マイクロコンバージョンとは、コンバージョンに至るまでにあるポイントを中間のコンバージョンと定義したものです。
普段Webサイトやアプリで商品を購入したり、お店の予約をしていますよね。そこに至るまでに商品の説明をみたり、商品やそのお店を使っている画像や動画をみたり、どんな会社が運営しているのかなと会社概要をみたりと様々な行動を起こしています。そんな多種多様なユーザーの行動を読み解き、的確な施策を実行するための手助けとなるマイクロコンバージョンについて解説します。
目次
マイクロコンバージョンとは?
こちらはECサイトの広告流入から商品購入までのユーザーの行動例です。最後の購入完了が最終的なコンバージョンです。この一連の流れの中で、たとえば以下のようにさまざまなポイントがマイクロコンバージョンとして設定する候補となります。
- 確認画面への「到達」
- 入力フォームの「姓」入力欄をタップ
- ランディングページ(LP)の上部または下部注文ボタンタップ
- ランディングページ(LP)の試し読みボタンタップ
マイクロコンバージョンを設定するメリット
1.最終的なコンバージョンの母数が少ない場合の判断基準にできる
広告の予算が少なかったり、ユーザーが高値なものや一生に一度の買い物をする時には、情報収集したり、考える時間を作ったり、慎重に行動するため、コンバージョンデータが月に数件しか取れない場合があります。この場合施策ごとに成果が良かったのか悪かったのかの判断ができません。
そんなときに表のように、確認画面への「到達」や入力フォームの「姓」入力欄をタップを最終的なコンバージョンよりも手前にマイクロコンバージョンとして設定することで施策ごとの判断に役立てられるデータ量が多くなります。
ディスプレイ広告のAとBでは、購入完了だけをみるとどちらの施策が効果的なのか判断ができませんが、入力フォーム「姓」タップでは差があり、現時点でどちらが効果的な施策なのか判断ができます。
2.コンバージョンデータを利用した自動入札に活用できる
コンバージョンデータに基づいて自動入札を活用する場合、たとえばGoogle 広告の目標コンバージョン単価制(tCPA)では過去30日間に50件以上のコンバージョンデータがあることが推奨されています。また、コンバージョンのデータは多ければ多いほど自動入札の予測精度は高まります。
自動入札に用いるコンバージョンデータが少ない場合に、最終的なコンバージョンと相関性の高い確認画面への「到達」などにマイクロコンバージョンを設定することで必要なコンバージョンの母数を確保し自動入札の予測精度を高めていくことができます。
なお、マイクロコンバージョンを自動入札に用いる場合には、目標とするコンバージョン単価が導入前とは変わってきます。マイクロコンバージョンから最終的なコンバージョンへの転換率から逆算して目標を定めるようにするのがよいでしょう。
3.最終的なコンバージョンに至るまでの行動を定量的に把握できる
最終的なコンバージョンに到達する前にユーザーがどこで行動を起こしたかを定量的にデータで確認できるようになります。仮に最終的なコンバージョンの獲得効率が下がった場合に、マイクロコンバージョンの獲得効率を定点的にチェックすることで、途中の過程に問題が生じていないか、比較的早期に要因を把握することにも役立ちます。
この図の例では、施策を実行したことで入力フォームに到達したマイクロコンバージョンの割合が下がっています。この結果から、広告をクリックしLPにアクセスしているが行動を起こさず離脱しているユーザーが増えていることがわかるので、広告文に行動を促すような文言を追加したり、ターゲットをより具体的に絞り込んだりと新たな施策を実施できるようになります。
マイクロコンバージョンを設定するデメリット
1.コンバージョンの種類が増えるので、管理するべき指標も増える
マイクロコンバージョンを導入することでこれまでに管理していた指標に加えてマイクロコンバージョンが新たに増えます。指標が増えることでレポーティングや管理画面の確認の仕方など今までの方法に一手間加えないと確認ができない可能性があります。どの指標をどのような方法で管理していくか、マイクロコンバージョンを設定する前にあらかじめ決めておくことをオススメします。
2.自動入札への配慮が必要
コンバージョンデータを用いた自動入札を活用している場合は、どのデータを自動入札に用いるかよって管理画面での設定変更などの配慮が必要です。
マイクロコンバージョンを自動入札のためのデータとして用いるためには、Google 広告やYahoo!プロモーション広告ではマイクロコンバージョンの「コンバージョン列に含める」設定を有効にする必要があります。
なお、ユーザーの行動を計測する目的として用いるけれど、自動入札の際には参照してほしくない場合には、「コンバージョン列に含める」の設定は無効にしておく必要があります。
マイクロコンバージョンとするポイントの選び方と設定方法
最終的なコンバージョンへ繋がる行動を確認
マイクロコンバージョンは導入するだけで必ずしも成果に繋がるわけではありません。たとえば極端な例ですが、購入者を増やしたいのに相関性のない会社概要の閲覧数を増やしても成果は見込めないでしょう。「マイクロコンバージョンを導入して、機械学習に必要なデータ量を増やしたのに自動入札が上手くいかない!」などという場合、ここが原因であるケースがほとんどではないでしょうか。成果に至るまでのユーザーの行動を検証し、到達すると最終的なコンバージョンに繋がる可能性の高いポイントをマイクロコンバージョンとして設定をしていきましょう。
マイクロコンバージョンを設定する際には、最終的なコンバージョンの増加と相関性があるかが重要です。ただし多くの場合、相関性が高ければ高いほど、マイクロコンバージョンの母数は最終的なコンバージョンの数に近づきます。自動入札への利用を考えている場合には、必要なデータ量と相関性の両方のバランスを考えていくことをおすすめします。
あくまで成果を伸ばすための手段のひとつ
機械学習を利用したマーケティングにおいて、一定のデータ量が重要となるため、マイクロコンバージョンを導入することが有効であるケースは間違いなくありますが、マイクロコンバージョンはあくまで最終的なコンバージョンのための「中間ポイント」です。
たとえば、マイクロコンバージョンを無計画に増やしたり、マイクロコンバージョンを増やすのために施策を行ってしまうと、マイクロコンバージョンは増えたけれど、最終的なコンバージョンとの相関性が薄れて結局、成果に繋がらないということにもなりかねません。あくまでマイクロコンバージョンは手段であり本来の目的は、最終的なコンバージョン、ひいてはビジネスの成果を向上させることだというのを念頭に、数ある施策のうちのひとつとして検討してみてください。