運用型広告で陥りがちな100個のミス(3/3)

運用型広告で陥りがちな100個のミス(3/3)

運用型広告で陥りがちなミスを100個まとめてみました。

ここまで広告配信をスタートするのに欠かせないアカウントやキャンペーン、広告などで陥りがちなミスをたくさんご紹介してきました。しかしながら、まだまだ重要なポイントはたくさんあります。正直、100個では収まりきりません。

今回は広告運用における成果改善の土台となるコンバージョン計測や、掲載を開始したあとの日々の広告運用業務で陥りがちなミスをお送りします。

こんなミスありえるの?と感じるものもあるかもしれませんが、いずれも見たり聞いたりしたものです。※すべて私がやらかしたミスというわけではありません(念のため)


目次

コンバージョン計測編

続いて、コンバージョン計測に関するミスを紹介していきます。

70. コンバージョンタグが正しく設定できていない(全媒体)

コンバージョンタグが正しく設定できておらず、正確にカウントできていないことがあります。以下のようなことがあります。

  • タグマネージャーの正規表現が間違っている
  • 多数のタグマネージャーや広告タグ入っている影響でタグの実行が遅延している
  • タグが誤って二重に実行されてしまっている

特に部分的にコンバージョンが計測されていなかったり、ダブって計測されていたりするのは、一見コンバージョンが上がっているように見えるので気がつきづらいです。

可能であれば配信前に正しく設定できているか確認をおすすめします。

  • 正規表現はデバッグを行う
  • コンバージョンテストを行い、タグマネージャーのプレビューモードで適切に挙動しているか確認
  • 広告管理画面上で正しくカウントされているか確認

以下ブログにも詳しいので参考にしてみてください。

71. 売上につながらないコンバージョン地点(全媒体)

よいコンバージョン地点とは、そこさえ突き詰めれば、より上位の目的が達せられる、ボーリングのセンターピンのような機能を果たします。

しかし、例えば、目的「売上 / 利益の最大化」に対して、コンバージョン「クリック数」としてそれを最大化させても、必ずしも目的とする売上 / 利益は増えません。なぜなら、クリック後の離脱や、そもそもの誤クリックなどのノイズが多く、売上 / 利益に対する因果関係は薄いからです。

また例えばコンバージョン「資料請求」としても、資料請求をされるはいいものの、その後の顧客フォローをしていないために、成約に結びつかないケースなどもあります。せっかく広告費を掛けても目的が達成できずもったいないことになります。

売上につながらないコンバージョンになっていないかは特に広告の企画・初動段階では注意したいところです。

72. コンバージョン|キャンペーン固有のコンバージョン目標(Meta広告の場合、広告セットのコンバージョンイベント)を間違えている(Google 広告 / Meta広告)

Google 広告やMeta広告では、目標とするコンバージョン(資料請求、購入、会員登録など)をキャンペーンごとに選択、最適化およびレポーティングの対象とすることができます。

こちらを意図とは違う設定にしてしまうミスが起こります。例えば、別のキャンペーンからコピー&ペーストして作成した際などに、該当キャンペーンの目的が異なっていたなど。

目標を間違えると、キャンペーンに表示されるコンバージョン数がズレる、入札やターゲティングの最適化が進みづらくなるなど、さまざまなデメリットがあります。数字に違和感をおぼえるときは、キャンペーンごとの目標とするコンバージョンが間違っている可能性も考えてみるといいでしょう。

73. コンバージョンのカウント方法が目的に合っていない(Google 広告, Yahoo! 広告)

コンバージョンには2種類あります。

  • 初回コンバージョン(ユーザーあたり1回までカウントする)
  • 全件コンバージョン(全回数をカウント)

目的に応じて適切なコンバージョンの種類は異なります。

例えば、新規顧客の獲得が目的の場合は、初回コンバージョンが適しています。

一方、新規顧客/既存顧客を問わず、とにかく売上を伸ばす目的なら、全件コンバージョンが適しています。 

目的と設定が食い違うと、判断を誤ってしまいます。

例えば、単品リピート通販で新規顧客の獲得が目的なのに全件コンバージョンを設定すると、実態よりも多くのコンバージョンがカウントされてしまい、投資判断を誤ってしまう可能性があります。

