※2024年7月:部分一致は「インテントマッチ」へ名称が変更されました。仕様には変更ありません。
※2021年3月1日:2021年7月よりフレーズ一致・絞り込み部分一致の仕様変更あり
※2021年10月12日:キーワードマッチングの仕組みを変更、部分一致のコントロール性を向上
リスティング広告において、どのような検索語句で広告を表示させるかを決めるのは登録キーワードですが、それを商材やサービスの訴求対象となるユーザーに向けて広範囲に広告を表示したり、ピンポイントで広告を表示したりと、拡張性を与えるのがマッチタイプの役割です。
マッチタイプの設定を誤ってしまうと、意図なく広範囲のユーザーに向けて広告を表示して無駄なクリックを多く発生させてしまったり、ピンポイントのユーザーにのみ広告を表示することになってしまい、実際には商材の対象となるユーザーを取りこぼしてしまったり、というようなことが起きてしまいます。ターゲットとしたい検索語句を確実に捕えられるようにマッチタイプを活用することが重要です。
今回は、そのキーワードのマッチタイプについて解説します。本記事を通して、目的に応じてどのマッチタイプを選べば良いのかが明確にして頂ければと思います!
目次
キーワードのマッチタイプは3種類
キーワードのマッチタイプには、完全一致、フレーズ一致、インテントマッチ(旧:部分一致)の3種類です。
キーワードの類似パターンについて
キーワードのマッチタイプは、関連性が限りなく高く、同一内容だと判断される検索語句の類似パターンに対しても自動的に広告が表示される仕様となっています。
全てのマッチタイプで該当する類似パターンは以下の通りです。
- 表記ゆれ
例)「ネコ」「猫」「ねこ」 - 略語
例)「インフルエンザ」と「インフル」、「スマートフォン」と「スマホ」 - 意味が同じで語順が異なる語句
例)「男性用 靴」と「靴 男性用」 - 検索意図に影響しない助詞、接続詞などの機能語
例)「男性用の靴」と「男性用 靴」 - 類義語や言い換え
例)「オートバイ」と「バイク」 - 検索意図が同じ語句
例)「無料素材 画像」と「フリー素材 画像」
上記のような類似パターンにも広告が表示されるため、必ずしもあらゆるキーワードのパターンを個別に追加する必要はありません。
参考:キーワードの類似パターン - Google 広告 ヘルプ
では、それぞれのマッチタイプの詳細を解説していきます。
完全一致
マッチング方法:登録したキーワードと完全に一致する検索語句、もしくはその類似パターンに該当する検索語句の場合に広告が表示されます。
設定キーワード | [女性用 帽子] |
マッチする検索語句の例 | 女性用 帽子 帽子 女性用 レディース 帽子 女性 帽子 |
マッチしない検索語句の例 | 女性用 帽子 おすすめ 男性用 帽子 |
指定した検索語句とその類似パターンに限定して広告を表示できるため、想像した顧客にピンポイントで訴求することが可能です。予算が限られている際などには他のマッチタイプに比べて費用を抑えることもできます。
ただし、想像できていない検索語句で検索するユーザーには訴求できないため、機会損失につながる可能性が高まります。このブログでも度々ご紹介していますが、こちらのGoogle発表のデータを思い出してみてください。
- 検索語句(検索クエリ)が3語以上で構成されている割合 54%
- 過去6ヶ月に検索されたことのない、新規検索語句の割合 20%
- 入札キーワードと完全に一致しない検索語句の割合 70%
※いずれも、2013年、Grow Bussiness with Google & Google Partnersでの発表より。
※スマートフォンの普及・利用加速により上記データが変動している可能性もあります。
キーワードのすべて、あるいは半分でも完全一致だけでまかなうことは到底現実的ではありませんよね。
フレーズ一致
マッチング方法:登録したキーワードと同じ意味の内容を含む場合に広告が表示されます。
設定キーワード | ”女性用 帽子” |
マッチする検索語句の例 | 女性用 帽子 通販冬用 女性用 帽子 |
マッチしない検索語句の例 | 帽子屋 求人 女性 |
「女性」が「レディース」であったり、文言自体に差がある場合でも、同じ意味として解釈できる場合は広告が表示される可能性があります。完全一致に比べ、一致する検索語句の幅を広げることが可能です。
逆に、"東京大学"というキーワードに対して「東京大学」と「東京の大学」と言った具合に、意味が異なる場合は広告表示の対象外となります。
※あくまで例のため、実際の掲載状況と異なる可能性があります
インテントマッチ(旧:部分一致)
マッチング方法:登録したキーワードに関連する検索語句に対して広告が表示されます。 キーワードに関連するユーザーのインテント(意図)、つまり興味や関心、購買移行をGoogle AIによって理解することにより、多様な検索語句とのマッチングが図られます。
より的確に広告を表示できるよう、次のような情報も加味されます。
- ユーザーの最近の検索アクティビティ
- ランディング ページのコンテンツ
- 広告グループ内の他のキーワード(キーワードの意図を詳しく把握するため)
参考:インテント マッチ(旧:部分一致): 定義 - Google 広告 ヘルプ
