リスティング広告を配信する前にチェックしておきたい、 広告の不承認を防ぐためのポイントともしもの時の対処フロー

リスティング広告を配信する前にチェックしておきたい、 広告の不承認を防ぐためのポイントともしもの時の対処フロー

※2020年4月3日:最新の情報をもとに更新

ある日の午後受信した1通のメール。そのタイトルに浮かぶ「掲載停止」「不承認」などの文字を見て、まるで突然背中に冷水を浴びせられたような経験をされたことがある広告運用者の方は、きっと少なくないのではないかと思います。

テスト的に新たに追加・変更した広告が一部のみ不承認となった状況であればまだしも(それはそれで大変ですが)、昨日まではバンバンとコンバージョンが獲得できていた広告・ランディングページが突然不承認になったとしたら、まさに危機的状況。

今回はリスティング広告配信予定の広告・ランディングページ(以下、LP)を予定通りに配信するために行うべき事前準備、また、万が一不承認になった際の対処フローの一例をご紹介します。


配信前の準備編

1.LPと広告文内容を確認する

まずは入稿前の広告・LPの事前確認です。広告やLPを作成する前に、Google 広告、Yahoo!広告(旧:Yahoo!プロモーション広告)それぞれの掲載ポリシーを確認しておきましょう。LPは製作段階でポリシーに沿った内容を作成されているかと思いますが、入稿前に改めて確認をしていただくと確実です。

参考:Google 広告のポリシー - Google 広告ポリシー ヘルプ
参考:広告掲載基準 - Yahoo!広告ヘルプ

また、Google 広告のポリシーの確認で特に注意すべきは、Google 広告ポリシー ヘルプの法的要件の内容です。

法的要件
すべての広告主様には、標準の Google 広告ポリシーに加えて、広告の掲載地域の法律にも準拠していただく必要があります。Google では法的に少しでも疑いのあるコンテンツの掲載を許可しないよう、注意に注意を重ねる方針で、このポリシーを厳しく適用しています。

(中略)

各地域の法的要件
広告掲載で監視対象となる地域別の法的要件の種類については、下のボックスから対象国を選んでご確認ください。なお、ここに表示される地域別の法的要件や対象国は、すべてを網羅するものではありません。ビジネスの対象地域と広告掲載先の地域について、法律を調べて遵守する取り組みは、あくまでも広告主様の責任で行ってください。

引用元:法的要件 - Google 広告ポリシー ヘルプ


噛み砕いて言いますと、Google 広告のポリシーはあくまで世界共通のルールをまとめたものであり、各国の細かな法的要件はビジネスの内容に応じて確認してくださいね!ということです。例えば日本国内を例に挙げてみると、日本国内の法律である「薬機法(旧、薬事法)」や「景品表示法」などは、私たちが国内でビジネスを行う限りは必ず守るよう定められている法律ですが、Google 広告のヘルプ内にはそれらに関する記載はありません(2019年11月現在)。

Google 広告で承認された広告はあくまで「Googleが定めた広告ポリシー」をクリアしているにすぎず、出稿する広告が日本国内の法律に遵守しているかどうかは、広告主が確認をする必要があるということになります。ですので、Google 広告出稿の際は(もちろんYahoo!広告出稿の際も同様ですが)ヘルプページのポリシーやガイドラインと合わせて、国内の各法規制についても合わせて確認を行いましょう。

一方で、Yahoo!広告の広告掲載基準を見てみると、国内の法律や各専門機関ウェブサイトからの引用が至る所に明確に記載されており、広告やLPの掲載にあたってのルールが厳格に定められている様子が伺えます。

なお、Yahoo!広告の公式ヘルプには、掲載不可となる広告の具体例が紹介されていますので、広告作成時の参考になります。

参考:広告掲載基準 第9章 広告表現規制 6. 不当表示の禁止【第3章2.関連】- Yahoo!広告ヘルプ

また、Yahoo!広告の公式ラーニングポータルには商材別の掲載事例も数多くまとめられていますので、もしあなたがこれらに関連のある商材を扱う場合には、事前に目を通していただくと良いでしょう。

参考:ガイドライン・審査 - Yahoo!広告 公式ラーニングポータル

参考までに、Yahoo!広告の公式ラーニングポータルにて紹介されている具体例を一つご紹介します。

健康食品(ダイエット)で紹介されている事例では、「スッキリ」や「キレイな毎日を」といった、その言葉単体では効果効能を表現するものではない言葉であっても、画像や前後の文章の組み合わせで、本来は表記が禁止されているはずの効果や効能を暗示していると判断されることがあります。

