
2016年11月25日に、アタラ合同会社主催のUnyoo.jp Meetup ベスト版が開催されました。
Unyoo.jp Meetupは、2015年から全7回にわたり、運用に関する様々なテーマについて話しあわれてきたイベントです。今回は過去の人気テーマの総集編。
本セミナーは、3部構成です。
- SEOとPPCが寄り添う 「SEOとPPCの共存 -Better Together-」
- データフィードに寄り添う 「運用型広告の転換点を考える」
- トレーニングとマネジメントに寄り添う 「経営者の視点からの運用型広告」
弊社田中が、2.データフィードに寄り添う「運用型広告の転換点」に、弊社阿部が、3.トレーニングとマネジメントに寄り添う 「経営者の視点からの運用型広告」に、それぞれ登壇しました。今回はデータフィードに寄り添う 「運用型広告の転換点を考える」を中心にお話していきます。


目次
データフィードに寄り添う「運用型広告の転換点を考える」
スピーカー
- 田中 広樹 (アナグラム株式会社)
- 川田 智明さん (株式会社フィードフォース)
- 岡田 吉弘さん (アタラ合同会社)※モデレータ
はじめに、データフィードの2016年度11月時点で議論できそうなポイントをまとめるということで、ショッピング広告の現状について話がありました。
ショッピング広告の現状
スピーカー:田中 広樹 (アナグラム株式会社)
ショッピング広告の現状は検索連動型広告最後の砦として、ショッピング広告が台頭してきました。ショッピング広告がどれほど成長してきているかと言うと、とあるECサイトでは過去5年の広告配信手法別の推移を見ると、直近1年ほどでデータフィード広告が全体のコンバージョン数の約20%を占めるようになってきているほどに成長してきています。
広告フォーマットごとにみると、従来のテキスト広告も2016Q1→2016Q2で10%ほど成長していますが、ショッピング広告(PLA)は43%と、従来のテキスト広告を大きく超える成長率になっています。(出典:Merkle’s Digital Marketing Report for Q2 2016)
この成長の要因は、検索パートナーでショッピング広告のクリックシェアが伸びている事が挙げられます。例えば、米Yahoo!の検索結果にはBing AdsだけではなくGoogle アドワーズのショッピング広告が掲載さます。日本でも、検索パートナーでショッピング広告の掲載が拡大してきており、クリックが伸びてきています。
また、最近では(2016年9月中旬ぐらいから)Googleのモバイル検索結果にサムネイル画像が表示されるようになってきており、従来型テキスト広告がますます不利になってくるのでは?と考えられます。
今までは、検索連動型広告といえば、従来型テキスト広告の実施だけでもクリックを得られましたが、競合がショッピング広告を初めた瞬間から、自社のクリックが徐々にショッピング広告に流れていくことが発生します。このような状況の中で、選択としては、「はい」か「Yes」しかないわけです。(はいでも、Yesでもやるしかないじゃないか!)
上記のような、ショッピング広告の現状がある中で、フォードフォースの川田さんからフィードを握ることの重要性についてお話がありました。
フィードを握ることの重要性について
スピーカー:川田 智明さん (株式会社フィードフォース)
Criteo・Googleショッピング広告が出始めた頃、データフィードの中で勝つためには、どうすべきか、と考えていました。
データフィードにおける重要な三大要素はキャンペーン(入札)・タグ・フィードになりますが、勝つためには「全体フローにおける入り口と出口の道筋をしっかり立てること」と、「ボトルネックが何処かをみつけること」ということにたどり着いたんです。
また、闇雲にフィードを作ればいいのかというと、答えは「No」で、作ったものを最適化していく必要もあります。データフィード広告の基本的な考え方は、大きく2つに分かれて、データフィード最適化とキャンペーンの最適化に分かれますが、データフィード最適化は、多くのデータを適切に提供することで表示回数が増えていきます。キャンペーンの最適化は入札管理や予算管理をすることですが、どちらかだけやっても効果は上がりません。なので、入口と出口を整えてあげて、最適化していくことが必要なのです。
また、今後の重要なトピックスとして、データフィードを取り巻く環境は大きく変化することが予想されます。
というのも、Googleショッピング広告が主戦場になり、Criteoはスタンダードな施策になってきました。そして、インフィード×ダイナミック広告がソーシャル広告などで台頭してきましたし、LNEやFacebookなどのメッセンジャーアプリ内での活用や実店舗への誘導施策が萌芽してきています。そうなると、各広告で各フィードを作成していくことは現実的でなく管理も難しくなってきます。そのような広告テクノロジーの発展により、データフィードも「統合管理の時代」に向かうのではないかと思っています。少し先の話にはなるかもしれないですが、どの広告媒体でも共通の商品フィードで管理していくことになるかもしれませんね。