設定キーワード | 女性用 帽子 |
マッチする検索語句の例 | 女性に人気の帽子 レディース キャップ 帽子 婦人服 |
マッチしない検索語句の例 | ※マッチングのアルゴリズムは適宜調整が図られていると考えられますので、関連性があると判断された検索語句は常に変動する可能性があります。 |
インテントマッチを使用すると、必ずしも登録したキーワードが含まれていない関連した検索語句に対しても広告が表示されます。他のマッチタイプに比べて最も広告の表示機会が多く、想定外のキーワードで検索しているユーザーに最大限訴求することが可能になります。
しかしキーワードが広がりすぎて、意図していないキーワードでも広告が表示され、購入や問い合わせ見込みの低いユーザーからの広告クリック数が増えてしまう可能性があります。広告が表示された検索語句を頻繁にチェックし、その都度除外キーワードを検討する必要があるため、メンテナンスの手間が必要以上に増えてしまうケースがあります。
下記記事でもインテントマッチの特性を利用した活用方法について紹介していますので、ぜひ御覧ください。
参考:「部分一致」でまだまだ広がる!マッチタイプの特性を利用したキーワード拡張による検索連動型広告の可能性
マッチするキーワードが複数存在する場合の優先度
ユーザーの検索語句に対して、設定している複数のキーワードがマッチングしうる場合、どのキーワードが広告表示に使用されるのでしょうか。設定の優先順位はおおよそ次のとおりです。
1. 検索語句と同一の完全一致キーワードを使用する
まずは、検索語句と正確に一致するキーワードが使用されます。
設定キーワード①:“女性用 帽子 安い”(フレーズ一致)
設定キーワード②:[女性用 帽子 安い](完全一致)
この場合、検索語句と正確に一致する、②が優先となります。
2.スペル修正された検索語句と同一の完全一致キーワード
次に優先されるのが完全一致のスペルミスにあたるキーワードです。検索結果で「次の検索結果を表示しています:」というメッセージが表示されるケースを思い浮かべていただければ分かりやすいかと思います。
3. 検索語句と同一のフレーズ一致キーワードまたはインテントマッチのキーワード
完全一致で検索語句と同一のキーワードがない場合には、検索語句と同一のフレーズ一致キーワードまたはインテントマッチのキーワードが優先されます。
例)検索語句「女性用 帽子 安い」の場合
設定キーワード①:“女性用 帽子 安い”(フレーズ一致)
設定キーワード②:女性用 帽子 (インテントマッチ)
この場合、検索語句と正確に一致する、①が優先となります。
4. スペル修正された検索語句と同一のフレーズ一致キーワードまたはインテントマッチキーワード
次に優先されるのが、検索語句と同一のフレーズ一致キーワードまたはインテントマッチキーワードです。
5.検索語句と同一のキーワードがない場合には、 関連性と広告ランクの最適な組み合わせを含むキーワード
検索語句と同一のキーワードがどのマッチタイプにもなく、複数のキーワードがマッチングする可能性がある場合には、広告ランクに加え関連性の最も高いキーワードが優先されます。(以前は広告ランクのみが基準でした)
関連性は、「検索語句の意味」「広告グループ内のすべてのキーワードの意味」「広告グループ内のランディング ページ」を確認して算出されます。
以上のように優先度が決まります。ただしこれらの優先ルールには例外があります。
優先ルールの例外
以下のケースではここまでご紹介した優先ルールが適用されないため注意が必要です。
キャンペーンが予算により制限されている場合
優先されるキーワードを含むキャンペーンが、キャンペーンの1日の予算による制限を受けている場合には優先ルールは適用されず、その次に優先されるキーワードが代わりに使用されます。
広告の表示につながらないキーワードである場合
次のような要因により広告表示につながらないキーワードは優先ルールが適用されません。
- キーワードの検索ボリュームが少ない
- 広告グループのすべてのクリエイティブやランディングページが不承認
- 適切でないターゲティング(例:キーワード「新宿 パン屋」で新宿を地域除外設定している)
参考: Google 広告アカウントの類似キーワードについて - Google 広告 ヘルプ
マッチタイプを正しく使えているか、検索語句レポートをチェック
どのような検索語句に対して広告を表示させたいかを徹底的に考えてマッチタイプを選び、いざ配信を開始した際には、意図通りにマッチングが図れているか検索語句レポートをチェックして確認します。
参考:最高のキーワード洗い出しツール、検索語句レポ-ト活用術
設定したキーワードと検索語句とのマッチ度をさらに高めるために、除外キーワードの設定は欠かせません。除外キーワードの設定については、以下の記事もご参考ください。
参考:【よくわかる】除外キーワードとは?効果的な選び方や設定方法
まとめ
リスティング広告の成否を決定づける最初の要素は、キーワードのマッチタイプであると言って過言はありません。ユーザーの検索語句を正しくターゲットできれば、広告主のメッセージを表示したいタイミングでユーザーに届けることができます。まずはここがスタートです。マッチタイプを十分に理解してアカウントを構築・運用していきましょう。