※2023年6月~9月にラストクリック、データドリブン以外のアトリビューションモデルの廃止が発表されました
Google 広告・GA4で利用できるアトリビューションモデルを「データドリブン」「ラストクリック」のみに変更へ
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2021年10月より、Google 広告のアトリビューションモデルのデフォルトがデータドリブンアトリビューション(DDA)になっています。
参考:The future of attribution is data-driven
DDAの仕組みについてはこちら。
ただしこれまで通り、他のアトリビューションモデルを選択することも可能です。
以前はデフォルトのアトリビューションモデルが「ラストクリック」になっているため、変更せずに運用されている方も少なくないかもしれません。
一方で、多様化する購買行動は理解した上でアトリビューションモデルの変更の必要性は感じても、どのアトリビューションモデルを選ぶのか迷ったり、設定変更で運用効率が悪くなるかもという不安で変更を迷っている人も多いのではないでしょうか。
わかります。いきなりアトリビューションモデルを変更するは怖いですよね。筆者も最初はそうでした。
アトリビューション変更が怖いと感じるのは"よくわからないから " という理由が大半だと考えています。そこで今回はアトリビューションモデルの理解を深め、ビジネスモデルに合わせたアトリビューション選択ができるように確認方法をまとめました。
6つのアトリビューションモデル
まずはラストクリックを含め、Google 広告で変更できる6つのアトリビューションモデルについておさらいしておきましょう。
ユーザーはコンバージョンに至るまで、同じ広告主の複数の広告と接点を持つ可能性があります。コンバージョン達成までに発生した各広告インタラクションに対して、貢献度に応じた評価を行う枠組みをアトリビューションモデルと呼びます。
Google 広告で利用可能なアトリビューションモデルは下記のとおりです。
モデル | 貢献度 | 補足 | |
---|---|---|---|
ラストクリック | コンバージョンに至った最後のクリックされた広告(またはキーワード)に貢献度100%を割り当てます。 | コンバージョンにもっとも近い広告接点を評価することができます。 | |
ファーストクリック | コンバージョンに至った最初のクリックされた広告(またはキーワード)に貢献度100%を割り当てます。 | ラストクリックモデルとは正反対のアトリビューションモデルです。 | |
線形 | コンバージョンに至るまでにクリックされた広告(またはキーワード)すべてに貢献度を均等に割り当てます。 | コンバージョンに至るまでの広告接点を均等に評価するため、一定量のまとまったデータが必要になります。 | |
減衰 | コンバージョンに至るまでにクリックされた広告(またはキーワード)すべてに貢献度を割り当てます。 | 最後に接触した広告を最も割合多く評価し、最初の接触に向かうにつれ評価の割合が小さくなります。 | |
接点ベース | コンバージョンに至るまでにクリックされた広告(またはキーワード)すべてに貢献度を割り当てます。 | 減衰とは異なり、最初と最後に接点をもった広告に比重が重く、残りを中間接触の広告へ均等に割り当てます。 | |
データドリブン アトリビューション | 他のアトリビューションモデルとは異なり、コンバージョンに至るまでにクリックされた広告(またはキーワード)すべてに割り当てる貢献度を機械学習を利用した動的なアルゴリズムに基づいて割り当てます。 | 利用できる要件に、「過去30日間に3,000 回以上の広告インタラクションと、各コンバージョン アクションに 300 回以上」のコンバージョンが必要です。十分なデータが集められるのであれば、目標に最も貢献した広告がわかるようになります。 |
アトリビューションについて、基本的なことを知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
変更によって何が起こる?
