信頼を得るために、ビジネスチャットで気をつけたい4つのポイント

信頼を得るために、ビジネスチャットで気をつけたい4つのポイント
この記事は最終更新日から約2年が経過しています。

リモートワークの浸透でクライアントや社内の人と直接会って話す機会が減った今、テキストだけでもいかにスムーズにコミュニケーションできるか?がますます重要になっています。

社内チャットを使うシーンが増えたり、クライアントとのやりとりをチャットに移行してよりこまやかなコミュニケーションを取ろうとしている方も多いのではないかと思います。チャットを使うとメールよりも会話に近い双方向のコミュニケーションが叶いますが、使い方によっては、相手に余計なストレスを与えてしまうことも……。

本記事では、チャットを使ってお仕事をするときに相手から信頼を得るためのチャットの使い方をご紹介します。


即レスは大事、けれども……

相手からのメッセージには、できる限り即レス(即座に返事や返答すること)を意識しましょう。メールのやりとりに慣れていると、必要な情報をそろえてからまとめて返信する方もいると思いますが、チャットだとリアルタイムでメッセージのやりとりができる分、返信の遅さが相手のストレスにつながりやすいのではないでしょうか。

けれども即レス自体が目的になってしまうのは避けたいところです。たとえば、返答は早いけれど、相手が欲しい情報を提示してなかったり、やり取りの手間ばかりかかってしまい、中身のないコミュニケーションにもなりかねません。

他の用件の対応中に連絡が来ることや、じっくり考えてお返事したい内容のこともありますよね。そういったときは、いつまでに連絡するかだけでも先に返事をしておくのがおすすめです。

相手を不安にさせないことが本質

即レスのポイントは、「相手を不安にさせないこと」だと考えています。

たとえば、追っていつまでに連絡するかの期日を明確に伝えることで、相手は自分の依頼がちゃんと伝わっているか、いつ返信がくるか、気を揉まずに済みます。どうしても手が離せない場合は、リアクションスタンプを押すだけでも、チャットを確認したことを相手に伝えることができます。

「素早く回答をしなければ……!」と、即レスすること自体が目的になってしまい、自分のストレスにもなってしまっている場合は、相手を不安にさせないためにはどうしたらよいかを考え、即レスを上手に実践してみるのがおすすめです。

すぐ返信しないと忘れてしまうという方は対策を

また、すぐに返事ができない状況で既読にしてしまった場合は、返信を忘れることがないように目印を残すのもおすすめです。チャットを読んだまま返信や対応をうっかり忘れることが多い方は、次のような機能を参考にしてみてください。「未対応のチャットはここを見に行けば網羅できる」という状態を目指すと、返信忘れを減らすことができます。

  • 「未読に戻す」機能を使って未読状態にしておく
  • ブックマークに追加しておく
  • チャット内のタスク機能を使ってタスク化する

他にもチャットツールで次の設定をしておくと、相手からのメッセージにすぐ気づいて即レスしやすくなるので、もし活用できていない機能があれば参考にしてください。

  • クライアントとの連絡用チャンネルは、すべての新しいメッセージで通知を受け取れるよう設定する
  • 自分にとって重要なチャンネルは、すぐ見にいけるようにチャンネル一覧の上部に固定表示させておく

テキストコミュニケーションにメールではなくチャットを採用するのは、コミュニケーションにスピード感を求めるからなはず。その期待に応えることが信頼を得るための第一歩になります。

相手への負担は極力減らす

チャットに届いたメッセージは、スマホですきま時間に確認してその場で返信する人も多いのではないでしょうか。だからこそ、要点がまとまっておらず何をしてほしいのかわからないメッセージだと、「返信するのに時間がかかりそう」と思われて返信を後回しにされてしまうかも。

相手が返信するのにかかる負担を最小限にすることを意識すると、「この人とのチャットはやりやすいな」と思ってもらえます。その方が相手は後回しにせず返信してくれますし、その積み重ねによってちょっとした相談ごとも気軽にしてもらえる関係づくりにつながります。

次より、相手の返信の負担を極力減らすために意識したいポイントをお話ししていきます。

質問は相手が一言で返せる聞き方を目指す

相談や質問に答えるとき、選択肢を提示されると答えやすいですよね。「~~について、どうしましょうか?」とざっくり聞くよりも、「○○で進めていいですか?」「①・②のどちらがよいでしょうか」など、Yes/Noで答えられるように投げかけると、相手の考える負担を軽くすることができます。

