Facebook広告の広告セットをむやみに分割させないために利用したい2つの機能

Facebook広告の広告セットをむやみに分割させないために利用したい2つの機能
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Facebook広告では、「広告セット」をできるだけ分割せずに統合することが推奨されています。

同じような広告セットやキャンペーンを結合することで、広告のパフォーマンスを高めることができます。

引用元:広告セットやキャンペーンを結合する | Facebook Businessヘルプセンター

もちろん、媒体の提唱するベストプラクティスといえど絶対ではありません。しかしながら、特別な事情がない限りは多くの広告アカウントで効果的な設定内容であることもまた事実です。それにもかかわらず、広告セットがむやみに分割されてしまっている広告アカウントをまだまだ目にします。そしてそのうちの多くが、「FacebookとInstagramでパラメータを区別して、流入元別に効果を計測する」といったアクセス解析のために広告セットを分割しています。

この記事では、アクセス解析のために広告セットを分割することのデメリットや、アクセス解析と理想的な広告アカウント設計を両立させるために利用したい2つの機能について解説していきます。



どうして広告セットを分割させない方がよいのか

一言でいえば、「パフォーマンスを向上させるためのベストプラクティスだから」なのですが、なぜ広告セットの統合がベストプラクティスたり得るのか、もう少し詳しく説明します。

情報収集期間と必要なコンバージョン数

Facebook広告のコンバージョン最適化が力を発揮するための条件として、広告セットごとに一週間で50件のコンバージョンを獲得する必要があるとされています。必要なコンバージョンを獲得するまでの期間は「学習期間」と呼ばれ、パフォーマンスが不安定になることがあります。

学習期間が早く終われば、それだけ早い段階でのパフォーマンス改善が期待できます。反対に広告セットが分散されていると、各広告セットが学習期間を終えるまで多くの時間や広告費が必要になってしまうのです。

人間の意思決定スピードにも影響する

広告セットが分割されているほど、クリエイティブのテスト結果も曖昧になりやすいです。これといった傾向がみえず「もうしばらく様子を見ましょう」と言いながら、ずるずると時間と広告費を浪費してしまった経験はありませんか?

データが分散していることで、学習期間への悪影響だけでなく、人間の意思決定スピードの低下や、打ち手が的確でなくなる危険を招きます。また、むやみに細かく設計された広告アカウントは、分析や入稿などに掛かる時間も増加し、どんどん手が入れにくくなっていきます。

よくある無意味な広告セットの分割例として、媒体(FacebookやInstagram)ごと、性別や年齢ごと、類似オーディエンスの拡張度(1%、2%……)ごとなどが挙げられます。入札戦略やクリエイティブに差がない限り、こういった分割はメリットよりデメリットに目を向けるべきでしょう。

Facebook広告の広告アカウント設計について詳しく知りたい場合は、以下の記事がおすすめです。

どうして広告セットを分割させてしまうのか

ここまでの説明で、広告セットは極力統合すべきことがおわかりいただけたと思います。しかし、広告セットの統合が理想だと分かっていながら分割を余儀なくされるケースがあります。そう、冒頭でも申し上げたアクセス解析の都合によるものです。

広告セットを統合している場合は、FacebookやInstagramなど、さまざまな広告配信面(以下、配置と呼びます)に同一の広告が配信されることになります。そのため、広告のリンク先URLとして設定しているアクセス解析用のパラメータも同じものを使用することになります。

FacebookとInstagramではユーザーの属性や行動傾向が異なりますし、SNSのオーガニック投稿経由であれば別々に集計できるので、広告でもそれぞれ個別に分けたい気持ちはわかります。

筆者も以前は泣く泣く広告セットを分割していたこともありましたが、2021年現在はこの問題を解決できる機能が提供されています。

広告セットの統合とアクセス解析を両立させる2つの機能

広告セットを統合しつつも、媒体や配置ごとにパラメータを区別し、必要な粒度でアクセス解析を行うための機能を2つ紹介します。

URLダイナミックパラメーター

まず候補にあがるのが「URLダイナミックパラメーター」です。使用しているアクセス解析ツールが「Googleアナリティクス」のみであれば、ほとんどの場合これだけ解決します。