参考:広告掲載基準 第6章 薬機法上の広告表示規制および個別の掲載基準があるもの 3. 食品、健康食品 - Yahoo!広告ヘルプ

公式ラーニングポータルには他にも様々な商材の不承認となる具体的な表現、注意が必要な表現の事例が掲載されていますので、対象となる商材を扱う際には事前に目を通していただくと、万が一の際でも焦ることなく対処ができそうです。

参考:<商材別に学ぶ>薬機法関連の掲載できない表現例- Yahoo!広告 公式 ラーニングポータル

広告作成の際の基本中の基本ですが、広告文で使用できる記号もGoogle 広告とYahoo!広告の検索広告(旧:スポンサードサーチ)、Yahoo!広告のディスプレイ広告(旧:YDN)でそれぞれ異なりますので、こちらも合わせて確認しておくことをオススメします。

参考:[随時更新] リスティング広告の広告文で使える記号一覧

2.配信開始前に事前に審査に送る

広告とLPの準備を終えたら、テストキャンペーン・テスト広告グループを作成し、広告とLPを審査に送ります(まだ一つも広告配信を行っていない場合)。テストキャンペーン・テスト広告グループにて広告やLPの審査テストを行う際、必ず配信設定を「オフ」にして入稿します。

審査は通常、Googleは1営業日以内、Yahoo!は3営業日前後かかります。場合によっては審査完了が早まることもありますが、配信開始日から逆算した上でスケジュールに余裕を持って審査に送ると良いでしょう。

参考:広告の審査について - Google 広告 ヘルプ
参考:審査とは - Yahoo!広告 ヘルプ

広告やLP審査は、Google 広告、Yahoo!広告共に広告の掲載前、掲載後のどちらも行われます。入稿時の審査に通ったけれども配信開始後に再度審査が入り不承認になる場合もあるため、広告やLPの審査状況は常に確認しておく必要があります。

また、Yahoo!広告の審査の際に注意をしたいポイントは、「キーワードと広告はセットで審査が行われる」という点です。キーワードもしくは広告のどちらか入稿されていない際にはどちらの審査も保留となりますので、注意が必要です。

ヤバい!それでも審査に落ちてしまったときの対処法編

「事前チェックを念入りに行ったにも関わらず、広告やLPが配信停止になってしまった!」

世の中に100%完璧なことなどないように、これなら100%大丈夫、と言い切れる広告やLPは存在しません。大事なのは万が一広告が審査不承認となった際、焦ることなくその後にどう対処するか、がポイントになってきます。以下に代表的な審査落ちの際の対処フローをご紹介します。

1.代替として配信可能なLPや広告を再開する(※以前は審査に通っていたものがある場合)

広告が全く配信されていないことによる機会損失は、可能な限り無くしたいもの。もし以前に審査を通過していた広告や使用可能なLPがある場合は、応急施策として一時的に過去のものを再開しておきましょう。

とは言え、独断で代替となるLPを再開させるわけにもいかないケースもあると思います。その場合は、次項で説明する不承認理由を確認した上で、速やかに広告主など然るべき担当者とコミュニケーションを取った上で再開させましょう。また、過去のキャンペーン内容や商品価格などが広告文に記載されていると思わぬ二次災害を招いてしまいますので、慌てず焦らず十分なチェックは必須ですね。

2.不承認となった全ての広告とその不承認理由を確認する

次に、不承認となった全ての広告とその理由を確認する方法をご紹介します。

Google 広告

Google 広告は、次のいずれかの方法で不承認の理由を確認することができます。

  • 広告管理画面で確認する方法
  • ポリシー マネージャーで確認する方法
〈広告管理画面で確認する方法〉

メール通知やアラートなどで、不承認の広告やLPを使用しているキャンペーン・広告グループを既に把握している場合はこちらの方法をご確認ください。

① 広告管理画面左メニューの「広告と広告表示オプション」をクリック
② 上部タブで「広告」が選択されているのを確認して「フィルタを追加」をクリック

③ プルダウン内「不承認の広告」をクリック

④ ステータス欄内の「不承認」にカーソルを合わせてウィンドウを開く
⑤「ポリシーを確認」をクリックで該当の広告が抵触したポリシーのヘルプに飛びますので、そこで不承認の理由を確認します。

