Google アドワーズのコンバージョンを目的とした自動入札を導入しない方がいい4つの状況

Google アドワーズのコンバージョンを目的とした自動入札を導入しない方がいい4つの状況

Google アドワーズの自動入札を利用して、これまで以上に大きく成果を伸ばすことができた!という事例は数多く、もはや自動入札を適切に効果的に利用できることは、リスティング広告運用者にとって欠かせないスキルではないでしょうか。

自動入札は、Googleの機械学習を使用して「オークション毎」に入札単価の調整がなされます。また、デバイス、ユーザー属性(年齢・性別)などの入札単価調整比の入力が可能な項目の他、管理画面上で調整ができない例えば次のようなシグナルも自動入札に使用されています。

  • ブラウザ
  • オペレーティングシステム
  • サイトで閲覧したページ数や商品金額
  • 過去にアクセスしたサイトオークションに参加している他の広告主との価格競争力


また、このようなシグナルは複数が組み合わされ入札単価の調整に用いられることもあります。

画像引用元:検索ネットワークにおける自動入札機能の活用ガイド(PDF)

これらは、人間はもちろんサードパーティーの自動入札ツールでは再現ができるものではありません。プラットフォームであるGoogleが提供している機能であるがゆえ可能な仕組みです。その他、自動入札に使用される重要なシグナルは以下よりご確認いただけます。

参考:AdWordsヘルプ「AdWords スマート自動入札について」

私たち人間が毎朝出社してからCPAの安い広告グループの入札をポチポチ上げて…とやるよりも、高頻度かつ高精度な調整を行ってくれるので成果改善が見込めます。

では、入札はすべて自動化してしまうのが、必ずしも良いかというとそうではありません。本来であれば自動入札を用いるべきでない場合においても、盲目的に利用されているアカウントやキャンペーンを目にすることも少なくありません。自動入札が向いていないアカウントやタイミングも存在します。そしてそれは、多くの場合コンバージョンを目的とした自動入札を利用している場合に起こりがちです。

コンバージョンを目的とした自動入札は「スマート自動入札」と呼ばれ、Google アドワーズの自動入札で利用できる入札戦略のうち、コンバージョン数やコンバージョン値に基いて入札を自動化するものです。入札戦略の種類には、目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果、拡張クリック単価があります。

今回は、コンバージョンを目的とした自動入札(スマート自動入札)を導入しない方がいい4つの状況をその理由とともに解説します。

※拡張クリック単価(eCPC)は、-100% から +30% までの範囲で入札単価を調整するに留まり、また、(※注:2017年7月現在では、入札単価の上限は撤廃されています)、最適化の対象となるトラフィックが全体の一部に限られるため、本記事ではおもに「目標コンバージョン単価」「目標広告費用対効果」を中心に話を進めていきます。

1.コンバージョンが少ない場合

コンバージョンに基づく入札戦略は、設定した目標値において、推定されるコンバージョン率から算出して入札単価を動的に調整します。実際の広告配信データから学習してコンバージョン率を予測するため、コンバージョンのデータが多ければ多いほどその予測精度は高まります。


目標コンバージョン単価の場合

具体的には、目標コンバージョン単価の場合コンバージョンが過去30日に30回以上、目標広告費用対効果の場合は50回以上発生していることが推奨されています。

参考:検索ネットワークにおける自動入札機能の活用ガイド(PDF)

なお、ポートフォリオ入札戦略(旧:入札戦略ツール)とは、複数のキャンペーン、広告グループ、キーワードをまとめてグループ化し1つの自動入札を適用できる機能です。キャンペーン構成を変えることなく柔軟に、コンバージョンを確保できるセグメントを作成し、自動入札を導入できます。

参考:入札戦略ツールの使い方、徹底解説

コンバージョンが少ない場合、指定された入札戦略のデータ以外の検索語句単位のデータを利用して、学習初期のコンバージョン率をより的確に見積もるモデルを構築しているものの、コンバージョン単価の変動幅は大きく成果が安定せず、学習期間も非常に長くなってしまう可能性があります。

すぐに成果を出すことが期待されることの多いリスティング広告では、必ずしも自動入札を用いずに、通常の個別のクリック単価もしくは拡張クリック単価(eCPC)を利用してクリック単価をある程度自分でコントロールすることをおすすめします。

なぜコンバージョンが少ないときは、人間が入札した方が良いのでしょうか?それは、人間は管理画面の外の情報を参考に入札価格を決められるからです。「このキーワードは、ユーザーの求めているものとウチの強みとがマッチしていてコンバージョン率がとても高そうだから、1位掲載してみよう」「この広告文は、前に新聞折り込みでやって成果の良かった訴求だからコンバージョンが見込めそう」「この広告のランディングページは男性向けっぽい雰囲気で、ほとんど女性は買わなさそうだ」といった判断です。

