LinkedIn広告とは?|LinkedInの特徴や配信面、ターゲティングの種類など

LinkedIn広告とは?|LinkedInの特徴や配信面、ターゲティングの種類など
「経営者向けに広告を届けたい」
「特定の業種の会社に所属する決裁権者に広告を届けたい」
「業務で英語を必要とするビジネスマンにメッセージを届けたい」

運用型広告を配信する際、たとえば法人向けサービス(いわゆるBtoB商材)など、特定のユーザーだけに限定して広告を配信したい、というご相談を受けることは少なくありません。このような課題に対し、役職や所属会社の社名、業界、社員数などの情報により精度高くターゲティングを行えるSNS広告。それがLinkedIn広告です。

この記事ではLinkedInの概要と、他の運用型にはない精度でビジネス情報によるターゲティングが可能なLinkedIn広告の基本的な機能と特徴についてまとめました。

LinkedInとは?

画像引用元:ネイティブ広告-スポンサーコンテンツ| LinkedInマーケティングソリューション

2003年5月に米国でサービスが開始され、2019年10月時点で世界6.45億人を超えるメンバーが登録し、仕事やキャリアに関する情報を取得交換しているSNSです。2017年にはMicrosoftが262億ドル(当時の価格で約2兆7500億円)で買収したことでも話題となりました。

参考:MicrosoftがLinkedInを262億ドルで買収、エンタープライズ向けソーシャルメディアに参入 | TechCrunch Japan

日本では2012年よりサービスが開始され、2020年1月現在、日本国内でおよそ250万人が登録しています(2020年1月時点、LinkedIn広告管理画面内データより)。LinkedInのプロフィール画面ではユーザーの職務経歴や学歴が目出つ位置に配置されるデザインになっていて、LinkedInユーザーは個人ではあるものの、特定の企業での勤務や業務の経験者であることをオープンにしながら交流を行う仕組みになっています。

LinkedIn広告を使うメリットは?

FacebookやTwitterなどソーシャルメディアを使った広告手法は他にもありますが、LinkedIn広告はメディアの特性を活かした、他のプラットフォームにはない強みがあります。

ビジネス情報によるターゲティング精度が高い

LinkedIn広告ではユーザーが所属している実在の企業名や会社の規模、業種など、正確な経歴や実績でターゲティングをすることが可能です。これは特定の業種や役職のユーザーだけを狙って広告を配信したい場合に特に効果的です。

ビジネス情報に関心の強いユーザーが集まる

LinkedInのタイムラインやグループ内は、ビジネスに関連した情報のやりとりがほとんどです。そのため、LinkedInにログインしているユーザーはビジネスに積極的なユーザーが多い印象です。2017年にLinkedInの日本代表に就任した村上臣 氏は2018年のインタビューで以下のように答えています。

Facebookのぼくのタイムラインには、夜になるとラーメンの写真とかしか出てこない。それが朝になるとビジネスニュースに変わる。昼はそのごった煮という感じです。ぼくが言いたいのは、はたしてそれが本当にビジネスに最適なのか?ということです。

参考:「とりあえず飲み会」の人脈づくりに物申す──LinkedInの新代表・村上臣が説く、世界標準のネットワーキング

普段からLinkedInを使っている筆者の体感では、文字通りLinkedInのタイムラインにラーメンの写真が目に入ったことは一度もありません。

最低出稿金額がなく少額の広告費でも配信ができる

他のSNS広告と同様、少額からでも任意の広告費でチャレンジすることができます。広告配信はセルフサービス式が採用されているため、広告配信前にLinkedIn社と契約書などのやり取りを行う必要もありません。

おもにプライベートで利用されるソーシャルメディアでは、ビジネスユーザーに絞って広告でアプローチしようとしても、利用時のモチベーションや用途がビジネスにそぐわずにターゲティングも難しいですよね。一方でLinkedInのような主な利用目的がビジネスに特化していると、このようなターゲティングの悩みも大きく軽減されます。

LinkedIn広告の概要

今回は広告運用者の活用機会が多く想定されるマーケティングソリューションズ(以下、LinkedIn広告といいます)の特徴やターゲティングの種類をご紹介するとともに、実際にLinkedIn広告を運用してみての所感をお伝えします。

LinkedIn広告の配信面

LinkedIn広告は以下の場所に表示されます。

LinkedInタイムライン内とタイムライン上部
画像引用元:Native Ads - Sponsored Content | LinkedIn Marketing Solutions

デスクトップ、モバイル、アプリの「ホーム」に表示されるタイムラインの途中に広告が表示されます。デスクトップ画面の上部にはテキスト形式の広告が表示されます。

LinkedInタイムラインの右側(パソコンのみ)
画像引用元:Text Ads - Targeted, Self-Service PPC & CPM Ads | LinkedIn Marketing Solutions

デスクトップで「ホーム」のタイムラインを見た際、右側の枠内に広告が表示されます。この枠は「ホーム」の他、「メッセージ」「お知らせ」「プロフィール」を閲覧している際にも表示されます。

