Facebook広告でコンバージョンを獲得するためのアカウント設計ガイド

Facebook広告でコンバージョンを獲得するためのアカウント設計ガイド

※2019年6月26日:最新の情報をもとに更新

Facebook広告とは?何ができるの?という方にはこちらの記事がオススメです!
【入門】Facebook広告とは?特徴や種類、仕組みを分かりやすく解説

Facebook広告に限りませんが、プラットフォームによる自動化・最適化を利用する場合は「適切な設定がされているか」が広告の成否に大きく関わります。しかしこれまでFacebook広告についてご相談いただいた中で、設定一つで大きな改善が見込めるケースは少なくありません。 この記事ではFacebook広告のコンバージョン最適化のメリットを最大限活かすための適切な設定や広告アカウント設計の考え方を解説します。長くなりますが、どれも重要なことばかりなのでお付き合いください。

以下、キャンペーンの目的が「コンバージョン」、購入タイプが「オークション」になっていることを前提とします。

コンバージョンデータの重要性

まず非常に重要な前提として、Facebook広告で継続的に成果をあげていくためには一週間あたり約50件のコンバージョンを各広告セット(キャンペーンではなく広告セットです)で獲得し続ける必要があることを知ってください。これは経験則ではなく、Facebookの公式ヘルプにコンバージョン最適化のために必要なデータ量として明記されています。

Facebookの配信システムが広告の配信先として最適な利用者を学習するためには、広告セットのコンバージョンが1週間におよそ50件必要です。コンバージョン数が増えるほど、より適切に広告を配信できるようになります。
引用元: 配信システムについて: コンバージョンウィンドウ

最低限のコンバージョンを獲得できない場合は徐々に広告の配信量が減少していきます。配信量が減少すればコンバージョンを獲得する機会も減り、負のスパイラルへ突入してしまうでしょう。なお、50件というコンバージョン数はあくまで大まかな最低ラインであり、50件以上が理想とされています。

アカウント設計

Facebookのキャンペーン構造は以下の3つから構成されています。

  • キャンペーン
  • 広告セット
  • 広告

では、これらをどのように考えてアカウントを設計していけばよいのか、よく迷うことを解説していきます。

キャンペーン・広告セットの粒度はどうするか

キャンペーンや広告セットをどのくらいの粒度で分けるべきか?というのは運用者なら一度は悩んだことがあると思います。そんな時は「広告セットごとに最低限必要なコンバージョン数」を目安にしてみてください。

Facebookでは、コンバージョン最適化に必要なデータをキャンペーンや広告ではなく「広告セット」単位で蓄積していきますので、その前提に基いた考え方を紹介します。 まず広告セットの粒度についてです。広告セットを細かくし過ぎてしまうとその分コンバージョンデータも分散してしまい、最適化に必要なコンバージョン数を確保することが難しくなります。

そのため広告セットの数はできるだけ少なくして、それぞれの広告セットに多くのデータが集まるような設計にすることを強くお勧めします。 冒頭でも紹介した「一週間あたり50件以上のコンバージョンを各広告セットで獲得し続ける必要がある」という前提条件は常に意識してください。

悪い例として、意図もないままに性別や年代を細かく区切って広告セットを作成してしまうパターンがあげられます。広告セットをまとめていれば必要なコンバージョンを獲得できるケースであっても、広告セットを細かくし過ぎたことで全ての広告セットで配信が抑制されてしまうことさえあるでしょう。

参考:上級者向けガイド: ピクセルを使用してウェブサイトの売上を促進する

続いてキャンペーンの粒度です。キャンペーン配下の広告セットの予算をパフォーマンスに基づいて自動配分できる「キャンペーン予算の最適化」という機能があるので、広告配信の目的が同じ広告セットは同じキャンペーンにまとめるのが基本です。

上図はキャンペーン予算の最適化の有無によるパフォーマンス変化のイメージです。図の上では広告セットレベルで予算を管理し、各広告セットに10万円ずつの予算の設定しています。結果、効率の悪い広告セット(図では広告セットA)にも設定した通りの予算が割かれてしまっています。 対してキャンペーン予算の最適化を導入した図の下側では、キャンペーンレベルで設定した20万円の予算が効率の良い広告セット(図では広告セットB)に多く配分されるよう自動的に調整が行われ、同一のキャンペーン予算でより多くのコンバージョンを獲得できています。 このように、キャンペーン予算の最適化を導入することで広告の費用対効果向上が見込めます。

※2019年9月からキャンペーンレベルでの予算管理への移行がアナウンスされていますので、まだ利用していない場合には早めの活用をおすすめします。
参考:Facebook広告の予算管理をキャンペーンレベルに完全移行へ

特定の広告セットではこれまでとは異なるターゲットへの配信をテストしたい場合など、キャンペーン予算の最適化を使用しない場合はキャンペーンも別で作成することになります。

広告セットをまとめると配信実績の内訳は見られない?