配置ごとにパラメータを区別するにあたって、以下のように「utm_source」の値を設定していることと思います。広告セットを統合していると、この値が区別できないことが問題でした。

Facebookからの流入:
https://anagrams.jp/?utm_source=facebook&・・・

Instagramからの流入:
https://anagrams.jp/?utm_source=instagram&・・・

URLダイナミックパラメーターを使用すると、以下のように動的パラメータを設定できます。

https://anagrams.jp/?utm_source={{site_source_name}}&・・・

さきほどの例であれば、次のように設定することで流入元を区別できます。

ダイナミックパラメーター 内容 値の例
{{site_source_name}} Facebook、Instagram、Messenger、Audience Networkを区別するための値 fb
ig
msg
an
{{placement}} 配置を区別するための値 Facebook_Desktop_Feed
Facebook_Mobile_Feed
Facebook_Right_Column
Messenger_Inbox
Instagram_Feed
Instagram_Explore
Instagram_Stories
{{campaign.name}} キャンペーン作成時に、キャンペーン名に設定した文字列 任意のもの。ただし、作成後に変更したキャンペーン名は適用されず最初に付けた名前が使用される
{{adset.name}} 広告セット作成時に、広告セット名に設定した文字列 任意のもの。ただし、作成後に変更した広告セット名は適用されず最初に付けた名前が使用される
{{ad.name}} 広告作成時に、広告名に設定した文字列 任意のもの。ただし、作成後に変更した広告名は適用されず最初に付けた名前が使用される
{{campaign.id}} キャンペーンID 0123456789012
{{adset.id}} 広告セットID 0123456789012
{{ad.id}} 広告ID 0123456789012

URLダイナミックパラメーターの設定手順は以下のとおりです。

① 広告編集画面から「URLパラメーターを作成」をクリック
② 動的に変更したい部分をクリックし、必要な値を選択

配置ごとのアセットカスタマイズ

アドエビスやウェブアンテナなど、ツール独自のパラメータを付与する解析ツールを使用している場合は、URLダイナミックパラメーターだけでは解決が難しいでしょう。このような場面では「配置ごとのアセットカスタマイズ」という機能が役立ちます。配置ごとのアセットカスタマイズとは、広告の画像・動画やテキスト、そしてリンク先のURLまでを配置ごとに設定するための機能です。

ニュースフィードとストーリーズなど、推奨の縦横比が異なる複数の配置ごとに適したアセットを入稿するための機能です。配置ごとのアセットカスタマイズを利用することで、その気になれば1つの広告に対して配置ごとに異なるURLを設定することもできます。

ただし、入稿にかかる手間は爆発的に増加し、設定ミスのリスクも増えてしまいます。広告クリエイティブの入れ替えサイクルも考慮のうえ、導入するかを決めましょう。配置ごとのアセットカスタマイズの設定手順については少々長くなるため、以下の記事をご参照ください。

まとめ

広告セットは分割されているより統合されているほうが、機械はもちろん人間にとっても運用しやすいことを改めてお伝えしました。今回紹介した機能を活用することで、アクセス解析の事情によって広告セットを分割しなければならないケースは理論上なくせるでしょう。

しかし「URLダイナミックパラメーター」はともかく「配置ごとのアセットカスタマイズ」については入稿の手間が大幅に増加してしまうため、「できるなら導入しよう」と勢いだけで導入するのはおすすめできません。

細かく設定されたパラメータが本当にきちんと活用されているのか、広告セットを統合するメリットと比較して優位性はあるのか、導入前によく検討したいところです。

運用型広告ではデータを追いやすい性質上、分析や管理そのものが目的となり、現場が疲弊してしまったりミスが多発したりといったケースがしばしばあります。「設定可能な限り細かく」ではなく、広告運用やデータ解析のフェーズまで考慮したうえで、無理なく活用できる粒度のパラメータ設定を心がけましょう。

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