SNSが発展しあらゆる情報が集まるようになったことで、ユーザーは商品の購入やリサーチをSNS上で行うようになりました。
今日は購入までの導線をスムーズにすることでユーザーの興味関心を逃さない、Instagramの広告「商品タグ付き広告」について、そのメリットや特徴をご紹介します。
目次
Instagram商品タグ付き広告とは?
Instagram商品タグ付き広告とは、広告内の「購入可能な商品の画像や動画」に商品タグを付けることで、商品に興味を持ったユーザーがInstagramのアプリ内で商品詳細の確認を行い、サイト遷移から購入までをシームレスに提供できる機能をもつ広告です。
上の画像のように商品タグ付き広告では、広告をタップすると画像上に商品タグが現れ、そこからアプリ内の商品詳細が確認できるページへ遷移、さらにクリックするとサイトへ遷移するという流れになります。
商品タグ付き広告のメリットとは?
商品タグ付き広告のメリットとして、ここでは4つのポイントをご紹介します。
オーガニック投稿と同様の導線をユーザーに提供できる
商品タグを付けることで、広告でもオーガニックのInstagaramショッピング機能をもつ投稿同様の体験をユーザーに届けることが可能です。
商品タグの付いていない広告では、ユーザーが興味を持ち広告をタップした場合、画像下部の「購入はこちら」など行動を呼びかけるCTAボタンの色が変わります。そして、そのCTAボタンをクリックすると外部サイトに遷移するという流れでした。
CTAボタンは広告特有のもので外部サイトへ遷移する仕様のため、Instagramを楽しんでいるユーザーの行動を引き起こすにはかなりの関心を持ってもらう必要があります。
商品タグ付き広告であれば、商品タグをタップしてアプリ内で商品詳細の確認を行うことが可能なのでユーザーのInstagram内での体験を妨げることはありません。
さらに日本では商品タグをタップして商品詳細を見る割合が他国と比較して3倍であるという調査結果もあり、日本のユーザーには特に親和性の高い機能といえます。
参考:Instagramショッピングガイドとシーズンでのベストプラクティス | Instagram for Business
購入可能(ショッパブル)な商品のリーチを最大化
オーガニックで商品タグをつけたショッピング機能付き投稿がリーチ可能な範囲はフォロワーやおすすめ投稿に表示された場合など限定的です。
しかし、商品タグ付き広告であれば指定したオーディエンスに商品を訴求できるためより広い潜在顧客にリーチができます。
また、ブランドやサイト全体ではなく訴求したい「商品」を、購買意向の高い潜在顧客へリーチできるのも商品タグ付き広告の魅力です。
クリック可能なエリアが広がる
3つ目のメリットとしては、クリック可能な箇所が増えることが挙げられます。
商品タグ付き広告では、画像下部のCTAボタンに加え、タップした際に画像上に現れる商品タグもクリックが可能です。
また、商品タグがついていない場合は広告をタップした際に画像下部のCTAボタンの色が変わるのみに留まるのに対し、タグ付き広告では画像上に商品タグが現れる仕様となっているため、視覚的にも次への導線を分かりやすく示せます。
ショッピングエンゲージカスタムオーディエンスの利用が可能に
商品タグを付けてユーザーのクリックへのハードルを下げることで、売り上げの増加や広告の成果改善だけではなく、それらを学習データとして蓄積して広告配信に役立てることができます。
ショッピングエンゲージカスタムオーディエンスとは、Instagramショッピング内でアクションをしたユーザーのセグメントです。
例)
- Instagramショッピングからサイト来訪
- Instagramショッピングで商品を閲覧
- Instagramショッピングで商品を保存
商品タグを付けInstagramショップにユーザーを促すことで、アプリ内で購入意欲の高いユーザーを見つけて再度リーチが可能になります。
これまで、購入意欲の高いユーザーへ再度リーチする場合には、リターゲティング配信を用いることが一般的でした。
しかし、ITPをはじめとするCookie制限によりサイト内での商品閲覧やカート追加、購入というユーザーデータの取得が難しくなっています。
ショッピングエンゲージカスタムオーディエンスであれば、Facebookピクセルに頼らずアプリ内で商品閲覧やサイト来訪のデータを蓄積することができるため精度の高いターゲティングが可能です。
また、ショッピング類似オーディエンスという機能もあり、購入実績のある買い物客と類似する新規ユーザーにアプローチすることもできます。
商品タグ付き広告のデメリット
ここまで商品タグ付き広告の魅力をお伝えしてきましたが、デメリットも存在します。
サイト遷移までに必要なクリック数が増える
商品タグを付けると、ユーザーは商品詳細をInstagramアプリ内で確認することが可能なため、サイト遷移までに必要なクリックが多くなります。
