相関関係があるからといって因果関係があるとは限らない、これは統計学の基本だ。だからといってすべての事象の因果関係を証明することは大変むずかしいのですけれど、これまでの経験上でリスティング広告やFacebook広告を筆頭とする運用型広告の数値に影響を及ぼす(意外な?)外部要因を書きだしました。
いずれも再現性のある物として定着してますので、共有します。
目次
天気は運用型広告の数値に影響を及ぼす
最も身近に感じていただける外部要因の一つと言えるのが天気です。晴、曇、雨、雪、雷、台風等など、天気には様々なものがありますが、それらの天気によって人間が起こす行動が変化してくるのは周知の事実です。わかりやすく例えれば、雨の日は若干憂鬱になりますし、少し暗めのトーンの洋服を選びますよね。これは汚れてもいいように、という心理が働いているからです。当たり前ですね。雨の日用の服を持っている人すらいますし、その日のセミナーや飲み会はキャンセルが多くなります。
それだけ心理に直結するのが天気ですから、天気は運用型広告の数値に影響を及ぼすといっても過言ではありません。
特に雨の日の休日には、通常の休日よりも検索数が高まり、アクション率が高まるジャンルが複数存在しています。ヒントは"暇つぶし"と"決済者が世帯主"のものです。
また、天気と近しいもので言えば気温です。暑い、涼しい、寒いなど。気温によって人間の行動や心理は大きく変化します。特に季節の変わり目の大きな気温の変動はアパレル事業と直結します。
これらに限らず、天気や気温は運用型広告の数値に影響を及ぼすことを知っておくことは非常に重要です。Yahoo!などはそれらのデータを当然の如く理解しているでしょうから、こういったサービスも生まれるのだと思います。
参考:Yahoo! JAPANで天気連動型広告の配信開始、地域の気温や天気に合わせた広告を掲載
経済(税、為替、株価)は運用型広告の数値に影響を及ぼす
日本では2014年4月より消費税が5%から8%へ引き上げられたのは記憶にあたらしいですが、その後に起こったことは住宅の買い控えでした。また、直近ではイギリスのEU離脱により、為替や株価が大きな変化をもたらしたのは経済に関心のない方々ですら耳に入っていることでしょう。実際に、税の変化、為替、株価などの経済は、運用型広告の数値に大きな影響を及ぼします。
中でも株価、つまり日経平均と連動するビジネスはいくつか存在しています。ヒントは"金融関連"と"意思決定は自分だけど、実質的な支払いは自分ではないもの"などがわかりやすいでしょう。
また、天気と異なるのは、経済と連動するビジネスの注意点はリアルタイムでの変動があるものと、じわじわと一般世間に反映されていき、長期的に影響を及ぼすものとの2種類あるということです。
「株に詳しい人は運用型広告業界に適性がある」というのは2006年からの私の持論でしたが、そういった方々は情勢を見渡しているという意味合いにおいて、あながち間違ってはないと思います。
※尚、給料日(日本では毎月25日、10日など)が運用型広告の数値に影響を及ぼすというのは至極当然のことなので、ここでは記載していません。
メディア露出(TV、ソーシャル、事故)
当たり前と言えば当たり前ですが、大きな影響力のあるメディアであるTVや、インフルエンサーと呼ばれる方々にソーシャル上で取り上げられる場合、また、予期せぬ事故(消費者団体に訴えられたり、不慮の事故)などによるメディア露出は運用型広告の数値に大きな影響を及ぼします。
これも経済同様に、リアルタイムでの変動があるものと、じわじわと世論に反映されていき、長期的に影響を及ぼすものとの2種類あり、最悪のケースでは二度と回復できないほどの深刻なダメージを与えるケースすらあります。
ソーシャル上は大本を辿ればある程度の発信源を探すことが容易ですが、過去のテレビの露出などを探すのは中々大変だったりします。そんな時は「価格.comテレビ紹介情報」がオススメです。必ずしもすべてを書き起こしているわけではないですが、ある程度の傾向を網羅することが出来ます。
連休は運用型広告の数値に影響を及ぼす
言わずもがなですが、連休は運用型広告の数値に影響を及ぼします。夏の3連休などは露骨に検索数が下がりますし、多くの企業で夏休みをフレキシブルに取れる昨今では8月の中旬はどこの業界もなかなか厳しい状態になることもしばしば。
ただし、これには例外も存在しています。例えば「3連休 × 雨」などでユーザー行動は激変しますし、長期連休は"暇つぶし"には書き入れ時な上に、「長期連休 × 雨」のコンボでその威力は跳ね上がったりします。
いずれもユーザーの心理や行動パターンを想像し、それらターゲットに合わせた適切なアプローチが必要不可欠です。
競合の動きが運用型広告の数値に影響を及ぼす
ここの広告の品質はGoogle アドワーズの管理画面上から確認できないため、広告の品質を表すバロメータとしてシンプルに数値化された品質スコアと置き換えると次の式になります。
検索連動型広告に限って言えば、検索連動型広告の広告掲載順位は ”広告ランク” で決まります。この広告ランクは上記の式で成り立っています。
そして、実際に広告主が支払うクリック単価は上記の式に基づいて決定されます。
これらを元に、実際に広告主が支払うクリック単価は上記のようになるわけですね。
仮に、自身が「クリック単価を引き上げていないにも関わらず、クリック単価が高騰しだしている」状態に陥った場合に先に疑うべきは、次点以降の品質が変動した、入札を強化したなどといった要因によって「次の順位の広告ランク」が向上し、実際のクリック単価を引き上げている、となるでしょう。
となれば、競合の動きが運用型広告の数値に影響を及ぼすことは明白です。検索連動型広告に限らず、Facebook広告などは日本ではユーザーが少ない状態に関わらず、広告主が殺到し、結果的にクリック単価を高騰させているという、世界的に見ても稀な現象が発生したりします。
参考:今更聞けない?検索連動型広告の掲載順位と実際のクリック単価の決まり方
まとめ
失敗を犯してしまった場合、誰もが原因は自分がコントロールできない要因のせいだと考えがちですよね。「天気が…、株価が…」とか、「競合参入が増加している…」とか、「他社に安売りされている…」等など。ただし、思考には正しい順序が有り、こと運用型広告で言えば、これらの外部要因を結論として出すのは思考の最後尾であるべきです。それが正しい思考の順序です。自分原因論で思考できるプレイヤーは強いですよ。
また、過去の経験や実績に頼って、その有効性を考慮せずに、失敗した手法を繰り返すのも、心の安らぎや平穏を得るための常套手段なのかもしれません。これまでに何度もうまくいった方法を繰り返せば、まず周りに非難されることはないし、自分を正当化できる。懸命に努力さえすれば評価され、それで満足というなら話は別だけれど、本当に重要なのは成果をだすことだと理解しましょう。そのために変わることが必要なら、どんなものでも利用すべきです。それが僕らの使命なのだから。