長年既存ユーザー向けのダイナミックリターゲティング広告を牽引してきたCriteo(クリテオ)ですが、現在はダイナミックリターゲティング広告に加え、Webサイト未訪問の新規ユーザー向けの広告メニューやモバイルアプリ広告などの様々なプロダクトを提供しています。
この記事では、Criteo広告の仕組みや特徴はもちろん、どのような広告メニューがあるのかなど、必ず押さえておきたいCriteo広告の基本についてまとめました。
目次
Criteo広告とは?
Criteo広告は、ユーザーの興味関心や行動履歴を基にパーソナライズされたクリエイティブを自動で配信できる「ダイナミック広告」が代表的な広告配信サービスです。
Criteo広告は、優れた技術を誇る広告エンジンによる機械学習と、膨大な消費者行動データをもとに「誰に」「何を(どの商品を)」「どのように(どんなクリエイティブで)」表示するかを適切に判断し、ユーザーごとに最適化したバナーを動的に表示することを得意としています。
(Criteo広告の表示例)気になってカートにいれた商品や関連商品が写真つきでくるくると動きながら表示される広告を見て、一度は購入を思いとどまった商品だけれど、やはり欲しいから買おう!とバナーをクリックし購入した経験がある人も少なくないかと思います。
このようにCriteo広告は、ユーザーの行動履歴に基づき、適切なタイミングで最適化されたクリエイティブをダイナミック(動的)に表示することで、購買へとつなげられます。
Criteo広告の仕組み
ユーザーごとに動的にクリエイティブを生成できるCriteo広告ですが、どのような仕組みがこれを可能にしているのでしょうか?
まずは代表的なリターゲティング配信におけるCriteo広告の配信の仕組みをみていきましょう。
サイト訪問済みユーザー向けの配信(リターゲティング配信)
Criteo広告といえば、既存ユーザー向けのリターケティング配信ではないでしょうか。まずは、既存ユーザー向け配信の仕組みを紹介します。
広告主のWebサイトに来訪したことのあるユーザーを対象に配信するリターゲティング配信では、Webサイトで閲覧した商品の情報を取得し、データフィード(※)と呼ばれる商品情報をまとめたデータベースの情報をもとに該当の商品情報を動的にクリエイティブへ反映して表示します。
サイト未訪問ユーザー向けの配信
Criteo広告には、広告主のWebサイトに訪問したことのない新規ユーザーにアプローチする配信方法もあります。
新規ユーザー向けの配信では、Criteo広告の配信先での過去の閲覧・購入データと 配信ユーザーの興味関心を掛け合わせ、ユーザーごとに最適な商品をデータフィードから選定しユーザーへ広告配信します。
Criteo広告の特徴
サイト訪問者にも未訪問者にも広告配信を行える仕組みをもつCriteoですが、他にも次のような特徴が大きな強みとなっています。
Criteo広告ひとつで日本の多くの配信面をカバー
Criteo広告は、日本のオンラインユーザーの92.6%(2021年11月時点)にリーチできます。
参考:Criteo媒体資料 2021年11月版(PDF)
Yahoo! JAPANやMetaなどの優良な配信先はもちろん、その他にも世界中の広告ネットワークを配信先として多く有しています。そのため、一つのプラットフォームから多数の広告ネットワークに、自動で最良の広告枠に広告を配信できます。
なお、Criteo広告が対応しているプラットフォームは、CRITEO社の当社の提携業者のページや、「Criteo媒体資料 2021年11月版(PDF)」より確認できます。
- Yahoo! JAPAN
- Meta
- 食べログ
また、Yahoo!広告以外でYahoo!JAPANに配信できる広告媒体は限られているため、Yahoo! JAPANに配信できるのもCriteo広告の強みです。Yahoo!ディスプレイ広告(以下、YDA)を実施している場合でも、YDAとCriteo広告の両方を導入することでより多くの広告枠への配信が可能となります。
高精度で種類が豊富な広告エンジン
Criteo広告は最低限のキャンペーン設計でも一定の成果が出せると言われるほど、広告エンジン(※)の精度には定評があります。1日6億5,000万人(2021年11月時点)のアクティブユーザーのデータを収集・分析できる環境が、エンジンの精度を高めることにつながっています。
参考:Criteo媒体資料 2021年11月版(PDF)
また、広告エンジンの種類が豊富なのも特徴です。下記は、Criteo広告で利用可能なエンジンの種類になります。
例えば、売上を最大化したい場合はクリック単価(CPC)、売上原価(COS)、予算のどの点を優先したいかでエンジンが分かれています。
広告配信の目的だけでなく、より運用していく上で重要視したいポイントに合わせてエンジンを細かく選択できることが強みです。