相手に取ってほしいアクションを明確に

チャットで「質問をしたつもりが、相手は報告だと思ってスタンプしか返してもらえなかった」といった経験はないでしょうか。

そんなときにもう一度聞き返すのは、こちらも気が引けてしまいますし、相手も同じことを二度確認することになり必要以上の手間をかけてしまいます。

こういったすれ違いは、たとえば次のような聞き方で「相手に何をしてほしいのか」を明確にすることで防ぐことができます。

・相手から回答が欲しい場合

「○○について以下の方針で進めてよいかどうか、ご確認いただけますか?」

・返信してほしい期限がある場合

「○日までにご返信いただきたいです。」

・報告のみで返信不要のとき

「ご報告のみですのでご返信不要です。」

また、相手にとってほしいアクションの提示はメッセージの一番はじめにいれましょう。相手からなにを求められているのかを理解したうえでメッセージを読み進めるほうが内容も頭に入りやすいですし、読み返さずに済みます。

的確に簡潔に伝える

相手に伝えたいことは的確に簡潔に伝えましょう。PREP法に沿って文章を組み立てると、相手が確認・判断するうえで必要な情報を漏れなく・無駄なく整理することができます。

  • Point :結論(主張)
  • Reason :理由(なぜその結論に至るのか)
  • Example:具体例(根拠を明らかにする事例・データなど)
  • Point :結論(主張)

また、Reason(理由)やExample(具体例)は、必要に応じて箇条書きを使うと良いでしょう。要点を簡潔に整理できるため、読み飛ばしの防止にもなります。

やりとりの経緯を追いやすくする

チャットだと、別件の話題が複数同時に飛び交うことも珍しくありません。メールのように件名を分けたりできないため、やりとりが長く続いたときに経緯をさかのぼるのが面倒に感じる人もいるのではないでしょうか。経緯をさかのぼる手間を少しでも軽くすることで、相手も返信しやすくなりますし、会話のすれ違いを防ぐのにも役立ちます。

  • スレッド機能を使う
    スレッド機能が使えるチャットツールであれば、他の用件と混ざらないようにやりとりするのに便利です。
  • 過不足なく引用する
    なにに対する返信なのかが一目で理解できるよう、引用文と回答をセットで送ります。あまりにも長文をそのまま引用すると、チャット自体が長くなってしまうので、内容が理解できる範囲でポイントを絞れると良いですね。

相手からなかなか返信が来ないと感じる人は、もしかすると相手にとっては返しにくい聞き方をしているせいかもしれません。相手がYES or Noで返信できるメッセージになっているかどうか、改めて見直しましょう。

テキストに感情を乗せる

対面でも言い方ひとつで行き違いの原因になることがあるように、チャットでも「事実が伝われば十分」と思っていると、意図せず冷たい印象になってしまいます。

一定の関係値ができているクライアントや普段から頻繁にやりとりをする上司などであれば、かしこまりすぎるとかえってよそよそしくなりますし、不愛想と思われてしまってはもったいないですよね。

心理学には「好意の返報性」という法則があり、好意を示してくれる相手には自分も同様に好意を返したくなることをいいます。感謝や喜びなどポジティブな感情は相手に伝えるほうが関係性は深まります。

感情を乗せる方法は人によって個性がでる部分でもありますが、私が気をつけているポイントをいくつかご紹介します。

業務連絡にとどまらない+αのひとことを

電話や対面であれば「ありがとうございます」「おはようございます」と一言置いてから話し始めるのが自然ですよね。ですが、チャットになると文章を短くしようとするあまり、そういった挨拶や、「ありがとうございます。それでは、~~~」といったお礼のことばなど、いわゆるクッションことばを端折ってしまう人もいるのではないでしょうか。

ですが、前置きなしに「先週の数値のご報告ですが…」と用件に入ると、機械的なコミュニケーションに終始してしまいます。お互いの関係値ができていて用件だけ一行で返しても大丈夫な相手であればOKですが、少しでも誤解されてしまうかもしれないときは、チャットも対話コミュニケーションのリズムに近づけるのを意識すると、

お礼のことばも、「ご対応ありがとうございます。」だけよりも、「お忙しい中ありがとうございます……!」と言ってもらうほうが、感謝の気持ちが一目で伝わって嬉しいですよね。(私はうれしいです!)