広告セットをまとめることがパフォーマンス向上にとって大切であることが分かっていただけたかと思います。このようなご提案をしたときによく頂くのが「様々なターゲティングを1つの広告セットにまとめた場合にそれらの配信実績の内訳を見ることはできるのか?」というご質問です。

回答は、「把握できるものとそうでないものがある」です。

「性別」「年代」「地域」といったユーザー属性の内訳は分析することができますが、これら以外の「興味関心」「カスタムオーディエンス」などの内訳は見ることができません。例えば「野球またはサッカーに興味のある20歳~50歳の男女」をターゲットとした場合、性別や年代ごとの内訳は見ることができますが、野球に興味がある人とサッカーに興味がある人の内訳を見ることはできないということです。

レポートの内訳は広告マネージャにある①「内訳」をクリックし、分析したい項目を②から選択することで確認できます。ただし「性別×地域」のように複数の条件を指定することはできません。 見ることができない内訳はあるものの、ターゲット毎のパフォーマンス分析の目的で訴求や入札に違いがなくとも広告セットを分割するかどうかは慎重に判断してください。そのような構成の場合、それぞれの広告セットでデータ不足になってしまい、Facebook広告のポテンシャルを引き出すことができません。

パフォーマンスを追究するのであれば必要以上に広告セットを分割するのは避けたいところです。求めているのはデータではないはずです。

広告セットを分割するべきケース

では広告セットは1つにするのが最適なのでしょうか?もちろん結果的にそのようになる場合もありますが、意図があれば話は別です。

性別や年代ごとに訴求軸を変更するべき商材であれば、広告セットを別けることでターゲット毎に適した広告を届けることができます。また、サイト未訪問のユーザーとサイト訪問済みユーザーへの配信では入札額や予算を別々にしたいケースもあるでしょう。そういった場合は広告セットを複数作成するメリットがあるといえます。

例えば、様々な植物を扱うECサイトがあったとします。「フォトジェニックでお手軽価格のフラワーセット」と「高価な盆栽」ではメインのターゲット、広告訴求、購入までの検討期間などは異なるでしょう。そのため広告セットのターゲティングやクリエイティブだけでなく、場合によっては配信するプラットフォーム(Facebook、Instagramなど)やコンバージョンも違ったものにしていく必要がありそうですね。

このような場合は、広告セットを分割する妥当性があるといえます。ただし、これらの場合でもそれぞれの広告セットに最低限必要なコンバージョン数があることに変わりはありません。

まとめ

  • 全ての広告セットで一週間あたり最低50件のコンバージョンを獲得できる構成に
  • 広告セットの数が多いと最低限必要なコンバージョンが獲得できず配信量低下のリスク
  • キャンペーン、広告セットの粒度は入札、訴求、分析の観点からバランスを見て判断を

コンバージョンと最適化対象

広告セットごとに継続的にコンバージョンを獲得することの必要性についてお話ししました。では、このコンバージョンとは何を指すのでしょうか?

広告セットのコンバージョン設定

答えは「広告セットに設定するコンバージョン」です。下図では「カートに追加」のことですね。

広告セットのコンバージョン設定画面(広告マネージャ)

ECサイトを例にあげて説明すると、コンバージョンといえば一般的に購入完了を指すことが多いです。しかしFacebook広告では上図のように「カートに追加」や「購入フォームページ到達」といった、購入完了などの最終的なゴールの前段階にあるイベントをコンバージョンとして定義し、その獲得数が最大になるよう配信を最適化することができます。 「毎週50件以上のコンバージョン」の達成が予算や商材の関係で難しい場合は「カートに追加」のように「購入完了」よりも少ない広告費で獲得が見込めるイベントをコンバージョンとすることで、購入などのゴールに至る見込みの高いユーザーへの効率的な配信が可能になります。

