで広告戦略を導くには十分かと思いますので上記の質問で十分保管できるでしょう。
インサイドセールスチームの情報を共有してもらう
可能であればリード獲得後に対応するインサイドセールスチームからの情報を共有してもらいましょう。
どんなリードが有効リードにつながっているのかが分かれば、逆算して有効リードが多い広告チャネルや訴求を強めたりすることで有効リードを増やせる可能性があります。逆にこんなリードは有効リードにならないことが分かれば、止めるべき広告手法も見えてくることが多いです。
顧客ヒアリングやアンケートを活用する
広告主の顧客を紹介してもらいN1インタビューができるのであれば実施したいですね。
N1インタビューとは、実際の顧客を1人ピックアップし商品を購入したキッカケや現状の課題などのヒアリングです。数人を集めてヒアリングするグループインタビューやアンケートと違い、1対1でヒアリングするので深掘りした情報を得ることができます。
BtoBの広告運用では広告主の顧客と接点を持つ機会が少なく、顧客の具体的なイメージがつかみにくいことが多いでしょう。N1インタビューができれば、加工された2次情報ではなく1次情報を聞くことで顧客理解が深まるでしょう。
インタビューにあたっては次のようなポイントを意識しておけるとよいでしょう。
課題 | 質問 | 目的 |
---|---|---|
顧客理解(課題の確認) | この商品を購入する前はどんな課題や悩みがあったか? | 課題や悩みの理解を深めること |
その課題はいつから発生したのか?キッカケなど | カスタマージャーニーの理解 | |
課題解決のためにこれまでどんな行動をとってきたか?その行動ではなぜダメだったのか? | 代替案やこれまでの施策、現在の不満などを理解するため | |
顧客目線での商品理解 | なぜこの商品に興味を持ってくれたのか?どこで知ったのか? | 商品が響いたポイントと知った入り口の理解 |
他にも検討していたサービスは? | 競合についての理解 | |
なぜ導入しようと思ったのか?他社と比べて選んだ理由とは? | 選ばれた理由の明確化 | |
導入を進めていく上で大変だったことは? | 導入を進めていく上での障害の理解 | |
使ってみてどのような変化が起きたのか? | ビフォーアフターを知ること | |
使う前と使い始めてから良いなと思った機能は? | 使ってみてよかった機能についての深掘り |
ただ、代理店として直接、広告主の顧客にインタビューを実施が難しいケースも多いので広告主の担当者が過去のN1インタビュー情報をシェアしてもらうことでも補完できるかと思います。
もし広告主側でN1インタビューの実施が難しい場合は、アンケートなどを活用して顧客の声を集めてみましょう。
例えば、広告主の顧客やリードに対してGoogleフォームなどで自らアンケートを実施して情報を集める方法と、性別、年齢や職業等の必要な条件を満たす登録者に対して、セルフ型ネットリサーチサービスを活用してメールやWebサイトを通じてアンケートを取る方法があります。
またN1インタビューと違い、アンケートでは相手の表情やその場の雰囲気を読むことができないため、なるべく答えやすい質問や選択肢から最適な回答を選ぶ形式を用意することがおすすめです。
業界の知見のある人に聞く
ある業界やサービスに精通している有識者に話を聞くことで一気に知識を深めることができます。たとえば、MA(マーケティング・オートメーション)ツールの広告運用に携わる際に、広告代理店内であれば以前に似たような業種のサービスを運用したことがある人がいればインタビューすることでサービスや業界についての知識を深めることができるでしょう。
もし、社内にいない場合であれば、社外の有識者の方々にインタビューが手軽に実施できるサービスなどもあります。有名所だとビザスクなどを活用すれば特定業界のエキスパートに1時間ほどヒアリングやスポットコンサルをしてもらえるケースがあります。あるいはご自身の人脈を使い業界に詳しい人にインタビューするのでもいいでしょう。
展示会やセミナーに参加してみる
展示会に参加してみることもおすすめしています。広告主が実際に出ている展示会でもいいですし、広告主が展示会に出ていなければ広告主が提供している商品にまつわる展示会でもいいでしょう。
展示会には少なくとも数十〜数百の会社が出店しており、1日いるだけでも開催しているジャンルのサービスについて知ることができます。
また、広告主がセミナーを開催しており、参加okであれば参加してみましょう。セミナーでどのような形で商品を紹介しているかなどが分かるため、商品やサービスに関する業界知識などの解像度を上げることができます。
導入事例を見る
広告主のWebサイトにはサービスの導入事例や口コミと言ったコンテンツページがあるはずです。これらのページを一通り、読むことをおすすめしています。
導入事例のコンテンツでは以下のような順番で書かれていることが多いです。
- サービス導入前の課題
- サービス導入の目的
- サービス導入の決めて
- サービス導入をしてどうなったのか?変化は?
これらの情報を見ていると製品やサービスの良さや、広告主の顧客が抱えている課題、導入後の効果などが理解できるかと思います。導入事例を見るだけでも商材と顧客の理解をある程度深めることができそうです。
レビューサイトを見る
レビューサイトというとBtoC向けのサービスをイメージするかと思いますが、近年、BtoB向けのレビューサイトや比較サイトの数が増えてきています。それらのサイトに中には実名で口コミを投稿しているサービスもあるため、情報としてもしっかりとレビューがされているものも存在します。
実際に使っている方の口コミを見ることで商品理解と顧客理解を進めることができるでしょう。更に、同一ジャンルのサービスの口コミも掲載されていることが多く、情報を比較して整理するのに活用できますね。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとはSNS上の情報を集めて分析することを指します。主にSNS上に落ちている口コミがBtoCで活用されることが多いのですが、BtoBでも商材によっては活用できます。
たとえば、Twitterで該当サービス名とサービスのジャンル名で検索してみてどんなことがつぶやかれているか確認してみましょう。
近年、Twitterでビジネスの発信や情報を集める人も多く、SaaS型のサービスを使ってみての感想をつぶやいている人を見かけることも多くなりました。「BtoBだからTwitter上に口コミが書かれてること無いよ」と思う前に一度、ソーシャルリスニングも試してみることをおすすめします。
まとめ
BtoCと違い、情報を集めにくいとBtoBビジネスでは思われがちですが、上記のようなアクションを取ることで十分に情報を集めることができます。
BtoB向けの広告運用をしていて、施策アイディアに行き詰ったり、これから広告運用を始める際に行き詰ったら上記の方法を実践してみてください。