これは、例えば顧客への理解、ビジネスのポジショニング、社会情勢、広告文・ランディングページの雰囲気、経験則といった管理画面の外の情報をふんだんに利用した判断です。また、Google アナリティクスなどアクセス解析ツール上のデータも運用の参考にできるでしょう。広告管理画面上のデータは少なくても熟練した運用者であれば十分にビジネスに寄与する的を射た運用は可能です。

その他コンバージョンが少ない場合には、マイクロコンバージョンを設定しそれを最適化目標とすることもの方法の一つです。マイクロコンバージョンとは、コンバージョンに至るまでのある中間ポイントを一旦中間のコンバージョンと定義したものです。例えば以下のようなイメージです。

・ECサイトの場合
コンバージョン:「購入」目標CPA9,000円
マイクロコンバージョン:「購入申し込みフォームページ到達」目標CPA 800円

コンバージョンデータが少ないから自動入札はできない、ではなく期待される成果を出すために広告配信に関するデータをどのように活用できるのかまで含めて考えることが大切です。

2.「コンバージョンの質」をくみ取るのが重要な場合

単純にコンバージョンの最大化だけが目標ではないアカウントがあります。例えば、以下のような指標をKPIとして追っている場合です。

  • コンバージョンが会員登録の場合、登録後のアクティブ率
  • コンバージョンが電話タップの場合、オペレータに繋がってからの成約率

これらの指標を管理画面にリアルタイムに反映させることは、現実的には難しいことも多いです。そのため単純に管理画面のコンバージョンの数値をもとに自動入札を導入して成果が上がっても、実際のビジネスの目的に対する費用対効果が悪化する可能性もあります。

3. 事前にコンバージョン率の急激な変化が分かっている

  • ランディングページのオファーや商品の売り方が大きく変わる
  • テレビCMなど大規模な施策が始まる・終わる
  • セールや特売、キャンペーンなどが始まる・終わる

これらのように急激な需要の変化が見込まれるケースではコンバージョン率が急激に変化します。

前述の通り、目標コンバージョン単価・目標広告費用対効果では、過去のコンバージョン率の傾向を学習して算出した推定コンバージョン率に基づいて入札がなされます。ですので、ゆるやかなコンバージョン率の変化であれば、それに合わせて入札単価を調整していってくれます。ただ、急激なコンバージョン率の変化の場合、コンバージョン率が上がった・下がったと学習し調整がなされるまでにはタイムラグが生じてしまいます。

このようなケースではいったん拡張クリック単価(eCPC)に切り替えて手動で調整を掛けると良いでしょう。データが溜まった段階で再度自動入札に切り替えれば、変化に伴う機会損失を最小限に抑えることができます。

4.コンバージョン以外の目標を追っている場合

  • ブランド指名キーワードの1位掲載枠を守る
  • 認知拡大のためにインプレッションを多くとりたい

このような場合は、コンバージョンを目標としていないためスマート自動入札は導入しない方が良いでしょう。上位掲載であれば「検索ページの目標掲載位置」、インプレッションの最大化であれば「視認範囲のインプレッション単価制(vCPM)」など他の入札戦略を利用することをおすすめします。

成果が悪くなったと誤解されてしまうケース

自動入札が、本来成果を発揮できるポテンシャルがあったのに、早合点で成果が悪くなったと誤解されてしまうケースもあります。以下の項目に気を付けないと、真価に気が付かないまま停止されてしまうことになりかねません。

入札戦略のステータスが「調整中」である

自動入札のステータスが「制限なし」になり十分に力を発揮するまでに、数日~一週間程度かかることが多いです。学習期間はコンバージョンの数が多ければ多いほど短く、予測の精度も高くなります。目標コンバージョン単価では30日間で少なくとも30件以上、目標ROASでは30日間で50件以上のコンバージョンが望ましいと言われています。

入札単価を最適化するのに必要なデータの収集中である「調整中」の期間は、入札を引き上げてセグメント内の様々なターゲティングを試しデータを貯めようとする傾向があり、CPAが高騰することもあります。止めたくなる衝動に駆られますが、もし可能なら「制限なし」になるまでは一旦堪えましょう。

デバイスの入札単価調整比率が適正でない

デバイス調整率とは、PC・スマートフォン・タブレットのデバイスごとに入札単価の調整を掛けられる機能です。ただし、入札戦略が目標コンバージョン単価の場合はその定義が変わり、入札単価そのものではなく、目標コンバージョン単価の値が変更されます。