サイト遷移までに必要なクリック数
商品タグがついていない場合 | 1~2回 | (広告をクリック→)画像下部のCTAボタンをクリック |
---|---|---|
商品タグ付き広告の場合 | 1~3回 | (広告をクリック→)画像下部のCTAボタンをクリック もしくは、 (広告をクリック→)商品タグをクリック→CTAボタンをクリック |
広告のクリック数やサイト遷移がどの程度変化したか管理画面で確認が可能なので、商品タグを付けた際は注視すると良いでしょう。
クリック数の確認方法
Facebookの広告管理画面にはクリックに関わる指標が3種類あります。
クリック(すべて):すべてのクリック
例)「いいね!」やコメント、シェア・リンクのクリック・タグのクリック
リンククリック:Facebookプロパティ内外のサイトやコンテンツに誘導するリンクのクリック
例)CTAボタン、説明文内のURL、商品タグ
アウトバウンドクリック:Facebookプロパティ外のWebサイトに誘導するリンクのクリック
例)CTAボタン(広告画像下部、商品詳細ページ)
広告に商品タグを付けたことによるWebサイトへの流入数の変化はアウトバウンドクリック数を見ると良いでしょう。
また、商品詳細ページからサイト流入に至るユーザーの数を見るために、リンククリックとアウトバウンドクリックを比較するのも有効的です。
配信面やフォーマット
商品タグ付き広告が配信可能な面は、「ホームタブの投稿フィード」と「発見タブ」の2か所です。
発見タブは、タブへ移動した際の投稿がモザイク状に並ぶ画面ではなく、その中から投稿をタップしてスクロールした場所です。
フォーマットは以下から選択することができます。
- シングル画像
- カルーセル
- 動画
なお、商品タグをつける設定を行うと他の配信面へまったく配信が出ないという訳ではありません。
配信面の除外設定を行わない限りは、Facebookやその他配信面へは商品タグのついていない広告が配信されます。
Instagramダイナミック広告でも利用できる商品タグ付き広告
商品タグつき広告は、Instagramダイナミック広告でも利用が可能です。
Instagramダイナミック広告ではユーザーの興味関心をもとにカルーセル形式で複数の商品を訴求できます。
また、ユーザー一人ひとりに適した商品を広告表示するため、静的な広告よりも購買につながりやすい傾向もあります。
タグを利用した商品情報の表示、サイト遷移から購入までをシームレスに提供できる機能をもつ商品タグ付き広告は、ダイナミック広告との相性は特に良いといえるでしょう。
Instagaramダイナミック広告への商品タグの追加は、広告設定のクリエイティブツールから簡単に設定できます。
ただし、カルーセル広告及びコレクション広告の場合、カタログの画像をトリミングすることはできません。
商品タグ付き広告始めるのに必要な条件
商品タグ付き広告はInstagramショップの設定をしている場合のみ利用できます。
ショッピング機能を現在利用していない…という方も安心してください。
下記条件を満たしていれば、Instagramでショップの設定ができます。
- Instagramショッピングを利用できる国に拠点がある
- Instagramのショップで販売可能な商品を扱っている
- 販売者契約とコマースポリシーを遵守している
- ビジネスで所有しているウェブサイトドメインで商品を販売する予定である
参考:InstagramショッピングとはInstagramショッピングを始めるために必要なもの | Instagram for Business
ショッピング機能を始める際のポイントはこちら。
商品タグ付き広告の始め方
商品タグ付き広告を掲載するには、既存のInstagramショッピング機能をもつ投稿(ショッパブル投稿)を広告として掲載する方法と、広告マネージャで商品タグ付きの新規広告を作成する方法があります。
既存のInstagramショッピング機能をもつ投稿(ショッパブル投稿)を広告として掲載する方法
1. クリエイティブとして掲載する既存のショッピング投稿を選択するか、またはInstagramアプリでオーガニックなショッピング投稿を作成してカタログの商品をタグ付けします。
2.広告マネージャを開きます。
3.[+ 作成]を選択します。
4.目的を選択します(このフォーマットでは、ブランドの認知度アップ、リーチ、投稿のエンゲージメント、リンククリック、コンバージョンを利用できます)。
5.オーディエンスを選択します。
6.[配置を編集]を選択し、配置として[Instagramフィード]または[Instagram発見タブ]、あるいはその両方を選択します。
※[自動配置]を選択することもできます。その場合、広告はInstagramフィードとInstagram発見タブでは商品タグ付きの広告として掲載され、その他すべての配置では商品タグなしのシングルメディア広告として掲載されます。
