2022年に注目したい、運用型広告に関連する4つのテーマ

2022年に注目したい、運用型広告に関連する4つのテーマ

皆様、新年明けましておめでとうございます。これからもアナグラム及び、アナグラムブログを、どうぞよろしくお願いいたします。

気が付けば、コロナパンデミックになって2年が経ちましたが、運用型広告分野とその周りにおいてはなかなか変化が多く、新しい課題が出てきた時期でもありましたね。しかし、2020年に比べて2021年は若干「慣れた」という風に感じられることもあり、急変したユーザーの購買行動や新しい技術を「ニュー・ノーマル」として受け入れることができた広告運用者も少なくはないでしょう。

さて、今年も例年通り、この記事で1年を振り返りつつ、新年に大きな影響を与えるであろうオンラインマーケティング分野のトピックをピックアップしてご紹介したいと思います。

2021年を振り返って

今年を占う前に、まずは前回の振り返りです。2021年の大きな課題として予測したことが、果たしてその後実際にどのようになったのかについてご紹介していきます。

  • eコマースの成長が継続、ネット広告への投資も増加
  • データベースの整備がより重要に
  • 機械学習・自動化と上手く付き合える広告運用者が成果を出せる時代に
  • 個人データ保護に伴う媒体制限の拡大

eコマースの成長が継続、ネット広告への投資も増加

2020年と同様に、2021年もコロナのパンデミックの影響がかなり鮮明に現れました。コロナの発生に伴い、少なくとも小売業におけるeコマースは空前のブームとなったこと周知の事実かと思いますが、この傾向が2021年にも継続できたのか、またできたとしてどの程度なものになっているかについて見ていきましょう。

総務省統計局の最新データによると2021年には、オンラインショッピングの利用頻度とそこでの支出額が、前年に比べてわずかに増加したことが明らかになっています。

出典:家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について

また別途の調査で、緊急事態宣言が緩和された後もオンラインショッピングの利用頻度がほとんど変わっていない、または多くなっている回答が多いという点も興味深いです。

参考:緊急事態宣言解除後もオンラインショッピングの利用頻度を変えなかった人が73.4%【ロスオフ】|株式会社バトラのプレスリリース

そして2021年は、デジタル広告への投資も増加した模様です。2020年から2021年にかけて、デジタル広告の予算額は2兆1,290億円から2兆4,370億円(前年比114.5%)まで増加しました。

参考:インターネット広告市場に関する調査を実施(2021年) | ニュース・トピックス

データベースの整備がより重要に

コロナ禍でユーザーの購買行動が大きく変わってきました。ショッピングジャーニーのタッチポイントは、より細かく断片化しさまざまなアプリやウェブサイトを跨いで広がっている傾向が強まったと言えます。

以前の無料リスティングの登場に続き、Googleは2021年のI/Oでもう一つの大きなステップとして、新しい技術「Shopping Graph」を発表しました。これにより、Google検索はもちろんのこと、Googleショッピング、YouTubeから、Googleレンズによるビジュアル検索まで、Googleのエコシステム全体で、AIがサポートする動的な商品表示が可能になります。

参考:Working with merchants to give you more ways to shop

また、その他に注目を浴びたのはShopifyとの業務提携拡大が発表されたことで、これによりGoogle経由で表示・購入できる商品の幅が非常に広がる可能性を秘めています。

ユーザーにとっては大きなプラスとなりますが、その一方で販売者にとっては競争が激化し、いつにもまして商品在庫のデータをしっかり管理する必要性が著しく高まると思われます。

機械学習・自動化と上手く付き合える広告運用者が成果を出せる時代に

機械学習と自動化は、2021年においても引き続き中心的なテーマの一つでした。Google 広告が発表した仕様変更や新機能だけを見てもこの傾向が明らかであり、広告運用者にとっても、こういった新しいテクノロジーをうまく適応することがますます求められていると思われます。

Googleの進む方向を示す1つのポイントとしてあげたいのは、機械学習を多用するレスポンシブ検索広告が検索広告のデフォルトタイプになったことです。従来の拡張テキスト広告での配信はまだ可能ではありますが、このタイプの広告を新しく作成・編集することが可能なのは2022年6月までです。

しかし、機械学習を利用したキャンペーンタイプにも同様の志向が見られます。従来のディスプレイキャンペーンとスマートディスプレイキャンペーンの統合もそうですし、まだ比較的記憶に新しいP-MAXキャンペーンも、機械学習と自動化の要素が強いです。

参考:Changes to Display campaign creation – Google Ads Help

参考:P-MAX キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ

これらのアップデートを単体で見ると、さほど大きな出来事に思えないとしても、ここで強調したいのは、これらの動きは決して偶然ではなく、機械学習と自動化の利用頻度が高まっていく未来に向けた明確なステップであると解釈すべきだということです。