ただし「サイトにアクセス」のようにゴールから距離のあるアクションをコンバージョンとして設定した場合、コンバージョン数は多く獲得できるかもしれませんが最終的なゴールへの到達見込みは薄いでしょう。広告セットに設定するコンバージョンは、必要なコンバージョン数を継続的に獲得できる中で、出来るだけゴールに近いものにしてください。

広告配信の最適化対象を理解する

広告のパフォーマンスを左右する非常に重要な要素として「広告配信の最適化対象」という項目があります。これは一言でいうと「予算内で何を最大化するか」をFacebookに指示する項目で、下記から選択可能です。

  • コンバージョン(広告セットで定義したコンバージョン数が最大になるように配信)※推奨
  • ランディングページビュー(広告のリンク先が読み込まれる回数が最大になるように配信)
  • リンクのクリック(リンクのクリック数が最大になるように配信)
  • インプレッション数(できるだけ多く広告が配信されます)
  • デイリーユニークリーチ(1日1回まで広告が配信されます)

広告配信の最適化対象(広告マネージャ)

広告の目的が「コンバージョン獲得」であれば、基本的には「コンバージョン」を選択することが推奨されています。何回広告がクリックされてもコンバージョンに至らなければ収益にはなりませんし、多くの人に広告を見て欲しいのであればインプレッション数を最大化するではなくキャンペーンの目的を「リーチ」など認知に適したものにするべきでしょう。また、フリークエンシーのコントロールを厳重に行いたいのであれば「リーチ&フリークエンシー」という広告購入タイプが提供されています。

一見すると利用しない理由がない「コンバージョン」への最適化ですが、これを利用するためには毎週50件以上のコンバージョンを獲得している必要があり、コンバージョン数が不足すると徐々に配信ボリュームが減少し、配信自体が止まってしまうこともあります。コンバージョンへの最適化というのは「コンバージョンする可能性が高い人」への配信であり、そのような人を特定するためには一定以上のデータをFacebookに提供する必要があります。つまり週に50件以上のコンバージョンというのは、コンバージョン最適化の機械学習に必要な条件なのです。

なお、バリューの最適化を使用するためにはコンバージョンとして標準イベントの「購入(Purchase)」を設定し、値と通貨を取得している必要があります。 コンバージョン計測の方法や仕様についてより詳細を確認したい場合は以下の記事もご覧ください。

参考:Facebook広告のコンバージョン計測方法と仕様について、知っておきたい基礎知識

コンバージョンウィンドウを理解する

広告配信の最適化対象に「コンバージョン」を指定すると「コンバージョンウィンドウ」という項目が表示されます。これは広告のクリックまたは表示からいつまでに発生したコンバージョンデータを広告配信の最適化に利用するかの設定で、下記から選択できます。

  • クリックから1日間
  • クリックから7日間
  • クリックから28日間
  • クリックまたは表示から1日間
  • クリックから7日間または表示から1日間
  • クリックから28日間または表示から1日間

コンバージョン最適化のための情報として参照されるのは、コンバージョンウィンドウで選択した期間中に発生したコンバージョンのみです。そのため、検討期間の長いタイプの商材の場合はコンバージョン最適化がうまく機能しない可能性があります。そのような場合は広告セットに設定するコンバージョンを「カートに追加」など、広告と接触してから短期間で発生しそうなイベントに変更すると良いでしょう。

コンバージョンウィンドウについて、どれを設定するべきか判断が難しければ「クリックから7日間」をお勧めします。

クリック後1日間では検討期間として不十分だが、クリック後28日間の場合は期間が長すぎて広告の影響が曖昧になってしまうケースもあるでしょう。クリック後7日間であればコンバージョン最適化のためのデータ量が増し、配信の安定性向上が期待できますし、広告の影響が少ないコンバージョンは参照しないため結果的に最適化の精度向上が期待できます。 広告セットに設定したコンバージョンが広告と接触してからどの程度の期間で発生するのかによって使い分けることが重要であるため、Googleアナリティクスなどでコンバージョンまでの期間を確認したうえで検討するのも良いですね。

なお、「表示から1日間」を含む設定についてはビュースルーコンバージョンが含まれることになります。ビュースルーコンバージョンには、インプレッションは発生しているものの広告をしっかりとは見ておらず、その後別の経路でコンバージョンしたような偶発的なものが含まれることが予想されます。そのため、ビュースルーコンバージョン数もKPIとしているのでなければ「表示から1日間」が含まれていないものを選択すると良いでしょう。 なおクリックから28日間を含むコンバージョンウィンドウは2019年6月現在では段階中に提供されている機能のため、利用できない場合もあります。

