Google Ad Grantsが大幅なポリシー改定。運用への影響から対処法、注意点まで

Google Ad Grantsが大幅なポリシー改定。運用への影響から対処法、注意点まで
この記事は最終更新日から約3年が経過しています。

2018年1月1日からプログラムポリシーが改定

参加資格のある特定非営利団体に対して、Google アドワーズの広告費が原則として毎月$10,000助成されるプログラム、Google Ad Grantsのプログラムポリシーが改定されました。

Google社の発表内容によると、今回ポリシー改定に至った経緯として「プログラムポリシーを明確化すると共に、無償提供の広告サービスに関する品質基準を引き上げました」とアナウンスがされています。

参考:プログラム ポリシー - Ad Grants ヘルプ

Google Ad Grantsの開始手順・基本的な仕組みやルール等については、以下の記事でもご紹介しているので、あまりご存知でない方は、まず一度ご覧いただければと存じます。

参考:非営利団体向け広告配信機能、Google Ad Grantsのスベテ


今回のポリシー改定で注意すべき内容

アカウント全体の平均クリック率を毎月5%以上で維持する必要があり、2ヵ月連続でこれ下回るとアカウントが取り消される

こちらは今回のポリシー改定で、最も影響が大きく、遵守するのにハードルが高い箇所です。

この影響を受けて、Google Ad Grantsアカウントを強制的に停止されてしまう、もしくは配信できるキーワードの数が減ることで、クリックが減り、最終的にはコンバージョン数まで減ってしまう、といったケースが急増することが考えられます。

参考:Google Ad Grantsヘルプ

毎月の平均クリック率5%以上を維持するために、すぐに取り掛かれる対処法として考えられるのは、主に下記4つの方法となります。

  1. 広告文を変更することで、今よりも高いクリック率を得られるように図る。
  2. 広告のローテーションを「最適化」にして、少しでもクリックが見込める広告文が優先的に表示されるようにして、全体クリック率の向上を図る。
  3. 広告表示オプションを漏れなく設定し、少しでも視認性を上げてクリック率の向上を図る。
  4. 平均クリック率が5%未満のキーワードは、インプレッションが多いキーワード順(※注)に検索語句レポートを確認、意図しない、成果に結びつきにくい検索語句などで全体の平均クリック率を押し下げる検索語句は全て除外設定を行う。また、完全一致やフレーズ一致、絞込部分一致などのマッチタイプも活用することで、キーワードごとの平均クリック率改善を図る。

※注:インプレッションが多いキーワードほどアカウント全体の平均クリック率に及ぼす影響が大きいため、キーワード、検索語句ともにインプレッションの多い順に確認していくことが重要です

上記1~4の対策をとってもアカウントの月間平均クリック率が5%程度まで改善できない場合は、キーワードの停止や削除も検討する必要があります。

除外するべき検索語句の見分け方や手順がイマイチ分からない、といった方は、下記の記事で説明しているので、ご参考ください。

参考:検索連動型広告の効果を最大化させる除外キーワード徹底攻略
参考:最高のキーワード洗い出しツール、検索語句レポ-ト活用術

アカウント全体で毎月の平均クリック率5%以上をキープするのは至難の業ですが、上記のようにすぐ取り掛かれる対処方法はあるので、まずは出来る事から始めてみましょう。

設定できるキーワードに制限がかかる→違反が見つかった場合、予告なくアカウント自動停止

設定できるキーワードにAd Grants独自の制限が増えたので、現在配信しているキーワードがその制限対象となっていた場合、そのまま配信していると予告なくアカウントを停止されてしまうリスクがあり、配信を止めておく必要があります。

参考:非営利キャンペーン - Ad Grants ヘルプ

具体的に制限の対象となるキーワードの内容は、下記の4つです。

1. 自団体に所有権のないブランド名

「YouTube」、「Google」といったブランド名のほか、新聞の名前、他の団体の名前も含まれます。特に、他団体名のキーワードに広告配信している非営利団体は多く見受けられるので、現在Google Ad Grantsで配信している状況か否か、注意が必要です。

