Facebook広告やInstagram広告を始めるまでには、複雑な手順を踏んでさまざまな準備が必要です。
けれども、いざ始めようとすると、情報を集めることから始めないといけなかったり、最新の情報かどうかの判断に困ったり、戸惑ってしまうケースも多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Facebook広告やInstagram広告をこれから始める方に向けて、「アカウント構築までに準備しておきたいこと」を整理してみました。
目次
広告配信に必要なものを準備する
まずは、Facebook広告やInstagram広告の配信にあたって必要なものを準備しましょう。
- Facebookの個人アカウント
- Facebookページ
- Meta Business Suite
- 広告アカウント
- Instagramアカウント(※Instagram広告のみ)
Facebookの個人アカウント
Facebookの個人アカウントがなければ、広告運用はもちろん、FacebookやInstagramのアカウント運用も始めることができません。Meta社のツールを活用するうえで、Facebookの個人アカウントはなくてはならないないものです。
Facebookの個人アカウントがない場合は、こちらから作成します。
Facebookページ
Facebookページとは、個人ページとは別にビジネスやブランド、団体などがユーザーとの交流や情報発信のためにFacebook上に持てるページです。
個人でも作成できますが、ビジネス目的でFacebookを活用する際には必要不可欠です。たとえばFacebookページがないと、次で紹介するMeta Business Suiteが開設できません。Meta Business Suite開設時に作成も可能ですが、事前に作成しておくとスムーズです。
Facebookページは、こちらより作成できます。
なお、Facebookページを複数所有していて、Meta Business SuiteにFacebookページを追加したい場合は、下記記事の「1.自社のFacebookページを連携したい場合」を参考に作成してみてください。
Meta Business Suite
Meta Business Suite(旧:Facebook ビジネスマネージャ)とは、FacebookやInstagram、Messengerなど多岐に渡るMeta社のサービスを一元管理するためのツールです。
Facebookページや広告マネージャなど、複数のMeta社のツールに毎回アカウントを切り替えなくてもアクセスできるようになります。他にも、ビジネスアセット(※)ごとにアクセス許可の管理ができるため、関係者へのデータ共有やユーザー管理がしやすくなります。
Meta Business Suiteは、こちらより開設できます。
また、Meta Business Suiteの開設後は開設者しかアクセスできない状態です。Meta社のツールにアクセスする人が複数いる場合は、併せてユーザー登録もしておきましょう。
詳しくは、下記記事の「ユーザー登録してアクセス許可を割り当てる」をご覧ください。
※ビジネスアセットとは、Facebookページや広告アカウント、カタログなどのMeta Business Suite経由でアクセス可能なMeta社のツールや機能のことです
広告アカウント
Meta広告の広告配信先にはFacebookとInstagramの2つのSNSプラットフォームがあります。それぞれを個別に管理することなく、ひとつの広告アカウント内であわせて運用が可能です。もちろん、どちらかのプラットフォームのみを選択することもできます。
Facebook広告はFacebookページからも配信はできますが、その場合は配信目的がページの宣伝、投稿の宣伝、ウェブサイトの宣伝の広告しか選択できません。Webサイトへのアクセス、アプリインストール、商品購入などコンバージョンの獲得を目的とした広告配信を行いたい場合は広告アカウントが必要になります。
なお、Instagramは、投稿の宣伝は広告アカウントがなくても可能です。ただしこちらもプラットフォーム内で決められた目標でしか配信できないため、コンバージョンの獲得などを目的とするのであれば広告アカウントの開設が必須です。
FacebookページやInstagramアカウントのみでできることは限られてしまうため、広告アカウントを作成して広告出稿をすることをおすすめします。
広告アカウントは、Meta Business Suiteから作成します。開設方法は、下記記事の「広告アカウントを作成する」をご参考ください。
Instagramアカウント(※Instagram広告のみ)
Instagram広告の配信にInstagramアカウントは必須ではありませんが、Instagramアカウントを用意することをおすすめします。
なぜなら、Instagramアカウントがあると、次のことが可能になるためです。
- 広告に表示されるブランドアイコンにInstagramアカウントの情報を使用できる
- ブランドアイコンをクリックするとInstagramアカウントへ遷移させることができる
- 広告についたコメントに返信や削除ができる
