2022年1月27日、Twitterは、広告の測定技術向上を目的として以下の3つの新機能を発表しました。
- サイト訪問数最適化
- 集約測定
- イベントマネージャー
この記事では、今回発表された3つの新機能をそれぞれ紹介していきます。
サイト訪問数最適化
今回の新機能では、 配信の最適化の目標として、新たに「サイト訪問数」が導入されました。
Twitter社によるテストの結果、「サイト訪問数」への最適化は、ウェブサイト訪問を目標とする広告主を対象としたテストで既存機能(リンククリック数、コンバージョン)を上回る効果を発揮し、サイト1訪問あたりにかかるコストが平均で31%削減された、との調査結果がでています。
「リンクのクリック」と「サイト訪問」ですが、「リンクのクリック」は、Twitter上でのクリック数を目標とする一方、「サイト訪問」はサイトを読み込んだ際の、Twitterウェブサイトタグの読み込みを目標とするという違いがあります。
また、課金体系に関しては、「リンクのクリック」はCPC(クリックあたりの単価)課金であるのに対し、「サイト訪問」は、CPM(広告1000回表示あたりの単価)課金です。
「リンクのクリック」最適化と「サイト訪問」最適化の違い
名前 | 最適化対象 | 課金体系 |
リンクのクリック | Twitter上でのクリック数 | CPC課金 |
---|---|---|
サイト訪問 | Twitterウェブサイトタグの読み込み | CPM課金 |
「サイト訪問」を最適化とした場合、たとえばリンクをクリックしてからページが読み込まれるまでにウェブサイトを離れてしまうケースをカウントせず、より正確にサイト訪問数を目標とできます。
そのため「サイト訪問数」の最適化は、Twitterウェブサイトタグと「サイト訪問」用のコンバージョンイベントの設定が必要不可欠です。
また、サイト訪問の可能性が高いオーディエンスのデータを正確に測定するためには、前述のクリックIDの技術が不可欠であり、このクリックIDはTwitterウェブサイトタグを実装しなければ発行できません。
ここからは、Twitter広告を経由したウェブサイト上のコンバージョンを計測するために必要な「Twitterウェブサイトタグ」と、「サイト訪問」最適化用のコンバージョンイベントの設定方法を紹介します。
Twitterウェブサイトタグの設定方法
まずは、Twitterウェブサイトタグの設定手順についてです。
1.Twitter広告の管理画面にログインし、「ツール」タブより、「イベントマネージャー」を選択します。
2. 「イベントソースを追加」をクリック
3.「ユニバーサルウェブサイトタグ」にチェックを入れ、「次」をクリック
4.発行されたウェブサイトタグをコピーし、すべてのウェブサイトページの</head>HTMLタグの前に貼り付けます。
これで、Twitterウェブサイトタグの設定は完了です。
「サイト訪問」用のコンバージョンイベントの設定方法
次にサイト訪問をコンバージョンイベントとして設定する方法を見ていきましょう。
1. Twitter広告管理画面より、「イベントマネージャー」を選択。
2. イベントマネージャーを開き、「イベントを追加」をクリック
3. 追加するイベントの詳細情報を入力します。
計測したいイベントを追加していきます。ここでは例として、「全ページ訪問」を指定し、サイト訪問件数を取得するイベントを設定しています。
注意点としては、コンバージョンの種類を「サイト訪問」に設定することです。
コンバージョンの種類としては、他に「購入」、「ダウンロード」、「新規登録」などが用意されていますが、前述の「サイト訪問」の最適化で設定できるコンバージョンイベントはあくまで「サイト訪問」のみであるため注意しましょう。
最後に「保存」をクリックすることで、指定のコンバージョンイベントが記録されるようになります。
広告グループの「目標」で、設定した「サイト訪問」のコンバージョンイベントを設定することで。「サイト訪問」最適化にあたってのすべての設定が完了です。
集約測定
Web広告におけるプライバシー保護の流れを受け、各広告プラットフォームでサードパーティーCookieに依存しない効果測定を実現する技術開発が進められています。
2020年のAppleによるApp Tracking Transparency(以下ATT)のリリース以降、iOSトラッキングのオプトアウト利用者の計測が不可能になったことが、Twitter広告でのパフォーマンス低下に影響していました。
Twitterも、2021年からクリックIDの提供を開始するなど、効果計測の技術向上に取り組んでいますが、今回のアップデートは、2021年に導入した広告効果の測定と配信の最適化の対策をさらに強化する新機能と位置付けられています。
参考:TwitterクリックIDとは?Twitter広告のトラッキング精度向上を図る仕組みを追加
集約測定では、ATTによってトラッキングをオプトアウトした利用者のコンバージョンを、個人を特定することなく計測することが可能になります。その結果、アップデート以前よりも正確なコンバージョン数を把握することができます。