商品だけでなくレイアウトまで。高いクリエイティブ最適化技術
Criteo広告では、ユーザーが閲覧した商品やカートに入れた商品、閲覧した商品とカテゴリが同一の商品、同じ商品を見た人がよく購入している商品など、コンバージョンにつながりやすい商品をピックアップし、最大17兆通りのデザインからユーザーごとに最適化されたクリエイティブを表示します。
このクリエイティブの最適化は広告アカウント毎ではなく、ユーザー単位で行われます。そのため、広告に表示される商品だけでなくレイアウトまでユーザー毎に異なる内容に最適化されることから、高いパフォーマンスにつながりやすい傾向があります。
参考:Criteo Dynamic Performance Banner Specifications 2020年10月 更新版(PDF)
成果を左右する計測タグとデータフィード
Criteo広告には管理画面上の操作だけではできない改善の要素が数多く存在します。なかでも、計測タグとデータフィードはCriteo広告の効果を大きく左右するほど、重要な役割をもっています。
計測タグを正しく実装する
計測タグには「誰が、どのページに訪問し、どの商品を閲覧(購入)した」といったユーザに関する学習データを媒体に提供する役割があります。
より多くの正しい学習データを媒体に送ることで機械学習の精度が高まり、成果改善につながります。そのため設定が必須の計測タグだけでなく、可能な限り、Webサイトの全ての階層への計測タグ実装をおすすめします。
計測タグの設置後は正しく実行されているか、必ず確認しましょう。
Criteo広告の計測タグについて、詳しくはこちらの記事をチェックしていてくださいね。
データフィードの最適化
Criteo広告を配信するには、Criteo広告の仕様・フォーマットに沿ったデータフィードを用意する必要があります。
訴求ポイントが効果的に表示されるよう、クリエイティブから逆算したデータフィードの設計を行うことや、広告効果を見ながらPDCAをまわすことが成果につながります。
また、データフィードは一度作成して終わりではなく、常に最新の情報が保たれるよう定期的に更新する必要があります。
万が一、誤ったフィード内のカラム情報(価格の変更、商品画像、在庫情報、リンク先URLなど)をもとに広告配信されてしまうと、機会損失や広告パフォーマンスの低下に繋がりかねません。
データフィード作成時に、スケジュール更新の仕組みも一緒に整備することをおすすめします。
こちらの記事で、さらに詳しく説明しています。
Criteoのターゲティングの種類
また、リターゲティング以外の広告配信メニューも豊富なのがCriteo広告のもうひとつの魅力です。以下は、広告メニューの一覧です。
ターゲティングの種類 | 広告メニュー | ターゲティング詳細 |
---|---|---|
Retargeting(リターゲティング) | Retargeting | 広告主のWebサイトに訪問したことのあるユーザー |
Prospecting(プロスペクティング) | Similar Audience | アカウント単位での類似拡張 |
Customizable(カスタム) | Lookalike Audience | ユーザー単位での類似拡張 |
RDAC Audience | 楽天データを活用した配信 | |
Commerce Audience | 購買データを活用した配信 | |
Persona Audience | ペルソナを選択する配信 | |
Location Audience | 位置情報に基づく配信 | |
Event Audience | 広告主のWebサイトに訪問したことのある一部のユーザー | |
顧客リスト | 顧客リストへの配信 |
Criteo広告はターゲティングの種類によって使用可能な広告メニューが異なります。まずは以下のターゲティングの種類があることを押さえておきましょう。
ターゲティングの種類 | ターゲティング対象 |
---|---|
Retargeting(リターゲティング) | 広告主のWebサイトに訪問したことのあるユーザー |
Prospecting(プロスペクティング) | 新規のコンバージョン見込みのある、類似ユーザー追加 |
Customizable(カスタム) | 自由に対象ユーザーを組み合わせたユーザー |
参考:Criteo New Solutions Audiences(PDF)
参考:Criteo 新しいオーディエンス セグメント機能のご紹介(PDF)
Criteoの広告フォーマットの種類
Criteo広告のクリエイティブは、主にデータフィードを使うものと使わないものの2種にわかれます。
Dynamic ads
Criteo広告のバナーで代表的なものは、複数の商品情報が表示されているDynamic adsです。
