2022年10月のイーロン・マスク氏による買収で、Twitterに大きな注目が集まっています。
同氏は今後のTwitterの方針についての構想を語っており、実行されたいくつかの変更では話題や混乱を引き起こしています。広告の領域では「今までと全然違う!」と衝撃を受けるような変化は、現時点ではまだ見られていません。
むしろ体制変更後もTwitter広告は進化しているので、今後変化があった時にすぐ対応できるよう、現時点で何ができるのかを把握しておきたいですね。
本記事では、2022年のTwitter広告のアップデート情報のうち、特に重要だと思われるものをピックアップしてご紹介します。
ターゲティング/クリエイティブのアップデート
自動ターゲティング(現:最適化ターゲティング)提供開始
オーディエンス拡大モデルの設定オプションとして「自動ターゲティング」の提供が開始されました。
設定済みのターゲティング範囲を超えて、キャンペーンの目的や目標を実行する可能性が高いオーディエンスに配信することができる機能です。「アプリのインストール数」と「ウェブサイトの訪問者数」を目的とするキャンペーンで利用できます。
広告の配信先が増えるので、インプレッションが増えてそれぞれのツイートの成果判断サイクルも早めることができるでしょう。今のターゲティングをベースに、もっとリーチを拡大したいという方にオススメです。
カルーセル広告で、画像と動画の共存が可能に
ひとつのカルーセル内で、画像と動画を共存させることができるようになりました。
画像と動画を同時に見せることで、たとえば画像ではキャンペーンの訴求をして動画では商品の使い方を紹介するなど、表現の幅が広がりますね。
他にも、商品の写真と制作過程の動画を同時に見せることで、ブランドストーリーを伝えるなどこれまでとは違ったアプローチも期待できそうです。
コレクション広告提供開始
コレクション広告は、メインの画像1つと、その下に最大5つの小さなサムネイル画像を表示することで商品を紹介できるフォーマットです。
それぞれの画像で異なるランディングページに利用者を誘導することもできるので、複数商品を扱うECサイトなどと相性が良さそうですね。
Twitter社によると、初期テストでは単一画像のウェブサイトカードと比較して、平均クリック率が42%、インプレッションごとの平均コンバージョン率が54%増加したそうです。
ダイナミック商品広告(DPA) 提供開始
ダイナミック商品広告は、適切な利用者に適切なタイミングで商品を宣伝して、売上やコンバージョンを増加させることができる広告です。
広告主のウェブサイトでカート追加や閲覧といったアクションを起こしたが、まだ購入に至っていない利用者をターゲティングし、その商品の広告を配信
DPA見込み顧客ターゲティング
ウェブサイトへの訪問歴がない利用者に対し、関連性の高い特定の商品の広告を配信
初期のテストでは、広告主の顧客獲得コストは30~88%削減されたという結果も出ているようです。
Criteoといったダイナミック広告を利用されている広告主にとって非常に魅力的な広告タイプですね。
フォロワー獲得広告のフォローカードがより反応を得やすいフォーマットに
従来のフォローカードは、アイコン画像やアカウント情報、およびメディアにはプロフィールに設定された背景画像が自動的に表示され、テキスト以外の要素は広告管理画面で編集できませんでした。
これに対し新しいフォローカードでは、アイコン画像やアカウント情報などは削除され、カードに利用するメディアを任意の素材に設定できます。
フォローのボタンも大きくタップしやすくなったため、フォロー率の向上も見込めそうですね。
効果測定・最適化ソリューションに関するアップデート
最適化の目標に「サイト訪問数最適化」が追加
2022年の1月末に、配信の最適化の目標として新たに「サイト訪問数」が導入されました。
似たような目標で「リンクのクリック」がすでにありますが、「リンクのクリック」は、Twitter上でのクリック数を目標とする一方、「サイト訪問」はサイトを読み込んだ際の、Twitterウェブサイトタグの読み込みを目標とするという違いがあります。また、課金体系も異なります。
名前 | 最適化対象 | 課金体系 |
リンクのクリック | Twitter上でのクリック数 | CPC課金 |
---|---|---|
サイト訪問 | Twitterウェブサイトタグの読み込み | CPM課金 |
「サイト訪問」を最適化とした場合、たとえばリンクをクリックしてからページが読み込まれるまでにウェブサイトを離れてしまうケースをカウントせず、よりウェブサイトを訪問する可能性の高い利用者に広告を表示できます。
「ウェブサイトコンバージョン最適化」の提供開始
さらに2022年11月末には「ウェブサイトコンバージョン最適化」の提供が開始されました。
「サイト訪問数最適化」にくらべて、より広告キャンペーンの目的に近いコンバージョンに対して最適化を図るための機能です。
