
※2021年3月1日:2021年7月よりフレーズ一致・絞り込み部分一致の仕様変更あり
Google 広告「フレーズ一致」などの仕様変更、「絞り込み部分一致」は廃止へ
リスティング広告において、どのような検索語句で広告を表示させるかを決めるのは登録キーワードですが、それを商材やサービスの訴求対象となるユーザーに向けて広範囲に広告を表示したり、ピンポイントで広告を表示したりと、拡張性を与えるのがマッチタイプの役割です。
マッチタイプの設定を誤ってしまうと、意図なく広範囲のユーザーに向けて広告を表示して無駄なクリックを多く発生させてしまったり、ピンポイントのユーザーにのみ広告を表示することになってしまい、実際には商材の対象となるユーザーを取りこぼしてしまったり、というようなことが起きてしまいます。ターゲットとしたい検索語句を確実に捕えられるようにマッチタイプを活用することが重要です。
今回は、そのキーワードのマッチタイプについて解説します。本記事を通して、目的に応じてどのマッチタイプを選べば良いのかが明確にして頂ければと思います!


Contents
キーワードのマッチタイプは4種類
※キーワードが「女性用 帽子」の場合

キーワードのマッチタイプには4つの種類があります。完全一致、フレーズ一致、絞り込み部分一致、部分一致の4種類です。
キーワードの類似パターンについて
キーワードのマッチタイプは、関連性が限りなく高く、同一内容だと判断される検索語句の類似パターンに対しても自動的に広告が表示される仕様となっています。
全てのマッチタイプで該当する類似パターンは以下です。
- 表記ゆれ
例)「ネコ」「猫」「ねこ」 - 略語
例)「インフルエンザ」と「インフル」、「スマートフォン」と「スマホ」 - 意味が同じで語順が異なる語句
例)「男性用 靴」と「靴 男性用」 - 検索意図に影響しない助詞、接続詞などの機能語
例)「男性用の靴」と「男性用 靴」 - 類義語や言い換え
例)「オートバイ」と「バイク」 - 検索意図が同じ語句
例)「無料素材 画像」と「フリー素材 画像」
上記のような類似パターンにも広告が表示されるため、必ずしもあらゆるキーワードのパターンを個別に追加する必要はありません。
参考:キーワードの類似パターン – Google 広告 ヘルプ
では、それぞれのマッチタイプの詳細を解説していきます。
完全一致
マッチング方法:登録したキーワードと完全に一致する検索語句、もしくはその類似パターンに該当する検索語句の場合に広告が表示されます。
設定キーワード | [女性用 帽子] |
マッチする検索語句の例 | 女性用 帽子 帽子 女性用 レディース 帽子 女性 帽子 |
マッチしない検索語句の例 | 女性用 帽子 おすすめ 男性用 帽子 |
指定した検索語句とその類似パターンに限定して広告を表示できるため、想像した顧客にピンポイントで訴求することが可能です。予算が限られている際などには他のマッチタイプに比べて費用を抑えることもできます。
ただし、想像できていない検索語句で検索するユーザーには訴求できないため、機会損失につながる可能性が高まります。このブログでも度々ご紹介していますが、こちらのGoogle発表のデータを思い出してみてください。
- 検索語句(検索クエリ)が3語以上で構成されている割合 54%
- 過去6ヶ月に検索されたことのない、新規検索語句の割合 20%
- 入札キーワードと完全に一致しない検索語句の割合 70%
※いずれも、2013年、Grow Bussiness with Google & Google Partnersでの発表より。
※スマートフォンの普及・利用加速により上記データが変動している可能性もあります。
キーワードのすべて、あるいは半分でも完全一致だけでまかなうことは到底現実的ではありませんよね。
フレーズ一致
マッチング方法:登録したキーワードと同じ語順の検索語句(フレーズ)とその類似パターンを含む場合に広告が表示されます。
設定キーワード | ”女性用 帽子” |
マッチする検索語句の例 | 女性用 帽子 通販冬用 女性用 帽子 |
マッチしない検索語句の例 | 女性用 大きめ 帽子 |
完全一致よりは表示される検索語句に広がりがありますが、語句の間に他の単語が入った場合には広告が表示されません。
フレーズ一致は、語句の間に他の単語が入ることで別の意味になってしまう場合に活用すると便利です。例えば、「東京 大学(大学名)」と「東京 都 大学(東京都にある大学)」では別の意味となってしまうため、フレーズ一致で登録することで本来のターゲットでないユーザーへ広告が表示されることを防ぐことが可能です。
絞り込み部分一致
マッチング方法: 語順に関わらず、登録したキーワードが検索語句に含まれる場合やその類似パターンに対して広告が表示されます 。
設定キーワード | +女性用 +帽子 |
マッチする検索語句の例 | 女性用 おすすめ 帽子 女性用 帽子 ブルー |
マッチしない検索語句の例 | 男性用 帽子 レディース トップス |
絞り込み部分一致は、登録したキーワードが含まれている場合に広告が表示されるため、フレーズ一致では表示されない、語句の間に他の単語が入った場合にも対応ができるマッチタイプです。
部分一致のように意図しない類義語や関連語に対して広告が表示されてしまい無駄なクリックが多く発生するリスクが少なく、想像できない検索語句へも間口を拡げながらも、運用のコントロールがしやすいというメリットがあります。
絞り込み部分一致の使い方について詳しく書いた下記の記事も合わせてご参照ください。
部分一致
マッチング方法:登録したキーワードに関連性が高いと判断された検索語句に対して表示されます。また、ユーザーの最近の検索内容も考慮に入れられる場合があります。
