なぜ今UGCが大事なのか? その理由と7つの華麗なる事例

UGCとは?

UGC(User Generated Contents)とは企業ではなく一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのことをいいます。最近はInstagramやFacebookなどのSNSに投稿された写真や動画などがUGCとして注目されていますが、以前からあるECサイトなどへの口コミやレビューなどのテキスト情報もUGCの一つです。

どうして今UGCが重要なのか?

Facebook広告に携わったことのある方は経験があるかもしれませんが、Facebook広告ではプロが撮影した綺麗な写真より、素人が撮影した一見綺麗とは言えない写真の方が良い結果につながることが多々あります。その理由は消費者にとって後者の方がリアリティを感じ、自分が商品を購入したときのことを想像しやすいからです。

また、多くの方がGoogleやYahoo!で検索をする前にInstagramやTwitterで検索をするのも同じ理由で、一般のユーザーが投稿した写真の方が想像しやすい、企業が用意した文章よりも一般人がつぶやいた一言の方が信頼できるからだと言えます。

例えばアパレルでは、美人な外国人モデルが着用しているワンピースの写真を見て購入の意思決定をするのではなく、そのあとにInstagramで商品名などで検索したのち、自分と似たような素人がうまく着こなしている写真を見て「これなら私も着られそう」と感じ、購入の意思決定に至る。なんて流れも容易に想像できます。今人気のメルカリが多くの方に利用される理由の一つもこの素人っぽい写真だと言われています。(もちろん他にも様々な理由がありますが。)

さらに、スマートフォンの有料アプリランキングでアドブロックアプリが上位にランクインしているのも、UGCの重要性を象徴的に表しており、一部の不適切な広告によって広告全体が邪魔者として扱われつつある昨今、広告ではないオーガニックの領域において、いかに顧客を獲得していくかということも企業としては考えなければいけません。そのために有効な施策の一つがSNS上のフォロワーといったファンの獲得やInstagramやTwitterなどSNS上での自社に関するポジティブなコンテンツの拡散、つまりUGCの拡散による認知の拡大です。

つまり、より効果的な広告素材、そして広告以外の領域で顧客を獲得するためのコンテンツの一つとしてUGCが注目されているわけです。

参考:本当のインフルエンサーとは、自分の投稿をリツイートしてくれる人|ビッグデータを扱うjigen_1さんの語るTwitterオーガニック論とは?|Marketeer


UGCを売り上げにつなげる4つのパターンと華麗なる事例

①商品展開によるコンテンツ生成の促進

明治 ザ・チョコレート
明治から出ている「明治 ザ・チョコレート」が人気の理由の一つは、味のほかに一般ユーザーの投稿から広まったUGCが挙げられます。パッケージにデザインされたカカオを利用して、多くのユーザーがそのパッケージに絵を描くためにチョコレートを購入しています。2017年8月時点で販売休止になったものを含めて8種類もの味のバリエーションがあり、それぞれカカオのデザインや色も異なるので様々なパターンの絵が描けるというわけです。おそらく絵を描くことを想定してパッケージデザインをされたわけではないですが、その後の味の展開(パッケージデザインの展開)によってUGCの拡大を促進している例と言えます。

コップのフチ子
こちらは商品そのものがいわゆるSNS映えするもので、2012年7月の発売開始直後からTwitterやFacebook、Instagramなどを中心に多くの方が写真を投稿し、広がりました。こちらも前述の「明治 ザ・チョコレート」と同じくその後の商品展開によってさらにコンテンツの生成を促進させており、Instagram上では2017年8月29日時点で#フチ子の投稿件数は27万件、「#fuchiko」の件数も25万件とその人気は海外にまで広がっています。

上記2つは企業側からSNSへの投稿を直接的に促すのではなく、ユーザーの描きたくなる欲、集めたくなる欲といった心理的要素を利用して商品展開という方法によってUGCの生成を促進し、認知の拡大や購入につなげている例です。最初のきっかけは企業の意図しないところで自然発生、あるいは企業が商品設計の際に意図したとおりに発生など様々ですが、その発生を傍観するか、その波をうまくキャッチして新たな施策を打つかどうかでその後の拡大が大幅に異なってきます。

②キャンペーンによるフォロワー獲得とコンテンツ生成の促進

IKEA(バルコニスト)
IKEAは同社のInstagramアカウントをフォローし、自宅のバルコニーの写真を「#バルコニスト」というタグを付けて投稿してもらうことで、応募者を募り当選者にギフトカードをプレゼントというキャンペーンを実施しています。バルコニーにまでこだわるユーザーはインテリアやエクステリア全体にもこだわる可能性が高く、そういったフォロワーを本キャンペーンによって獲得できていると考えられます。