2. 1語のキーワード

例外として、団体の所有するブランド名、病名、慈善活動に直接関連する一般的なキーワード、または団体が掲げる理念が慎重に扱うべきテーマに関わるものである場合は、ポリシーの例外として1語で配信してもポリシー違反となりません。また、ダッシュ、ピリオド、または特殊文字を含む用語も、1 語のキーワードとして扱われません。

その他で配信禁止の対象外となるキーワード一覧は、下記ヘルプを参照ください。

参考:Ad Grants の 1 語のキーワードに関するポリシーの例外 - Ad Grants ヘルプ

3. 一般的すぎるキーワード

「無料動画」、「電子書籍」、「ニュース」、「子供」、地名、歴史上の出来事や人名など、団体のプログラムやサービスとマッチしないキーワードに配信していると、アカウント自動停止の可能性があります。

4. 品質スコアが2以下のキーワード

品質スコアが2以下のキーワードを配信していると、アカウントを自動停止されてしまう可能性があるので、管理画面上から品質スコアは小まめにチェックする事をオススメします。

ちなみに、Google Ad Grantsには「品質フィルタ」というものが2017年の夏から導入されており、今回のポリシー改定以前から、品質が低い広告は広告オークションへの参加ができず、広告を表示することはできなくなっています。

参考:広告の品質 - Ad Grants ヘルプ

今回触れた品質スコアや、広告ランクの仕組みに関しては、間違った認識をされている方も見かけるので、不安な方は下記の記事もご覧いただければと存じます。

参考:Google アドワーズの品質スコアの基本と3つの誤解
参考:Google アドワーズ、品質スコアと広告ランクについてよくある 6 つの質問

すべてのAd Grants AdWordsアカウントは次の2つの条件を満たす必要がある

  • キャンペーンごとに有効な広告グループが少なくとも 2 つあり、関連性の高いキーワードのセットと、有効な 2 種類のテキスト広告がそれぞれに含まれている
  • サイトリンク表示オプションが少なくとも 2つ設定されている
    (ウェブサイトのトップページをサイトリンクの URL として指定する事は出来ません。また、2つとも違うURLである必要があります。)

団体に関連する地域に広告を表示するため、ターゲット地域を設定する必要がある

例えば、「日本」+「アメリカ」といった、国をまたいだ組み合わせでは配信できず、指定できるのは1つの国だけになります。日本国内に配信したい場合、指定地域は「日本」のみで大丈夫です。


ここまで紹介してきたポリシーは今回改定されたものとなりますが、それとは別で、以前からあった重要なポリシーがあり、下記の作業もうっかり忘れてしまうとアカウントが停止されてしまうので、運用に割ける時間があまり無い環境の方はご注意ください。

Google Ad Grants の参加団体の方は、少なくとも 1 か月に 1 回 AdWords アカウントにログインして、アカウントを積極的に管理する必要があります。30 日以上ログインされていないアカウントは予告なく自動停止されることがあります。

引用:一時停止されたアカウントを再開する - Ad Grants ヘルプ

Ad Grants 向け AdWords Express アカウントの利用も視野に

ここまでに紹介してきた、設定できるキーワードに関する制限やアカウントが満たすべき条件を満たすことが難しい場合、Google はアカウントの構成が自動的に行われるAd Grants 向け AdWords Expressの利用も勧めています。

AdWords Expressの詳細については割愛いたしますが、ざっくり説明いたしますと、ビジネスの広告を作成して予算を設定し、宣伝するサービスや商品を選ぶだけでアカウントが自動構成され、サービスや商品に関連するキーワードで検索されたときに広告を掲載できるサービスです。商品やサービスのカテゴリに基づいて、キーワードではなく広告の検索フレーズが自動管理される仕組みになっています。

参考:Ad Grants 向け AdWords Express の概要 - Ad Grants ヘルプ

こちらも毎月$10,000分の広告費が助成されますが、Ad Grants AdWords アカウントと共有になります。(Ad Grants AdWords で月間$700利用している場合は、$300分を Ad Garnts 向け AdWords Expressに充当することが可能です)

