Google広告の「新規顧客の獲得」目標とは?活用方法や設定の仕方を解説

Google広告の「新規顧客の獲得」目標とは?活用方法や設定の仕方を解説
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ビジネスの成長には新規顧客の獲得が重要です。広告運用においても、新規顧客の獲得についての議題がしばしば話題にあがりますよね。

  • 既存顧客ばかりの広告配信では、長期的なビジネスの成長が不安…。
  • 新規顧客の獲得を目的にした広告運用を検討したい。

このような悩みをお持ちの人も多いのではないでしょうか。

そんな時、検討したいのがGoogle広告の「新規顧客の獲得」目標です。この機能を活用することでより新規顧客の獲得に向けた広告配信が行えるようになります。

今回は「新規顧客の獲得」目標の活用方法や設定の仕方、注意点を紹介します。


「新規顧客の獲得」目標とは?

「新規顧客の獲得」目標とは、Google広告の検索キャンペーンとP-MAXキャンペーンで利用できる、新規顧客の獲得を効率的に行うための設定です。

「新規顧客の獲得」目標のメリット

「新規顧客の獲得」目標を使うメリットは3つあります。

①新規顧客を重視して配信することができる

既存顧客は費用対効果よく獲得できる場合が多いため、キャンペーンの成果を改善しようとすると既存顧客に配信が偏ってしまいがちです。

しかし「新規顧客の獲得」目標を使うことで、既存顧客よりも任意の価値を設定した新規顧客への配信を重視したり、新規顧客のみに配信をすることもできます。

②P-MAXでも既存顧客を除外して配信することができる

オーディエンスの除外設定ができないP-MAXでも、「新規顧客の獲得」目標を使うことで既存顧客のリストを除外して配信することができます。

もちろん、P-MAXにおいても①で述べたように既存顧客を完全に除外せず、新規顧客を既存顧客よりも重視して配信することも可能です。

③新規顧客と既存顧客の獲得数の内訳を簡単に確認することができる

これまで、新規顧客と既存顧客の獲得数を管理画面上で確認したい場合は一工夫必要でした。オーディエンスに既存顧客のリストをモニタリング設定で入れ、そのリストの獲得数を既存顧客からの獲得数、それ以外を新規顧客からの獲得数とみなす、というやり方でご覧になっていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし「新規顧客の獲得」目標を設定することで、新規顧客と既存顧客に分けてコンバージョン数を確認することも簡単にできるようになります。

「新規顧客の獲得」目標の2つのモード

広告管理画面から、キャンペーン設定>「顧客の獲得」から「新規顧客の獲得を重視してキャンペーンを最適化する」にチェックをいれると設定可能になります。

この設定には「新規顧客値」モードと「新規顧客のみ」モードの2つがあり、広告の目的によって使い分けられます。

Google スマートショッピングキャンペーンで「新規顧客の獲得目標」を設定可能に
※スマート ショッピングキャンペーンは、2022 年に P-MAX にアップグレードされています

「新規顧客値」モード|既存顧客より新規顧客に対する入札単価を高くする

新規顧客の初回購入のコンバージョン値を既存顧客の購入のコンバージョン値よりも高く設定することで、新規顧客を重視して獲得できるようにする推奨設定です。

一般的に新規顧客に対して既存顧客のリピート購入の方が費用対効果が良くなりやすいです。そのため、収益を最大化しようとするとどうしても広告配信が既存顧客に偏りがちになりますよね。

「新規顧客値」モードを使うと、既存と新規の両ユーザーに広告を配信して収益の最大化を図るなかで、できるだけ多くの新規顧客を獲得できるように入札単価を調整できます。

既存顧客獲得に予算が偏り、新規開拓を推進できない場合は、この機能を使って新規顧客獲得の比重を増やすように設定するのがおすすめです。

「新規顧客のみ」モード|新規顧客に対してのみ入札単価を設定する

オーガニックやアプリ経由などで既存顧客の獲得はできるため、新規顧客獲得のために別予算を立てている場合や、新規顧客獲得のために集中的に予算を配分したい場合など、新規顧客の獲得のみを目的とした広告配信を行いたいときには「新規顧客のみ」モードの活用がおすすめです。

