地味に使える「サブのコンバージョン アクション」設定の活用法

地味に使える「サブのコンバージョン アクション」設定の活用法

Google 広告にて一度設定するとなかなか見直さないコンバージョントラッキング。今回はそのコンバージョントラッキングの中の”コンバージョン アクション”設定について紹介したいと思います。

この設定はデフォルトでは”メインのコンバージョン アクション”設定になっているので、なかなかいじることも少ないかと思います。これをあえて”サブのコンバージョン アクション”とすることで地味に運用に活かせるので、そちらの活用例を紹介してまいります。



メインとサブ、コンバージョンアクションの2つの設定

コンバージョンアクションの設定には「メイン」と「サブ」の2種類があります。

キャプチャの通りコンバージョンアクションの中の、「目標とアクションの最適化」で「入札単価の最適化に使うメイン アクション(デフォルト)」か「入札単価の最適化に使わないサブアクション」で設定します。

“メイン アクション”に設定した場合、レポートのコンバージョン列にカウントされるほか、目標コンバージョン単価(tCPA)、目標広告費用対効果(tROAS)、拡張クリック単価(eCPC)などスマート自動入札と呼ばれるコンバージョン重視の自動入札機能の最適化の基準となります。

なお、Yahoo!広告においても同等の機能があります。検索広告ではコンバージョンの設定情報で「自動入札への利用」を「する(デフォルト)」か「しない」で設定します。「しない」とした場合にはコンバージョン列にカウントされなくなります。ディスプレイ広告では「コンバージョン列に含める」を「含める(デフォルト)」か「含めない」で設定します。「含めない」にした場合はコンバージョン列にカウントされなくなります。

本記事では、Google 広告の仕様をもとに解説していきます。

参考:メインとサブのコンバージョン アクションについて - Google 広告 ヘルプ

サブアクションはどのように計測されるのか?

一方で、”サブのコンバージョン アクション”は計測されていないかというとそうではありません。”コンバージョン”の列、には含まれないだけで、”すべてのコンバージョン”ではカウントされているのです。

そのため表示項目ですべてのコンバージョンを追加し、コンバージョンアクションで分類して表示することで、件数を把握することが可能となります。

また、表示項目の” カスタム列”といった機能を使うことで、特定のコンバージョンのみを抜き出して指標として追加することも可能なので、とても便利です。

すべてのコンバージョン列を扱う際の注意点

すべてのコンバージョン列はデフォルトの設定で「ビュースルーコンバージョン」を含んでいます。ビュースルーコンバージョンは、広告を見たもののクリックしなかったユーザーが後にほかの経路からサイト訪問し、コンバージョンした場合に計測されます。

参考:コンバージョン トラッキング データについて - Google 広告 ヘルプ

そのためコンバージョン列とすべてのコンバージョン列で計測の定義が異なっているにもかかわらず、同定義だと思いこんだまま広告成果を評価していた…ということにならないよう注意が必要です。

そこで、すべてのコンバージョン列にビュースルーコンバージョンを含めたくない場合は以下の手順で設定できます。

①「ツールと設定」>「コンバージョン」>②「設定」の画面を開き、③ビュースルー コンバージョンの項目のチェックを外して④「保存」をクリックします。

この設定はコンバージョンアクションの設定欄にはなく、見逃しがちです。”サブのコンバージョン アクション”を設定している場合には、必ず確認しましょう。

サブのコンバージョンアクションの活用例

これまでは機能面の説明でしたが、実際にどんな活用方法があるのか。ここからは2つのケースを想定し説明していきたいと思います。

活用例①:広告のコンバージョンの後にもビジネスの目標がある場合

たとえば会員登録をプロモーションの目的としたアカウントがあるとします。その際広告管理画面側では会員登録をコンバージョンとするのですが、クライアント側ではそのコンバージョン以降にもビジネスの目標がある場合が多くあります。

求人サービスであれば会員登録後に各企業への応募があったり、コンテンツ配信サービスであれば会員登録後にコンテンツへの課金があったり。そうしたアカウントを運用するには、管理画面側のコンバージョンだけを追ってしまうとクライアントの最終的な目的とズレるケースが発生するため注意が必要です。

仮にインセンティブを付与してコンバージョン(会員登録)はたくさん獲得できるが、その後のアクションにつながらない場合など、たとえコンバージョン・CPAが好調であっても(よほど劇的に改善しない限り)、クライアントの最終的な目標達成につなげることは難しいです。

そのため本質的にクライアントの目標達成を実現していくためには、コンバージョンの後工程(クライアントの最終的な目標)まで常に目を向け運用していく必要があります。そこでこうしたコンバージョン後の行動まで見ていく場合に、便利なのが今回ご紹介する”サブのコンバージョン アクション”になります。

会員登録の後に応募というフローがある場合、以下のように応募に対して”サブのコンバージョン アクション””を設定することによって、会員登録後、実際に応募につながっているかといったコンバージョン後の行動も計測していくことが可能となります。

管理画面のカスタム列で応募数や応募単価などを作成すれば、上記のようにそれぞれの数値を見ていくことができます。もし会員登録だけの効率を見ればキャンペーンAを強化するというジャッジになってしまうのですが、応募の効率までを見ることができればキャンペーンBのほうを強化すべきといったクライアントの最終的な目標に沿った判断ができるようになります。

