新しいアプリを見つける際、iOS搭載のApple製品(iPhoneやiPad)であればApp Store、Android搭載端末であればGoogle Play ストアなどのアプリマーケット上で検索して探すことが多いのではないでしょうか?
Appleは、iOS向けアプリマーケットであるApp Store内の検索結果へ広告を掲載する「Search Ads」の提供開始を発表しました。
目次
新しいアプリはアプリストア上での検索で見つける
Googleの調査によれば、ユーザーが新しいアプリを見つける際の情報源は、アプリマーケット上での検索が最上位となり多くを占めています。
参考:モバイルアプリの利用実態とアプリマーケティングを考える第 3 回 : 人々はアプリをどのように見つけているのか
画像引用元:iOSのシェア、日本と英語圏の国々で高い傾向 - iPhone Mania
(DeviceAtlas調べ)
アプリマーケットさえ違いますが、日本のモバイルのOSシェアでiOSは約7割近いというようなデータもあります。これまではApp Storeのアルゴリズムに依存していた検索結果に、検索語句にあわせて広告が出すという手段が出てきたことはアプリを開発・提供している広告主にとっては非常に魅力的でインパクトは大きいでしょう。
2つのバージョンで展開されるSearch Ads
Search Adsは、2016年10月に米国で提供が開始されました。2017年12月からは「Advanced」および「Basic」の2つのバージョンとなり提供国を拡大しています。今回は日本の他に、韓国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインで新たに提供が開始され、トータルで13か国での展開となりました。
では、Search Adsで利用可能な2つのプラン「Advanced」と「Basic」それぞれどういった特徴や違いがあるのか解説します。
Advanced
キーワードとオーディエンスを選択し、1回タップされた場合に支払う上限金額、最大タップ単価(CPT)を設定します。
推奨キーワードから選択する、または関連キーワードを独自に検索して追加することも可能です。マッチタイプは完全一致と部分一致が用意されています。
- 部分一致
指定したキーワードの単数形、複数形、スペルミス、同義語、対象の語句を(一部または全部)含む関連検索や関連フレーズなどが広告出稿の対象となります。 - 完全一致
特定の語句およびその類似パターン(一般的なスペルミスや複数形など)が広告出稿の対象となります。
また、除外キーワードを利用することで、特定の語句を広告表示の対象外とすることも可能です。完全一致、部分一致の両マッチタイプが利用できます。
また、「検索マッチ」機能を利用すればキーワードを指定することなく、App Storeの掲載ページのメタデータや、プロモーション対象のアプリと同じジャンルの類似アプリの情報や検索データなどを利用して、自動的に広告をマッチさせることも可能です。
オーディエンスは、新規ユーザー、既存ユーザー、広告主様の別のアプリケーションをダウンロードしているユーザー、全ユーザーなどユーザーの行動をもとに絞り込めるほか、地域やデバイス、配信先をiPhoneとiPadのどちらにするかの選択にも対応しています。
Basic
キーワード、オーディエンスの設定は不要で、予算と最大インストール単価(CPI)のみを設定すれば自動的に関心のあるユーザーへ広告を配信できます。支払いはインストールの分だけとなるインストール課金型のプランです。
なお、Advancedと異なり月額予算は5,000ドル(約56万円)の上限があることには注意が必要です。
参考:Search Ads - Basic - ヘルプ – 概要 - Apple(JP)
今回のリリースでは7月26日よりAdvancedの広告管理ツールを先行して公開、Basicについては8月23日の提供開始となるそうです。また、実際の広告表示は8月2日からです。
Search Adsの日本語のヘルプも用意されるなど、ローカライズも施され満を持しての日本への提供開始です。2大アプリストアのGoogle Play側でのアプリインストール広告は、Google 広告のユニバーサルアプリキャンペーン(UAC)にて、今回のBasicと同様な形式で、自動化を前提に提供されています。
参考:Google アドワーズ、ユニバーサルアプリキャンペーン(UAC)の仕組みと設定、考え方までのキホン
App StoreのSearch AdsについてもGoogle Playに追随し、今後は自動化へ舵を切るのかにも注目したいところです。
Search Adsの掲載のされ方
App Storeでの検索結果の最上位に、スポンサー広告が最大1つ表示されます。
実際に広告が表示されるかどうかは、ユーザーの検索語句とアプリとの関連性と入札金額との両方が考慮されオークションが行われます。
表示されるクリエイティブは、App Storeの掲載ページに広告主が提供したメタデータ、ビデオ、画像を使用して自動的に作成されます。広告の見た目をカスタマイズ、独自の広告デザインをアップロードはできないとのことです。
ただし、いくつかの異なるパターンを作成することは可能です。これらはクリエイティブセットと呼ばれ、App Store製品ページから選択するスクリーンショットとAppのプレビューを選択することで作成可能です。
参考:Search Ads - Advanced - ヘルプ - キャンペーン管理 - Apple(JP)
ご存知の通り、広告のパフォーマンスにおいてクリエイティブが果たす役割は大きなものです。まずはターゲットユーザーに必要な魅力的な情報がApp Storeの製品ページに備わっているか、以下の製品ページの最適化例を参考にチェックするのをオススメします。
参考:Product Page Optimization - App Store - Apple Developer
急成長を遂げるAppleの広告事業|他アプリへの展開も
Appleの広告事業は昨年10億ドル近い売上が上がっているとの情報もあります。Googleなどの広告事業の売上に比べればまだまだ規模は小さいですが、急成長を遂げており注目を集めています。
また、メッセージ・画像共有アプリ「Snapchat」を運営する米スナップや、写真共有サービスの米ピンタレスト(Pinterest)などと、検索をフックにした広告のサービスの構想もあるとの情報もあり、今後の展開にも注目ですね。
参考:アップル、広告事業の本格展開を検討か アプリ広告を他社サービスに配信する計画(1/2) | JBpress(日本ビジネスプレス)
Photo by Rami Al-zayat on Unsplash