設定キーワード | 女性用 帽子 |
マッチする検索語句の例 | 女性に人気の帽子 レディース キャップ 帽子 婦人服 |
マッチしない検索語句の例 | ※マッチングのアルゴリズムは適宜調整が図られていると考えられますので、関連性があると判断された検索語句は常に変動する可能性があります。 |
部分一致を使用すると、必ずしも登録したキーワードが含まれていない関連した検索語句に対しても広告が表示されます。他のマッチタイプに比べて最も広告の表示機会が多く、想定外のキーワードで検索しているユーザーに最大限訴求することが可能になります。
しかしキーワードが広がりすぎて、意図していないキーワードでも広告が表示され、購入や問い合わせ見込みの低いユーザーからの広告クリック数が増えてしまう可能性があります。広告が表示された検索語句を頻繁にチェックし、その都度除外キーワードを検討する必要があるため、メンテナンスの手間が必要以上に増えてしまうケースがあります。
下記記事でも部分一致の特性を利用した活用方法について紹介していますので、ぜひ御覧ください。
参考:「部分一致」でまだまだ広がる!マッチタイプの特性を利用したキーワード拡張による検索連動型広告の可能性
マッチするキーワードが複数存在する場合の優先度
ユーザーの検索語句に対して、設定している複数のキーワードがマッチングしうる場合、どのキーワードが広告表示に使用されるのでしょうか。設定の優先順位はおおよそ次のとおりです。
検索語句と正確に一致するキーワードを使用する
まずは、検索語句と正確に一致するキーワードが使用されます。
設定キーワード①:“女性用 帽子”(フレーズ一致)
設定キーワード②:女性用 帽子 安い(部分一致)
この場合、検索語句と正確に一致する、②が優先となります。
正確に一致するキーワードがない場合は、Google社により検索語句との文字列の一致率が高いキーワードが判断されて選出されます。
キーワードが同一の場合は、完全一致のキーワードを使用する
同じキーワードが複数設定されている場合には、完全一致のキーワードが優先して選出されます。
設定キーワード①:[女性用 帽子](完全一致)
設定キーワード②:女性用 帽子(部分一致)
この場合は、完全一致の①が使用されます。
「完全一致 > フレーズ一致 > 部分一致」の優先順位で選出されます。
広告ランクの最も高いキーワードが優先
広告配信の候補になるキーワードがアカウント内に1つしかないことは非常に稀なので、アカウント内の各広告グループで候補の選出が一斉行われます。選出された各候補のうち広告ランクが最も高いキーワードが使用され、広告配信に必要な広告ランクを満たしていれば、実際に広告が表示されます。
広告グループAの設定キーワード①:
[女性用 帽子 人気](完全一致/広告ランク1.0)
広告グループBの設定キーワード②:
女性用 帽子 人気(部分一致/広告ランク1.5)
この場合、②の方が広告ランクが高いため優先されます。
広告ランク算出の要素には入札単価も大きく関わってきます。例えば、完全一致のキーワードに紐づく広告を表示させたい場合に、別の広告グループにそれよりも入札単価が高い部分一致のキーワードがあると、完全一致の広告ランクを上回り、部分一致の広告が意図せず表示されてしまいます。
以上のように優先度が決まります。ただしこれらの優先ルールには例外があります。
優先ルールの例外
品質スコアと広告ランクがより高く、クリック単価がより低いキーワードが使用されることが、まれにあります。
広告グループAの設定キーワード①:
女性用 帽子 人気(部分一致/上限クリック単価10円/品質スコア7/広告ランク7)
広告グループBの設定キーワード②:
[女性用 帽子](完全一致/上限クリック単価15円/品質スコア4/広告ランク6)
本来であれば、検索語句と完全に一致する②が使用されますが、①の方が品質スコアと広告ランクがより高くクリック単価が安いため、この場合は①が使用されます。運用をしていると、他のキーワードの方が関連性が低いと思われるのに、広告の表示に使用されているキーワードに遭遇するケースもあるかと思います。
また、検索語句と一致するキーワードが別々のキャンペーンにある場合、通常なら使用されるはずのキャンペーンが1日の予算によって広告配信が制限されている状態だと、そのキャンペーンのキーワードは使用できないため、別のキャンペーン内のキーワードが使用されてしまいます。単純ではありますが、意外とよくあるケースです。
思い通りに広告を表示できない検索語句がある場合には、これらを一度確認してみることをおすすめします。
参考:同じ広告グループで類似するキーワードを使用している場合について – Google 広告 ヘルプ
マッチタイプを正しく使えているか、検索語句レポートをチェック
どのような検索語句に対して広告を表示させたいかを徹底的に考えてマッチタイプを選び、いざ配信を開始した際には、意図通りにマッチングが図れているか検索語句レポートをチェックして確認します。
参考:最高のキーワード洗い出しツール、検索語句レポ-ト活用術
設定したキーワードと検索語句とのマッチ度をさらに高めるために、除外キーワードの設定は欠かせません。除外キーワードの設定については、以下の記事もご参考ください。
参考:【よくわかる】除外キーワードとは?効果的な選び方や設定方法
まとめ
リスティング広告の成否を決定づける最初の要素は、キーワードのマッチタイプであると言って過言はありません。ユーザーの検索語句を正しくターゲットできれば、広告主のメッセージを表示したいタイミングでユーザーに届けることができます。まずはここがスタートです。マッチタイプを十分に理解してアカウントを構築・運用していきましょう。