Twitterの発表では、広告主やキャンペーンごとにばらつきはあるものの、この集約機能の実装によって、Twitter広告からのサイト訪問コンバージョンは全体で平均31%向上したとの結果もでています。
AppleのATT実装以降に広告マネージャー上でのキャンペーンパフォーマンスが低下していた広告主の方々も、今後パフォーマンスが改善される可能性があります。
参考:
イベントマネージャー
Twitter広告管理画面のツール内に、新しくイベントマネージャーが実装されました。アップデート後は、ステータス表示機能の実装によって、作成したコンバージョンイベントが正しく計測されているかをすぐに判断できるようになりました。
イベントマネージャー上で確認できる項目は、以下の通りです。
項目名 | 詳細 | |
① | Twitterウェブサイトタグパネル | 実装済みのウェブサイトタグを確認します。 |
---|---|---|
② | Twitterウェブサイトタグ情報 | ユニバーサルウェブサイトタグまたは単一イベントタグのピクセルIDとhtmlコードを取得します。「コードを表示」をクリックすると、htmlをウェブサイトに貼り付ける手順、およびトラブルシューティングに関する基本的な手順が確認可能です。 |
③ | イベントソース | 「イベントソースを追加」より、ユニバーサルウェブサイトタグまたは単一イベントタグのいずれかを新しく設定します。 |
④ | イベント | 「イベントを追加」より、イベントソースで追加したタグで計測するコンバージョンイベントの条件を設定します。 |
⑤ | 名前 | 作成したコンバージョンイベントの名前です。 |
⑥ | タイプ | 作成したコンバージョンイベントのアクションタイプです。以下の5つから選択できます。・サイト訪問・購入・ダウンロード・登録・カスタムイベント |
⑦ | ★ステータス | コンバージョンイベントが正しくトラッキングされているか確認します。 |
⑧ | ★前回の記録日時 | 最新のコンバージョンイベントの日時を確認します。 |
⑨ | ポストエンゲージメントアトリビューション期間 | 広告をクリックしたユーザーに対し、コンバージョンイベントを計測するか期間を設定します。 |
⑩ | ポストビューアトリビューション期間 | 広告を視認したユーザーに対し、コンバージョンイベントを計測する期間を設定します。 |
★…今回のアップデートで実装された機能
なお、「ステータス」毎の定義は以下の通りです。
ステータス | 定義 |
実行中 | 過去24時間以内にイベントアクティビティを検出できている状態です。 |
無効 | ウェブサイトタグがイベントアクティビティを検出できていない状態です。 |
最新のアクティビティなし | 過去24時間以内にイベントアクティビティを検出できていない状態です。 |
「無効」の場合は、なんらかのエラーが発生している可能性があります。以下を参考に設定を見直してみてください。
Twitter ウェブサイトタグが設置できていない
Twitter pixel helperを利用することで、Twitter ウェブサイトタグが対象のURLに設置できているかを確認しましょう。
Twitter ウェブサイトタグの一部をコピー&ペーストし損なってしまっている。
タグをコピーしてサイトに貼り付ける際、一部の箇所が正しくコピーできていない可能性も出てきます。
Twitter ウェブサイトタグが適切な場所に貼り付けられていない
Twitter ウェブサイトタグは、</head>HTMLタグの前の設置が推奨です。他の場所に設置した場合は、タグが正常に機能しない可能性があります。
サイト上の他のJavaScriptタグと干渉してしまっている
サイト別で設置されている他のJavaScriptタグとTwitter ウェブサイトタグが干渉し合った結果、タグが正常に作動しないこともあります。この場合は、サイトの管理者に相談しましょう。
Twitter ウェブサイトタグを設置しているURLが、「最適化目標」で設定しているURL、もしくはクリエイティブで設定しているURLと異なる
サイト訪問を目的とするキャンペーンでは、以下の3つのURLがすべて同一である必要があります。
- Twitter ウェブサイトタグを設置しているURL
- 広告グループの配信最適化で設定しているURL
- クリエイティブで設定していているURL
まとめ
ユーザーの検討度の違いによって、ファネルという形で表現されることがよくありますが、今回のサイト訪問が見込まれるユーザーへの配信機能のアップデートは、検討層へのアプローチとなるミッドファネルに位置しています。なかなかサイトへの訪問者を増やすことができなかった広告主は導入を検討できそうですね。
一方、今回のリリースではあわせて、今後はカートへの商品追加や購入の促進と言ったさらにコンバージョンに近い位置に対する広告配信を最適化する機能を強化していくことにも触れられています。
検討度合いに応じた指標に対し、配信の最適化機能が強化されていくことで、さまざまなケースでよりTwitter広告を活用しやすくなることが期待できますね。