このモードを利用すると、過去の購入状況や広告主がGoogle広告にアップロードした既存顧客リストに基づいて判断された新規顧客にのみに広告が表示されるように調整されます。

これまでも、検索キャンペーンであれば既存顧客のリストをアップロードし、広告配信対象から除外するオーディエンスとして設定が可能でした。

一方でP-MAXキャンペーンではオーディエンスを除外する機能が用意されていません。既存顧客に広告を配信したくないがためにP-MAXキャンペーンの実施ができなかった広告主にとっては待ち望んでいた機能ではないでしょうか。

ここまで、2つの設定モードについて見てきました。これらの設定では何を基に「新規顧客」と定めるかをあらかじめ広告アカウントで定義することが大切です。

設定方法

広告主ごとに新規顧客と既存顧客の定義は異なりますよね。次に、顧客の定義の設定方法を見ていきましょう。

①新規顧客と既存顧客を定義する

設定方法は下記の3つです。

  1. Google広告のコンバージョントラッキングのデータをもとにした購入者のオーディエンスリスト
  2. カスタマーマッチを利用した既存顧客のオーディエンスリスト
  3. タグで識別した新規顧客と既存顧客の値

デフォルトでは1に設定されています。購入のコンバージョン計測ができていれば、過去 540 日間のオーディエンス リストが自動作成されているため最も簡単に始めることができます。しかし、コンバージョントラッキングを基にしたデータのため、ユーザーがCookieを削除したりオプトアウトしていた場合にはGoogle側の識別ができずリストの精度が落ちる可能性がある点は留意しておきましょう。

そのため、Google側からも強く推奨されているのは、2の「既存顧客のオーディエンスリスト」を使用した方法です。カスタマーマッチは、顧客データとGoogleアカウント上のデータを照合してオーディエンスリストが生成されるため、Cookieベースのリストよりもデータの精度が向上します。ただし、オーディエンスリストが1,000件を超えない場合利用することができないことに注意してください。

※カスタマーマッチの詳細や設定方法については、こちらのブログをご参照ください。
カスタマーマッチとは?Google 広告で顧客データを活用した広告を配信する方法

最後に、タグに追加の設定が必要となる3の方法も説明します。1のGoogleの自動検出とは異なり、データレイヤーなどを用いて新規顧客・既存顧客を判断します。この設定では、設定したアクションをしたユーザの蓄積期間を自由に決めることができます。

ここで設定したイベント スニペットにより「新規」(任意の期間に購入を行っていないユーザー)「リピート」(任意の期間に購入したことがあるユーザー)、「不明」(ログインせずに決済した場合など判断できないユーザー)を判別することが可能になります。

3はもっとも高い精度が期待できる一方でタグの改修が必要となるため実装のハードルは高めです。まずは1から導入を検討いただき、マッチングするユーザー1,000人以上が確保できる顧客リストが用意できる場合は2も検討するのがおすすめです。

1~3のうち、1つだけを利用することも、組み合わせて利用することも可能ですが、3を設定した場合は1のGoogleの自動検出結果の代わりに、タグ内で提供された値が使用されます。

②利用する顧客リストと新規顧客の価値を定義する

「新規顧客値」モードでスマート自動入札に利用する場合は、新規顧客の価値の定義が必要になります。設定方法は次の通りです。

  1. ツールと設定から「コンバージョン」をクリックし、概要ページに遷移する
  2. 「顧客の獲得」パネルの「設定」をクリックする
  3. 「既存顧客リストを定義する」パネルで既存顧客のオーディエンスセグメントを1つ以上選択する
  4. 「新規顧客によるコンバージョン値の向上」パネルで既存顧客に対する新規顧客の価値を定義する

「新規顧客値」モードは入札戦略を「コンバージョン値を最大化」に設定する必要があるので注意してください。

新規顧客の単価はどう決める?

