運用型広告は世の中の役に立っている?広告運用者の私たちが、今こそ考えたいこと

運用型広告は世の中の役に立っている?広告運用者の私たちが、今こそ考えたいこと
この記事は最終更新日から約2年が経過しています。

スポーツジムや旅行先の決定など、筆者の消費行動の多くは広告を通じて発生したものが多いです。広告がなければ知ることもなかったモノやサービスは、生活を豊かにしてくれています。

一方で、Googleの検索窓に「広告」と打ち込めば「うざい」というサジェストが出てきたり、SNSでは広告が差別表現等がきっかけで炎上事件に発展したりと、広告が“嫌われ者”のように取り上げられてしまう風潮があるのも事実です。

人々の生活を豊かにするものであるはずの広告はなぜ、”嫌われ者”のようになってしまったのか。

そんな時に読んだのが、運用型広告に関する情報発信をする海外サイトの「PPC HERO」で見かけた次の記事です。

Does PPC Make The World A Better Place?
(運用型広告は世界を良くしているのか)

筆者自身が運用型広告を通じて実現したい世の中について考えるよい機会になりましたので、翻訳してご紹介いたします。

※以下はPPC HERO より許諾をいただいて翻訳しています。
※記事内のリンクは原文のままとしています。


運用型広告は世界を良くしているのか

最近、初めてお会いする方とお話する機会があり、インターネット企業による不祥事が話題に上がりました。その新しい友人はGoogleとFacebookが消費者データを収集するのがいかに不快で気味が悪いのかということについて話し始めました。なぜなら、GoogleやFacebookなどの各プラットフォームで収集された消費者データをもとに広告が表示されることに疑問を感じていたからです。

その後、会話の流れが自分たちの仕事の話になったため、私はしぶしぶ自身が広告代理店に勤めていることを打ち明けました。まさに今、非難を浴びていたプラットフォームで広告キャンペーンを管理していた当事者が私自身だったのです。

このような経験は運用型広告業界の多くの人が経験していることなのではないでしょうか。GoogleやFacebook、Microsoftなどのプラットフォームが持つ世間への影響力がますます強く(そして、ますます政治的に、民間の議論の一部に)なっていくと、このような経験は更に増えていくでしょう。

以前は借金の取り立て屋やテレマーケティングの人が受けていたような多くの人からの冷たい視線を同様に受けながら、果たしてリスティング広告に関わる私たちは気分よく仕事をしていけるのでしょうか?

その質問に答える前に言っておきたいのは、運用型広告業界および協業するインターネット企業が、多くの人に不信感を与えるきっかけをつくったのは間違いないことです。これからの企業(ひいてはデジタルマーケター)が持つ膨大な個人情報に関する問題に対し多かれ少なかれ誤解があったり、大げさに世間に伝わっていたりする部分があるとしても、過去、個人情報が誤った取り扱われ方をしたことを否定することはできません。

また、デジタルマーケターがFacebook、Google、Amazon、およびMicrosoftに利益を提供し続ける限り、これからの企業がもつ世界への影響力はますます強くなるばかりです。しかし、最近の独占的な行い、労働者への非合法的な対応、プラットフォーム上での差別的発言に関する多くのニュースを見ると、これらの会社が必ずしも世の中のためにはなっていないことは明らかです。

では、デジタルマーケターはどうしたら自身の仕事に後ろめたさを感じることなく、日々の仕事に取り組んでいくことができるのでしょうか?そのためには何よりもまず、業界での一貫した「理想の状態」で仕事を行う必要があります。なにを「理想」とするのかは、各業界それぞれの意見があると思います。その中でも以下基準については全ての業界が賛同してくれるのではないでしょうか。

誠実にあること(Truthful)

デジタル広告は消費者を誤解させないよう、宣伝する製品やサービスを正確に説明する必要があります。

押し付けがましくないこと(Non-Intrusive)

デジタル広告は、生産的で楽しいインターネット体験を促進するものでなければなりません。スパムでユーザーを苛立たせるキャンペーンはこの基準を満たしていません。(業界が現在この基準に達していない件については、この投稿をご覧ください)

個人情報を尊重すること(Respectful Of Personal Data)

デジタルマーケターは、リスト形式でアクセスできる消費者データ等の個人情報の安全を確保しなければなりません。

差別的でないこと(Non-Discriminatory)

