媒体理解ってなんだろう|広告運用者としてできること

媒体理解ってなんだろう|広告運用者としてできること
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運用型広告と言われる媒体は年々増えていき、広告業界のカオスマップは日々複雑化してきています。加えて、日々行われる媒体のアップデートをキャッチアップすることに精一杯になっている広告運用者の方も多いのではないでしょうか。

今回は、日々移り変わる運用型広告のアップデートに振り回されずに、媒体の背景にある思想を理解することって運用者にとって大事なのではないかという話をしたいと思います。


なぜ媒体理解が大事なのか

最近では、媒体の品質管理やユーザー保護視点からYahoo JAPAN社による「広告品質のダイヤモンドの取り組み」が発表されるなど、広告の透明性の部分でインターネット広告が話題に上がることが多くなりました。

弊社ではよく「三方良しがインターネットの世界をより豊かにさせる」と言っているのですが、ユーザーのためになる情報を広告を介して伝えることはもちろん、媒体の収益モデルを理解し、広告主がその媒体を実施した際にどのような利益を上げることができるのかというWin-Win-Winの関係を提案するのが私たち広告運用者に求められているのではないでしょうか。

参照:運用型広告のちょっといい話

媒体理解ってなんだろう

多くの広告媒体には、媒体資料が存在します。媒体資料には、ユーザー属性やリーチ数などの数字や事例などがまとめられていることが多く、媒体のプロフィール情報と言えるでしょう。

各年代の利用者比率や提携メディア一覧などの媒体の基本情報を知っていることはもちろん大切なのですが、それだけでは媒体理解としては不十分だと考えます。相手のプロフィール情報を知っているだけでその人のことを理解したとは言えませんよね。

TikTokの男女比率やユーザー数などの媒体情報を知っている人よりも、実際に普段からTikTokを利用し動画をアップしている人のほうが媒体の理解は深いですし、話を聞いてみたいと思うのではないでしょうか。

つまり、媒体資料などの数字を把握しているだけではなく、クライアントや顧客理解と同様に実際にその媒体をユーザーがどのように利用し、何の目的としているのかなど媒体資料には載っていない情報まで理解し提案することができるのが本来の媒体理解といえるではないでしょうか。

どのように媒体理解を深めるか

ここからは実際にどのように媒体理解を深めていくのかについてまとめます。

媒体情報を理解する

まずは媒体情報を知ることがファーストステップです。個人で言えば、媒体資料は自己紹介にあたります。

知っている(と思っている)媒体であったとしても、ユーザー属性から利用時間帯など様々な数字を媒体資料はまとめてくれているので今まで知らなかった気づきが見つかるかもしれません。

直近では、InstagramがInstagram & Facebookのマーケター向け公式アカウントを解説するなど、媒体公式Twitter等で各媒体積極的に情報発信しているのでフォローをおすすめします!

媒体の変遷を知る

  • Facebook広告がどのように誕生し、個人情報保護問題を経てどのなメディアになってきているのか
  • Yahoo!プロモーション広告の広告掲載基準がどのように変更され続けているのか

媒体の変遷を知ることで、媒体が利用ユーザーとどのように関わりを持っていきたいのか、また媒体としての在り方を伺うかがい知ることができます。以下はFacebookの一例です。

例えば、Facebook広告は媒体としての思想が広告配信におけるロジックや広告品質として重要なポイントになっています。

もともと、ハーバード大学の学生専用のWebサイトとして誕生したFacebookは情報を介した学生同士のつながりの場でした。そして、なんと言っても実名での繋がりがここまで世界に浸透した当時は私自身、とても衝撃的な出来事だったことを今でも覚えています。

加えて、Facebook社は、物理的な距離の制限を超えた「コミュニティづくりを応援し、 人と人がより身近になる世界を実現すること」をミッションとして掲げていることも覚えておきたいポイントです。

Facebook広告の実名でのターゲティング精度の高さの理由や、ユーザー体験やリアクション(いいねやシェアなど)を広告品質の独自シグナルとして広告配信に取り入れてることもFacebook社誕生の背景や思想を知ることで、媒体のより深い理解へとつながると考えます。

一方で、直近ではFacebook社における個人情報の取り扱い方については問題視する声が後を絶ちません。媒体としての透明性や利用しているユーザーの変化なども業界のトレンドとして理解しておきましょう。