参考:配信システムについて: コンバージョンウィンドウ

まとめ

  • コンバージョン設定をどのイベントにするかが重要
  • 最適化対象は「コンバージョン」を推奨
  • コンバージョンウィンドウはの判断が難しければ「クリックから7日間」が無難

予算と入札設定

いくらキャンペーン構成がきっちりできていても、予算や入札設定が誤っていれば、その効果は半減してしまいます。次に適切な予算と入札の設定についてみていきましょう。

予算の導き方

Facebook広告でコンバージョンを獲得する場合、一定以上のコンバージョン数を継続的に獲得することが重要であることが十分ご理解いただけたかと思います。そうなると、気になるのが月々の予算です。1ヶ月あたりどのくらいの予算が必要なのか簡単に算出する式として「目標または上限のコンバージョン単価」×「50」×「4」をお勧めします。50は「最低50件のコンバージョン」を、4は「1ヶ月=4週間」をそれぞれ示します。

あくまでFacebookが推奨するコンバージョン数と目標とするコンバージョン単価から単純に計算した結果ですが、おおまかな金額は把握できるでしょう。この見積もりに対して十分な予算を確保できない場合は、広告セットに設定するコンバージョンを予算内で必要な数が確保できるもの(ECサイトであればカート追加など)にしてみましょう。

その場合の目標コンバージョン単価は、広告セットに設定するコンバージョンからゴール(購入など)への転換率から算出しましょう。たとえばカート追加からの購入率が10%程度だと分かっていれば、上図のようにカート追加にコンバージョンを設定しても購入1件あたりの広告費は5,000円程度になることが期待できます。 広告訴求や入札などに応じて広告セットを分割したとしても、そもそも必要なコンバージョン数が予算の都合で確保できていなければ破綻してしまいます。簡単なシミュレーションで解決できる問題なので、是非取り入れてみてください。

入札戦略とコストコントロール

コンバージョン単価がどのくらいの金額になるのかは運用者の立場であれば非常に気になることの1つでしょう。入札戦略とコストコントロールを活用することで、コンバージョン数やコンバージョン単価をある程度コントロールすることができます。入札戦略は4通り提供されており、それぞれ下記のような特徴があります。

最小単価

コストコントロールを空欄にすると最小単価の入札戦略が適用されます。

特徴 設定した予算を使い切る前提で出来るだけ多くのコンバージョンを獲得する。
活用シーン とにかくコンバージョン数を増やしたい場合や、コンバージョン単価の目標が明確でない場合。
注意点 予算増額に伴いコンバージョン単価が上昇していく傾向にあり、オークションの影響も受けやすい。

平均目標達成単価上限(コストコントロール)

特徴 設定したコンバージョン単価の平均が設定金額に収まる範囲でコンバージョン数を最大化する。
活用シーン コンバージョン単価の目標(上限)が明確な場合
注意点 コンバージョンごとの単価上限は考慮しないため、結果的にコンバージョン単価が設定価格を超える場合もある。

入札価格上限(コストコントロール)

特徴 コンバージョン単価が設定価格を下回ると判断した場合のみ入札する。
活用シーン コンバージョン数を出来るだけ増やしたく、コンバージョン単価の目標も明確である場合。
注意点 設定価格より高い入札が必要なオークションには参加しないため機会損失のリスクもある。

ターゲット単価(コストコントロール)

特徴 指定したコンバージョン単価の±10%に収まる範囲でコンバージョンを獲得する。
活用シーン コンバージョン単価を一定に保ちたい場合。
注意点 設定価格±10%を超えるオークションには参加せず、設定価格よりも単価の安いオークションに参加しない。 
 
多くの場合、広告の予算を最大限に有効活用したいですので「平均目標達成単価上限」が使用できる場合はそちらを使用することをお勧めします。データが不足している期間は、予算を少なめに設定しながら「最小単価」を選択するか、「入札価格上限」で希望のコンバージョン単価を設定するところから開始すると良いでしょう。   

