「スムーズに、スピーディーに、そして健やかに」新入社員向け研修の設計で大切にしたこと

「スムーズに、スピーディーに、そして健やかに」新入社員向け研修の設計で大切にしたこと

アナグラムでは、2022年頃から採用のワークフローを見直し、現在ではありがたいことに新しい仲間がどんどん増えています。

新しい人が増えるということは、受け入れる会社、部門、チーム、クルーそれぞれにも変化がおきます。新たに同僚になる人、メンターになる人、上長になる人、研修やサポートをつうじてかかわる人。規模の拡大にともなって、新しくチームができたり、部門が新設されたりします。

仲間が増えるのは喜ばしい一方で、拡大にともなう新たな課題も出てくるようになりました。

どの組織でも似たようなところがあると思いますが、未経験かつ社内の様子がわからない新入社員と、ベテランかつ社内や顧客に精通した先輩とでは、見えている景色が違います。その景色の違いは認識や反応の差になり、コミュニケーションのすれ違いに発展しやすくなります。

アナグラムでは、2021年までは新しく入社された方はすぐにチームに配属され、実務をつうじてトレーニングを行う、いわゆる「OJT(On-the-job-training)」を採用していましたので、規模が大きくなればなるほど「隣の部署が何をやっているのかわからない…」「◯◯さんと一度も話したことがない…」といった関係性の希薄化や分断も起きやすくなりました。

「このままではもっと組織が大きくなったときに後戻りできない問題に発展するのではないか」「会社として提供する価値にどんどんばらつきが出てしまう」という危機感から、2022年に採用からオンボーディングまでの一連の流れを見直すことにしました。

見直しの「入社まで」の部分は、こちらの記事で詳しくお伝えしていますのでぜひご覧ください。

この記事では、入社してくれたあとの「オンボーディング」を含む、新入社員研修についてご紹介します。

筆者はチームリーダーを経て、研修プロジェクトの立ち上げから約2年間、研修の責任者を行ってきました。2年間はありがたいことにほぼ毎月新しい仲間が入社してくれていたので、研修期間が終わるたび内容のブラッシュアップも行ってきました。その中で気づいた現時点での最適解をまとめてみたいと思います。

新入社員研修の全体像

アナグラムでは、2022年からそれまでのOJT中心のトレーニングから、入社後の約4週間はチームへ配属せず、集中的にトレーニングとコミュニケーションをとる研修期間と変更しました。2年前の2022年4月から、毎月マイナーチェンジを加えて現在に至っています。

研修は新卒や中途、業務経験の有無に関係なく必ず実施しており、内容は大きく分けて以下の3つの分野に分かれています。

オンボーディング:会社の取り組みや方向性の共有、同僚となるクルーとの交流など

広告の基礎:プロとして仕事をするうえで必須となる、商売や広告に関わる会計の基礎知識、統計情報の取り扱い方、広告と関係する法律や技術など

基盤となるツール:運用型広告のプラットフォームの特徴や仕様、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの基本的なツール、報告やミーティングについて

それぞれの項目についてご紹介します。

「オンボーディング」〜あなたはアナグラムのクルー

転職直後は、どんな人でも緊張します。その人にとってはキャリアの転換点ですし、一緒に働く人たちは知らない人ばかり。場所も環境も文化も、何もかもが違うことが多いでしょう。

そんな中で、社内の雰囲気が「さて、お手並み拝見〜」「こっちは忙しいんだ。新人のことなんか知らん知らん」という雰囲気だったらどうでしょう? 萎縮したり嫌な気持ちになったりして、のびのびと働くことはむずかしいと思います。

そこで、オンボーディングでは入社直後の人になるべく早く会社に慣れてもらうためにクルー同士の接点を持つことを大事にしています。会社の文化や方向性を直接代表から話してもらうことに加え、様々な部署のメンバーとコミュニケーションを取る場を設けています。現場のクルーとして入社しても、業務で直接かかわるコンサルティングやクリエイティブチームだけでなく、経理や総務といったバックオフィスのメンバーとも交流の場があります。

少しでも疑問があったり困ったときにすぐ誰かに聞ける環境は、頼ってきた人に自然と手を差し伸べることができる文化でないと成立しません。あなたはアナグラムのクルーで、ここにいる仲間だと互いに感じとりやすい状況を作るためのオンボーディングです。