初回コンバージョンと全件コンバージョンは目的に合わせて使い分け、正確に設定するようにしましょう。

74. 複数のFacebookピクセル間でイベントの種類が重複している(Meta広告)

Meta広告でイベント計測する場合は、該当するページにピクセルコードとイベントコードとを設定します。

  • ピクセルコード
  • イベントコード(購入完了)

広告代理店が複数社入っている場合などMeta広告アカウントA, B, Cの3つある場合、ピクセルコードもA, B, Cの3つにまたがります。以下のように設定するかもしれません。

  • ピクセルコードA
  • イベントコード(購入完了)
  • ピクセルコードB
  • イベントコード(購入完了)
  • ピクセルコードC
  • イベントコード(購入完了)

このとき注意が必要で、Meta広告アカウントAの広告でコンバージョンすると、3件分のコンバージョンが重複してカウントされる可能性があります。なぜなら、イベントコードはデフォルトの設定だとピクセルコードA / B / Cを識別せず発火するからです。

ピクセルのイベントをtracksingle機能を利用すれば、ピクセルコードAから発火したときのみイベントコードAを発火させることができるようになります。

参考:Meta for developers | Metaピクセル | 詳細

複数のMeta広告アカウントがある場合は、念のため適切な設定になっているか確認するといいかもしれません。

75. ポストCookie時代の計測の仕組みへ対応できていない(全媒体)

iOSにおいてモバイルアプリは、ATT(アプリやウェブサイトをまたいだ計測での決まり)やITP(Cookieの利用制限)が課せられており、各媒体プラットフォームでは対策が講じられており、広告主に必要な対応がいくつかあります。

  • ドメイン認証 / 合算イベント測定(Meta広告)
  • 手動詳細マッチング / CAPI(コンバージョンAPI) / 拡張コンバージョン(Meta広告 / Google 広告 / LINE広告など)

※2023年5月末より、合算イベント測定などイベントの設定に関連する目的でのドメイン認証は不要となりました

参考:Metaの合算イベント測定について | Metaビジネスヘルプセンター

他の理由でビジネス認証にドメイン認証が必要となるケースはこちらをご参考ください。

コンバージョン計測の漏れを減らすことで以下のような様々なメリットがあります。

  • トラッキングの正確性が上がる
  • 最適化のシグナルが増える

特にMeta広告 / LINE広告は、Facebook / Instagramアプリ配信面への依存度が高いプラットフォームであり、ATT / ITPによるデータ欠損の影響が大きいと推測されています。そのため、優先度の高い対応をおすすめします。

以下ブログでも詳しく説明しているのでご参考になさってください。

 

アトリビューション編

続いて、コンバージョンのアトリビューションに関するミスを紹介していきます。

76. 特定の媒体を過小・過大評価してしまう(全媒体)

購入履歴のある既存顧客の混ざった配信と、新規顧客に向けた配信とでは、広告の役割が異なるため、同じCPAで測ってしまうと過剰投資 または 機会損失になるリスクがあります。

例えば既存顧客の割合が高いCriteoと、新規顧客にリーチできているGoogle検索とが同じCPAだとすると何かがおかしい。CriteoはもっとCPAを抑える必要があるし、Google検索はもっとCPAを許容しその分、件数を拡大した方がいいかもしれません。

このように媒体ごとの配信の役割に応じてCPAに傾斜を掛けると成果が改善することがあります。

また、昨今だと媒体ごとのデータ欠損も加味するといいと考えます。

例えば、Twitter広告においてITP対策は現時点で取られていないため、コンバージョンが欠落している可能性があります。(例えば、Twitterアプリ→Safariとブラウザを切り替えた場合、Cookieが引き継がれずデータが欠損します。)実際に、媒体管理画面上でコンバージョンが上がっていないのに、Google アナリティクスで見ると成果が出ているケースもあります。