顔が見えないコミュニケーションだからこそ、誠実に向き合っていることがテキストから読み取れるか?を意識することで、チャットを通じて「この人なら信頼してお仕事できるな」と思ってもらえる関係づくりにつながります。

語気を和らげる

たとえ同じことを伝えていたとしても、テキストは話しことばよりも語気が強く受け取られやすいです。思いがけずぶっきらぼうな伝わり方にならないよう、次のようなポイントを意識したいですね。

  • 相手の要望に沿えないなどのポジティブではない内容を伝えるときは、相手の気持ちに寄り添うことばを先に伝える

<Before>

<After>

  • 関係値がある相手であればあえて口語や絵文字を織り交ぜる


<Before>

<After>

スタンプを使う

リアクション機能のあるチャットツールであれば、自分の投稿に絵文字のリアクションがついてほっこりしたことのある人も多いのではないでしょうか。

対面の会話では、視覚や聴覚などのことば以外の要素から得る情報が93%を占めると言われています(メラビアンの法則)。一方、文字だけのチャットは表情や声のトーンで感情やニュアンスを補完できないので誤解や行き違いにつながることもありますよね。

言い回しを配慮するだけでなく絵文字も使って視覚的に気持ちを伝えられると、こちらの感情やニュアンスがより分かりやすくなり、齟齬のないコミュニケーションに近づきます。本文に絵文字を使うのは勇気がいることもありますが、リアクションスタンプであれば使いやすいのではないでしょうか。

読みやすいように書式設定も活用する

読むのが億劫になるような見づらいチャットばかりしてくる相手は、徐々に連絡を取ること自体嫌になってしまいますよね。相手のチャットを読むストレスをなくす上で、見やすさ・読みやすさは大切です。書式設定を適切に使うと視覚的に見やすくでき、構成を整理する上でも役立ちます。

以下に挙げた機能を活用すると、なんとなくの見た目ではなく、相手が読みやすいチャットに近づきます。

ここでは、ビジネスに利用されていることが多いであろう、Slackにおける書式設定の例をお送りします

長文は書式にメリハリをつけて読みやすく

長文をベタ打ちで送ると、チャット画面を占有しすぎてしまい、一目で要点がわからず読みにくくなってしまいます。Slackであれば、「```(コードブロック)」で囲ってコンパクトにしたり、見出しを太字にするなど視覚的にメリハリを付けると、一目見たらどの順番で何が書いてあるのかが分かりやすくなります。

リンク機能を活用する

関連情報や補足は、リンクがあると相手がわざわざ検索せずに済むので便利ですよね。せっかくならURLはベタ打ちではなくリンク付きテキストにすると、読みやすさを損なわずに参考ページを案内することができます。

テキストを修正するときは打ち消し線で

メールと違って後から文章を修正できるチャットツールもあります。送信後に修正する場合は、下記の例のように打ち消し線を使って修正内容が相手にも分かるようにしましょう。

相手が読んでいる途中に削除や修正をすると混乱させてしまいますし、後から言った・言わないのトラブルに繋がることもあります。

※メッセージの編集や削除ができるチャットは、メールに比べてエビデンスとしては劣ります。エビデンスとして残したい重要な連絡は適宜メールを使いましょう。

最後に

信頼してもらうためのチャットの使い方を心がけることで、1から10まで細かくすり合わせなくてもよくなり、結果として、「この人なら任せて大丈夫」と信頼してもらえるようになります。

普段のちょっとしたことばづかいや質問の仕方の工夫の積み重ねが、回りまわって広告運用の成果にもつながっていくのだと思います。

一方でテキストコミュニケーションに限界があることも忘れてはいけません。電話や打ち合わせで顔を見て話す方が親近感を感じやすいことも多いですし、緊急の対応が必要な場合はタイピングするより電話を1本入れる方が速いです。どんな手段でなんて伝えれば読み手が喜ぶかを考える。広告運用のお仕事で気を付けていることは、コミュニケーションの基本なのかもしれません。

関連記事