Google 広告、ユニバーサルアプリキャンペーン(UAC)の仕組みと設定、考え方までのキホン

Google 広告、ユニバーサルアプリキャンペーン(UAC)の仕組みと設定、考え方までのキホン
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アプリインストールキャンペーンはすべてUACへ

Google アドワーズのアプリインストールを目的としたキャンペーンはすべて、年内にユニバーサルアプリキャンペーン(以下、UAC)に移行することが2017年8月14日(米国時間)に発表されました。

参考:Inside AdWords: Propel your mobile app growth with Universal App Campaigns

参考:Google AdWords ユニバーサル アプリ キャンペーン(UAC)でモバイルアプリを効率的に... - Google 広告主コミュニティ

移行のスケジュールは以下の通りです。

  • 2017年10月16日以降、アプリインストールキャンペーンはUACのみ作成が可能
  • 2017年11月15日で、既存のアプリインストールキャンペーンは広告掲載を停止

今回は、アプリインストールキャンペーンのUACへの完全移行も見据えて、UACの仕組みと設定、考え方までのキホンをお送りいたします。

ユニバーサルアプリキャンペーン(UAC)の仕組み

UACは、いくつかの短い広告文候補や動画や画像を入力し、目標インストール単価(tCPI)を設定するだけで、Google 検索、Google Play、YouTube、Google ディスプレイ ネットワークといった多様な配信面で、アプリをインストールする見込みの高いユーザーや関連性の高い場所へ向けて自動的にAndroidやiOS のアプリを宣伝することができます。

通常のアプリインストールキャンペーンと異なり、ターゲティングを定める必要も広告クリエイティブを作成する必要もなく、入札単価の調整も不要です。クリエイティブ、入札単価の調整、ターゲティングと、Googleの機械学習のシステムを活用し広告運用に関するほぼすべてを自動化した、今やアプリプロモーションには欠かせない機能です。

2017年4月20日にリリースされた、ディスプレイ広告を自動化するスマートディスプレイキャンペーンが記憶に新しい方も多いと思われますが、UAC自体は2015年10月から提供されており、いわばキャンペーン自動化の先駆け的なプロダクトでもありました。

参考:Google アドワーズにおいてスマートディスプレイキャンペーンがローンチ

今回、すべてのアプリインストールキャンペーンをUACへ切り替えるに至った背景には、UACではどの広告主にとっても目標とするコンバージョン指標は「アプリのインストール」であるため、キャンペーンごとに諸条件の差が出にくく入札の自動化が行いやすかった、また2017年5月には、自動入札に独自のビジネス目標を組み込むことが可能になったことが挙げられると思います。

参考:Google I/OでGoogle アドワーズのユニバーサルアプリキャンペーンの2つのアップデートを発表

では、実際の設定方法と活用のためのポイントを見ていきましょう。

UACの設定方法と活用のためのポイント

[+キャンペーン]から「ユニバーサル アプリ キャンペーン」を選択します。

次に、「アプリを選択」からプロモーションを行うアプリをアプリ名やID、事業者名で検索して選択します。新しいアプリの場合、表示されるまでには24時間程度かかる場合もありますのでご注意ください。

なお、1キャンペーンにつき一つのアプリを選択するため、iOSとAndroidそれぞれにアプリをお持ちの場合は別々にキャンペーンを作成する必要があります。

広告アセットの設定

次に広告アセット(広告文や画像など広告を構成する素材や要素)を設定していきます。

①広告文候補

半角25 文字のテキストを4本入力します。この4本から自動で表示される広告文が選択されます。また、複数が選択され組み合わされるケースがあるため、これらの広告文の候補はそれぞれ独立して意味が通る内容にしておくことをおすすめします。

なお、Androidのアプリを選択している場合、「広告作成のヒントを得るには・・」部分では、アプリインストール広告におけるランディングページの役割を果たすGoogle Play ストアに掲載されているアプリの説明が確認できますので、こちらも参考にすることができます。

②動画(オプション)

TrueViewおよびGoogle ディスプレイネットワークの動画広告でアプリをアピールするためには設定しておきたいのが動画です。最大20の動画を設定できますが、動画がない場合には、アプリの掲載情報ページのテキストや画像を基に自動的に作成される可能性があります。