そして、上記のようなデジタル広告を取り巻く環境の変化にうまく適応できた広告運用者こそが、今後もキャンペーンでより高い収益性を出せるのではないかと思われます。

個人データ保護に伴う媒体制限の拡大

デジタル広告におけるプライバシーとユーザーデータの保護は、近年からますます注目されているテーマですが、2021年も例外ではありませんでした。

まず一つの例ですが、Apple社は、2021年4月にiOS 14.5をリリースし、IDFA(Identifier for Advertisers)の取得を可能にするために、ATT(App Tracking Transparency)の一環としてユーザーのオプトインを必要としていることが話題を呼びました。

プラットフォームがユーザーデータの利用について、明示的な同意を求めるようになってきていることは、ほかにもありました。

Meta社(旧Facebook社)も今後、FacebookとInstagramのユーザープロファイルを相互にリンクしてオーディエンスを算出する際には、ユーザーからの明確なオプトインがあった場合のみとすることを発表しました。

参考:An Update on How We Count People For Ads Planning and Measurement | Facebook for Business

もちろん、Googleにも注目が集まっていました。特に、従来のサードパーティCookieを利用した機能に代わるとされる新技術、FLoC(Federated Learning of Cohorts)はよく取り上げられたテーマでした。

参考:Google Developers Japan: FLoC の概要

2022年にとくに注目したいテーマ

さて、新年にはどのような話題が重要になってくるでしょうか。ここでは、近い将来に耳にすることになるであろう話題を、占ってみつつ紹介していきましょう。

1. ポスト・コロナ=オムニチャネルの世界?

Photo by Simon Bak on Unsplash

パンデミックの発生に伴い、オンラインショッピングにおけるユーザーの習慣は劇的に変化しました。一方で、実店舗での販売に回帰したとしても、コロナが収束した後の世界ではコロナ禍で身に付いた習慣が何らかの形で存在し続けると考えられます。

米国の市場調査会社Morning Consult社の調査によると、この点に関して非常に興味深いデータがありました。

参考:Tracking the Return to Normal: Shopping – Morning Consult

2020年から2021年にかけて、実店舗での買い物の安全性に対する認識は約2倍になっており、しかも各世代間で大きな差は見られませんでした。まず第一に、オフラインでの買い物に対する意欲が高まっていることが挙げられますね。

その一方で、回答者の多くは、「ポスト・コロナ」の世界でも、オンラインショッピングを「より多く」または「同じくらい」利用するつもりだと答えています。これは一見矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、withコロナの時代、あるいはコロナ後の時代には、もはやオンラインとオフラインの関係性はORではなく、今後はANDにシフトすることを示唆しています。

こうして考えると、しっかりとしたオムニチャネル(OMO)※戦略こそが、2022年以降、お客様に選んでもらえる重要な要素となりえます。

※Online Merges with Offlineの略。オンライン(EC)とオフライン(実店舗)を融合した顧客体験の向上を目的としたマーケティング手法。

そして、顧客の期待も高まっていると思われます。例えば、次のような要求に応えなることができた方が有利な時代になるかもしれません。

「実店舗の在庫は、オンラインからでも注文可能かどうか?」
「配送や受け取り方法にどんな選択肢があるか?」
「ポイントや割引は、オフライン・オンライン関係なく利用できるかどうか?」

ただし、実現するにはオフラインとオンラインの連携を普段よりも強く意識する必要があり、販売する小売業者自身はもちろんのこと、宣伝を担当する広告運用者も、一定のイノベーションを起こすプレッシャーをかけられる状況でもあると言えます。

2. ファーストパーティデータの重要性の高まり 

Photo by Scott Graham on Unsplash

Google ChromeブラウザのサードパーティCookieサポートが終了する時期は、本来2022年を予定していましたが、2023年後半に延期されることになりました。 しかし、ユーザーに関するデータを収集する方法が根本的に変わることは避けられません。

Cookieに基づいた手法がブロックされたままであれば、当然ながらも代替手段を探さなければなりません。その中でも特に中心的な役割を果たすと思われるのが、ファーストパーティデータと、それをどのようにマーケティングプラットフォームに統合するかという点です。

お客様が企業に提供するファーストパーティデータは、うまく構造化できていればユーザーの行動について多くのことを知ることができ、それが自社の広告戦略に大きな価値をもたらすことが間違いないと思います。特に従来Cookieをベースにしたオーディエンスセグメントの代わりに活かせることがイメージしやすいかもしれません。

しかし、ファーストパーティデータは、あくまでもユーザーが自発的に共有するものであるため、収集のしやすさはブランドに対する信頼とロイヤリティに比例する、とも言えます。つまり、ある業界でこれから名を上げようとしている新しいプレイヤーよりも、既存のブランドの方が幾倍も楽な世界になるのは確かです。