完全な効果計測は不可能ですが、配信の目的、アクセス解析ツール上の数値、各媒体のデータ欠損などを加味しつつ、成果の出るバランスを模索することが重要だと思います。

77. 広告管理画面のコンバージョンを過信しすぎている(Google 広告, Meta広告)

広告管理画面上のコンバージョンは、Google 広告のYouTubeキャンペーンや、Meta広告ではビュースルーコンバージョンも含まれたものがデフォルトとなっているケースがあります。また、Google 広告ではデバイスを跨いだコンバージョンについては推定コンバージョンも含まれています。そのためアクセス解析ツール上の数字や、実売数と比べて乖離が生まれることがあります。

まず仕様を知っておくこと、広告管理画面のコンバージョンを過信しないことが重要です。

例えば、Google 広告のYouTubeキャンペーン、Meta広告は、デフォルトの設定だとコンバージョンに以下ビュースルーも含まれます。

  • 動画アクションキャンペーン:動画広告が10秒間以上視聴されてから3日以内にコンバージョン
  • Meta広告:ビューから1日以内

(※変更可能)

この仕様は、Google アナリティクスとの乖離の原因となりえます。アクセス解析ツールだと計測はセッションベースであり、ビューは計測できないからです。

また、ビュースルーコンバージョンと、既存顧客を含むリターゲティングの組み合わせには要注意です。コンバージョンが好調に見えても喜ばないでください。広告を出しても出さなくても買ってくれた方が含まれています。極端な話そのコンバージョンは「購入前の3日以内にYouTubeを開いた既存顧客」の数なのかもしれません。そうすると、いくらコンバージョンが増えて見えても売上 / 利益は増えません。こういったまやかしの数字には要注意です。

※なお、ビュースルーコンバージョンは一概に悪ではありません。実際にYouTube広告で知った商品を、別ブラウザで調べて購入するケースはあり、コンバージョンに含めた方が正確ですし最適化のシグナルも増えて良いと思います。

日々の広告運用編

続いて、日々の広告運用に関するミスを紹介していきます。

78. 配信ペースを間違える(全媒体)

事前に約束していた予算を超えてしまうミスが起こってしまうことがあります。

しっかり約束を守れるよう管理 / 運用するようにしましょう。

毎日広告管理画面を見て、「残予算÷残日数」(日割で何円利用するといいのか)を見ながら配信ペースを調整すると、ミスを減らすことができます。

また、予算ペースが早すぎるときはアラートが飛ぶ仕組みを取り入れるのも効果的です。

79. キャンペーンの1日の予算が、設定金額の200%まで超える可能性があることを知らない(Google 広告, Yahoo!広告, LINE広告)

キャンペーンの1 日の予算を設定し、急激すぎる費用利用を防ぐことは、予算やCPAを調整するために重要です。しかし、設定した予算を大きく超えて、急激に費用を利用しすぎてしまうことがあります。

なぜなら、キャンペーンの1日の予算は、1日に利用する上限ではなく、Google 広告 / Yahoo!広告 / LINE広告は一日の予算の200%まで利用する可能性がある仕様となっているからです。(Meta広告は125%)

キャンペーンの1日の予算をあてにしすぎず、設定した金額の200%まで利用する可能性がある前提で、配信計画を考えるようにしましょう。

80. 予算の大幅な未達(全媒体)

事前に約束していた予算を利用できないミスです。

CPAを守りながらだと、どうしても費用を利用しきれないことはあります。しかし、事前の相談なく、例えば利用すると決めていた予算の50%しか使えませんでした…となると、顧客や上司の信頼を損ねかねません。予算を利用しきれない広告代理店は、解約も検討されてしまうでしょう。