こうしたコンバージョン後の行動を計測するためのソリューションとして、クライアントのCRMのデータや別の効果計測ツールなどと紐付けて見ていく方法もあります。しかしこれらは数値がより精緻に見えて良い面もあるのですが、作業が手間であったりGoogle 広告の管理画面上に反映していくことができなかったりとスピーディーな運用改善につなげることが難しいのがデメリットとなります。

またメインのコンバージョン アクションを追加で設定することも可能ですが、例えばスマート自動入札がそれら全てを加味したコンバージョンデータを元に動いてしまったりして少し不便です。(今回の例では、目標コンバージョン単価が複数のメインのコンバージョン アクションの合算のデータで動くようになり、会員登録だけの目標コンバージョン単価が設定できなくなる)

活用例②コンバージョンの発生数が少ない場合

コンバージョンまでのプロセスが長かったりハードルが高かったりして、コンバージョンの発生件数が極端に少ない場合(加えてそれらが新規アカウントなどでまだ傾向が掴めていない場合など)、データに基づいた運用は難しいのではないでしょうか?

各広告グループに1件コンバージョンが発生するかしないかといった状態から、そもそも1件もコンバージョンが発生していない状態ではデータを基に仮説を立て、次のアクションを決めることはできません。このような状態ですと、長期間運用しデータが貯まるまでは、キーワードの検索意図から仮説を立てて…つまり勘に頼った運用になってしまいませんでしょうか?(良い運用型広告運用者はこうした勘もすごく良いのですが)

はい。そんな時も”サブのコンバージョン アクション”の出番です。

このようにコンバージョンまでのハードルが高くコンバージョンがあまり発生しないアカウントは、検証するためのデータの個数を増やす必要があります。そのために、最終的なコンバージョンまでのプロセスの途中に別途コンバージョンを設定し(=マイクロコンバージョン)、その指標を参考に数値改善をしていくことが定石です。このマイクロコンバージョンを”サブのコンバージョン アクション”で計測していくのです。

※本来はデータに基づいて運用できるように、マイクロコンバージョンを本来のコンバージョン地点に設定することが理想ですが、クライアントの事情からそうしたことができない場合に有用です。

たとえば身分証明書のアップロードが必要など会員登録までのハードルが高くコンバージョンの発生数が少ない場合、そのフローの途中の「会員登録フォーム到達」をマイクロコンバージョンとして”サブのコンバージョン アクション”を設定してみましょう。そうすることでコンバージョンへ近づいたかどうかを計測できるようになります。

もし会員登録のみをコンバージョンとして計測し、以下のような掲載結果になってしまうと、たまたまコンバージョンが発生したかもしれない広告グループAやDを引き上げ、その他の広告グループを抑えてしまうような調整をしてしまいがちです。

しかしフォーム到達をマイクロコンバージョンとして計測できることにより、コンバージョン発生見込みの高いと思われる広告グループBやCを評価していくことが可能となります。このように有意な数値を見えるようにしていくことでより最適な改善へのアクションをスピーディーにおこなえるようになるのです。

コンバージョンがあまり発生しないアカウントに対する別のソリューションとしては、Googleアナリティクス(GA4)のデータを参考にする場合があるかもしれません。Google 広告と連携することで、セッション時間や直帰率などの指標を追加することが可能となります。

こちらの指標は多少ヒントとなるのですが、必ずしもゴールに近づいたかどうかは判別できません。もしかしたらセッション時間が長いのはフォームへ遷移したからではなく、単に情報収集目的でサイト内のコンテンツを閲覧しているだけかもしれません(またランディングページやTOPページなどランディングさせるページの種類によってこれら直帰率などの評価は変わってきます)。やはりコンバージョン最適化で運用していくためには、Googleアナリティクス(GA4)の指標よりもゴールへ進捗したかどうかがわかるマイクロコンバージョンでジャッジしていくほうが正確です。

また、マイクロコンバージョン→コンバージョンの転換率が見えてくると、マイクロコンバージョンの数値を最適化対象として運用していくことも可能となるため、よりデータに基づいた運用が可能だと考えられます。

あまり目立たない地味機能も使い方次第で大きな改善に

コンバージョントラッキングはアカウント開設時に流れ作業的に一つの指標だけ設定してオシマイって場合が多いかと思います。しかし運用しているうちに、なんとなくあの数字見えたらいいな、とか出て来ますよね。そうした小さな願望は、無視せず、しっかり叶えていきましょう。

今回の”サブのコンバージョン アクション”は「あの数値、見えたらいいな」、を叶えるソリューションの一つかと思います。これまで工数をかけて見ていた数値や、なんとなく勘で把握していた数値を、こうした地味機能で簡単に計測できるだけで、手間も減り、数値改善も容易になるかと思います。

新しい機能のアップデートとかに注目が集まりがちですが、これまで当たり前に使っていた機能でもヘルプを見返してみたら意外な使いみちがあるかもしれません。そうした隠れた地味機能が大きな改善の一歩となることもあるでしょう。そのためには、やっぱり「もっといい方法があるはずだ」という心の声は無視しちゃいけませんね!

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