また、業種を問わずチャットボットを利用する傾向が強まっていることから、ブランドがユーザーのニーズを知る機会が増えることで、ファーストパーティデータの取得において相乗効果が生まれる可能性が大いにありそうです。

参考:Chatbot Market Size, Share & Growth Report, 2021-2028

3. 広告の効果計測の新しい技術が出現

Photo by Kvalifik on Unsplash

また、サードパーティCookieの廃止やデータ保護規制と密接な関係にあるのが、コンバージョントラッキングです。よく知られているように、現在もCookieに基づいて測定されているのが主流ですが、Cookieの制限が進むことによって明らかに変化の兆しが見られます。特に、運用型広告における成功の測定可能性は、大きく普及している自動入札に不可欠な要素であるため、このテーマはある種の緊急性をこれから増していくように感じます。

Cookieの廃止やプライバシー保護のガイドラインなどの理由で測定できなくなったコンバージョンを今後どう補完し代替すべきか、答えがまだ完全に出ている状況ではありませんが、この分野でおそらく今年も注目されるであろう有望なイノベーションは、FacebookのConversion APIでしょう。

非常に簡単に言えば、ウェブサイトがファーストパーティのデータをAPI経由でFacebookと共有し、従来の方法では追跡できなかったコンバージョンを測定します。この種の技術はまだ比較的新しいものですが、少なくとも将来的には主流になる可能性を秘めています。

2022年に入ってどのプラットフォームが、コンバージョン測定のボトルネックを解消するための独自の技術を提供することになるでしょう。特に注意が必要なのは、この点です。

4. コンプレックスなどを助長する広告表現の規制がより厳格化へ

Photo by Joshua Hoehne on Unsplash

今年からさらにフォーカスに入ると思われるもう一つのテーマは、広告表現への取り締まりでしょう。過度に不安を煽る、特にユーザーの外見などに関するコンプレックスを煽るような広告に対する規制は、今後厳しくなる可能性がかなり高いです。

この方向へ明確な一歩を踏み出したのはPinterestです。2022年から日本においても広告事業の展開が予定されているPinterestですが、SNSとしては初めて、ダイエットや美容整形などの広告を、ユーザーが持つコンプレックスを助長する恐れのあるとしてプラットフォーム上で全面的に禁止しました。

参考:ピンタレスト、減量に関する広告を禁止…ソーシャルプラットフォームで初 | Business Insider Japan

また、他のSNSも同様の意識を示す兆しがあります。最近では、例えばInstagramやTikTokが若者のメンタルヘルスに与えうる影響が注目されており、それがプラットフォーム側の対策に拍車をかけているようです。

参考:TikTok launches mental health guide after report about Instagram’s impact on teens – CNET

そのため、これらのプラットフォームも遅かれ早かれPinterestに追いつき、特定の広告を制限、または禁止するようになる可能性は比較的高いと思われます。

多くの人が日常的にSNSを利用していることを考えると、ユーザーにとって安全な環境を提供することは非常に重要な課題です。当然、SNSで表示される広告コンテンツも例外ではありません。

2022年はポストCookie時代への助走

2022年は普段よりもテスト行う年になると予想しています。

これまで顧客獲得や成功の評価に中心的な役割を果たしてきた使い慣れたテクノロジーを使えなくなる時代が訪れることはもはや避けられず、これから新しい課題が複数迫ってきているからです。

従来のCookieベースのリターゲティングに代わるものは何?あるいは、トラッキングできるデータが少なくなり、今後頼らなければいけない新しいデータポイントは何になるのか、そしてどこで入手できるのか?

これらはポストCookie時代に突入する前に聞くべき質問であり、どのようなやり方がうまくいくか、どの技術を今後使うべきかなど、なるべく早く答えを見出すために、2022年に多くのテストを行う必要があると思われます。ここを意識し素早く行動した広告運用者は、競合他社よりも大きなスタートアドバンテージを得ることができ、他の人がまだ模索している間に、いち早く軌道に乗って最適化に集中することができるはずです。

現時点ではまだ多くの不確定要素があるかもしれませんが、少なくとも一つのことははっきりしています。今年は、運用型広告にとって、かなりエキサイティングで固定概念を問いかける年になることは間違いありません。

というわけで、2022年は「もっといい方法」を見つけ出す一年にしていきたいですね。

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Jan Hugendick

Jan Hugendick

ドイツの出版社でマーケティングやSEOに携わることをきっかけにリスティング広告に興味を持ち、 ドイツの某メディア大企業直属のWeb広告代理店に転職。そこで5年間、多国・多業界 のアカウントを担当することを経て、2016年にアナグラムに参画。広告運用の他、ブログ執筆と編集を行っています。

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