〈ポリシー マネージャーで確認する方法〉

日頃の審査状況の確認や、不承認の広告やLPを使用しているキャンペーン・広告グループを把握していない場合はポリシー マネージャーでの確認がおすすめです。

① 広告管理画面の右上の「ツールと設定」にカーソルを合わせてウィンドウを開く
② 設定の「ポリシー マネージャー」をクリックでポリシー マネージャーを開く

③「ポリシーを確認」をクリックで抵触したポリシーのヘルプに飛びますので、そこで不承認の理由を確認します。

参考:Google 広告、ポリシーマネージャの導入など、広告に影響を与える可能性があるポリシーの制限を簡単にナビゲートする機能を導入へ

Yahoo!の検索広告

① 上部タブのキャンペーン管理の「▼」をクリックでプルダウンを開く
② プルダウン内「審査状況」をクリックで広告の審査状況ページを開く

③ 詳細表示の「表示」をクリック

④「審査否認理由と対応方法」で不承認の理由を確認します。

なお、「掲載不可/掲載停止のキーワードと広告をダウンロード(CSV)」ボタンから、審査不承認となった全ての広告とその理由の一覧をダウンロード可能です。対象の広告数が多い場合はこちらを利用するといいでしょう。

Yahoo!のディスプレイ広告

① 上部タブ「ディスプレイ広告」を選択
②「広告」タブをクリック
③「ダウンロード」をクリックして開いたプルダウンから「掲載不可/掲載停止の広告をダウンロード(CSV)」を選択

④ 絞り込み条件と期間を任意選択して 「 ダウンロード」をクリックで審査不承認となった広告とその理由の一覧をダウンロードできます。

3.不承認理由が明確なものはすぐに修正して再審査に上げる

テキスト広告における記号の連続使用による不承認など、理由が明確かつすぐに対応可能なものの場合、修正して再審査に上げましょう。

参考:[随時更新] リスティング広告の広告文で使える記号一覧

4.不承認の理由が不明確なら各媒体のサポート窓口に問い合わせる

管理画面に不承認理由の記載はあるものの、具体的に広告のどの言葉が抵触したのかやLPのどの部分が抵触したのか、までは管理画面では確認ができない場合もあります。その際は各媒体のサポート窓口に電話で直接不承認の理由を問い合わせてみましょう。不承認となった理由は各媒体のサポート窓口担当まで届いているため、詳細を確認することができます。

Google 広告の問い合わせ先

電話
0120-590-092
(月曜 – 木曜:9:30 – 18:00、金曜:9:30 – 16:00 ※祝日を除く)

フォーム
Google 広告 ヘルプのお問い合わせフォームまたは広告管理画面右上の [ヘルプ] マーク > [お問い合わせ] から問い合わせ可能です。

Yahoo!広告の問い合わせ先(一般窓口)

電話
0120-559-703
(平日:9:00 - 18:00 ※土日祝日を除く)

チャット
広告管理画面で [検索広告] タブまたは [ディスプレイ広告] タブを選択 > [チャットでお問い合わせ] をクリックで問い合わせできます。
(平日:9:00 – 12:00/13:00 - 18:00 ※土日祝日を除く)

フォーム
Yahoo!広告のお問い合わせフォームから問い合わせ可能です。

※Yahoo!広告のチャットでの問い合わせは、ご登録状況や担当者の状況によっては一部利用できない場合もあります。
※2020年4月現在の情報に基づいており、連絡先は変更となる可能性があります。

5.再審査のフローについて

抵触した広告・LPの修正が完了したら、再審査に送ります。

Google 広告

不承認となった広告を修正、保存をすると自動的に再審査に入ります。実際には元の広告が削除され、新規に作成された広告が審査対象となります。

Yahoo!広告

一度入稿した広告は、管理画面上では広告名以外の編集ができないため、修正した広告を別の広告名を付けて新たに入稿します。審査不承認のアイテムは不要であれば削除、残しておきたければ停止しておくのがよいでしょう。

なお、Yahoo!のディスプレイ広告は入稿済みの広告をキャンペーンエディター上であれば再編集ができます。Google 広告と異なり、既存の広告に上書きがなされます。

まとめ

一度承認された広告や過去には長期間配信ができていた広告でも、前触れなく、ある日突然不承認になることもあります。しかし、決して理由なく停止されるという訳ではなく、そこには必ず何かしらの理由があります。

一方で、審査不承認による広告停止は機会損失が発生するといったようなネガティブな面ばかりではないと筆者は考えています。なぜなら、言い方が良くないかもしれませんが、そのまま掲載を継続してしまうと何らかの法的な規制に抵触する可能性のある状況を、媒体社の協力により早期に対処できる機会を得た、とも考えられるためです。(もちろん、審査を媒体側に丸投げするのではなく、事前に自社内でも商品や運営サービスに関連する法律や規定を徹底的にチェックすることを前提として)そう考えてみると、審査不承認の際にも広告の停止に落ち込むことも少なく、前向きに対処を行うことができるのではないでしょうか。

広告運用者の立場からすると突然の広告停止はつらい状況ですが、まずは広告の配信前に徹底したポリシー確認を行い、万が一広告が審査不承認になった場合でも問題の早期対処・改善を通して、公正かつ持続可能なプロモーションを仕掛けていきたいものですね。

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