色々の手を尽くしているがなかなかCPAが厳しい…そんなときは、早めの相談が大切です月半ばには以下複数のシナリオを添えて相談しておけるといいでしょう。

  • 現状CPA以内だと予算未達になることと、その着地見込み。
  • CPAを引き上げて拡大が見込めるなら、その着地シミュレーション。
  • 未知数ではあるが、残りの予算で検討できる追加のチャレンジ施策。

顧客や上司としても、予算配分の検討が早めにできます。仮にCPAが未達でも、なにか有意義なチャレンジができるかもしれません。

先に言えば説明、後から言えば言い訳です。

早め早めの相談を心がけましょう。

81. 進捗シートの関数が間違っている(全媒体)

エクセルやGoogle スプレッドシートを利用し集計することが多いですが、関数を間違えていると、そもそも現状把握を誤ります。

例えば、手数料込みの予算集計がしたいのにコミッション率を掛けていない。など。

関数の間違いは大きな金額のズレにつながりかねません。

間違いを防ぐためにさまざまなやり方がありますが、例えば以下が有効です。

関数の中に値を直接書き込まない

=SUMIFS(A:A,B:B,"*ブランド*")

見づらくミスにつながりやすいです。

コミッション率・消費税率なども、数式に書き込まず別のセルに記載する形にしておけば、数秒で料率の有無を変更できますし、見やすくミスを防げます。

後から構成が把握しづらく、修正もしにくいです。

文字の色を、値ベタ打ち、関数、別シートから引用した関数とで分ける。

かなり見やすくなりミスを防げます。

コーディングにおけるシンタックスハイライト(テキストエディタで、分類ごとに異なる色で表示する)とやり方は似ています。

検算用のシートを追加する

例えば、キャンペーンごとに足し上げて集計している場合、漏れているキャンペーンが無いよう、検算用のシートで全費用の合計を集計しておき、そことキャンペーンを足し上げた数値が合うかは確認したほうがいいでしょう。

82. 予算の増額余地を相談しない(全媒体)

予算は厳密なものではなく、あえて極端な言い方をすると、顧客や上司がエイヤで決めたものにすぎません。誰も将来のことは正確には分からないのです。予算とはその程度のものなので、好調なときは、予算を絶対と考えて無理に抑制するのではなく、予算を増やせないか検討や相談できるといいでしょう。

例えば本来広告費を月間300万円利用し売上が1,500万円あがるとしたら、広告費を100万円しか利用しないのはもったいないですよね。

83. 目標CPA・ROAS未達(全媒体)

目標とするCPAやROASが未達となってしまうことがあります。

様々な外部要因にも左右され必ずしもミスとは言い切れません。しかし日々の運用で以下を意識できると達成できる可能性は上がるでしょう。

①その日のうちに決着を付ける

CPAやROASは、対策が早ければ早いほど軌道修正が容易です。逆に手を打つのが遅れれば遅いほど、取り返しは付きません。月末の25日から調整をはじめてもCPAが合うことは当然無いです。

②要因をもれなく探りアクションする

  • 媒体
  • 入札
  • ターゲティング
  • 広告クリエイティブ

それぞれに対し、どうすればいいのか考えることで施策の漏れを減らすことができます。

84. 「認知」目的の配信(全媒体)

「コンバージョンが取れなくてもいいので、認知目的で出稿しましょう」という場面を時折目にします。

しかし「認知」で良しとできる前提として「後から思い出して買ってもらえる」が必要ですが、eコマースやウェブサービスの多くは、思い出してもらえませんし、2度とブランドに接する機会もありませんので、前提が成立していないことがほとんどです。

そのため、多くの場合は直接の販売を前提とした目標、つまりCPAやROASで管理した方が適切だと考えます。

そもそも認知目的が引き合いに出されるとき、予算を減らさず広告を出稿することそのものが目的化していることが多いように思います。ビジネスの構造上、広告代理店や広告主側の担当者には、予算を減らしたくないインセンティブが働くことが否定できません。(もちろん組織の評価制度などにもよります)