オプション機能であるため、設定せずともUACは機能しますが、例えばゲームのように、画像やテキストだけではアプリの魅力が伝わりづらい商品の場合は動画のあるなしで成果は断然変わってきます。

「動画がなくても自動的に生成」とはあるものの、弊社の事例では、動画設定前はYouTubeのネットワークへはほぼ配信がなされませんでしたが、動画設定後にはYouTubeへ圧倒的に配信量を伸ばすことができました。

また、公式ヘルプ上では横表示用と縦表示用の動画をそれぞれ最低1本以上用意することが推奨されていますので商材の特性にあわせ検討をおすすめします。

③画像(オプション)

サポートされている画像の仕様のうち、特に重要度の高いものは以下の通りです。

重要度の高いサイズ

- 320 × 50 モバイル バナー
- 300 × 250 レクタングル
- 320 × 480 スマートフォン インタースティシャル(縦向き)
- 1200 × 628 横長の画像(ネイティブ広告用)
※横長の画像:アスペクト比 1.91:1(最小サイズ 600 × 314)
※ファイル形式:GIF、JPG、PNG
※最大サイズ:150KB

参考:ターゲット ユーザーに合わせて広告をカスタマイズする - AdWords ヘルプ

広告プレビューを見る限り、これらのサイズに対してもストア情報と広告文の候補からこれらのサイズの広告が生成されてはいますが、UACでは最適なものを掲載していくように動くため、用意されているサイズをなるべく拡充させるのは鉄則ですので、検討をおすすめします。

アプリストアへの登録情報も重要

2015年のGoogleの調査によると、ユーザーの大半が説明やレビュー、評価を基にアプリをダウンロードするかどうかを決めているとのことです。
参考:mobile-app-marketing-insights
※PDF直リンク

また、広告サンプルのプレビューをみると、多くのフォーマットでアプリ名が広告のタイトルに使用されていたり、アプリのアイコンが広告に利用されていたりすることが分かります。広告クリエイティブが生成される情報にはアプリストアへの登録情報も利用されるため、アプリの内容がタイトルやアイコンから想起できるか、アプリの説明がユーザーに正しく理解される内容か、などいま一度確認を行うことをおすすめします。

ここでは詳細な説明は割愛させて頂きますが、Google Playストアの掲載情報はA/Bテストを行うことも可能ですので、あわせて活用を検討したいところです。

参考:ストアの掲載情報について A/B テストを実施する - Play Console ヘルプ

キャンペーンの最適化目標の設定

次にキャンペーンの最適化目標の設定を行います。

純粋にインストール数を目標とする場合は「アプリの新規ユーザーを獲得」を選択します。「アプリ内コンバージョンに至る可能性が高い新規ユーザーを獲得」はアプリ内での特定の行動が見込めるユーザーのインストール数を増やすことを目標とすることができます。

例えば、インストール後に「アプリ内課金」というアクションを起こしてもらうことを望む場合、同じインストールユーザーでも、「アプリ内課金」に至ったユーザーの属性を機械学習していき、より「アプリ内課金」してくれそうなユーザーを獲得できるようインストールを促していくことが可能となります。

なお、Googleの公式記事では、「アプリ内イベントを3種類以上」Google アドワーズへ送り、そのうち「1日10件以上発生し、インストールユーザーの5%以上がとる行動」を1つだけ目標設定とすることを推奨しています。

参考:Google AdWords ユニバーサルアプリキャンペーンで「アプリ内のユーザー行動」を目標に最適化する場合の4つのヒント

ウェブサイトにおけるマイクロコンバージョンやLTV、ROAS運用の考え方をこちらに転用すると理解がし易いですね。

参考:もっと知りたい、ネットショップを中心としたビジネスにおけるリスティング広告のROAS運用のこと

モバイルアプリ計測のキホンのキホン

キャンペーンの最適化目標の設定には、アプリ内イベントの活用が重要だ、というお話をしましたが、アプリ内のイベントに関する情報をどのようにGoogle アドワーズに反映させればいいのでしょうか。

Google アドワーズにおいてモバイルアプリのコンバージョン トラッキング方法は大きく3つあります。

①Google Play
②Firebase(https://firebase.google.com/?hl=ja
③App Attribution Program のサードパーティの計測ツール