まとめ

  • 継続的にコンバージョンを獲得するための予算配分を
  • 必要なコンバージョン数が不足しそうであればゴール手前のイベントをコンバージョンとして設定する
  • コンバージョン数とコンバージョン単価どちらを重視するかに合わせた入札戦略を

ターゲット

細かすぎるターゲット設定は禁物

正確なターゲティングが強みのFacebook広告ですが、ターゲットの絞り込みを細かくすれば良いということではありません。たとえば、こんなターゲット像があったとします。

  • 東京都目黒区在住
  • 30歳の独身女性

Facebook広告であれば上記のとおり絞り込むことが可能です。しかし実際に絞り込みをすると、該当するターゲットは1,000人未満しか抽出できませんでした。これでは広告効果も期待できず成果をあげるのは難しいでしょう。また、仮にそれなりの人数にリーチできたとしてもコンバージョンデータ蓄積の観点からもターゲティングはできるだけ広くすることが重要です。

もし細かくペルソナを作成していたとしてもFacebook広告でのターゲティングを絞り込む必要があるかどうかは検討する必要があります。例にあげたようなターゲットも、もしECサイトでの購入が広告目的であれば地域はそれほど関係がありませんし、年代も30歳ちょうどに限定する必要がある商材のほうが少ないでしょう。これらの絞り込みをなくすだけでリーチできる範囲は大きく広がります。

また、「職業」「業種」「肩書き」などのターゲティングについても抽出できるオーディエンスの数が少ない傾向があります。これらは行動履歴から類推される興味関心やFacebookのアカウント登録時に必須で選択する性別や年齢のような項目とは違い、能動的に登録している人数自体が多くないためと考えられます。 システム上絞りこめるターゲティング項目の全てが実用的なわけではありませんので、広告のプランを立てる際は早い段階で実際に管理画面からターゲティング設定を行い、潜在リーチ数を確認してみることをお勧めします。

広告セット間でターゲットが重複しないようにする

複数の広告セットでターゲットの重複があると、自社の広告セット同士がオークションで競合する場合があります。これを避けるため、パフォーマンスが最も高い広告以外はオークションから除外され配信されません。ターゲットの大部分が重複している場合、オークションから除外された広告を含む広告セットの配信量は増えませんので、当然コンバージョン最適化配信のために必要なデータも不足してしまいます。そうなれば、いずれ配信も抑制されてしまうでしょう。そうならないためにも、広告セット間でのターゲットの重複は最小限に抑える必要があります。

例えば「購入した人」と「会員登録した人」でそれぞれの類似オーディエンスを作成したとします。この場合、元にしているオーディエンスリストが異なるので重複のない類似オーディエンスが作成されると考えていないでしょうか?しかし購入者も会員も「自社の顧客」であることに変わりはなく、何らかの共通点を持っているかもしれません。そうであれば、最終的に作成される類似オーディエンスに重複が発生しているか確認する必要があるでしょう。

参考:オークション重複の仕様

ターゲット重複の調べ方と対応方法

ターゲットの重複が実際に発生しているか確認するための方法を2つ紹介します。

アセットライブラリから確認する

広告マネージャのアセットライブラリ→オーディエンスへ移動し、①比較するターゲットの横にあるボックスにチェックを入れます。「②アクション」から「③オーディエンスの重複を表示」をクリックすることで、チェックを入れたターゲットにどの程度重複があるのか調べることができます。この手順であれば広告を実際に配信する前に重複率を確認することができますので、アカウント構築時には欠かせないツールです。

配信インサイトから確認する

広告マネージャの「配信インサイト」というツールで、ターゲットの重複率とどの広告セットと重複しているのかを確認できます。 配信インサイトは広告マネージャの「広告セット」タブから、「配信」の指標にマウスを合わせると確認することができます。配信インサイトは過去7日間(今日を除く)に広告セットのインプレッションが500件以上あった場合のみ閲覧可能であり、既に配信している広告セットの状態を確認するのに適しているといえます。 配信インサイトへアクセスし「①オークションの重複」をクリックすると「②オークションの重複率」からどの程度重複が発生しているのか確認でき、「③重複広告セット」からどの広告セットと重複しているのか確認することができます。