しかし同じ予算を利用するにしても、「認知」ではなくて例えば「フォロワー獲得」であればストック性があり、「認知」を追うよりも後々に活きるのではないでしょうか。もっと有意義なお金の使い方ができないかは、一度考えてみた方がいいかもしれません。

85. CPAを下げすぎて機会ロス(全媒体)

CPAを下げるのは、コンバージョン数が減ることとのトレードオフです。

低CPAで取れるのは素晴らしいことですが、CPAを下げすぎると、コンバージョン数が減ってしまい、広告の本来の力を発揮できなくなります。

もちろんCPAを下げて改善していくことは重要なのですが、そのせいで規模を損ねているようなら「このぐらいのCPAを許容すればこのぐらい数を増やせそうです」という見立てをもって、相談してみることをおすすめします。

ほとんどの広告主は「目標CPAを厳守した結果10件しか取れませんでした」よりも「事前のご相談の通り目標CPAは超えましたが100件取れました」の方がうれしいのです。

86. 利益の残らないCPA(全媒体)

運用型広告では、目標CPAを設定し、利益を出す、あるいは効率的な顧客獲得を目指します。

一見CPA通りに成果が上がるように思われますが、実際はさまざまな罠があります。例えば広告管理画面コンバージョンは100件あるのに、実際の帳簿上の数字は50件しか無い…というケースは起こりえます。媒体ごとの重複や計測方式の違いなどにより広告管理画面のコンバージョンは実際よりも多くカウントされがちです。

また、リファラル経由の顧客と比べ、広告経由の顧客のリテンションがいまいちで、想定していたLTV(ライフタイムバリュー)を下回ることもあります。

そのため、予算やCPAの設定は、経営的に投資判断可能なギリギリのラインに対しある程度の余裕を持つことをおすすめします。広告費はビジネスや事業フェーズによっては支出の大きな比重を占めることがあり、ギリギリまで攻め過ぎると思いがけず資金繰りに苦しむ場合もあります。あくまで不確実性のある投資と位置づけたいところです。

87. 達成不可能な約束(全媒体)

配信するにあたり、予算 / 目標のシミュレーションを出したうえで、取り組むことが多くあります。

このシミュレーションを、ちょっと背伸びして見せたくなることがあります。

例えば広告代理店にシミュレーションを依頼した場合、受注したいインセンティブが働くので、ちょっと背伸びしたシミュレーションを出してしまうことがあります。それで受注したものの、成果が付いてこずトラブルになった…などよく聞く話ではないでしょうか。

広告主 - 広告代理店間にかぎらず、社内であってもそういう力学が働くことはあります。

そもそも達成不可能な約束をしてしまうと、もちろん広告で期待した成果は出ません。広告以外の計画も狂ってしまいますし、様々な良くない影響が出ます。

ちょっと勇気を出して率直なシミュレーションをお出しして、達成不可能なことは不可能と伝えた方がハッピーになることが多いように思います。

※そもそも運用型広告の正確な未来予測は非常に難しいもので、表示回数やクリックが何%伸びるかなんて分かりません。しかし、「コンバージョンをここから3倍に伸ばせるか?」ぐらいの粒度であれば、何とか答えられたりはします。詳しくは以下ブログでも解説しているのでご覧になってください。

88. 獲得できそうな媒体にチャレンジしていない(全媒体)

限られた予算・期限で結果を出すために「広告媒体選定」は非常に大切ですが、獲得できそうな媒体にチャレンジしていないのはもったいないです。例えば、Twitter広告の実施など全く考えてすらいなかったけれど、やってみたら案外たくさん獲得につながった…のようなケースです。

媒体選定の視点として、以下を押さえておくと間違いづらくなります。

  1. ユーザー数
  2. 商材に合ったユーザーに絞ってリーチできるか
  3. その広告媒体でしか出稿できない配信面があるか
  4. 商材に合ったクリエイティブの表示フォーマットか
  5. 競合他社がやっているか
  6. 工数やコストに対して成果が見合うか

