検索広告の世界では、日々新しく産まれる多種多様な検索語句に対して、機会損失をなるべく少なく、かつ効果的な広告表示を行う重要性が高まっています。
ユーザーの検索した語句に対して、適切な広告表示ができるよう、Google 広告ではレスポンシブ検索広告というフォーマットで入稿することが前提です。
本記事ではレスポンシブ検索広告を理解し、上手に活用できるよう概要や仕様・注意点をお話ししていきます。
目次
レスポンシブ検索広告とは?
レスポンシブ検索広告とは、複数パターンの広告見出しや説明文を自動的に組み合わせ、ユーザーにより関連性の高いメッセージで表示できる広告フォーマットです。
レスポンシブ検索広告でできること
レスポンシブ検索広告を使うと、設定した複数パターンの広告見出しや説明文を自動でさまざまに組み合わせ、機械学習を活用することによりユーザーごとに関連性の高い広告を表示できるようになります。従来のテキスト広告との違いは、大きく3つあります。
1.デバイスの幅などに合わせて柔軟に広告文を作成
デバイスの幅に適応した柔軟な広告が作成されるため、さらに広いスペースを使って見込み顧客とメッセージを共有できます。
2.関連性の高い広告文の組み合わせを自動で
自動的にユーザーに最も関連性の高い組み合わせの広告を表示でき、今までの様に広告見出しと説明文の組み合わせを1つ1つ考えなくて良いので時間を節約できます。
3.オークション機会が増える
広告見出しの数が多いと検索語句の一致率が高まりオークションでの入札数が増えるため、既存のテキスト広告では獲得できなかったクリックやコンバージョンを獲得できより多くの見込み顧客にアプローチできます。
レスポンシブ検索広告の入稿仕様
レスポンシブ検索広告は、入稿時に広告見出しや説明文などを複数パターン含めることで、それらを組み合わせてさまざまな広告文を動的に生成することができます。
種別 |
入稿可能数 |
文字数 |
カウント方法 |
---|---|---|---|
広告見出し |
3~15個 |
30文字以内 |
全角および半角カナ:2文字 半角英数記号:1文字 |
説明文 |
2~4個 |
90文字以内 | |
表示URL |
0~2個 |
15文字以内 |
広告見出し
最小3種類~最大15種類の広告見出しを設定できます。2個~3個の広告見出しを順不同で表示します。
説明文
最小2種類~最大4種類の説明文を設定できます。1個~2個の説明文を順不同で表示します。
2018年9月に拡張テキスト広告に広告見出し3と説明文2が追加されたタイミングで説明文の文字数上限が半角80文字から半角90文字に変更されています。
参考:[随時更新] リスティング広告、広告テキストの文字数マニュアル
表示URL
表示URLは、ドメインが自動で入力され、最大2つのパスフィールドを任意で追加することができます。ユーザーがサイト上のどこのページにたどり着くかわかりやすくするのに役立ちます。
表示位置を固定することもできる
さまざまなパターンが作成できると言っても、「一番はじめの広告見出しにはこれを表示したい」や「このフレーズはこの位置には表示したくない」といった要望も出てくるでしょう。レスポンシブ検索広告では、特定の内容の表示位置を固定することもできます。
広告見出しにカーソルを合わせるとピンアイコンが表示され、ピンアイコンをクリックするとどこの位置に固定するかを選択できます。
広告見出し1には固定した広告見出し(この場合「アナグラム」と「アナグラム株式会社」)だけが表示されるようになり固定していない広告文は広告見出し1に表示されなくなります。
説明文も同様に、固定した箇所にのみ表示されるようになります。ただし、説明文2を固定した場合は、そもそも表示されない場合があるので注意が必要です。
特定のテキストを常に広告内に表示したい場合は、広告見出し3と説明文2は表示されないことがあるので、広告見出し1また2、説明文1に固定するようにしてください。
ピンの設定は控えめに
広告見出しと説明文を最大数設定した時に広告見出しを1件固定すると、組み合わせのパターンは大幅に少なくなってしまうため、レスポンシブ検索広告のメリットを十分に活用するためには、ピンの設定は控えめにすることをおすすめします。
レスポンシブ検索広告の入稿方法
広告とアセット→広告タブより「レスポンシブ検索広告」を選択します。
広告見出し、説明文、最終ページURL、表示URL(任意)、URLオプション(任意)をそれぞれ入力して保存します。
レスポンシブ検索広告の入稿画面内で、広告表示オプションの設定も可能なため、必要があれば入力して保存します。
右側に表示できるスマートフォンおよびデスクトップでのプレビューを確認しながら、内容の調整をしていきましょう。
広告の効力(Ad strength)
入稿画面の右上に「広告の有効性」という項目があり、今入稿しようとしている広告見出しや広告文の組み合わせを評価し、入稿画面で効果を向上させるための改善を以下の5つのステータスで提示してくれます。
未完了
低い
平均的
高い
非常に高い
レスポンシブ検索広告を活用するための4つのポイント
レスポンシブ検索広告を作成するにあたり、より活用するための代表的なポイントを4つご紹介します。
1.広告見出しをなるべく多く入れる
広告見出しが多ければ多いほど、Google 広告でメッセージを関連性の高い広告にまとめるオプションが増え、掲載結果の向上につながります。
2.広告見出しのバリエーションは豊かに作成
ターゲットとなるメインキーワードを含めた広告見出し、メインキーワードを含まない広告見出し、商品やサービスのその他のメリット、ユーザーのために解決できる問題、配送や返品についての情報などで作成してください。
3.キーワード挿入機能や広告カスタマイザも活用
キーワード挿入機能や広告カスタマイザを活用することで、より多くの広告文で配信を行うことができます。
キーワード挿入機能、広告カスタマイザの詳細は以下の記事をご参照ください。
4.一意の広告見出しと説明文を追加する.