上図の場合であれば、ターゲットの重複率は0.3%以下のため配信に与える影響はごく僅かといえそうです。 もしこれらの方法でターゲットの大部分に重複があることが分かった場合は、広告セットを統合するかターゲットの除外設定をするかで対処すると良いでしょう。重複しているターゲットが似たような内容であれば、パフォーマンスの最も良い広告セットにターゲットを統合してください。そうすることで1つの広告セットあたりに使用できる予算が増え、より多くのコンバージョンデータが蓄積できますのでパフォーマンスにも良い影響があるでしょう。そもそも広告セットを分割する必要性がなかったともいえますね。

気をつけたいのが、ターゲットに明確な違いがありそうな場合でも重複があり得るという点です。

例えば「野球に興味がある人」と「マラソンに興味がある人」はターゲットの違いが明確なので広告セットを別けても良さそうです。しかし「野球にもマラソンにも興味がある人」については、どちらかの広告セットで除外設定を行わない限り広告セット間でターゲットが重複しているため、パフォーマンスが最も高い広告のみが配信されることになります。予めターゲットが重複しないよう、野球に興味がある人の広告セットからマラソンに興味がある人を除外(またはその逆)しておくと良いでしょう。双方の広告セットで除外設定を行うと、重複していた人をターゲティングできませんので注意してください。

参考:ターゲット層の重複について

まとめ

  • 細かすぎるターゲティングは逆効果
  • ターゲットを絞り込む場合は、まずは潜在リーチの確認を
  • ターゲットの重複は最小限に

配置とデバイス

Facebook広告が配信できるのはFacebookだけではなく、Instagramなどへも配信でき合わせて管理もできます。しかしながら使われ方の違うFacebookとInstagramを一緒に管理するべきなのか、どう管理するのがよいか考えました。

配置

Facebook広告からの配信先にはFacebook、Instagram、Audience Network、Messengerの4種類があり、それぞれにさらに細かい配置(Facebook、Instagramならフィード、ストーリーズなど)があります。

配信先を増やすことでリーチできる人数は多くなりますが、たとえばFacebookとInstagramでは主な利用者層が異なると考えられるため、広告の成果にも大きく影響します。Facebookとしては全てに配信する「自動配置」の設定を推奨していますが、まずは宣伝する商材やサービスに最も合っているプラットフォームや配置から配信を始めて適切な単価で継続的にコンバージョンを獲得することを目指しましょう。 特にアドネットワークであるAudience Networkについてはどのサイト・アプリに配信するか指定することができません。配信面は随時更新され変数も多いため、まずはニュースフィードなど成果が見込めるプラットフォームと配置でコンバージョン最適化のためのデータが確保できてから拡張することをお勧めします。

配信デバイス

Facebookのオーディエンスインサイト(広告マネージャのメニューからアクセス可能なツール)によれば、日本国内のFacebookユーザーの98%がモバイルからFacebookを利用しています。(2019年6月時点) Facebookの決算レポートによれば広告収益の93%がモバイルからもたらされたものとなっており、多くのユーザーがモバイルから利用していることがわかりますね。

参考:Facebook – Facebook Reports First Quarter 2019 Results

このことから、ビジネス拡大の手段としてFacebook広告を利用する以上はモバイルへの配信はほぼ必須といえるでしょう。

また、モバイルからFacebookを利用する場面は電車通勤中や順番待ちの途中などのスキマ時間であることも想像できますね。 では、モバイルのみへ広告を配信すれば良いのでしょうか?ECサイトの注文フォームのような、スキマ時間に完了するにはハードルの高いコンバージョンイベントに対してはモバイルよりもPCが向いています。 そのような利用シーンを考えればモバイルで広告に接触してPCからコンバージョン、というケースも珍しくないでしょう。そのため、基本的にはモバイル・PCどちらにも広告を配信することをお勧めします。(モバイル専用サービスなどは例外)

コンバージョン単価が高い配置やデバイスの扱い

配置やデバイスごとのパフォーマンスは広告レポートから確認することができます。その際、特定の配置やデバイスのコンバージョン単価が相対的に高くなることもあるでしょう。そのような場合、効率の悪い部分を除外することで広告セットのパフォーマンスが改善される……と思いきや、かえって悪化や機会損失になる可能性があります。

例えば「最小単価」の入札戦略(予算を使い切る前提でコンバージョン数を最大化する入札戦略)でFacebook、Instagram、Audience Networkに広告を配信し、Instagramのコンバージョン単価が相対的に高かったとします。このような場合にInstagramへの配信を停止すると、さらに効率の悪いコンバージョンを獲得する必要性が発生し、全体の効率が低下するリスクがあります。