詳しくは以下ブログでも解説していますのでご覧になってください。

89. 1 日の平均予算を頻繁に変更する(全媒体)

運用型広告の多くの媒体では、広告品質・入札・広告のローテーション・ターゲティングなど出稿までの各工程で機械学習 / 自動最適化のアルゴリズムが走っています。

この機械学習の動きを阻害するよくあるケースが、1 日の平均予算を急激に変更することです。

急激な予算変更がされると、安定していた自動最適化に再度学習が掛かります。データを集めるためにリスクを取る挙動となりCPAが急激に上昇するなど、成果が不安定になります。最適化が進むには長いと1-2週間程度掛かることもあり、頻繁に変更してしまうとCPAが悪化してしまう要因になります。

可能なかぎり、徐々に変更を加えていくことをおすすめします。

90. 休日前の新規入稿や大きな変更(全媒体)

運用型広告で新たなキャンペーンを作り新しいターゲティング / 配信面等にチャレンジするとき、その初動の運用にトラブルは付きものです。

予算を想定していたより急激に利用してしまう、意図したターゲティングの挙動になっていない、設定ミスがある……等。これらは開始してすぐにリカバリーできれば大きな問題にはなりません。

しかし気をつけたいのは、金曜日の入稿・運用です。初動が土日に重なってしまい、土日は仕事だけでなく家族のことなどいろいろありますのでPCに張り付いているわけにはいかず、広告管理画面を見る頻度はどうしても減ってしまいます。月曜日に蓋を明けてみると、設定が不適切で予算を急激に利用してコンバージョンも上がっていない…という事故も起こりえます。

そのため、できれば金曜日の新規キャンペーンの入稿は避けて、初動は1-2時間おきぐらいには確認し運用できるよう進められるのが理想です。

91. 自動最適化の機能を活用できていない(全媒体)

各広告媒体には様々な自動最適化機能が準備されています。例えば以下などです。

  • Meta広告の類似オーディエンス(特定のオーディエンスリストに似ているユーザーをターゲティングする機能)
  • Meta広告の自動プレースメント(Facebook / Instagram / オーディエンスネットワーク等の配信先を自動最適化する機能
  • Google 広告の自動入札(目標コンバージョン単価などにもとづき入札をオークションごとに自動最適化する機能)
  • Google 広告の最適化されたオーディエンス(ターゲティングをコンバージョンに基づき自動拡張する機能)
  • Google 広告のP-MAX キャンペーン(検索キャンペーンの補完、YouTube、ディスプレイ、検索、Discover、Gmail、マップなどGoogle 広告配信面への出稿を自動最適化する機能)

各媒体が提供する自動最適化機能は、広告主には開示されていない様々なシグナルも加味するため精度は高く、また機械学習により24時間最適化されるため機会損失も最小限であると推測されます。

例外的に、機械学習任せにしすぎない方がいい場面としては以下などがあります。

コンバージョンが少ない場合

適切なコンバージョンを十分な数シグナルとして読み込ませられない場合は、機械学習もキレイに動かないと推測されるので、ある程度手動でのコントロールが有効な場合もあります。

広告アカウントの初動、予算的にコンバージョンデータが貯められない場合などです。

「コンバージョンの質」をくみ取るのが重要な場合

通話タップや、会員登録などライトなコンバージョンのときは、その後の成約率などを追う必要があるため、一概にコンバージョンを最大化させるだけだと、顧客対応リソースだけかさみ成果が出ないことがあります。そういったケースだと、コンバージョンに現れない質的な部分を手動でコントロールする必要があります。

事前にコンバージョン率の急激な変化が分かっている

前にも書きましたとおり、機械学習は急激な予算変動や、コンバージョン率の変化などトレンド変化に弱いので、そういったときは手動でコントロールする必要があります。例えば大型セールのときは手動で急激に予算を引き上げておいた方がいいと思います。

