ECなどオンラインで商品を見たユーザーがその場では買わず、実店舗に来店して購入するなど、オンラインの広告がオフラインでの成果に繋がることも少なくありません。
ウェブ広告は活用しているもののECなどオンラインで商品を見たユーザーがその場では買わず、実店舗に来店して購入するなどオフラインで行われているサービスの場合どうしても広告の成果を判断することが難しいことはないでしょうか?この場合に役に立つのがオフラインコンバージョンインポート機能です。
本記事ではオフラインで発生したコンバージョンを各広告管理画面にインポートする仕組みから方法をご紹介します。
目次
オフラインコンバージョンとは
ウェブサイトから行う問い合わせや購入とは違い、実店舗での購入などオフライン上でしか行えないビジネスとして重要な行動がオフラインコンバージョンです。
ウェブサイトから行うコンバージョンの一例
オフラインコンバージョンの一例
ウェブサイト上では購入しなかったものの店舗へ来店予約をすると来店予約はウェブサイト上でのコンバージョンとなります。
オフラインコンバージョンインポートとは
来店や店舗での購入などのユーザーがオフラインで行動した実績をGoogle 広告やYahoo!広告にオフラインのコンバージョンとして手動やAPI連携などでインポートする機能です。インポートすることでウェブ上以外での行動を測定することができ、オフラインのコンバージョンを媒体の広告管理画面に反映して測定を行い地域や時間帯ごとなど費用対効果を細かい粒度で確認することもできます。
オフラインコンバージョンをインポートするメリット
オフラインコンバージョンをインポートすると次のようなメリットがあります。
- オフラインの行動をウェブ広告の効果測定のデータとして確認できる
- 地域や時間帯別などの効果検証が容易となり、運用調整もしやすくなる
- オフラインの行動のデータを機械学習を活用した自動入札に使用できる
これらによりオンライン上だけではなくオフラインでのビジネスとして重要な行動を計測できるので、より広告を効果を引きだすことができます。
オフラインコンバージョンインポートの仕組み
Google 広告やYahoo!広告の場合、広告からウェブサイトへのアクセスに繋がったすべてのクリックに、クリックIDと呼ばれる媒体側が各広告クリックに対して発行した固有のIDが付与されます。Google 広告ではGCLID、Yahoo!広告はYCLIDです。クリックに起因するオフラインコンバージョンをトラッキングするには、広告をクリックしたユーザーから収集した顧客情報と一緒にこのIDを保存しておきます。
その後、同じユーザーがオフラインで購入などの「コンバージョン」をしたら、前述した収集した顧客情報に発生したコンバージョンの種類や日時情報など関係する詳細情報を記録し Google 広告やYahoo!広告にインポートすることでどのキーワードから発生したのか、どのターゲティングから発生したのかといった情報が管理画面上で確認できるようになります。
Facebook広告の場合は、メールアドレスや電話番号、住所、年齢など顧客データに基づいてインポートとしたオフラインデータと照合されます。照合の精度はインポートするユーザーの情報が多いほど高まるのでできる限り顧客データをインポートするデータに記載するようにしましょう。
オフラインコンバージョンのインポートをするための事前の設定項目と要件
オフラインコンバージョンをインポートする前に事前に設定する項目があるので説明します。
Google 広告、Yahoo!広告の設定
Google 広告とYahoo!広告ではオフラインコンバージョンを設定するにあたって必要な設定はほとんど同様です。
自動タグ設定をオンにする
クリックID(GCLID、YCLID)とコンバージョンとの紐付けのために必要な設定です。
クリックIDを引き継げるようなサイト側での設定を行う
顧客管理ツールに登録されるまでには、ユーザーは多くのページを遷移しますが、その間クリック情報が失われないように、サイト側でクリックIDを引き継ぐように設定する必要があります。サイトがクロスドメインになっている場合には、特に注意が必要です。Webサイトの管理者やエンジニアとうまく連携をとって対処しましょう。
各クリックIDを見込み顧客情報(リード)と紐付けて保存する
顧客管理ツールにクリックIDとリードの詳細を紐付けた状態で保存しておく必要があります。コンバージョンイベントをインポートする際に必須の設定です。
Facebook広告の設定
オフラインイベントセットを作成して広告アカウントに割り当てます。Google 広告やYahoo!広告とは違いクリックIDで紐付けを行うのではなく、ユーザー自身の情報をもとに紐付けを行うためクリックIDに関する設定は不要です。なお、イベントセットを作成したビジネスへの管理者アクセス権限か、イベントセット自体への管理者アクセス権限のいずれかが必要となリます。