Instagramを除外した結果、費用対効果が悪化する例

あくまで選択した入札戦略に対してキャンペーンや広告セット全体の成果が最良になるよう入札調整されるため、特定のプラットフォーム・配置ごとのコンバージョン単価は考慮されません。そのため、レポートの内訳を見ると効率の悪い配置にも一定の予算が割かれてしまっているように見えることがあるのです。この仕様を理解せずにプラットフォームや配置を除外してしまうことのないようにしてください。

参考:配信システムについて: 配置

配置について図を持ち出して説明しましたが、デバイスについても同じことが言えます。特にモバイルへの配信を停止することには大きなリスクがありますので十分注意してください。

まとめ

  • まずは成果が見込めるプラットフォーム・配置へ配信
  • コンバージョンデータが蓄積されたら他の配置にも配信を検討
  • 効率の悪い配置やデバイスへの配信を停止するとかえって悪化のリスクも

情報収集期間と大幅な編集

広告運用をしていれば思うような成果が出ずに焦る気持ちになることもあると思います。しかしそのような時に広告セットをむやみに変更すると、泥沼にハマってしまうかもしれません。

情報収集期間

広告セットにはコンバージョン最適化配信に必要なデータを収集するための期間があり、この期間は「情報収集期間」と呼ばれています。 情報収集期間中は「どんな人がコンバージョンしそうか」を探っている期間であるため、パフォーマンスに乱れが出ることもあるでしょう。 情報収集期間は、情報収集期間の開始から約50件のコンバージョンを獲得すると終了します。情報収集期間の終了後は蓄積したデータによってパフォーマンスが安定していくことが期待されます。 反対に、情報収集期間が終了しても満足の行く成果が得られなかった場合、そのまま配信を続けていても改善される見込みは薄いため広告セットの設定やクリエイティブの見直しを検討することになります。

参考:情報収集期間について

大幅な編集

気をつけたいのが、情報収集期間中に広告セットのコンバージョン最適化に大きな影響を与える項目を編集すると新たに情報収集期間が始まってしまうという点です。思うような成果が出ないからといって頻繁に広告セットや広告の編集を繰り返してしまってはいつまで経っても情報収集期間が終了せず、パフォーマンスも安定しないでしょう。 広告セットに大きな変更を加えることをFacebookでは「大幅な編集」として定義しており、下記項目が対象とされています。

  • ターゲット設定の変更
  • クリエイティブの変更
  • 最適化イベントの変更
  • 広告セットに新しい広告を追加
  • 広告セットの7日以上の停止(広告セットの停止を解除した時点で、情報収集期間がリセットされます)

次の項目については変更の度合いに応じて、大幅な変更であるかどうかが判断されます。

  • 入札価格上限またはターゲット単価
  • 予算額(ターゲット単価の入札戦略を使用していない場合、予算の変更は大幅な編集とはみなされません)

参考:情報収集期間を編集する

日による変動は起こって当然として認識し、1日ごとの結果に一喜一憂せずに静観することも大切です。むやみに変更するのではなく、最も適切だと考えられる施策を優先する必要があります。どこから手を付けるべきか判断できない場合は、広告関連度診断の指標がヒントになるでしょう。

参考:広告関連度診断の活用方法
※広告関連度診断の指標は2019年6月現在では段階中に提供されている機能のため、利用できない場合もあります。

最後に

Facebook広告は基本的にプラットフォームによる最適化が肝になります。もし設定に致命的な間違いがあればそれを改善するだけでも広告パフォーマンスにプラスの変化が表れるでしょう。キャンペーンや広告セットを適切に設定したうえで、広告レポートを元に次の一手をどのようにしていくかは運用型広告の成果を左右する重要な要素です。 運用型広告も機械学習による自動化が進んでいますが、それらが成果を上げるためには人間による適切な判断が必要であり、適切な判断を下すためには仕様を正しく理解する必要があるでしょう。この記事がその一助になれば幸いです。

Yuta Semba

Yuta Semba

アナグラム株式会社 クルー。前職ではECサイトコンサルサービスで、デザイン制作からHTML・CSSでの実装、Googleアナリティクスでの解析やスケジュール管理などのディレクションも兼務。広告がきっかけでクリエイターを志した経験から、自分が作ったもので世の中に良い変化を生んでいきたいという気持ちでアナグラムに参画。

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