コンバージョンアクションのアトリビューションモデルを変更した後は、普段運用しているコンバージョン測定の方法に変化が生じます。コンバージョン測定の方法が変化すること言うことはコンバージョンに重きを置いた自動入札戦略を選択しているキャンペーンにも影響を与えるということです。
そのため、アトリビューションモデルを変更した後に確認しておきたい項目と具体的な変更方法をまとめました。
参照期間によってはコンバージョン数が少なく見えることも
たとえば広告のクリックから商品の購入までの期間が長い場合には、特定の期間だけを参照するとコンバージョンが少なく見えたりする場合があります。
しかしながら、各接点にコンバージョンの評価が割り振られているだけで、アトリビューションモデルを変更してもコンバージョンの総数は変わりません。
コンバージョン数が小数点で表示される
線形モデルでは、1件のコンバージョン獲得までに2つの広告をクリックしていた場合、それぞれの広告に0.5件づつ貢献度が割り振られます。
その結果、「コンバージョン」と 「すべてのコンバージョン」は小数点でカウントされるようになります。しかし、実際のお客さん側の購入件数が小数点になるわけではありません。あくまでも管理画面上の運用上の仕様のため、レポートで小数点が出てきてもびっくりしないようにしましょう。
コンバージョン反映までにタイムラグが生じる可能性あり
ラストクリックアトリビューション以外のアトリビューションモデルを変更した直後の数日間は、一時的にコンバージョンが若干低下する可能があります。これは、それぞれ異なる時点で発生した複数のキャンペーン、キーワード間でコンバージョンに対する貢献度が共有されるために起こるタイムラグであり、実際にコンバージョン数が減っているわけではないのでご安心ください。
コンバージョンはクリックから1日以内などの短期間で発生することもあれば、商材によっては、クリックから 90日後に初めて確認できるようになる場合もあります。[経路の指標] アトリビューション レポートの [コンバージョン達成までの平均日数] からコンバージョンまでの期間を把握して、管理画面への反映まで焦らずに待ちましょう。
入札単価調整の変更が必要に
「目標コンバージョン単価」や「目標広告費用対効果」の入札戦略を使用している場合は、目標の変更が特に重要です。(個別単価設定のみを使用している場合は、新しいデータに基づいて最適化を開始するまで、掲載結果に影響はありません)
目標コンバージョン単価制を使用している、2つのキャンペーンを例に見ていきましょう。
キャンペーン | コンバージョン数(ラストクリック) | コンバージョン数(データドリブン) | CPA(ラストクリック) | CPA(データドリブン) |
---|---|---|---|---|
ブランド | 200 | 150 | ¥500 | ¥667 |
一般キーワード | 50 | 100 | ¥2,000 | ¥1,000 |
ラストクリック時のCPA 500 円と 2,000 円のまま目標コンバージョン単価で入札をかけているとします。この状態でデータドリブンアトリビューションに変更する場合、コンバージョン数の変化により入札単価が影響を受けるため、「ブランド」キャンペーンでは安く入札され、「一般」キャンペーンでは高く入札される可能性があります。
そのため、設定している目標コンバージョン単価を調整する必要があります。下記キャンペーンの例で、調整方法を確認しましょう。
キャンペーン | コンバージョン数(ラストクリック) | コンバージョン数(データドリブン) | CPA(ラストクリック) | CPA(データドリブン) | 目標コンバージョン単価調整率 |
---|---|---|---|---|---|
ブランド | 200 | 150 | ¥500 | ¥667 | -33% |
一般キーワード | 50 | 100 | ¥2,000 | ¥1,000 | 50% |
「ブランドキャンペーン」では、コンバージョン単価が 167円上がっています。この増加分を調整するには、目標コンバージョン単価を33%(167÷500=0.33)下げます。
「一般 キャンペーン」では、コンバージョン単価が1,000円下がっています。この低下分を調整するには、目標コンバージョン単価を50%(1,000÷2,000=0.5)上げます。
変更前にモデル比較レポートで影響を確認する
新しいモデルに変更する場合は、予め変更がどのように影響するかを確認してから設定に反映することをおすすめします。現状のアトリビューション設定から変更した場合の影響はモデル比較レポートで確認することができます。
管理画面右上の「ツールと設定」から「アトリービューション」画面の「モデル比較」を選択。その後、ページ左上にあるディメンションから比較したい項目にチェックを入れます。
※ディスプレイ広告とYouTube広告を含んだものを表示させるには、2021年8月9日以降の期間を選択する必要があります。
比較項目はデフォルトでコンバージョン数とコンバージョン単価が選択されています。運用しているアカウントを広告費用対効果で運用している場合は、管理画面右端「列」から比較項目を変更・確認することが可能です。
最後に
これまでと違うことを始めるときには不安や恐怖を感じることがあると思います。
けれども、そこでその道を避けてしまうのではなく、まずは何が不安なのか、どうして怖いのかとその原因を考えてみるのがおすすめです。すると、必要のない不安だったということも少なくありません。
もし、アトリビューションモデルの変更を心配する必要のない理由で戸惑っているのであれば、この記事で少しでもその不安の正体が分かり、一歩踏み出していただけるとうれしいです。