運用型広告の業務でミスを最小限に抑えるために意識したいこと

運用型広告の業務でミスを最小限に抑えるために意識したいこと
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運用型広告の現場ではミスが発生することがしばしばあります。失敗は仮説が外れたという意味で何かしら発見がありますが、ミスは基本的にマイナスの要素を多く含みます。

広告主とユーザーのコミュニケーションのお手伝いをしている広告代理店は、広告主のお金だけではなく広告主やユーザーの信頼も預かっています。そのためミスによって意図とは異なる広告配信をしてしまった場合、広告費の点でマイナスになることはもちろん、広告主からの信頼も失いますし、最悪の場合ユーザーの広告主(ブランド)に対する信頼・期待も傷つけてしまう可能性があります。このようにミスを犯してしまうと、単純に金額が云々、以上に多くの代償を払うことになるのです。

これまで施策が成功してきたとしても、たった一つのミスですべてを台無しにしてしまうこともありえます。そのためミスを減らす工夫はとても重要です。本エントリーでは主なミスの要因を3つに大別し対策していきたいと思います。



理解不足によるミスをなくす

Photo by Sharon McCutcheon on Unsplash

仕事を始めたての頃は理解不足によってミスもしがちですが、歴が長くても日進月歩で進化していくこの業界では新しいメニューや機能がどんどん登場したり、内容も日々変わっていったりするため注意が必要です。

仕様を理解する

仕様についての理解が浅いことで、誤った設定をしてしまい意図とは違った配信結果になってしまったり、広告メニューについて誤った内容を案内してしまって迷惑をかけてしまったことなどあったりしませんでしたでしょうか。

そうしたことを防ぐには地道ですが、知識があやしい点があれば公式のヘルプをしっかり読み返したり、各媒体のアップデート情報を追ったりなど、常日頃から適切なソースからの情報収集を習慣づけておくことが大事です。

ミスは共有し合う

先輩たち含む他の人が間違えたポイントは、ヘルプを読んでもわかりづらかったり、管理画面側や操作方法などからも間違えやすい作業だったりと、自分自身も間違えやすいポイントであったりするため注意が必要です。やはりヘルプを読んだだけで完全に理解するのは難しく、失敗談などで他の人の事例を聞くことで、実践に則した具体的な内容も把握できるので仕様の理解も深まります。そのため社内やチーム内などでミスの事例をシェアしていく体制を作っていくことは将来のミスを抑制するための良い対策となるでしょう。

注意不足によるミスをなくす

Photo by Justin Chrn on Unsplash

ミスしないように注意するだけでミスを防げるのであれば、ミスなど発生しません。業務中つねに注意していくことは至難の業ですし、注意の意識が及ぶ範囲も限定的です。そのためミスは注意といった”意識”に頼らず、”仕組み”でもって防いでいくことが重要です。

ミスを犯したら再発防止策を立てる

ミスは繰り返されるもの…ですが、同じミスは繰り返してはいけません。繰り返し起こる同じミスというのはどういうものかというと、過去「今後、気をつけます」で処理したものです。前述の通り意識だけではミスは防げません。ミスを防ぎたいのであればしっかり「仕組み」や「やり方」を変えるといった再発防止策を立てないといけません。

ヒヤリハットをないがしろにしない

ハインリッヒの法則というのをご存知でしょうか?1件の大きな事故の裏には、29件の小さな事故、そして300件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったがヒヤリとした、ハットした瞬間)があるといった法則です。割合が同じであるかはわかりませんが、運用型広告の業務でも筆者は概ね同様だと感じております。大きなミスによる事故を防ぐためには、ヒヤリハット自体の発生数を抑えていく必要があります。

例えば配信前の確認作業中に設定ミスなどを発見したら(ヒヤリハット)、「あぁ良かった」で済ますのではなく、小さなことでも分析と対策をとっていきましょう。なぜそのミスが発生したのか、仕組みとしてミスの芽を摘んでいくにはどうしたらいいか。普段の業務からこうした細かな確認とフロー改善が積み重なっていけば、ミスによる事故の発生を防いでいくことができるでしょう。

違った角度・タイミングで確認する

他の人にも確認してもらうダブルチェックは有効な手段ではありますが、手間もそれなりにかかり、またダブルチェックをするのが人間である限り確認ミスが発生することもゼロではありません。そのため一担当の時点で可能な限りミスを防ぐような工夫が重要だと考えております。