7.広告レベルで、[既存の投稿を使用]を選択します。
8.広告として掲載するショッパブル投稿を選択します。
※1件の画像、カルーセル、動画のショッパブル投稿を商品タグ付きの広告として掲載できます。
9.広告の詳細を入力し、[次へ]を選択します。
10.これで、商品タグ付きの広告を設定できました。キャンペーンのパフォーマンスは他のキャンペーンの測定と同じ方法でトラッキングできます。
参考:既存のショッパブル投稿を商品タグ付きの広告として掲載する | Instagramヘルプセンター
広告マネージャで商品タグ付きの新規広告を作成する方法
1.広告マネージャーに移動します。
2.[+作成]を選択します。
3.目的を選択します(このフォーマットでは、ブランドの認知度アップ、リーチ、投稿のエンゲージメント、リンククリック、コンバージョンを利用できます)。
4.オーディエンスを選択してください。
5.[配置を編集]を選択し、配置として[Instagramフィード]または[Instagram発見タブ]、あるいはその両方を選択します。
※[自動配置]を選択することもできます。その場合、広告はInstagramフィードとInstagram発見タブでは商品タグ付きの広告として掲載され、その他すべての配置では商品タグなしのシングルメディア広告として掲載されます。
6.広告レベルで、商品にタグを付けるクリエイティブをアップロードします。
※シングルメディア、カルーセル、ビデオ形式が利用可能です。カルーセル画像を商品タグ付きの広告として実行するためには、すべてのカルーセル画像に商品タグを追加する必要があります。
7.[メディアの編集]を選択し、[クリエイティブツール]の下の[商品タグ]を選択します。
8.カタログを選択し、タグ付き商品内を検索して商品を選択します。
9.商品タグを右側の広告プレビューの正しい場所にドラッグアンドドロップします。
10.[保存]を選択します。
11.広告の詳細を完成させて、[続行]を選択します。
これで、商品タグ付きの広告を設定できました。キャンペーンのパフォーマンスは他のキャンペーンの測定と同じ方法でトラッキングできます。
参考:Create a New Ad with Product Tags | Instagramヘルプセンター
商品タグ付き広告で成果を出すためのポイントおすすめ設定
商品タグ付き広告でより成果を出すために、おすすめの設定をご紹介します。
クリックを促す「分かりやすい」クリエイティブが大切
他国の3倍も商品タグがクリックされると発表されている日本ですが、まずは、「商品タグがあるならばクリックしてみよう」とユーザーに思ってもらうことが大切です。
そのために、クリエイティブの面でできることをご紹介します。
①商品主体の画像を使用する
一目見てどの商品についての訴求か分かる画像を使用しましょう。
例)背景が目立ちすぎない・商品の色味が伝わる
②詳細ページだけでは分からない情報を広告で伝える
カルーセル形式で特集トピックを作成するのもおすすめです。
1つのコンテンツとしてユーザーが楽しめるよう、商品の特徴を伝えるストーリ構成にするのも良いでしょう。
③タグ付けが可能な商品にはすべてタグを付ける
商品タグはInstagram上で「購入可能」であることを示す機能でもあります。
そのため、画像上にある商品タグを付けられる商品にはすべてタグ付けを行うと良いでしょう。
ただ、「タグが多くてタップしづらい」「タップするとタグで商品が隠れてしまう」といったことや、タグをタップしても「在庫切れなどの理由で購入ができない」といった事象は起きないように注意しましょう。
商品カタログの設計はユーザーファーストが大切
商品カタログとは、Instagramショッピングを設定する際に必要となるすべての商品データを保持するコンテナのことを指します。
商品タグ付き広告を効果的に使用するためには、この商品カタログの設計も重要になってきます。
商品の種類単位でのカタログ登録
同型の商品であってもカラーバリエーションが多い商品の場合、商品カタログにはそれぞれのカラー毎に登録しましょう。商品の種類単位で登録することで、商品毎に細かく商品タグを設定でき、ユーザーはよりスムーズに「いいな」と思った商品の情報を知ることができます。
詳細ページの情報量
せっかく興味をもって商品タグをクリックしても、その先の詳細ページの情報量が少ないとユーザーは離脱してしまいます。
複数枚の画像やサイズ、カラー、素材、商品の説明など商品の詳細を充実させましょう。
最後に
今回はInstagramの商品タグ付き広告についてご紹介しました。
商品タグ付き広告はユーザーにスムーズな購買体験を届けるだけでなく、アプリ内で「どのユーザーがどのような商品をみたか」というデータ蓄積もできます。
Cookie規制が厳しくなる中で、アプリ内のデータを活用してターゲティングまでできる魅力満載な機能となっているので、ぜひ活用してみてください。