Google 広告(旧 アドワーズ)の品質スコアの基本と3つの誤解

Google 広告(旧 アドワーズ)の品質スコアの基本と3つの誤解
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Google 広告(旧 アドワーズ)を運用していれば必ずや目にし、1度は気になってしまうのが『品質スコア』であります。品質スコアは仕組みが複雑なゆえに、誤った理解をした記事や誤解を招くであろう表現の記事が世に溢れているため、何が正しい情報なのか混迷している方も多いのではないのでしょうか?

そこで今回は、Google 広告の品質スコアの基本と勘違いしやすい3つの誤解についてお伝えしたいと思います。


品質スコアの基本

まず、初めに品質スコアのおさらいです。

品質スコアは「広告の全般的な品質」を評価するもので、アカウントのキーワード毎に10段階(1~10の数値)で表され、それは主に次の要素を加味して決定されます。

  • 推定クリック率
  • 広告の関連性
  • ランディングページの利便性

※一言で言うならば、「ユーザーが求めている情報と広告の関連性が、どれくらいマッチしているかを数値で表したもの」ということです。

つまり、広告の品質を高めれば品質スコアも高まるということです。具体的にどのような点を改善していくと良いのでしょうか。先ほどの3要素をもう少し細かくしてみると次のようなもので構成されます。

  • 広告の推定クリック率:
    この値は、広告の過去のクリック数とインプレッション数の影響を受けます(広告の掲載順位や広告表示オプション、以前にユーザーがクリックした広告の認知度に影響する可能性のあるその他のフォーマットなどの要素を除く)。
  • 表示 URL の過去のクリック率:
    表示 URL が獲得した過去のクリック数とインプレッション数
  • ランディング ページの品質:
    ページの関連性、情報の透明性、操作性
  • 広告と検索の関連性:
    広告テキストとユーザーの検索との関連性
  • 地域別の掲載結果:
    ターゲット地域でのアカウントの実績
  • ターゲットに設定しているデバイス:
    デスクトップ PC やノートパソコン、携帯端末、タブレットなど、各種デバイスでの広告の実績

(参考)品質スコアについて - Google 広告 ヘルプ

過去記事「今更聞けない?検索連動型広告の掲載順位と実際のクリック単価の決まり方」でも触れたとおり、広告の掲載順位や実際のクリック単価は下記の式で求められると説明しました。

20151130-02-1

ここで、品質スコアは広告の全般的な品質によって結果的に付与されるものでありますから、この式は実際には下記になるということが言えます。

※品質スコア自体、広告の品質と大きな因果関係を持つため、掲載順位と実際のクリック単価の決まり方などの仕組みを説明する上で使用する分には間違いはありません。

20151130-02-2

自身の入札単価や競合の広告状況に変化がないのを大前提とすれば、広告の品質が高いと表示される広告の掲載順位は上がりやすく、クリック単価が低くなります。つまり、実際には10段階のスコアではなく、決して同率にはならない細かな計算がされた広告の品質が広告ランクの計算に使われています。

大事なことなので2回言いますが、品質スコアは広告の全般的な品質をバロメータとして数値で表したものです。品質スコアを高めるには広告の品質を高めること。その結果として管理画面から確認できる品質スコアも高くなるでしょう。

品質スコアの3つの誤解

1. ランディングページには関連性のあるキーワードを入れ込んだ方が品質は上がりやすい?

ランディングページの要素は、品質スコアの判断材料のひとつです。そのため、検索語句と関連性のあるランディングページにユーザーを誘導すること自体は間違っていません。

しかし、ここでよく勘違いしがちなことは、品質スコアを高めようとしてランディングページの関連性を高めようとするあまり、検索語句と関連性のあるキーワードをとにかくランディングページ内に沢山詰め込んだり、検索語句と一字一句内容を合わせたりするという事です。それによってランディングページの関連性が高まって品質スコアが上がりやすいと思われがちですが、キーワードがランディングページに多く含まれるか否かは関係ありません。