オフラインコンバージョンインポートするの3つのやり方
オフラインコンバージョンインポートは次の3つのやり方があるのでれ説明します。
手動インポート
手動インポートは直接CSVファイルなどを用意し各広告管理画面にアップロードする方法です。
定期インポート(Google 広告のみ)
定期インポートはGoogleスプレッドシートやFTPサーバーと連携することで定期的にアップロードする方法です。
API連携を活用した各パートナーツールからインポート
販売時点情報管理(POS)、顧客管理ツール(CRM)、その他のカスタマーシステムと連携を行い自動でインポートする方法です。実際の店舗で商品を購入するサービスならPOSを利用するなど、最終的に利益につながる行動を顧客が行うタイミングでデータを収集しているツールを活用するのがおすすめです。
オフラインコンバージョンのインポートをする基本の方法
さきほど説明した3つの基本的な設定方法をそれぞれ説明していきます。
手動インポート
1.各広告管理画面からテンプレートとなるファイルを取得します。
Google 広告の手順
「ツールと設定」から「コンバージョン」を選択
アップロードタブから「+ボタン」をクリック
「テンプレートをご覧ください」のリンク先から使用するテンプレートを取得
Yahoo!検索広告の手順
「ツール」から「コンバージョン測定」を選択
「コンバージョン測定」から「インポート」を選択し、「+アップロード」ボタンをクリック
検索広告では新規用または調整用のテンプレートのダウンロードが可能です。
YDAではファイル形式と文字コード別にテンプレートが用意されています。
["YCLID","コンバージョン名","コンバージョン発生日時","1コンバージョンあたりの価値","通貨コード"]などの必要な内容を入力してファイルを作成後、「ファイル名」よりファイルを選択し、アップロード種別を選択した上で実行Facebook広告の手順
「データソース」の「オフラインイベントセット」から、対象のオフラインイベントセットを選択し「イベントマネージャを開く」を選択
「イベントをアップロード」をクリックするとアップロード画面が出てくるので、「サンプルのCSVファイルをダウンロード」からテンプレートを取得
2.必要な要素をテンプレートに記入し各管理画面にアップロード
1行ごとに1つのオフラインコンバージョンが対応しており、各列にコンバージョンと紐づく情報を記載し、各管理画面からアップロードします。
定期インポート(Google 広告のみ)
1.Google 広告の手動インポートと同様の画面からテンプレートとなるGoogle スプレッドシートを取得する
2.必要な要素をスプレッドシートに記入しGoogle 広告管理画面からGoogle スプレッドシートとリンクする
リンクはコンバージョンのアップロードの画面で、ソースをGoogle スプレッドシートを選択し、「既存のGoogle スプレッドシートをリンクします」からリンクするシートを選択します。
API連携を活用した各パートナーツールからインポート
各パートナーツールと連携させる場合は、各広告の管理画面から設定を行うというよりは各パートナーツールから設定や連携を行うため、パートナーツールのヘルプサイトや問い合わせをしてみてください。
なお、パートナーツールを利用しない場合でもAPIを利用してアップロードが行う方法はありますが、開発が関わってくる場合もおおいのでサイト開発担当のエンジニアにご相談してみてください。
各広告媒体のAPIの仕様は下記からご確認できます。
Google
Tracking and Importing Conversions | AdWords API
Yahoo!
APIリファレンス
Facebook
オフラインコンバージョン - マーケティングAPI - ドキュメンテーション
オフラインコンバージョン利用時の注意事項
オフラインコンバージョンは自動入札戦略を使用すると最適化ができますが、オフラインコンバージョンインポートは頻繁に行わないとうまく活用できません。頻度は1日1回のインポートが理想です。
Facebook広告では、オフラインイベントデータのアップロード後に削除または更新することはできないのでアップロード前にできるだけエラーがないようにファイルを用意しておきましょう。
導入のハードルは低くないが大きな恩恵も
オフラインコンバージョンインポートは、インポートするまでの導入に時間やある程度の技術が必要ですが、導入してしまえばオフラインコンバージョンを各管理画面から成果を確認し広告の良し悪しを判断できたり、自動入札戦略を活用してより成果を伸ばすきっかけにもなりえます。
オンライン上で完結しない、あるいはオフライン上のアクションがサービスにとって重要な場合にはぜひ活用を検討したいですね。