研修期間を設ける前は入社後すぐにチームへ配属だったため、自身が所属するチーム以外とのコミュニケーションが少なく、入社してから半年ほど経っていても一度も話したことがない人がたくさんいる、という話を聞くこともありました。一度も話したことがない人に相談できる人は稀です。

オンボーディングを通じて、「研修が終わった頃には社内の全員と一度は顔を合わせたことがある」という状態を作るようにしています。

「広告の基礎」〜配属後にスムーズなスタートを切る

実務に入る前に「どんなスキルが必要とされるか」「どんな視点や知識を身につけるべきか」を知っている状態であれば、配属後にスムーズなスタートを切ることができます。

研修で実施する内容は多岐にわたるので4週間ですべて覚えきれるとは思いません。実務を通じて「あのとき聞いたのはこのことかな?」といったかたちで振り返りやすいように、カテゴリごとに細かくコマ分けし、困ったときにすぐにアクセスできるように資料やシラバスをNotionにまとめています

実際に行っている研修の一部を紹介します。

  • 会計の基礎知識

会計用語の理解や決算書の読み方など、経営分析の基礎的な考え方を身につけ、クライアントの売上や利益を最大化するための要素分析ができるところまで落とし込めるようにします。

参考:広告運用者が知っておくべき会計・ファイナンスの知識

  • CPM/RPMを正しく理解する

広告の表示を決定しているオークションの仕組みやGoogleやYahoo!などプラットフォーム側がどういう意図でシステムを設計しているかを知り、現状分析や機能の見定める能力を培います。

参考:RPM(インプレッション収益)を把握し媒体理解を深めよう

配属されるチームによって担当しているビジネスや取り扱う広告プラットフォームは異なります。それ自体は仕方のないことですが、知らないからクライアントに案内できない、質問されても答えられない、ということが起きないよう、すぐに聞ける仕組みだけでなく、分類された研修資料にアクセスできるようにしています。

「基盤となるツール」〜共通言語を持つ

新入社員研修を始める前のOJTでは、メンターや上司になる人がまず「何をどこまで使えるのか」「何を知っていて、何を知らないのか」を聞くところからはじめていました。

入社後すぐに配属されるので並行してチーム内のミーティングやクライアントとの商談の場に参加する機会も多いものの、会話の内容が理解できず議事録もおぼつかないなんてことも頻繁にあったと思います。

研修期間をつうじて、必要なスキルセットやアカウント作成のシミュレーションなど、ひと通り業務で利用するツールの一連の流れを経験します。

何を使うのか、どこまで必要なのかを知っている状態でチームに配属されれば、配属先でも馴染みやすくもなります。チームメンバーや上司も「研修を経ている」という前提があるので、互いに共通言語を持ったうえでOJTに取り組むことができます。

スムーズに、スピーディーに、そして健やかに

入社直後は誰しも不安です。その不安を可能なかぎり最小化し、スムーズに仕事に取り組めるようにするために研修は機能します。

ちなみに、アナグラムでは新入社員の配属を決めるとき一緒に働きたいと思った人が挙手をし配属が決まります。

参考:挙手制・逆ピラミッド・売上目標なし。独自の仕組みを持つアナグラムで、マネジメント層に求められる能力とは?

「どんな仕事をするか」と同じか、あるいはそれ以上に「誰と一緒に働くか」が大事だという人は多いと思います。

研修期間は、入社した方が「あなたはアナグラムのクルーである」と認識してもらい、活躍してもらうための準備期間であると同時に、各チームが新しい仲間を受け入れるための準備の期間でもあります。

研修の講師はベテランのメンバーが担当することも多く、研修中のコミュニケーションは人事と連携して行います。これにより、なるべく配属後のミスマッチを未然に防ぐことにもつながります。

「研修」というと、「教育して早く一人前の戦力にする」というニュアンスに捉えられがちですが、アナグラムでは「学習の手助けをして、会社の雰囲気に馴染み、スムーズに、スピーディに、そして健やかに働いてもらうための準備期間」です。

広告運用はサービス業である以上、どこまでいっても原資は人です。だからこそ、研修プログラムは会社の未来に投資をするための重要なプログラムですし、そのために日々フィードバックをもらいながらブラッシュアップしています。

次に研修の記事を書くときは、きっとまた違った取り組みをご紹介できると思います。

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