Google 広告のキーワードマッチングの仕組みを変更、部分一致のコントロール性を向上へ

Google 広告のキーワードマッチングの仕組みを変更、部分一致のコントロール性を向上へ
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Googleは2021年9月23日、検索広告のキーワードマッチングの仕様変更を発表しました。大きく次の2つのポイントを対象としています。

  • フレーズ一致と部分一致においても検索語句と文字列が一致するキーワードを優先するように
  • 一致するキーワードがない場合、広告ランクに加えて「関連性を示すシグナル」を考慮するように

参考:個々の検索に最も関連性の高いキーワードを一致させる - Google 広告 ヘルプ https://support.google.com/google-ads/answer/11180624



キーワードマッチの挙動を予測する難しさ

よく提示される検索に関するデータのなかで、毎日発生する検索語句のうち15%はそれまでになかった新しいものだというものがあります。

これらの検索語句に対応するためには部分一致の活用が有効です。一方で広告を掲載する範囲が広くキーワードとの一致率が低くなりがちなため、本来であれば広告の掲載対象としないユーザーの検索にまで広告が表示されてしまい、費用対効果が合わなくなるケースも少なくありませんでした。

しかしながら広告をより深く検索意図を把握するための改善も行われてきました。Googleは2019年にはユーザーの検索意図を理解するための技術の導入がなされ、部分一致を用いた際に広告を表示したい検索語句とのマッチング精度の向上を図っています。

参考:Understanding searches better than ever before

このような改善に加え自動入札の広がりもあり、マッチングするキーワードの拡大と費用対効果の両立が図りやすく、多くの広告主での利用が普及しているのはみなさんも知っての通りですよね。

部分一致より多くの検索語句に対して関連付けられるその一方で、複数のキーワードが検索語句と一致する場合、どのキーワードを優先するのか、キーワードマッチの挙動を予測するのが難しいケースもありました。

キーワードの一致を用いたコントロール性の向上

キーワードマッチの挙動を予測するのが難しい状況に対して、2021年2月には、完全一致のキーワードは一致条件を満たしている場合に、他のマッチタイプよりも優先されるように仕様が変更されています。

参考:検索広告を目的のユーザーに表示しやすくするために - Google 広告 ヘルプ https://support.google.com/google-ads/answer/10346549

ただし、これまではキーワードの(文字列の)一致により優先されるのは完全一致のみで、一致する完全一致のキーワードがない場合には、広告ランクがもっとも高いキーワードが優先的に広告表示に使用されていました。

この場合、必ずしも広告ランクの高いキーワードがユーザーの検索意図に沿っているとは限らず、広告運用者の意図しないキーワードが広告掲載に選択されてしまうケースもありました。

部分一致・フレーズ一致でもキーワードの一致性を優先へ

今回、検索語句と文字列が一致する完全一致のキーワードがない場合にもキーワードによる広告掲載のコントロールがしやすいようにアップデートがなされました。

部分一致とフレーズ一致であっても検索語句と文字列が一致する場合に他のキーワードよりも優先されるようになっています。

これにより検索語句に対して広告掲載に利用されるキーワードのコントロールがしやすくなりました。

なお、検索語句と一致する完全一致のキーワードが優先されるのはこれまで通りです。

広告ランクに加え関連性を示すシグナルを考慮してキーワードを選定

では、どのキーワードも検索語句と一致しない場合には、どのような挙動になるのでしょうか。

優先順位キーワードの選択される基準
1検索語句と同一の完全一致キーワード
2スペル修正された検索語句と同一の完全一致キーワード
3広告ランクが最も高いキーワード

これまでは「広告ランクが最も高いキーワード」が優先される仕様でした。この仕様の場合、広告掲載を優先するキーワードをコントロールすることはできず、「必ずしも広告ランクの高いキーワードがユーザーの検索意図に沿っていない」ケースが出てきてしまいます。

これに対し、今回のアップデートでは広告ランクに加えて「関連性」を考慮されるようになりました。関連性は、「検索語句の意味」「広告グループ内のすべてのキーワードの意味」「広告グループ内のランディング ページ」を確認して算出されます。

キーワードが選択される流れの変更を整理すると次のようになります。

優先順位これまでアップデート後
1検索語句と同一の完全一致キーワード検索語句と同一の完全一致キーワード
2スペル修正された検索語句と同一の完全一致キーワードスペル修正された検索語句と同一の完全一致キーワード
3広告ランクが最も高いキーワード検索語と同一のフレーズまたは部分一致キーワード
4--スペル修正された検索語と同一のフレーズまたは部分一致キーワード
5--関連性と広告ランクの最適な組み合わせを持つキーワード

なお、自動入札を併用する場合にはこれらのシグナルが参照されることが明言されていました。自動入札の利用有無に関わらず、検索語句との関連性が加味されてキーワードが選択されると考えてよさそうです。

参考:検索広告を目的のユーザーに表示しやすくするために - Google 広告 ヘルプ https://support.google.com/google-ads/answer/10346549

原理原則の理解はスタートライン

運用型広告のパフォーマンスを十分に発揮するためには、今回のようなキーワードマッチングの仕組みのように原理原則を知ることは必要不可欠です。ルールを知らなければ勝てる試合も勝てないですよね。

広告ランクのみが加味されるようになっていたことで、多少アカウントの構造が広告運用者の意図に沿ったものでなくとも、調整がなされていたものが、今回のルール変更により広告ランクが低くとも優先順位が引き上がったことによって、逆にパフォーマンスを落としてしまうケースもありえます。

かといって、部分一致のキーワードを最低限設定して、あとは自動入札に任せようではユーザーの意図に沿った広告の訴求やランディングページの選定など細やかな対応が不十分となり、こちらもパフォーマンスを発揮できないのは、丁寧に広告を運用している方であればあるほど想像ができるのではないかと思います。また、関連性の算出に「広告グループ内のすべてのキーワードの意味」「広告グループ内のランディング ページ」を利用することからも、広告アカウントの構造が意図した広告運用ないしパフォーマンスに直結していくと考えられますよね。

原理原則の理解はスタートラインに過ぎません。環境の変化に応じてパフォーマンスを出していくのが至上命題の広告運用者としては、原理原則を活用できてこそいい仕事ができるのではないかと考えています。

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