①Google Play

プロモーションの対象がAndroidであれば、Google Play ストア側で自動計測される「インストール数」をGoogle アドワーズへ反映可能です。Google アドワーズのアカウントとGoogle Playのリンクを行えば「アプリ内購入」も計測可能となります。
なお、ご想像の通りiOSについてはこの方法は利用できません。

参考:Google Play を使ってアプリのコンバージョンを計測する - AdWords ヘルプ

②Firebase

Firebaseとは、Googleが提供しているアプリ開発者向けのスマートフォンアプリでよく利用される汎用的な機能を提供するクラウドサービスです。Firebaseは無料のモバイルアプリ解析ツールである「Firebase Analytics」機能も持ち合わせています。アプリ版のGoogle Analyticsと理解していただければと思います。

Fireabaseの導入することで、Android、iOSの双方のモバイルアプリのコンバージョン計測が可能となります。導入には各OSへのFirebase SDKのインストールやGoogle アドワーズとのリンクが必要ですが、初回起動、アプリ内購入、e コマースなど、どのアプリにも共通する主要イベントはデフォルトで計測可能となります。その他のイベントをコンバージョンとして計測するには、別途Firebaseでのイベント設定が必要です。

参考:Firebase を使ってモバイルアプリのコンバージョンを計測する - AdWords ヘルプ

③App Attribution Program のサードパーティの計測ツール

Googleがパートナーシップを結んでいるサードパーティのツールによってアプリ内コンバージョンを計測する方法です。
参考:App Attribution Partners – Google

ツールの選定にはおおよそ以下の基準を満たしていれば、今後のアプリプロモーションのお取り組みには対応可能ではないかと思います。

・Facebook、Twitterの公認パートナーか
・アプリ内イベントを各媒体へダイレクトに送信できるか
・日本語へのローカライズや料金体系、システムの安定性

ツールの導入などについては各ツール提供企業さまへご相談いただければと思います。今後、どうやってアプリプロモーションに取り組んでいきたいのかを十分に考えて検討することをおすすめします。。

参考:モバイルアプリのコンバージョン トラッキングについて - 従来版 - AdWords ヘルプ

予算と目標コンバージョン単価の設定

最後に目標とするコンバージョン単価と1日の予算を設定すれば完了です。UACにおけるコンバージョンはあくまでインストールになりますので、アプリ内のユーザー行動に対するものと混同しないよう注意しましょう。

また、広告運用を開始して十分なデータが貯められると、目標インストール単価に対するインストール数の見積もりを確認できるようになります。折をみて見積もりデータを確認し、目標の見直しを行っていきましょう。

リニューアル版の管理画面ではより詳細な分析が可能に

現在Google アドワーズでは、リニューアル版の導入が徐々に進んでいる状況です。一部のアカウントではすでにリニューアル版の管理画面がご確認いただけるかと思います。

参考:AdWords 管理画面リニューアル版をお試しいただけます - Google 広告主コミュニティ

現行の管理画面でUACの配信結果を確認しようとした場合、キャンペーンタブで分割機能を使うか、設定タブから地域のデータを確認する以外に方法がなく、十分な分析を行えません。(2017年9月現在)

AdWords 管理画面リニューアル版では、キャンペーンの階層に「広告アセット」というタブが用意されており、アセットごとに「最良、良、低」といった掲載結果の評価とそれぞれが掲載されたときの各数字を確認できます。レポートにより掲載結果の透明性が高まり、アセット良し悪しの判断や新しいアセットをセットする際の参考とすることが可能です。

管理画面リニューアル版でのUACの設定方法は、設定項目はほとんど変わりませんが、こちらの動画もご参考ください。

※管理画面リニューアル版はベータ版での提供であるため、機能や仕様が変更される場合があります。

「何を」見せるかがより重要に

「誰に(ターゲティング)」「どうやって(広告クリエイティブ・入札単価)」見せるか、という部分はUACによって完全に自動化されます。UACを上手に運用していくためには、誰に「何を」見せるかが、もっとも重要です。

このアプリはどういうユーザーが利用するのか、そのユーザーはいつどのようなシーンでこのアプリを必要とするのか。どの広告も同じではありますが、広告の向こう側には「人」がいます。いくらテクノロジーが進化しても「誰に何を売っているのか」を考え抜くことは、広告運用者の普遍的なテーマですね!

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