その際に筆者は自分自身でダブルチェックすることをおすすめします。これは自分で2度確認するといった意ではなく、「違った角度・方法で確認する」といった方法になります。

同じ画面ばかり見ていると慣れなのか、なかなか自分自身でミスに気づくことは難しいです。そうした時はちょっと違った角度・環境から眺めてみましょう。

  • エディター上で確認したら、管理画面でも確認する
  • 管理画面で確認したら、検索結果でも確認する
  • パソコンの画面上で確認したら、紙に出力しても確認する
  • 夜に確認したら、朝にも確認する

こうするだけで、これだけでこれまで気づかなかったミスが簡単に発見できたりします。算数の検算に近いです。

キャパシティ不足によるミスをなくす

Photo by Fredy Jacob on Unsplash

管理できていなければミスは発生がします。1つのアカウントでも膨大な量のキーワードや広告を人力でコントロールするケースや、1人で大量のアカウントを運用するケースなど、運用者個人のキャパシティを超えて運用していくことはとても危険です。そのためキャパシティ不足を解消していくことがミスを減らすための一手段となります。

まずは「運用」していける広告アカウント設計を目指す

複雑なアカウント構造になればなるほどミスの発生確率が高まります。キャンペーンや広告、キーワードなど、構成要素が多くなればなるほど確認すべき項目が増え、運用していく際にも管理していく項目が増えてしまいます。

最近ではコンバージョントラッキングを使用しているアカウントであれば、シンプルな構成のほうが広告プラットフォームに対してシグナルを効率よく渡すことができ、スマート自動入札をはじめとした機械学習を用いた自動入札がうまくワークするため、成果も出やすくなるケースが多いです。そのため必要以上に複雑なアカウント構造はパフォーマンスを落とすリスクをはらみます。

まずは「運用」していける広告アカウント構造を設計をしていきましょう。

テクノロジーに頼る

テクノロジーで代替できる業務があれば積極的に活用し、時間的余裕を作り出しましょう。

  • 大量にキーワードを追加しなくても、マッチタイプを工夫すれば少量で済みます
  • 手動でオフにするよりもスケジュール設定や自動化ルールで設定したほうが確実です
  • キーワード、スケジュール、デバイス、など人間が細かく入札をコントロールするよりもスマート自動入札のほうが優秀なケースがほとんどです
  • 多数のアカウントやデータを管理するのであればBIツールでダッシュボードを作ってモニタリングできるようにしましょう

人よりテクノロジーのほうが定型的な作業や反復作業が得意ですし、正確性もあります。ただテクノロジーを使うのも人間、しっかりテクノロジーがワークしているかの確認も忘れずに。

心身ともに健康な状態を保つ

メンタルヘルスは大丈夫ですか?業務過多になっていないですか?寝不足じゃないですか?

短納期で急いで入稿せざるを得ない、確認の時間も充分にとれない、そういった時はミスの発生確率が高まります。そんな時にミスを発生させてしまうとたまったものではありません。まだまだやることが残っているのに、ミスの対応に追われ…、また心身ともに追い込まれまたミスの発生確率が高まる…、まさに負のスパイラル。

キャパオーバーが原因でヒヤリハットや軽度の事故が連続して発生した時は、すぐさま休養をとったり、会社や上司に相談したりするなどをして解消していきましょう。大きな事故を起こしてしまう前に。

それでもミスはなくならないけれど……

運用型広告はテクノロジーが進化したとはいえ人が運用する領域がまだまだ多いです。そのためヒューマンエラーが発生していくことは避けられず、ミスを完全になくすことは難しいでしょう。

ではどうすればいいか。それはミスが発生することを念頭において、致命傷とならないように対策しておくことが大事です。

  • インプレッションシェア損失が発生しない程度で日予算を設定する
  • 休日前など実装後にすぐにチェックできないタイミングでのスタートを避ける
  • 配信前に予めその施策のリスクを整理しておき、配信後にしっかりチェックする

普段から数値などのパフォーマンスをモニタニングしていたり、定期的にSERPsやクリエイティブのチェックをしていく習慣があれば、ミスによる損害は最小限に防げるのではないでしょうか。

これまでミス防止策についていろいろ述べてきましたが、極論を言ってしまえば何もアクションしなければミスなど発生しません。しかし運用型広告でパフォーマンスを改善していくためには継続的にアクションし続けていくことが不可欠です。本エントリーの内容を参考にミスが発生しづらい仕組みや習慣を構築して、どんどんチャレンジしていきましょう。

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