新規顧客の価値の決め方は、1人の新規顧客から将来的に獲得が見込まれる収益額と同額にすることがGoogleから推奨されています。

数式として表すと、下記の通りです。

1人の新規顧客から将来的に獲得が見込まれる収益額

=平均購買単価×平均購買頻度×平均継続期間

例えば、購入1回あたりの平均額が¥1,000で、平均年に2.5回、2年間継続して購入するとしましょう。

¥1,000×2.5×2=¥5,000

となります。この値はあくまで推奨で、値が大きければ大きいほど、新規顧客を重視してキャンペーンが最適化されます。

平均購買単価や平均購買頻度などがわからず、この数式で新規顧客の単価を求められないという場合もあるかと思います。そのようなときは、デフォルトで入れられている値を使用しても問題ありません。この数値は、キャンペーンの平均購買単価と典型的な購入頻度に基づいて算出されています。また、ここで設定した値は、新規顧客の最初のコンバージョン値に加算され、レポートにも反映されます。

また、この値はアカウント単位だけではなく、キャンペーン単位で独自に設定することも可能です。その場合は、キャンペーン設定画面の「顧客の獲得」パネルの鉛筆マークから変更します。

意図した設定通りに配信ができているかを確認

設定ができたら、新規顧客獲得が意図通りに配信されているのかをレポートで確認しましょう。

新規顧客の獲得数は、以下の2つの方法で確認することができます。

  1. 「表示項目」>「表示項目の変更」から「新規顧客」を追加する
  2. キャンペーンレポートで「コンバージョン」>「新規顧客とリピーター」の分類を追加する

例えば、新規顧客の獲得を増やしたいという意図で新規顧客値モードでの配信を開始したのにもかかわらず、新規顧客単価として設定している金額が低く、獲得できているのがリピーターばかりであれば、新規顧客単価の設定を見直しが必要になります。設定が意図通りに機能しているかどうか、しっかり確かめましょう。

「新規顧客の獲得」目標を利用する際の注意点

検索キャンペーンとP-MAXキャンペーン共通の配信前後での注意点を見ていきましょう。

配信開始前

アルコールや医療品などのデリケートなコンテンツに関して広告を配信している広告主の利用はできません。掲載前に確認するようにしましょう。

※詳しくはパーソナライズド広告に関するポリシーをご覧ください。

配信開始後

新規顧客獲得を重視した結果、配信ボリュームが減ってしまう場合があります。その時は、以下の2つの方法で確認することをおすすめします。

設定している新規顧客の初回購入のコンバージョン値を下げる

コンバージョン値を下げることで既存顧客への配信ボリュームを増やし、ROASやコンバージョン単価の改善を図ることができます

配信クリエイティブの見直し

すでに商品についての知識がある層の購入を後押しするようなクリエイティブと、商品についての知識が乏しく、商品の特性をしっかり伝えなければならない新規顧客では、成果のよいクリエイティブは変わってくることが想定されます。「新規顧客獲得を想定した広告文やクリエイティブを配信できているか」を今一度見直しましょう。

まとめ

目の前のCPAが良いからといって、獲得しているのが既存顧客からの購入ばかりでは中長期的にはビジネスが成長していきづらくなってしまいます。広告が配信されるオーディエンスが自動化されているP-MAXも、費用対効果のよい既存顧客に広告配信の比率が偏ってしまうことに課題を感じていた方も多いのではないでしょうか。

しかし、「新規顧客の獲得」目標を利用し新規顧客の価値を定義すれば、少ないリスクで効率よく新規顧客を獲得することができます。「新規顧客の獲得」目標設定により、P-MAXのようなオーディエンスを除外できないキャンペーンでも、新規顧客を中心にアプローチできるようになるのもポイントです。

既存顧客リストを活用したオーディエンスリストを基に、新規顧客の獲得を重視していきたい、という場合にぜひ利用してみてください。

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