ランディングページ訪問後のアクション(「カートに追加」「購入」「リード獲得」、または「サブスクライバー獲得」)を設定すると、アルゴリズムがより関連性の高いオーディエンスをターゲティングして、その目標を達成する可能性が高い利用者にリーチします。
なお、ウェブサイトでの利用者の行動に合わせた最適化を行うため、「ウェブサイトコンバージョン最適化」ではTwitterピクセルかコンバージョンAPI(CAPI)を使用する必要がある点には注意です。
参考:新登場: 成果と関連性をさらに向上させるパフォーマンス広告ソリューション
「アプリ購入数最適化」の提供開始
アプリインストール後、そのアプリで商品を購入する見込みの高い利用者に焦点を当てて広告を配信することを可能にします。
Twitter社が実施した初期テストでは、89%の広告主が「アプリ内での購入あたりコストの低減を実感した」と回答したそうです。
現在はAndoridアプリにのみ提供されていますが、iOSアプリにおいても現在計画中とのこと。日本ではiPhoneユーザーが多いため、iOSでの提供が待たれますね。
参考:パフォーマンス広告および測定ソリューションの規模を拡大します
コンバージョン APIの登場
サードパーティCookieを介さずに計測する方法が、Twitter広告でもついに提供開始されました。Facebook広告などで導入されている広告主の方も多いと思いますので、Twitter広告を利用されている場合は導入することで成果計測がより正確になるでしょう。
Twitter広告の成果計測に悩んでいる広告主の方にとっても、導入することでメリットも多いですが、実装にはTwitter Ads API へのアクセスと有効な開発者アカウントが必要となります。
技術的な作業が必要となりますので、導入に必要な作業やコストを確認した上で導入いただくのが良いでしょう。
新たに進化したTwitterピクセル
Twitterピクセルに新しい機能が追加されました。これまで計測ができなかった「ショッピングカートへの追加」など多くのイベントが測定できるようになっています。
イベントマネージャーは、広告マネージャーの [ツール] から [イベントマネージャー](旧名称: コンバージョントラッキング)をクリックすると表示されますので、改めて確認してみると良いでしょう。
参考:パフォーマンス広告および測定ソリューションの規模を拡大します
広告管理がラクになるアップデート
広告の一部編集機能の提供開始
Twitter広告のツイート作成画面で、投稿済みのツイートの一部を編集できるようになりました。
これまでも下書きや予約投稿ツイートを公開前に変更することは可能でしたが、このアップデートで投稿済みツイートのメディアやURLを編集することが可能になっています。
ツイートについている「いいね」や「リツイート」を維持できるので、メディアやリンク先URLのみ変更したい場合は、ぜひ活用したいですね。
広告グループ単位で日別予算とスケジュール設定が可能に
これまでキャンペーン単位でしか設定ができなかった日別予算とスケジュールが、広告グループ単位でできるようになりました。
広告配信の目的が同じで、商品やサービスごとに日別予算を手動で管理したい場合は、広告グループ単位で日別予算を設定すると良いでしょう。
一方で、引き続きキャンペーンの最適化を利用して成果が最も高い広告グループに対して日別予算を最適化したいケースもあると思うので、目的に合わせて柔軟に選択していきたいですね。
キャンペーン作成画面内で広告の作成と編集が可能に
Twitter広告の入稿を行う場合、従来のキャンペーン作成画面では、広告は「ツイート作成画面」へ移動し別途作成しておく必要があり、少し使い勝手が悪いと感じる方も多かったのではないでしょうか。
今回のアップデートによりキャンペーン作成画面内に「広告」セクションが追加され、1つのページ内でキャンペーン作成から広告グループ作成、広告作成までを一括して行うことができるようになりました。
Twitter広告「ご利用金額の上限」の設定が日本円で可能に
「ご利用金額の上限」はこれまでドルでの設定でしたが、日本円でも上限額を設定できるようになりました。
ご利用金額の上限を利用すれば、ひとつの予算設定でキャンペーン間の支払い額を管理できます。複数のキャンペーンをまとめてひとつの予算で管理したかった広告主にとって、大変うれしい機能ですね。
まとめ
Twitter社は「2022年はパフォーマンス向上の年」として、最適化モデルやコンバージョンオプション、測定ソリューションなどで数多くのアップデートを実施しました。
これまでのTwitter広告は「アプリインストール」や「リンクのクリック」など、どちらかというと認知目的の広告が多いイメージでしたが、今年は「カートに追加」「購入」など、マーケティングファネルの下部に焦点を当てたアップデートが増えたなと感じます。
クリエイティブ面でも新たなフォーマットが登場して、これまでTwitter広告を実施していなかった企業にとっても検討の余地があるのではないでしょうか。
体制変更後、Twitterが広告プラットフォームとしてどうなっていくのか、今後も目が離せませんね。