データフィードを利用することで、ユーザーの興味関心を基により多くの商品データを用いて、ユーザーごとにパーソナライズしたクリエイティブを配信できます。
Dynamic adsは複数のバナーデザインがあり、様々な細かなオプションまで含めると約17兆通りのパターンがあります。ユーザー毎のこれまでの行動を基に広告表示の度に、バナーデザインも自動で生成されるのが特徴です。
参考:Criteo Dynamic Performance Banner Specifications 2020年10月 更新版(PDF)
自動生成されるのはバナーデザインだけでなく、その中に表示される商品情報もユーザー毎に異なります。リターゲティング配信の場合、主にサイトで閲覧した商品と同一カテゴリの中でお勧めの商品が表示されます。
Adaptive Ads(アダプティブ広告)
通常商品情報を活用する場合はデータフィードが必要になるのですが、データフィードなしでも配信可能なクリエイティブが「Adaptive Ads(アダプティブ広告)」です。
バナーを構成する、ロゴ・CTA・見出し・説明文などの要素を個別で設定することで、バナーを作成することが可能です。
データフィードなしでもユーザー毎にクリエイティブの最適化を行いより高いクリック率を目指すことができるので、単品商材や金融商品など商品点数が少ないケースでの使用がお勧めです。
Adaptive Adsの詳しい仕様や設定方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
動画広告・アプリ広告にも対応
データフィードを用いた広告フォーマットの多いCriteo広告ですが、動画を用いた広告フォーマットやアプリインストール向けの広告フォーマットなども用意されています。
アプリ広告
Criteo広告は、Web広告だけでなくアプリ広告も充実しています。
新規ユーザー向け配信のアプリインストール広告や、アプリ利用ユーザーへのリターゲティング広告、更にアプリを過去利用して休眠しているユーザー向け配信のリテンション広告も可能です。
動画広告
Criteo広告では、動画広告も配信可能です。連携しているメディアにてインストリーム・アウトストリームなど様々な形式にて配信可能です。
動画広告専用のエンジンとして、視聴完了を促すエンジンの選択も用意されています。通常ほかの広告媒体では、ディスプレイ広告などの他の広告フォーマットと共通のクリック最適化やコンバージョン最適化といったエンジンしか選択できないケースが多いと思います。しかし、Criteo広告は認知目的で配信することの多い動画配信だからこそ、視聴完了に特化したエンジンがあります。
Criteo広告を配信するには?
配信開始までのステップ
おおまかな配信開始までのステップは以下の通りです。最短でも配信開始までに1カ月は必要となります。
商品情報を基にしたデータフィードの構築や、ユーザーの行動を取得できる計測タグの実装等に時間を要すること、下記の手順全てにCRITEO社への依頼が必要となるため、他媒体と比べても配信開始までに余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
- 掲載可否の確認
- 申込
- データフィード作成・確認
- 計測タグ実装・確認
- クリエイティブ・パラメータ設定
- プレローンチチェック・配信開始
出稿条件と費用
これまでにCriteo広告を配信したことがなく、新規で配信を開始したい場合や、配信していたが一定期間以上、配信を停止していた場合にはCRITEO社による審査があります。
Criteo広告を配信したいサイトの商材やユニークユーザー数、配信したいキャンペーンによって最低出稿費用の条件がありますので、どんなサイトでも必ず配信できるわけではない点に注意が必要です。
ユニークユーザー数と出稿金額の目安は以下の通りです。
- ユニークユーザー数:制限なし(※1)
- 最低お申し込み金額(NET):50万円(※2)
参考:Criteo媒体資料 2021年11月版(PDF)
※1:一ヵ月間のサイトに来訪したユニークユーザー4万人以下の広告主様に関しましては、広告代理店を通しての契約のみ可能です。また、アプリ配信は利用できません。
※2:期間の指定はありません。配信開始から1か月間で50万円配信しきる必要はなく、数か月かけて配信しても問題ございません。
まとめ
Criteo広告の特徴や仕組み、Criteo広告の広告メニュー、導入方法や効果を高めるポイントなど、必ず押さえておきたいCriteo広告の基本について紹介しました。
Criteo広告はリターゲティング配信専門の媒体として知られておりましたが、現在はより幅広い目的で利用することが出来るようになっています。Criteo広告を運用中の方もこれからも方も、この記事が今一度Criteo広告の活用方法について考えるきっかけになれば幸いです。