コンバージョン以外の目標を追っている場合

例えばブランド指名検索での広告掲載枠を守るために1位出稿したいケース等だと、手動入札でコントロールした方がいい場合もあります。

このあたり以下ブログにもまとめていますのでご覧になってください。

しかし、基本的には自動最適化機能は素晴らしいですし、環境さえ整えられれば人間が運用するよりもパフォーマンスが上がります。積極的に活用したいところです。

92. 推奨設定や最適化案を鵜呑みにしている(全媒体)

Google 広告には最適化案という機能があり、Googleの推奨設定に沿って様々な媒体設定をワンクリックで実装することができます。以下のような変更が推奨されています。

  • 部分一致キーワードの追加
  • スマート自動入札への変更
  • P-MAXキャンペーンの導入

Googleの推奨設定は、Googleが各広告アカウントを分析して導き出した成果の出るベストプラクティスであり、基本的にはそれに沿って運用を進めていいのではと考えます。

しかし最適化案は、あくまで業界や事業特性を均して分析した一般論であり、個別のケースを見ると必ずしも適さない場面もあります。

例えば、ブランドイメージに沿ったテキストが重要で、全て広告主がチェックしたうえで配信したい場合、広告テキスト案が自動生成されてしまうと意図に沿いません。

また、最適化案によりキャンペーンの意図が崩れてしまうことがあります。例えば、DSAの適用に注意が必要で、検索広告を「ブランド指名キャンペーン」「一般キャンペーン」とキャンペーンを分けて入札戦略やKPIを別で管理していた場合、「ブランド指名キャンペーン」にDSA追加されてしまうと一般系の検索語句を拾ってしまい、配信意図が崩れてしまいます。

最適化案は参考にした方がいいですが、鵜呑みにはせず自社にフィットしているか考えた上で適用することをおすすめします。

93. 媒体のターゲティング機能を十分に試さない

各広告媒体には様々なターゲティング機能があり、それぞれ異なったシグナル / アルゴリズムで動いているため、それぞれ違った成果が見込めます。

(ターゲティング例)

  • Google 広告|カスタムセグメント
  • Google 広告|購買意向の強いオーディエンス
  • Google 広告|コンテンツターゲット
  • Google 広告|性別 / 年齢ターゲティング
  • Meta広告|類似オーディエンス
  • Meta広告|興味・関心
  • Meta広告|利用者層データ

例えば「カスタムセグメントはやっているがコンテンツターゲットはやったことがない」というのはもったいないので、トライしてみることをおすすめします。

連携ツール編

最後に、連携ツールに関するミスを紹介していきます。

94. 細かすぎるパラメータ設定(全媒体)

計測ツール用のパラメータの粒度を細かくしすぎたせいで、設定・入稿の工数が跳ね上がり、運用の日々の動きが取りづらくなっている場面を、目にすることがあります。

入稿やミスがないかのチェックに時間がかかると、肝心の分析や改善施策にかけられる時間が減ってしまい、成果が伸びにくくなると思います。

媒体ごとキャンペーンごとにぐらいの粒度にとどめ、手動で数十数百のパラメータを使い分ける必要があるようなオペレーションは避けたほうがいいと思います。

95. 一貫性の無い命名規則(全媒体)

集計は計測用パラメータや、キャンペーンの名前に沿って行うことも多いですが、命名規則に一貫性が無いと、集計がしづらいです。

トラブルが起きやすく急に集計が正しくできなくなってしまったりします。またメンテナンスコストも上がり、誤差を探すのに時間がかかってしまいます。

パラメータやキャンペーン名は何となく決めるのではなく、集計時に困らないようにシンプルかつ意味のある命名ルールを決めて運用することをおすすめします。

96. レポートツールのみで進捗をチェックする(全媒体)

レポートツールを利用しているとき、レポートの数値反映が不具合などで一部できておらず、費用の進捗を読み間違えることがあります。

ある媒体のログインパスワードの変更でAPIの再認証が必要になり数値反映されなくなる。ツール側のバグや媒体のAPIの不調などもあります。

例えば予算びったりに着地したと思っていたら、実はMeta広告が先月頭にパスワードを変えた影響で進捗レポートに反映されておらず、その300万円分がまるまる予算超過していた…のようなことが起こってしまいます。