その他、上限クリック単価が$2まで、テキスト広告のみ、Google 検索ネットワークのみなど、Ad Grants AdWords と同様な制限があるものの、時間や知識が十分になくアカウントの管理が難しい場合は、Ad Grants AdWords アカウントから Ad Grants 向け AdWords Express へ切り替えることも検討してみましょう。

もしアカウントが停止されてしまったら…

ここまでご説明してきたポリシーを遵守しようとしてどれだけ気を付けていても、内外の要因によって月間の平均クリック率5%以上を2ヶ月連続で下回ってしまい、アカウントを停止されてしまうという事態に陥ることも今後は出てきてしまうでしょう。そんな事態でもなるべく迅速に再開できるよう、ここからアカウントの復元手順をご紹介したいと思います。

アカウントの復元を要求するためには、まず、ポリシー基準を満たす状態に修正することが必要です。その上で、電話(以下を参照)やメール、またはチャットで AdWordsチームに連絡をし、再審査が通れば再開が可能となります。

AdWordsチームへの問い合わせ窓口(2018年1月10日時点)

  • 電話:0120-590-092
  • 営業時間:月曜から木曜: 9:30 -18:00(日本時間)、金曜: 9:30 - 16:00(日本時間)

①管理画面右上の「?」アイコンをクリックし、②「電話サポートのご案内(世界各国)」をクリックすることでも、最新の電話サポート案内ページを確認することができます。

繰り返しポリシーに違反してアカウントが停止された場合、Google Ad Grants プログラムの参加資格を失ってしまうこともあるので、アカウント構成はポリシーを遵守できるよう、細心の注意を払いましょう。

参考:一時停止されたアカウントを再開する - Ad Grants ヘルプ

ポリシー改定とは別に機能の改善も

ここまで、ポリシーによる制限が強化された話題が続きましたが、あわせて入札戦略にスマート自動入札の「コンバージョン数の最大化」が使用可能となり、アカウントの目標達成に適切となる場合は、上限CPCの$2以上で入札することも可能となる機能改善も実は行われております。

参考:Google Ad Grants プログラムについて - Ad Grants ヘルプ

自動入札戦略「コンバージョン数の最大化」とは、キャンペーンの過去の情報や、オークション時の状況を加味して、キャンペーンのコンバージョン数を予算内で最大化できるように、自動的に入札単価が調整される機能になります。これは、今回のポリシー変更の中で唯一と言っていいくらい、運用面でプラスに作用しそうな変更点ですね。

従来のGoogle Ad Grantsでは、入札戦略が「個別クリック単価」のみで、上限入札単価も$2までと決められていました。今回使えるようになった「コンバージョン数の最大化」を導入すれば、クリック単価を$2以上で入札するケースも出てくるので、今まで競合の入札単価や広告ランクが高くてオークションに参加できなかったキーワードにも、広告を配信できる機会が広がります。

ただし、この「コンバージョン数の最大化」を利用する際、Google Ad Grantsならではの気を付けるべき点があります。それは、上限クリック単価の制限がなくなることで、クリック単価が高騰する可能性もあり、1日の早い時間のうちにキャンペーン予算に達する、Google Ad Grantsアカウントに設定されている1日の上限予算である$329に達してしまい、夜に配信できなかった…といったリスクが発生することも考えられます。

そのため、まずは少額の日予算を設定したキャンペーンからテスト導入し、徐々に日予算を上げていく方が、こういったリスクは少ないのでオススメです。

最後に

従来から諸々の制限が多く、今回のポリシー改定で運用の難易度がさらに上がったように思えるGoogle Ad Grantsですが、広告費が無料で最大月$10,000まで提供される広告媒体はそうありません。今回のポリシー改定で「もうあまりGoogle Ad Grantsを運用する価値が無いのでは…」と諦めずに、まずはご紹介した対処方法を行い、ポリシーを遵守した上で成果が出せるように対応を継続してみましょう。

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