特に雇用、信用情報、住宅などのデリケートな分野で働く人々のために、デジタルマーケターは保護されたセグメントに基づき差別的にならないキャンペーンを設計する必要があります。(このトピックに関する背景知識については、Facebookの住宅雇用に関する広告についての記事をご覧ください)

これらの基準を満たすことで世界中のデジタルマーケターを誤った道に気づかせることができます。しかしそれだけで、デジタルマーケターは世界を良くできるのでしょうか?私はできると思っていますが、それだけでは十分ではありません。

1人1人が「自身の仕事で世の中をどのように良くしていくか」という質問について考え、答えられる必要があります。以下に記載したこの質問に対する3つの答えは、最も一般的な答えの一部です。

自分の信じる会社や組織に勤める

インハウスまたは代理店で働くかどうかにかかわらず、宣伝する製品やサービスに大きな意義を見出すことができます。個人的には、クライアントのことを知ることで、彼らが行う仕事に対しさらなる情熱を持ち仕事ができるようになります。

例えば、私はアパート管理会社と仕事をする機会がありました。最近、彼らの会社が居住者の満足度ランキングで第1位を取ったことを知って私は嬉しかったです。ランキングの一部には、困っていた居住者を助けるためにアパートのスタッフの労を惜しまない行いについて心温まるレビューがありました。多くの人々がユーザーを大事にしている会社を見つけることができれば、自分の仕事が他者のより良い生活に繋がっていることを実感できるのではないでしょうか。

信用・信頼できる人間と働く

デジタルマーケターは自身の担当しているプロモーションから満足を得ることができるのは確かにその通りだと思います。しかし、困っている同僚への手助けすることで得られる喜びの方が、自分の仕事に対して肯定的な気持ちになれる近道となる場合が多いのです。業界のベテランの方にとって、同僚への手助けは所属する組織の新人の成長、および彼らの可能性を伸ばすためのマネジメントを意味します。

他業界からデジタルマーケティング業界に飛び込んだ初心者にとって、ベテランの方からの手助けがあるのとないのとでは雲泥の差です。業界全体の影響度について疑問に思ったとしても、日々の業務において他者を助けるという考え方は、そこで働く人々にとっての良い影響に繋がります

デジタルマーケティングがインターネットを豊かにしてきたという矜持をもつ

この投稿の冒頭で、デジタルマーケティング業界と各プラットフォームの悪影響について詳しく説明しました。しかし、現代において実用化されている奇跡のようなテクノロジー技術によって私たちの生活が支えられていることもまた事実です。

インターネットの大部分は広告収入によって支えられています。広告がなければ、インターネットは存在しません。そして多くの人々にとって、インターネットは欠陥があるかもしれないですが、彼らの生活の質を驚くほど豊かにしてきました。

Googleにより、これまでにないほど情報にアクセスしやすくなりました。Facebookは本当の意味で人々を結びつけ、関係を維持し、さらには再発見するための助けになっています。そして、Amazonは間違いなく膨大な数の人々の時間とお金を節約しています。

繰り返しますが、これらの3つの答えにはそれぞれ反論があり、各個人の立場により受け取り方はさまざまでしょう。もし違った意見をお持ちであればTwitterでぜひ教えて下さいね。(アナグラムのTwitterでもぜひ^^)

翻訳者より最後に

広告代理店であれば、クライアントの売り上げの最大化や良き参謀として、インハウスのマーケティング担当であれば自社の広告をいかにユーザーに届けるのかを考え日々仕事をされていると思います。

昨今のGoogleやYahoo!JAPAN、Facebookを始めとしたプラットフォームにおける広告掲載基準の整備やアドフラウドへの対策などルール整備が行われることによって、インターネット広告の世界は少しずついい方向へと進んでいるようにも思えます。しかしながら一方で、「ネット広告の”闇”」と呼ばれるのような不正がクローズアップされることからも分かるように、まだまだルールや仕組みの多く不十分で発展途上の業界です。

今このブログを読んでいただいている読者の皆さまは、運用型広告やデジタルマーケティングに携わっている方が多いと思いますが、インターネット広告業界に身を置く一人として、インターネット広告の健全な発展をすべて媒体任せにしていてよいのでしょうか?

この記事を読んでいただき、普段の仕事のひとつひとつが社会とつながっていて、運用型広告をより世の中の役に立つものにするために何ができるかを考えるきっかけになればうれしいです。

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