メッセージボックス内
画像引用元:Message Ads | LinkedIn Marketing Solutions

画像引用元:https://business.linkedin.com/marketing-solutions/sponsored-inmail#product-tour

パソコン、モバイルでメッセージボックスを閲覧した際に広告が表示されます。広告の送り主は個人にすることも、企業やサービス名に設定することもできます。

キャンペーンの目的は7つから選択

キャンペーンの目的は以下7つの中から選ぶことができ、選んだ目的によって選択できる広告フォーマットが異なります。

キャンペーンの目的
詳細
補足

ブランド認知

製品、サービス、会社をより多くの人に紹介します。

インプレッションベースの広告により、LinkedInでの広告の視聴回数が最大化されます。

ウェブサイト訪問

ウェブサイトにトラフィックを誘導します。

広告をクリックする可能性が最も高いユーザーにキャンペーンが表示されます。

エンゲージメント

コンテンツへのソーシャルエンゲージメントを促進し、会社ページのフォロワーを増やします。

広告へのエンゲージ、または会社へのフォローをする可能性が最も高いユーザーにキャンペーンが表示されます。

動画視聴

動画のシェアを増やします。

動画を閲覧する可能性が最も高いユーザーにキャンペーンが表示されます。

リード獲得

LinkedInでリードを獲得します。

LinkedInのリード獲得フォームへの入力の可能性が高いユーザーにキャンペーンが表示されます。

ウェブサイトコンバージョン

ウェブサイトでリードを獲得し、ビジネスに有意義なアクションを促進します。

ビジネスに有意義なアクションを行う可能性が最も高いユーザーにキャンペーンが表示されます。

求人応募者

自社に関連する求人を広め、求人への応募を促進します。

求人広告を閲覧またはクリックする可能性が最も高いユーザーにキャンペーンが表示されます。

 まずは目的に応じたキャンペーンを選択することが重要ですね。

利用できる広告フォーマット

利用可能な広告フォーマットは全部で8つ用意されていて、キャンペーンの目的によって選択できるフォーマットが変わります。以下、キャンペーンの目的と選択できる広告フォーマットの一覧です。

キャンペーンの目的
広告フォーマット
シングル画像広告
カルーセル画面広告
動画広告
テキスト広告
スポットライト広告
メッセージ広告
フォロワー広告
求人広告

ブランド認知

ウェブサイト訪問

エンゲージメント

動画視聴

リード獲得

ウェブサイトコンバージョン

求人応募者

参考:スポットライト広告、フォロワー広告、求人広告の掲載イメージ

それぞれの広告フォーマットで利用できるピクセルおよびアスペクト比の要件は以下です。

広告フォーマット
画像、動画のピクセルおよびアスペクト比の要件
容量

シングル画像広告

7680 x 4320px。幅が401ピクセル未満の画像は、サムネイル画像として表示


縦長のアスペクト比: 4:5 (推奨比率)
※最小: 360 x 640px、最大:2430 x 4320px

・横長のアスペクト比: 1.91:1 (推奨比率) 
※最小:640 x 360px、最大:7680 x 4320px

・正方形のアスペクト比: 1:1 
※最小:360 x 360px、最大:4320 x 4320px

(Tips)縦長のアスペクト比を使用がおすすめ。1:1.91の縦長の画像は画像フレームに合わせて両側に帯が追加されます

最大5MB

カルーセル画面広告

個別の画像の推奨仕様:1080 x 1080px(最大:最大寸法: 4320 x 4320px)
※画像は 312 x 312px になるよう調整されます

最大10MB

動画広告

360px (480 x 360、ワイド 640 x 360)

480px (640 x 480)

720px (960 x 720、ワイド 1280 x 720)

1080px (1440 x 1080、ワイド 1920 x 1080)

75KB~200MB

テキスト広告

100 x 100px(オプション)

2MB以下

スポットライト広告

100 x 100px以上が推奨

2MB以下

メッセージ広告

送信者のプロフィール画像が表示されます。

メッセージボックス横に表示される画像サイズは300×250px

40KB

フォロワー広告

会社ロゴは100 × 100px以上が推奨

2MB以下

求人広告

会社ロゴは100 × 100px以上が推奨

2MB以下

参考:広告仕様 | マーケティングソリューションズヘルプ 

LinkedIn広告のターゲティングの種類

LinkedIn広告ではユーザーが所属する会社名や会社の代表的事業、ユーザーの学歴、職務タイプなどでターゲティングすることができます。またウェブサイトオーディエンス、連絡先リストなどをソースとした類似オーディエンスも作成できます。各オーディエンスを除外ターゲットとして設定することも可能です。

オーディエンス属性
ターゲティング詳細
備考

ロケーション

--

居住地または滞在場所に基づいてメンバーの範囲を絞り込みます。地理的位置は、メンバーのプロフィール (恒久的/長期的な場所)、または IP アドレス (短期滞在) の位置で指定された場所に基づきます。