重複しない広告見出しと説明文を追加することで、自動作成される広告のバリエーションが増え、よりユーザーに適した広告文が表示される可能性が上がります。
また、重複する見出しや説明文をアセットに追加した場合、広告として意味が不自然な見え方になる可能性がある面でも、重複しないように作成することをおすすめします。
参考:効果的なレスポンシブ検索広告を作成する - Google 広告 ヘルプ
レスポンシブ検索広告の注意点
1つの広告グループ内に3つまでしかオンにできない
例えばどうしても狙いたい組み合わせの見出し文があったとして、アセット固定を駆使して入稿しようとした場合、レスポンシブ検索広告は1つの広告グループ内で4つ以上ステータスをオンにできません。
アセットをたくさん盛り込んだ広告文を1つ、アセット固定を駆使した広告を複数同時に運用する、といった運用を行う場合はステータスがオンの広告を3つ以内にする必要があります。
どのアセット・広告文の組み合わせで獲得にいたったのかがわからない
入稿したレスポンシブ検索広告の単位であれば、アセットレポートから広告成果として表示回数やクリック数、コンバージョン数といった指標を通常通り見ることが可能です。
しかし、各アセットや組み合わせてできた広告文の成果として確認できる指標は、インプレッション数のみとなります。
つまり何件クリックされたのか、コンバージョンが付いたのかはアセット・広告文の組み合わせ単位で判別することができません。
そのためレスポンシブ検索広告全体での獲得指標を見ながら、アセットレポート内の掲載結果のステータスと表示回数が多いアセット・組み合わせは、検索語句との関連性が高く、成果に結びついたのではないかという仮説ベースで検証を行う必要があります。
広告の有効性を上げることを目的にしない
Google 広告のヘルプページには以下の記述があります。
広告の有効性は、最適なパフォーマンスの実現のため、Google のおすすめの設定に広告クリエイティブがどの程度基づいているかを示すものです。広告の有効性が高いほど、広告の掲載結果を最大化できます。実用的なフィードバックと組み合わせて広告の有効性を活用すると、広告の掲載結果を改善しやすくなります。
参考:広告の有効性について
注意が必要なのは有効性が高い=Googleおすすめの設定にどれだけ近いかを表す指標で、良い広告・獲得に繋がる広告か否かは関係がないということです。
獲得につながるかどうかは入れているアセット次第で変わる可能性も十分にあり、最小限しかアセットを入れていない広告でも、高い獲得効果がある広告は存在します。
広告の有効性に縛られすぎず参考指標程度にとどめ、顧客からの反応が取れる広告文を探すことに力を注ぐことが理想です。
まとめ
レスポンシブ検索広告では、広告見出しや説明文の数が少なかったり、類似したメッセージの広告文ではGoogle 広告の機械学習を最大限活用することができません。
機械学習を最大限活用するために、レスポンシブ検索広告を入稿する前に、広告をどのようなメッセージでユーザーに届ければよいかをいま一度見直す良いタイミングかもしれません。
こちらの記事を参考に広告文について整理してみてはいかがでしょうか。
参考:クリックを呼ぶ広告文: 広告文改善のための10のチェックリスト
参考:広告文をレベルアップさせる、最低限チェックしたい5つのポイント