JTB(マイトリ)
こちらもIKEAと同じく、JTBのマイトリ公式アカウントをフォローしたうえで、「#マイトリ」というタグを付けて女子旅の写真をアップすることで参加者を募り、選ばれた方の写真を公式アカウントで紹介するという形をとっています。IKEAのギフトカードのように当選者にプレゼントなどがあるわけではないですが、Instagramのメインユーザーでとなる20代、30代女性をターゲットとしており、2017年8月時点で約3万件の写真が投稿されています。

上記2つの事例はキャンペーンなどの特典を付与することで企業側から直接的にSNSへの投稿を促し、自社公式アカウントのフォロワー獲得と、ハッシュタグが付いた写真を投稿してもらうことでの認知拡大の2つを目的としています。購入や来店などには直結するキャンペーンではありませんが、自社のハッシュタグを付けて投稿してもらうことで投稿者のフォロワーに対して認知を広げることができ、さらに自社アカウントのフォロワーを獲得することで、のちにフォロワーを見込み顧客としてアプローチすることも可能です。

③UGCそのものを素材として利用

カゴメ
食品メーカーのカゴメはUGCそのものをFacebook広告の素材として使用し、成果を上げた事例として有名です。Facebookのフィード上の広告枠はネイティブ広告と呼ばれ、通常の投稿と投稿の間に広告が表示される仕様になっています。UGCは素材としてフィードになじみやすいのでクリック率もUGCではない素材と比較すると高い傾向にあることが多く、結果としてクリック単価が下がります(※1)。また、リアリティが感じられるUGCの素材はコンバージョン率に対してもいい影響を与える可能性が大きく、結果としてより低いコンバージョン単価での獲得が期待できます。

※1 Facebook広告のクリック単価が決まる要素として広告のクリック率やいいね!数などがあり、UGCの方が両者とも高い傾向にあるため

④UGCそのものの利用とコンテンツ生成の促進

ユニクロ
ユニクロが運用している「uniqlo_ginza」というInstagramアカウントは、その投稿の多くが自社で用意したものではなく一般ユーザーの写真で成り立っています。「#uniqloginza」というタグを付けて投稿された写真をユニクロの公式アカウントがコーディネートというかたちで紹介する仕組みです。この方法はブランド力のある企業にとっては非常に有効で、場合にもよりますが自社で素材を用意する手間とコストが省け、ユーザーにとってはブランド力のある公式アカウントに自分の写真を紹介してもらえるので自らタグ付けして写真を投稿してくれます。

⑤その他

ニトリ ベジバッグ
こちらは比較的新しい事例で、ニトリから販売されているトートバッグです。ポケットがたくさんありトートバッグとして使いやすく、かつ1,000円以下という低価格、さらに無地がゆえにアレンジがしやすいということでSNSを中心にUGCが広がり、人気を拡大している事例です。2017年5月に発売開始され、筆者が2017年7月時点で買おうとするも多くの店舗で品切れ状態。8月現時点でお店の方の情報によると都内では10月までは入荷がないとのことです。

現在は在庫切れの状態ですので、拡散しても買えない人がさらに増えてしまうだけですが、ニトリの公式アカウントには約20万人のフォロワーがおり、「#mynitori」というタグも用意しているため、今後の活用次第ではさらに販売を拡大できそうですね。

運用型広告運用者としてできること、意識すべきこと

ユーザーの検索行動における変化はスマートフォンの普及などにより注目されていますが、その検索するまでの行動は変わってきています。一昔前は、認知拡大はマス広告が担い、リスティング広告で刈り取るというのが定石だったかもしれませんが、SNSが登場し、ユーザーは検索に至るまでに企業が用意した“何か“に触れることすらなくInstagramで写真を見て、Twitterで口コミを確認し、SNS上で様々なUGCに触れたうえで検索を行っています。

そういったユーザーに対して以前と同じ企業側の一方的なクリエイティブでは通用しにくくなるでしょう。以前にも増してUGCの重要性が高まっている中、まずは運用型広告運用者自身が積極的にSNSを利用し、UGCに触れる機会を持つべきです。

さらに認知拡大の多くをマス広告が担っていた時には運用型広告が認知拡大に入る余地は限られていましたが、主戦場がSNS上に移ってきたということは、その上流部分を運用型広告でできることが担うことも可能になってきているということです。

これまでのように認知拡大とダイレクトレスポンスに対して線引きをして、広告を断片的にみていると全体の成果を伸ばしていくことは難しくなっていきます。そこを一気通貫で戦略&戦術を立てる、組み立てることのできる運用型広告運用者が大きな価値を持つようになるのではないでしょうか。

Shigehiro Kaku

Shigehiro Kaku

アナグラム株式会社 クルー。大学在学中にリスティング広告に初めて出会い、その魅力に心を奪われる。その後、WEB集客を中心とした広告代理店に入社し、運用型広告のみならず、WEBディレクションや集客全般に関わるコンサルティング業務を経験。2016年にアナグラムに入社し、リスティング広告やFacebook広告のアカウント構築、運用、レポーティング等を行っております。