プロフィール言語

--

「英語」を選択すると、その地域でプロフィール言語に「英語」を設定しているユーザーとローカル言語を利用しているユーザーにリーチできます。

会社

会社のフォロワー

自社のLinkedIn会社ページのフォロワーにリーチします。広告アカウントが会社ページに紐付けられている必要があります。

会社の規模

勤務する会社の規模に基づきメンバーにリーチします。会社の規模は会社ページに記載されている従業員数から判断されます。

会社名

メンバーが雇用主として記載している会社情報に基づいてリーチします。

業種

勤務する会社の主な業種に基づきリーチします。

社員のつながり

選択した会社に勤務する、1次のつながりにリーチします。社員数が500名上の会社の場合に利用できます。

統計データ

年齢

プロフィール情報に基づくメンバーの推定年齢です。

性別

プロフィール情報に基づきメンバーの性別を判断します。

学歴

出身校

特定の学校、大学、短大、専門学校などのコースを修了したメンバーにリーチします。

専攻

専攻分野を持つメンバーにリーチします。

学位

大学、短大、専門学校などの学位を持つメンバーにリーチします。

職歴経験

スキル

プロフィールのスキル&スキル推薦セクション、スキルに関連する文章、推定スキルに基づき、特定分野の専門知識を持つメンバーにリーチします。

ポジション

勤務する会社でのポジションに基づきリーチします。

社会人経験年数

キャリアを通した長年の専門的な経験に基づきリーチします。空白期間は経験の計算に含まれません。重複するポジションはいずれかのみ計算に含まれます。

職務タイプ

職務に基づき、共有のタスクや業務を担当するメンバーにリーチします。

職務レベル

現在の職務に基づき、影響力のある階級またはレベルのメンバーにリーチします。

趣味・特技

グループ

同じLinkedInグループに所属することで、関心や職能団体をシェアしているメンバーにリーチします。

関心

ビジネス関連の興味に基づき、メンバーにリーチします。

参考:LinkedIn 広告のターゲットオプションについて | マーケティングソリューションズヘルプ 

ターゲットとして設定したいオーディエンスが少なすぎる場合は「オーディエンスの規模が小さすぎるためキャンペーンを立ち上げることができません。」とアラートが表示され、設定を進めることができません。実際の管理画面で試したところ、少なくとも500以上のオーディエンスボリュームあれば設定可能です。

LinkedIn広告の注意点は?

まだまだ広告運用経験のある方も少ない媒体ですので、ここでは私が実際にLinkedIn広告を運用した中で感じたポイントをお伝えします。

「ターゲティング言語」は日本語だけでは不十分

ターゲティング言語を「日本語」に設定すると、日本にいるけれどもプロフィール言語を「英語」に設定しているユーザーには、広告が表示されません。一方でLinkedInはグローバルに分け隔てなくコミュニケーションが可能なサービスであるため英語で利用しているユーザーも少なくありません。その地域のすべてのユーザーにリーチするためにデフォルト言語として英語を選択することで、漏れなく配信ができるようになります。

参考までに地域を日本、ターゲティング言語を「英語」「日本語」に設定した際のオーディエンス数を以下に添付します。

「地域:日本、プロフィール言語:英語」で設定した場合のオーディエンス規模
「地域:日本、プロフィール言語:日本」で設定した場合のオーディエンス規模

※2020年2月時点

デバイス別の調整やレポートの確認ができない

管理画面でデバイス別の配信データを確認することもできません。そのため、どのデバイスで見てもユーザーが受け取る情報に差がないよう、リンク先ウェブサイトの表示内容を整えるなどの注意が必要です。

1つのキャンペーンに1つの広告フォーマットしか設定できない

もし同じターゲティングに複数の広告クリエイティブを表示させたい場合は、同じターゲティングのキャンペーンを複製して、それぞれのキャンペーンに異なるフォーマットの広告クリエイティブを設定する必要があります。(補足:LinkedIn広告には「広告グループ」という名称がなく、「キャンペーングループ>キャンペーン>広告」という構造で広告を管理します)

一度キャンペーンに紐付けたLinkedInページは変更できない

LinkedIn広告を配信するためには、LinkedIn広告アカウントとLinkedInページの紐付けが必須となります。ただし一度キャンペーンに紐付けたLinkedInページの変更はできません。

紐付けるLinkedInページを変更したい場合は、新しくキャンペーンを作成する必要があります。複数のLinkedInページを管理している場合は紐付けの際に注意してください。

BtoB商材では特に重宝

BtoBの商材では広告の配信先やターゲティング手法が限られ、有効なものを常に探していることも多いのではないでしょうか?ビジネス用途に特化したプラットフォームはそれだけでBtoB商材の広告用途に向いている数少なく重宝する媒体です。

またLinkedIn広告は2017年頃から広告サービスのアップデートが定期的に続いており、LinkedIn社としてもプロダクト改善に尽力されている様子が伺えますね。

参考:LinkedIn 広告製品のアップデート | LinkedInヘルプ

広告配信機能がこれからさらに充実していきそうです。今後のLinkedIn広告の展開にも期待したいと思います。

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