例えば入札戦略の目標コンバージョン単価が1,000円の場合、モバイルの入札単価調整を+40%に設定すると、モバイル端末の目標コンバージョン単価が1,400円になります。

もし意図せずにデバイスの入札調整が掛かっていた場合、特定のデバイスだけコンバージョン単価が高騰したり極端に目標が低く配信がなされないなど、全体のパフォーマンスが低下する危険があります。今一度チェックすることをおすすめします。

入札戦略の目標値が低すぎる

目標コンバージョン単価が低すぎる場合、コンバージョン率から割り戻したクリック単価が、インプレッションに必要な最低限の入札価格に満たず、配信がシュリンクしてしまう場合があります。目標コンバージョン単価を引き上げて様子を見ることをおすすめします。

なお、以下の方法で過去のコンバージョン単価の平均に基づいた推奨される数値を確認できますので、新たに入札戦略を設定する際などはこちら参照するのがよいでしょう。


キャンペーンの設定画面より(「設定タブ」>「入札戦略」)


ポートフォリオ入札戦略の設定画面より(「共有ライブラリ」>「入札戦略」)

コンバージョンまでの期間が加味されていない

コンバージョンはクリック日にカウントされるので、検討期間の長いコンバージョンの場合は直近のデータはコンバージョン単価が実際よりも高くなりがちです。数日置いておくとグッとCPAが下がっているかもしれません。

厳しく入札単価制限を掛けている

入札戦略の設定の際に、目標コンバージョン単価・目標ROASに入札単価制限を設定していないでしょうか?厳しめに設定していることが真価を発揮できない要因かもしれません。


入札単価制限は、入札戦略の設定画面の[詳細オプション]から「上限入札単価の上限を設定する」「最小入札単価の下限を設定する」にチェックを入れることで設定可能です。ただ基本的には、「上限入札単価の上限を設定しない (推奨)」「最小入札単価の下限を設定しない (推奨)」を選択し、入札単価制限は設定しないことをおすすめします。

まとめ

ここまでリスクについて述べてきましたが、逆に言うとどれにも該当しない状況では、何か特別な事情がない限りは、スマート自動入札の利用を検討して良いでしょう。コンバージョンが2倍になって且つこれまで運用管理に掛けていた時間が半分になる、そのぐらい極端に改善できるケースも少なくありません。担当アカウントの成果が伸び悩んでいる場合なども、ぜひ検討してみてください。

そして、入札単価調整に掛かっていた時間を、人間にしかできない建設的な仕事、例えば、ユーザーのTwitterやFacebookを読みこんでなぜ買っていただけるのか理解を深めることや、新しいクリエイティブを考えてテストすること、新しく獲得が望めそうなターゲティングの切り口が無いか本や雑誌をリサーチすることなどに割ければ、単に入札の精度が上がる以上に良いシナジーが生まれるでしょう。

ただし、自動入札の成果が安定した後も目は離さずに、定期的に推移を追うようにするべきなのは言うまでもありませんね。

また以下のような入札調整以外にも様々な出来事によって成果が著しく変化することもあります。

  • 競合に自社のこれまでユニークだった訴求と同じ訴求で合わせられた
  • 競合の広告出稿が激しくなった
  • コンバージョン計測用のタグがサイトから外れてしまった

こちらも参考:運用型広告の数値に影響を及ぼす意外な外部要因5選

このような場合、変化の要因が何であるかを特定して手を打つ必要がありますよね。自動入札も万能ではありません。あくまで入札単価調整が人間より上手なだけです。

以前私どものブログでピッタリのことを書いていたのでそのまま引用させていただきます。

飛行機にオートパイロットという自動的に操縦をする優秀な装置があることを皆さまはきっとご存知でしょう。ただその場に操縦士が居合わせていない飛行機なら乗りますか?よっぽどの冒険家じゃなければ、100%がNOと答えますよね。それと同じように、リスティング広告を完全に機械に置き換えることなどは、無責任な事だといえます。もちろん、未来のAIがどこまで進歩するかは知るすべもありませんが、自動化がうたわれるこのご時世においても、機械はあくまでもプロの人間の優秀な助っ人に過ぎないといのも現状です。 参考:リスティング広告運用者の「自動化」との付き合い方について

運用型広告における自動化の波との付き合い方についてさらに知りたい方は読んでみてくださいね。

Jyunya Koyama

Jyunya Koyama

アナグラム株式会社 運用型広告エキスパート。 インターネット広告代理店にてリスティング広告の分析・運用を経験後、2014年8月よりアナグラムに参画。健康食品、アパレル、求人、士業、BtoBなど多岐にわたる商材の広告に携わり事業拡大に貢献。

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