2016年2月19日(日本時間では2月20日、以下日付は日本時間とします)にSearch Engine Landに投稿されたポスト「Confirmed: Google To Stop Showing Ads On Right Side Of Desktop Search Results Worldwide」によると、Googleはデスクトップ向けの検索結果の右側に表示されていたテキスト広告枠を廃止することが明らかになりました。日本でも同日のSEMリサーチ「Google、ウェブ検索結果右側の広告枠を廃止へ」にても報じられております。
記事がポストされた2月20日に筆者もいくつかの検索語句で実際に検索して確認したところ、既に右側のテキスト広告は表示されなくなっているのをさまざまな環境下で確認できており、検索結果の上下にテキスト広告が配置される形となっています。下記キャプチャ(※クリックして拡大)の赤枠の通り、上部に4つ、下部に3つの計7本までが目視で確認できております。このことから、2月20日時点で既にグローバルで変更が行われている模様です。
※ただし、一部の環境では未だ右側のテキスト広告が表示されています。
しかしながら、上記画像の青枠の商品リスト広告(PLA)枠は以前と変わらず検索結果の右側上部のままとなっております。
商品リスト広告枠につきましては前述のSearch Engine Landでも報じられておりますが、今回の変更の中でも下記2つの広告は今回の変更の対象から除外されている模様です。
- 商品リスト広告
- ナレッジパネル内の広告
ただし1点気を付けなければならないのは、これらの情報はSearch Engine Landの取材によって明らかになったものの、Googleからの公式発表などは2月22日現在まだありません。
目次
検索結果右側のテキスト広告枠廃止によって引き起こされるさまざまなもの
これにつきましてはソーシャルメディア上各所で色々な憶測や議論が上がってきている中でそれらは現時点では憶測の域を出ませんが、筆者は下記のように考えます。
Google の広告収益は伸びていくであろう
モバイルの検索数がデスクトップの検索数を超えたのも記憶に新しい昨今ですが、今後、デスクトップの検索数自体が劇的に増加することあまりないと言っても過言ではないでしょう。限られた検索数の中で収益を上げる方法を考えるのは営利企業として至極真っ当な発想といえます。
そのなかで広告収入を維持し続けながらユーザー体験も悪化させないという天秤にかけた時、それらがバランスよく維持できるポイントとして、恐らく今回のような検索結果の右側にあるテキスト広告の廃止という結論に達したものだと思います。
短期的にはクリック単価が上がりそう
デスクトップの検索数が減少してきている中で収益を維持、または伸ばすということは、多少なりともクリック単価への影響は出てきそうです。
検索語句によっては右側含めて最大11枠のテキスト広告枠があったものが、(現時点では)最大7本に縮小される事になりますので少なからずともクリック単価は上昇しそうですが、おそらく変更直後の短期間だけであって、この状況に慣れてしまえば早めに収束の方向に向かうのではないかと予想されます。
商品リスト広告、業種別広告がますます大事に
ビジュアルの優位性の高い商品リスト広告が右側に残ったことで、少なからず今までよりは商品リスト広告が目立つようになります。そのため、商品リスト広告への参入も増えてくるだろうと思われます。
同様にナレッジパネル内の広告(下記画像の緑枠、Hotel Adsなど)は引き続き掲載されますが、Hotel Adsのなどは特殊な部類に入る広告ですので、ECサイトなど一般的な広告主に対しては影響はなさそうです。
どのあたりに注視すればよいか?
我々はGoogle アドワーズというプラットフォームを利用している以上、定められたルールと仕様に文句を言っても何も始まりません。このルールの中でどのようにすべきかを考えるためにも、何が変わるかと言ったポイントは押さえておく必要があります。
表示回数
今回の変更によって、デスクトップは従来の最大11本から最大7本の広告までしか表示されなくなります。その為、掲載順位を低めに構えていたキーワードなどは広告が表示されなくなるケースが出てくることが予想されます。
ただし、必ずしも最大の7本程度まで表示されるとは限りません。検索結果の下部に1~3位までの3本程度のみとなるケースもありますので、常に1位から3位程度の順位ではないような戦術を選択している場合は、表示回数を確認しておいたほうが良いかもしれません。
クリック数
前述の表示回数と同様に、掲載順位を低めに構えてきた場合はクリック数が減少するケースが出てくることが予想されます。
クリック率
検索結果の上部、下部ともに管理画面で確認できるクリック率が変動する可能性があります。上部の広告は最大4位まで掲載される可能があるためクリック率が上昇するケースも出てきそうです。特に広告表示オプションの利用状況で広告枠の目立ち方も異なるので、そのあたりもクリック率の変動要素に関わってくる可能性があります。
また、検索結果下部の広告は、検索結果の次のページに移る際には必ず視線がテキスト広告の上を通過するのが特徴ですね。下部の広告においてもサイトリンクなどの広告表示オプションも表示されるようになっているため、広告表示オプションの設定は引き続きマストとなるでしょう。
クリック単価
広告の最大掲載枠数が減少することで、最低限の広告表示に必要な広告ランクは従来よりも高いものが要求される可能性があるので、クリック単価は短期的には高まると予測されます。ただし、市場は常に適正値に収束されることを考えると、これも短期的な傾向であると考えます。
平均掲載順位
恐らく、今回の変更で最も影響を受けるのが平均掲載順位だと予測します。これまで平均掲載順位が4位や6位、つまり、右側に表示されていた広告が下部に移ることで多少の数字の変化が起こるでしょう。これまでの平均掲載順位5位の価値が、これからはこれまでの平均掲載順位5位の価値とは異なってくるということです。プレイヤーはこの価値の変動に敏感でなければなりません。特に自動入札ツールで平均掲載順位を加味したルール設計をしていたりする場合などは注意が必要な可能性があります。
まとめ
Google 検索結果から右側の広告枠の廃止がなされたというのは、かなりインパクトのあるアップデートでした。ブログやSNS各所で悲観的な声も多く聞こえてきますが、このようなアップデートがあった場合は、Google が何を思って決断したか考えるとともに事実を受け止め、新しいルールの上でどうビジネスを伸ばしていくかではないでしょうか。
もちろんモバイルファーストという理由も1つとしてはあると思いますが、デスクトップ向け検索連動型広告から得られるであろう収入の将来的な見込みや、商品リスト広告への参入増加の狙いもあったとすると、今回の変更は非常に腹落ちする内容で一番いいバランスが取れる地点で着地ではないかなと筆者は考えます。
このような変更があるたびに、いま検索エンジンはどのような状況にあって今後どうして行きたいのだろうか?ということを考えたりすることも大切だと思いますし、ワクワクします。たまには管理画面から離れてそんなことを考えてみるというのも楽しいですよ。
管理画面からたまには離れてみることの重要さについては、以下の記事も合わせてご参照下さい。
参考:施策に行き詰まったら管理画面から離れてみよう。