参考:Facebookに初の行政指導--日本政府の個人情報保護委員会

インターネット業界自体若い業界であり、日本最大級のポータルサイトであるYahoo!JAPANもまだ創業20数年の企業です。そういえば、知らなかった!と思った方はぜひこの機会に振り返ってみてください。デジタル社会の今、自身の知りたいことの大半はインターネットに落ちています。下記リンクの記事などを参考に、ぜひ自身で検索し調べてみてください。

参考:Facebook、運用型広告を取り入れたことで爆発的に成長したSNS

自分自身で使ってみる

自らの経験以上に尊いものはないというのが筆者の持論です。

もし自分がそのサービスのターゲット層でない場合でも、よっぽどの理由がない限り、体験できるものはまず自分でなんでも使ってみることが大切です。このご時世、無料で多くの体験をすることができます。話題のアプリの多くはアプリストアから無料でダウンロードすることが可能です。実際に使ってみない選択肢はありませんよね!

実際に自分自身で使ってみることで利用するユーザーもイメージしやすくなりますし、媒体の理解を深めることにも繋がります。マーケティングに携わるものはミーハーでなんぼだと思います。

「私がGoogleだったら?」と考えてみる

たとえば媒体が新しく発表した広告フォーマット。新しいから使ってみよう、は必ずしも悪くはありませんが、もしあなたが広告主だったとして、「新しいから(効果出るかわからないけど)とりあえず試してみよう」とお金を惜しみなく出せるでしょうか。

そんなときにオススメしているのが「私がGoogleだったら?」と考えてみることです。私がGoogleだったら、この広告フォーマットは広告主のこんな課題を解決するために用意しただろう、であったりこういう使い方を想定しているはずだ、などのヒントをきっと得られるはずです。

広告運用はどこまで行っても媒体の用意した土俵上で行われます。中国の孫氏も「知彼知己者、百戰不殆(彼を知り、己を知る者、百戦して殆(あやう)からず)」と説くように相手を知るのに、「私がGoogleだったら?」と考えてみてください。

「誰が」「どのように」使っている?

媒体資料に記載されている数字も大事ですが、数字の先には必ず「ユーザー」がいます。媒体がよりよいサービスを提供するために向き合っているのはユーザーですよね。ユーザーがどのようにサービスを利用しているのかを理解することは媒体の理解に繋がります。

参考:Yahoo! JAPAN 媒体資料(2019年5月改訂版)P.12 より

上記Yahoo!JAPANユーザーにおけるスマートフォン利用の性別・年代のグラフを例に考えてみます。

グラフだと利用者は男性よりも女性の方が少し多く、年代は40代~50代が過半数を占めていることがわかります。その前提を踏まえたうえで普段の生活や周囲の知人から利用状況を観察してみてください。

筆者自身は仕事柄、普段は当たり前のようにGoogle検索を利用しているのですが、実際に同年代の同性の友人や両親にヒアリングするとGoogle検索よりもYahoo!検索を利用している割合が多かったのです。

あるひとは、Yahoo!ニュースや知恵袋といったコンテンツを好んで見ていて、検索する際にもその流れでYahoo!検索を利用していました。一方で、田舎の母親は初めて買ったスマートフォンについている検索窓でしか検索できないと思っていたり……。たとえば次のことをやってみましょう。

  • 実際の利用者に聞く
  • 利用者でないひとに使ってみてもらう
  • 友達や両親など身近なひとに聞く

運用型広告界隈にいると、あたかも自分の価値観が世間のスタンダードであるかのように錯覚してしまうことがあります。しかし、実際は自分の感覚がマイノリティであることも多くあります。実際には誰がどのように使っているのか(いないのか)、自分の感覚だけを盲信しないでフラットに意見を聞いてみると、知らなかった媒体の姿が見えてくることもあります。

Win-Win-Winの関係構築の第一歩

運用型広告は1つの手段であり、私たちの仕事は媒体ごとに管理画面上の数字効率を合わせることではなく、ユーザーが求めているものやサービスを広告を介して届けることです。

そのためには、クライアントさまの商材やサービスを知っておくことと同等に媒体を理解することも必要不可欠なスキルの1つと考えます。

運用者として媒体理解を深めることで、関わる人々にとってWin-Win-Winの三方良しの関係構築の提案につなげることができるのではないでしょうか。

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