ツールはどうしてもエラーになることはありえるので、ツールだけに頼らず、広告管理画面も毎日ログインし確認することをおすすめします。

97. エディターからのアップロード漏れ(Google 広告, Yahoo! 広告)

Google 広告やYahoo! 広告は、広告管理画面ではなく、エディターアプリを利用しローカル環境で便利に広告文やキーワードを入稿することができます。

しかし…せっかくローカル環境で編集し終えたデータを、アップロードするのを忘れていて、変更が反映されない事故が起こることがあります。

忘れないようにアップロードと、アップロード後は広告管理画面でも変更が反映されているか確認を徹底するようにしましょう。(バグや、媒体管理画面のアップデートにエディターの対応が追いついていないなどで、まれに正しく反映されないこともありえます)

98. Google 広告とGoogle   アナリティクスとの連携ができていない(Google 広告)

Google 広告とGoogle アナリティクスを連携することで、以下のようなさまざまなメリットがあります。

  • Google 広告にてutmパラメータの付与せずともGoogle アナリティクスに詳細データを送信できる
  • Google 広告管理画面で直帰率などGoogle アナリティクスの指標を確認できる
  • スマートリストなど、直帰率などGoogle 広告には無いシグナルも利用し生成されたGoogle ・アナリティクス上のリマーケティングリストを利用し配信できる

連携もすぐに設定できるので、特別な事情がない限りは、連携することをおすすめします。

99. MetaビジネスマネージャでFacebookページ、Instagramアカウントの連携漏れ(Meta広告)

Meta広告では、ビジネスマネージャーを利用し、ユーザー、広告アカウント、Facebookページ、Instagramアカウント、ピクセルなどの管理を行います。

Facebookページをビジネスマネージャーに連携させないと広告出稿ができません。特に広告代理店サイドだと、自社ビジネスマネージャーにクライアントのFacebookページの連携を依頼し忘れていると出稿が開始できないので、忘れず依頼するようにしましょう。

100. Googleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)を連携していない(Google 広告)

店舗があるビジネスの場合、Google マイビジネスとGoogle 広告を連携することで、住所表記オプションやGoogleマップ上に広告を出せたり大きなメリットがあります。

漏れているアカウントがときどきあるので、検討しましょう。

まとめ

運用型広告では本当にたくさんのミスが起こりえます。ミスについて延々と4万文字、書きながら胃が痛くなってくるような記事でしたが、それでも紙幅が足りなかったぐらいです。

ミスを防ぐためには、まずは仕様を知り、理解不足によるミスをなくすことが重要です。本ブログの内容も参考に、「こういったミスが起こりがち」と知っておくだけでもトラブルを減らせると思います。

しかし全てを暗記してチェックリスト代わりにすることは項目が多すぎてできません。

そもそもヒューマンエラーが起こる前提に、作業後には別の角度からの最終確認をし、注意不足によるミスをなくすことが重要です。

また、そもそもミスに気づけるよう、アカウントを見やすく構成したり、心身のキャパシティを確保しておくことも大切になります。忙しくなってくると、ふだん絶対にしないようなミスもしてしまうものです。

ミスを抑える方法は以下のブログにも詳しいので参考にしてみてください。

「自分は大丈夫」と対策を怠るのは、銃弾の飛び交う戦場で物陰に隠れず突っ立っているようなもので、いつか弾に当たって負傷してしまいます。ミスは必ず起こるので、それを抑えるための努力は怠らないようにしましょう。

また、どんなに気をつけてもミスが起こってしまうことはあります。そのときは、すぐに善後策を添えて報告をすることが重要です。早ければ早いほど対策が打ちやすいですし、失う信頼も少なくて済みます。

本記事がみなさんの仕事のミスを1つでも減らし貢献できたら幸いです!

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