ランディングページ内の検索語句の出現率が品質スコアに影響することはないため、必ずしも関連あるキーワードを詰め込む必要はないのです。

ランディングページにおいて大事な事は、ユーザーへの利便性です。

  • 関連性の高い、有益で独創性のあるコンテンツを提供する
  • サイトの透明性および信頼性を上げる(例えば、個人情報などを含むフォームへの記入を求める前に製品やサービスについてよく説明する)
  • サイト内(モバイルサイトを含む)で必要な情報を見つけやすくする
  • 確実にサイトを見てもらえるよう工夫する(例えば、広告をクリックしたらスムーズにページが表示されるようにし、読み込みに時間がかかるために待ち切れず離れてしまうユーザーを逃さないようにする)

(参考)ランディング ページの利便性について - リニューアル版 - Google 広告 ヘルプ

これらを踏まえ、いかにしてユーザーに満足してもらえるか、を考えていけばおのずと高い品質スコアは付いてきます。

2. 関係のない検索語句(クエリ)でも広告が出てしまうと品質スコアに悪影響を及ぼす?

よくある誤解のひとつとして、「関係のない検索語句で広告が露出されてしまうと品質スコアに影響するので除外キーワードを入れれば品質が良くなります」といった記事を見かけますが、これは完全に間違いです。

例えば、「マウンテンバイク」を扱うサイクリングショップで「マウンテンバイク」という広告グループがあったとします。その中に、「マウンテンバイク」「マウンテンバイク通販」といったキーワードがあるとして、広告配信後、検索語句を見てみると「バイク」という関連性が広すぎるキーワードで広告が露出されていたとします。その場合、除外キーワードに「バイク」完全一致を入れればクリック率が上がり品質が向上する!?と思われがちですが、除外キーワードは品質スコアの判断材料となっていない為、影響を及ぼすことはありません。

ここで、品質スコアに考慮されるケースは、検索語句と登録したキーワードが完全一致した「マウンテンバイク」と「マウンテンバイク 通販」の検索語句の場合だけです。

確かに除外キーワードを入れることで、広告の無駄な露出が減りクリック率は向上しやすくなるでしょう。そのため、アカウントの成果向上には効果的な施策となる可能性はありますが、登録キーワードと異なる検索語句でのクリックは品質スコアに考慮されませんから、除外キーワードを入れたところで品質スコアに影響を及ぼすことはありません。

そのため、「マッチタイプ」の考え方も同様で、登録しているキーワードが「部分一致」であろうが「フレーズ一致」であろうかは関係なく、品質スコアが考慮されるのは検索語句が入札キーワードと完全一致した時のみに限られるのです。

3.クリック率が高まれば品質スコアもあがる?

品質スコアの決定要素の1つである推定クリック率(広告の品質)は掲載順位や競合性など、さまざまな条件を元にクリック率の高さを正規化によって評価しています。そのため、単純に入札単価を高くすることで広告ランクが高くなって掲載順位が上がり、結果としてクリック率も高くなったとしてもそれ自体が品質スコアに影響することはありません。だって掲載順位が上がれば下位の広告よりもクリックされやすくなるのでクリック率が高くなるのは当然ですよね。

つまり、「クリック率が高まれば品質スコアもあがる?」という表現は正確性に欠けているのです。

クリック率は広告の品質を決定するうえで最も重要な指標の1つですが、広告の品質で重要視される推定クリック率の良し悪しは、管理画面で確認できるクリック率だけではなく、デバイスの違いや検索語句と広告の関連性から予測されるクリック率など複数の要素を加味して総合的に判断されます。

つまり、品質スコアに影響を及ぼすクリック率は、システムによって推定されたクリック率であり、絶対的なクリック率ではありません。

まとめ

品質スコアは成果を上げる上でも重要な指標であることは間違いありません。しかし、品質スコアを改善する事ばかりに執着してしまい、本来の目的を見失ってはいけません。品質スコアはあくまでもパフォーマンスを診断した指標の1つでしかないのです。

計測のための計測になってしまうことよろしく、品質スコアの改善の為のリスティング広告運用になってしまっては元も子もありませんね。本当に大切なことは、長期的な目標を見据え、ユーザーにとっての利便性の向上を通じて目標達成を目指すことです。

今回お伝えした3つの誤解は、情報を発信する側も情報を受け取る側も特に勘違いしやすいポイントです。品質スコアは仕組みが複雑なゆえに、間違った情報もいまだ多いので今回の記事が役に立てば幸いです。

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