参考:広告マネージャでInstagram広告のコメントを管理する|Metaビジネスヘルプセンター
たとえば、Instagramで興味のある商品の広告が表示されたユーザーがそのブランドをもっと知りたいと思いプロフィールを見に行こうとします。しかし、Instagramアカウントがないと、ブランドアイコンからプロフィールに遷移ができないため、広告をきっかけに興味を持ってくれたユーザーを逃すこととなってしまいます。
このような機会損失を生まないためにも、Instagram広告を行う際はInstagramアカウントを用意しておくことをおすすめします。
Instagramアカウントは、こちらから開設できます。
なお、InstagramアカウントとMeta Business Suiteを連携することで、広告にInstagramアカウントの情報を使用できたり、広告についたコメントへの返信や削除が可能になったりします。
Instagramアカウントを連携する方法は、下記記事の「Meta Business SuiteにInstagramアカウントを連携する方法」をご参考ください。
広告配信するなら設定しておきたい機能
ここからは、Faceboo広告やInstagram広告を配信する際に設定しておきたい機能を紹介します。
ドメイン認証
※2023年5月末より、合算イベント測定などイベントの設定に関連する目的でのドメイン認証は不要となりました
参考:Metaの合算イベント測定について | Metaビジネスヘルプセンター
他の理由でビジネス認証にドメイン認証が必要となるケースはこちらをご参考ください。
Meta Business Suite開設時に併せてやっておきたいのが「ドメイン認証」です。
ドメイン認証とは、ドメインの所有者であることを証明する手続きのことで、ドメイン認証を行った方がいい理由は次のとおりです。
- ドメイン認証していないと、オーガニックおよび広告のすべてのリンク付き投稿が編集ができない
- ドメイン認証することでドメインの所有者が明確になるため、不正利用を防止できる
- 合算イベント測定(※詳しくは後述)を導入するためにはドメイン認証が必要
ドメイン認証は、Meta Business Suiteで設定します。ドメイン認証の設定手順は、こちらの記事を参考にしてください。
合算イベント測定
合算イベント測定とは、iOS14.5から提供された、iOS端末によるプライバシー制限機能「ATT(App Tracking Transparency)※以下、ATT」の対策として、最低限のトラッキングを行えるようにする機能です。
ATT機能によって、アプリの初回起動時にトラッキングの可否についてのポップアップが表示され、「Appにトラッキングしないように要求」を選択すると、すべてのiOS端末に振り分けられる広告識別子IDFA(Identifier for Advertising)が使用できなくなります。
IDFAが使用できなくなるということは、広告の効果測定やアプリのターゲティング精度が下がり、広告効果が大幅に下がる可能性があります。合算イベント測定を設定することで、最低限ではありますが、広告配信の効果測定および最適化機能を利用し続けることができます。
合算イベントの設定方法について、詳しくはこちらの記事にまとめています。
広告運用に必要なビジネスアセットへのアクセス許可を割り当てる方法
アカウント構築までに、広告運用に必要なビジネスアセットにアクセス許可を割り当てておくと、広告配信の準備がスムーズになります。
ビジネスアセットへのアクセス許可を割り当てる方法は、広告アカウントの管理者が自社か他社かで異なるため、それぞれ紹介します。
自社の広告アカウントを使って広告配信する
インハウス運用など、自社の広告アカウントを使用して広告配信する場合は、前述の「広告配信に必要なものを準備する」と「広告配信するなら設定しておきたい機能」の設定がひと通り終わっていれば、アカウント構築までに必要な設定は完了しています。
他社の広告アカウントを使って広告配信する
たとえば、広告運用するために広告代理店が広告主の広告アカウントにアクセスしたい場合はこちらの手順をご参考ください。
広告主と広告代理店のMeta Business Suiteを連携して、Meta Business Suite経由で一括でアクセス許可を割り当てる方法です。
広告運用するためにアクセス許可が必要なビジネスアセットは、広告アカウントやFacebookページ、Instagramアカウント、ピクセルなど、多岐に渡るため、ビジネスアセットごとに設定するよりもこの方法で一括で設定する方が早いです。
Meta Business Suite同士を連携する
設定は、広告主のMeta Business Suiteで行います。広告代理店のMeta Business Suiteをパートナーとして追加します。
Meta Business Suiteをパートナー追加してもらうことで、広告代理店は広告運用に必要な各種ビジネスアセット(アクセス許可が与えられたツールのみ)にアクセスできるようになります。
①Meta Business Suiteを開き、「設定」をクリックします。
②「ビジネス設定」をクリックします。