ショッピング広告の現状から、今後の予測までお話されましたが、ここからディスカッションでした。
ディスカッション
スピーカー:田中 広樹 (アナグラム株式会社)、川田 智明さん (株式会社フィードフォース)、岡田 吉弘さん (アタラ合同会社)※モデレータ
岡田:田中さんのお話で、「フィード広告は、やらない理由がない。とにかくやってみよう」というお話でしたね。そして、川田さんのお話では「ただやるだけだとパフォーマンスが上がらないので、パフォーマンスが上がるような導入のポイント」について話していただきました。
「やらない理由はない」けど「ただやるだけではパフォーマンスを最大限に発揮できない」ということであれば、どのようにデータフィード広告を導入していくのがベストプラクティスなのか?ということで、ここからは、いくつかのケースに分けて「どう導入を進めていくのが良いのか?」を3人でディスカッションしていければと思います。
岡田:まず、データの複雑さと量の問題の2軸から考えてみました。データの複雑か否かでみると、
- 「データがシンプル」なものとは単一の帳票で管理できるレベルのもので在庫の概念がないか、合っても販路が決まっているなどのもので、これらはエクセルで対応できる範囲であることが多いと思います。
- 「データが複雑」とは、複数の帳票でないと管理できない構造だったり、基幹システムに制約がある、トランザクションが極端に多いなど、基幹システムにまで手を入れないと難しいものを指します。
データが複雑かそうでないかで対応は変わってくると思いますが、量が多くてもデータそのものがシンプルであればエクセルで対応できます。そうでない、複雑なものは、どうしていくのがいいでしょうか。
川田:あまりに複雑なものは弊社のようなベンダーと協力して実施していく方が良いと思います。代理店さんだとどうしても基幹システムの話までするのが難しいと思いますので協力して運用していくのがお互いにとっていいと思いますね。
田中:そうですね。フィードフォースさんのようにデータフィードマネジメント(DFM)ツールを提供されているベンダーと協力していかないと解決できないこともあると思います。商品データベースはあるけど、どうやって中間処理すれば良いかというところで躓くと思いますので、そこは協力していく道も十分にあると思います。
岡田:フィードによって変わるものはなにか?例えば代理店の価値ってどう変化が必要と思いますか?
田中:代理店の担当者の方については、指揮者になれってことですかね。フィードが楽器、事業主側は奏者で、代理店の担当者は指揮者。楽器と奏者を知り尽くした上で指揮を行わないとオーケストラが成り立たないように、フィードを活かして売上を上げることができる運用者がこれから重宝されるのではないかと思います。
岡田:我々みたいな中間事業者はそのようなことを常に求められていますよね。では、社内ではどのようにフィードを教えているのですか?
田中:フィードの場合、まず触って体感してもらう事が大事だと思っています。食べず嫌いな部分をまずは払拭するのがスタートかなと思います。
川田:まずは、広告運用の流れを理解し、プラットフォーマー側の思想を理解することが大事なので、そこから始めます。なぜGoogleはこのようなアップデートをしたのか、など考えるようにしています。
まとめ
最後に一言ずつどうぞ
田中:ショッピング広告ってやらないといけないのは間違いないですが、やるならちゃんとやりましょうということはお伝えしたいです。ちゃんとやれば、想像以上にコンバージョンは爆発します。
なので、諦めないで実施してほしいと思います。いろんな情報を集めて、触れてみてください。
川田:データフィードは2012年からやっているが、可能性しか感じない。今後の様々な広告手法でも必ず必要になってくる知識になるので、臆せず取り組んでいって下さい。
トレーニングとマネジメントに寄り添う 「経営者の視点からの運用型広告」
・阿部 圭司 (アナグラム株式会社)
・平野 考宏 (TATEITO株式会社)
・杉原 剛 (アタラ合同会社)※モデレータ
経営者の視点から、「ビジネスもメンバーも健全な組織は果たして作れるか?」についてディスカッションがされ、「健全な組織」について9つのトピックスで、それぞれの会社が取り組んでいることや意見がかわされました。
最後に
当日は総集編ということで、2016年注目度の高い話が聞けました。フィード広告はかなり前から「早く実施した方がいい」と、川田さん・田中が注意喚起しているお話でもありました。実際に、従来型テキスト広告より成長率が高くなってきており数字で見えてくると、いよいよ後においておけないですね。「フィード広告はよくわからないので、一旦寝かしておいた」というかたも今年中に手を付けてみましょう。
杉原さん・平野さん・阿部で話し合われた、経営者の視点からのマネジメントについても、今までクリアになっていなかった業界の問題点をわかりやすく整理し、今の問題点についても考えを深掘りする、いいきっかけになったのではと思います。今回参加された方が、まずは自分のチームや部署を見つめ直して、意見をいうことから初めていけば、業界全体がもっと成長し今以上に魅力ある仕事になっていくのではないかと思いました。