③「パートナー」を選択して「追加」をクリックし、「パートナーにあなたのアセットへのアクセスを許可」を選択します。
④「パートナーのビジネスID」に広告代理店のMetaビジネスIDを入力して「次へ」を押して設定完了です。広告主と広告代理店のMeta Business Suiteの連携ができました。
なお、「MetaビジネスID」は、Meta Business Suiteにログイン時のURLで確認できます。
URL末尾の「business_id=」以降、「&」の前までの数列がMetaビジネスIDになります。
ビジネスアセットごとにアクセス許可を割り当てる
Meta Business Suite同士の連携が完了したら、次は広告代理店のMeta Business Suiteにビジネスアセットごとにアクセス許可を割り当てます。
また、アクセス許可方法は、個別の操作ごとにアクセスを許可する方法と、すべての操作へのアクセスを許可する方法があります。今回は、広告運用に関わる操作ができればよいので、ビジネスアセットごとに個別の操作へのアクセスを許可します。
次の4つが、広告運用するうえで必要なビジネスアセットとアクセス許可の種類です。
ビジネスアセット | アクセス許可の種類 |
広告アカウント | キャンペーンを管理 |
---|---|
Instagramアカウント(※Instagram広告のみ) | 広告 |
ページ | 広告 |
ドメイン | ドメインへのリンク |
「ページやドメインもアクセス許可が必要なの?」と思う方もいるかもしれません。実際に必要かどうかを判断できるように、広告運用するにあたってなぜこの4つのビジネスアセットにアクセス許可を割り当てた方が良いのかも紹介しておきますね。
広告アカウント
[キャンペーンを管理]を許可すると、他社が所有する広告アカウントを編集できるようになります。
Instagramアカウント(※Instagram広告のみ)
広告の管理に限定する場合は「広告」のみを許可します。オーガニック投稿など、コンテンツの作成や管理もお任せする場合は「コンテンツ」の許可も必要です。
ページ
ページはFacebookページのことです。「広告」を許可することで、Facebookページを使用した広告を作成できます。Instagram広告の場合も、広告を作成する際にFacebookページを指定する手順があるため、この設定は必須です。
ドメイン
「ドメインへのリンク」へのアクセス許可を割り当てると、広告の作成の際にドメインを指定できます。広告にドメインを指定できると、どの広告主がどの広告を出しているかをユーザーに対して明示できるため、広告の透明性を担保できます。
広告運用をする際にビジネスアセットごとにどの種類のアクセス許可を付与したらよいのか理解できたかと思います。
では次より、ビジネスアセットごとにアクセス許可を割り当てる方法を解説していきます。今回は例として、広告アカウントにアクセス許可を割り当てる方法を解説します。
設定は、広告主のMeta Business Suiteで行います。「Meta Business Suite同士を連携する」の手順①②を踏んでビジネス設定の画面を開きます。
③「パートナー」を選択して、検索窓にパートナーの名前または「MetaビジネスID」を入力し、アクセス許可を割り当てたいパートナーを探します。
先ほどパートナーとして追加した代理店のMeta Business Suiteを選択し、「アセットを共有」を押します。
④アセットタイプより「広告アカウント」を選択し、アクセス許可を割り当てたい広告アカウントを選択して「キャンペーンを管理」のスライダーをONにします。
広告アカウントのみにアクセス許可を割り当てたい場合は「変更を保存」をクリックして設定完了です。
広告アカウント以外のビジネスアセットにも同時にアクセス許可を割り当てたい場合は、「変更を保存」は押さずに④の手順をアセットごとに繰り返し行ったあと、「変更を保存」をクリックで設定は終わりです。
広告主に広告アカウントの閲覧権限を割り当てるのも忘れずに
最後に、広告主に広告アカウントの閲覧権限を割り当てます。閲覧権限とは、広告アカウントを閲覧できるアクセス権です。
たとえばアナグラムでは、基本的に広告アカウントを開示しており、クライアントさまには閲覧権限を付与しています。
設定は、広告代理店のMeta Business Suiteで行います。
[広告アカウント]から共有する広告アカウントを選択し、[パフォーマンスを確認]をONにして[変更を保存]をクリックします。
[パフォーマンスを管理]を割り当てると、広告主が広告アカウントやレポートを閲覧できるようになります(広告の作成や編集はできません)。
まとめ
Facebook・Instagram広告はアカウント構築までに準備しておきたいことがたくさんあります。公式ヘルプであっても一か所に集約されていないため、何が必要で何を設定すれば良いのかを、まず把握するだけでも大変です。
しかし、必要なものとやるべきことを揃えてしまえば、ひとつひとつの手順はさほど複雑ではありません。
Facebook広告やInstagram広告をこれから始める方は、必要な情報やツール、どんな設定が必要になるのか、まずは全体像をつかんでから進めると、スムーズに準備が進められそうですね。