Google広告のパフォーマンスに影響を与える要素は非常に多くあります。
入札単価の引き上げや、広告文の調整、予算の変更…さまざまな要素が複雑に影響しあってパフォーマンスは変化するため、何が要因かを特定するのは困難な場合もありますよね。
そのような状況において効率よく掲載結果の大幅な変化の要因を特定できる機能が「変化の要因(旧:説明)」です。
今回は、「変化の要因」の概要から使い方までを分かりやすく解説します。
目次
「変化の要因」の利用条件
「変化の要因」は、以下の条件を満たす場合に利用できます。
- 検索キャンペーン、目標コンバージョン単価を使用しているアプリ キャンペーン、P-MAX キャンペーン
- 過去90日間のうち、期間の長さが同じ2つの期間を比較する場合
- 掲載結果に大幅な変化があった場合
- キャンペーンの最適化で重視する指標に変化があった場合
「変化の要因」を利用可能な指標と入札戦略
キャンペーンタイプによっては、「変化の要因」を利用できる入札戦略やサポートされている指標に違いがあるので注意しましょう。
「変化の要因」を利用可能な指標と入札戦略は、以下の通りです。
キャンペーン タイプ | 入札戦略 | サポートされている指標 |
---|---|---|
検索 | コンバージョン値を重視する拡張クリック単価 | コンバージョン値 |
個別クリック単価、拡張クリック単価 | クリック数、費用、表示回数、コンバージョン数、コンバージョン値 | |
クリック数の最大化 | クリック数、費用 | |
コンバージョン数の最大化 | 費用、コンバージョン数 | |
コンバージョン値の最大化、目標広告費用対効果 | 費用、コンバージョン値 | |
目標コンバージョン単価 | 費用、コンバージョン数 | |
目標インプレッション シェア | 費用、表示回数 | |
アプリ | 目標コンバージョン単価 | 費用、インストール数、アプリ内ユーザー行動 |
P-MAX | コンバージョン数の最大化(任意の目標コンバージョン単価を設定可能) | 費用、コンバージョン数 |
コンバージョン値の最大化(任意の目標広告費用対効果を設定可能) | 費用、コンバージョン値 |
参考:説明がサポートされている、目標に沿った指標とキャンペーン タイプ – Google広告 ヘルプ
確認できる要因の種類
「変化の要因」で確認できる要因は、大きく6種類に分けられます。
- 入札
- 予算
- コンバージョン
- コンバージョン値
- 拒否率(※)
- アセット、アセットグループ、広告グループ
では、それぞれどのような変化の要因を確認できるのか、見ていきましょう。
※同じオークションに参加している他の広告主と比較して広告が掲載されなかった割合
入札に関する変化の要因
入札単価や入札戦略の目標などを変更した際に、広告のパフォーマンスに影響があったかを把握できます。
変化の要因 | 確認できる内容 |
---|---|
入札単価の変更 | 入札単価の変更が、広告の表示回数などに与えた影響 |
入札戦略の目標の変更 | 広告グループ、キャンペーン、ポートフォリオ単位で、入札戦略の目標の変更を行った場合に、パフォーマンスに与えた影響 |
入札戦略の目標値の最適化 | 目標入札単価に対するパフォーマンスの自動最適化が、1日の費用とその他の指標に与えた影響 |
入札単価の制限の変更 | 入札単価を制限または変更した場合に、入札単価の自動最適化に与えた影響 |
入札戦略の変更 | 入札戦略の変更が、パフォーマンスに与えた影響 |
入札単価調整比の変更 | デバイスや地域などへの入札単価調整比への変更が、パフォーマンスに与えた影響 |
予算に関する変化の要因
予算の変更や予算に関する自動最適化などが行われた際に、広告のパフォーマンスに影響があったかを確認可能です。
変化の要因 | 確認できる内容 |
---|---|
予算の変更 | 予算の変更が、広告の表示回数などに与えた影響 |
予算の最適化 | 予算に対するパフォーマンスの自動最適化が、1日の費用とその他の指標に与えた影響 |
共有予算配分 | 複数のキャンペーンに設定した共有予算の配分が、他のキャンペーンのパフォーマンスに与えた影響 |
コンバージョンに関する変化の要因
コンバージョン設定やコンバージョン達成までの所要時間などが変動した際に、影響があったかを調べられます。
変化の要因 | 確認できる内容 |
---|---|
コンバージョン設定 | コンバージョン数、アトリビューションモデルなどのコンバージョン設定の変更が、パフォーマンスに与えた影響 |
コンバージョン達成までの所要時間 | ユーザーが広告をクリックしてからコンバージョンを達成するまでにかかった時間が、アカウントに与えた影響 |
獲得したコンバージョン数の変動 | 獲得したコンバージョン数の変化が、コンバージョンタグの配信、表示回数などの低下によるものか |
コンバージョン値に関する変化の要因
コンバージョン値の設定やコンバージョンの獲得までの所要時間など、コンバージョン値に関する変化を示すものです。
変化の要因 | 確認できる内容 |
---|---|
コンバージョン値の設定 | デフォルト値、トランザクション固有の値など、コンバージョン値の設定への変更が、パフォーマンスに与えた影響 |
コンバージョン値獲得までの所要時間 | まだレポートに反映されていない最近のコンバージョンが、コンバージョン値に与えた影響 |
獲得したコンバージョン値の変動 | 獲得したコンバージョン値の変化がパフォーマンスに与えた影響と、これらの変化がクリック数やコンバージョン率などの低下によるものか |
拒否率に関する変化の要因
オークションでの広告掲載率を下げている要因の特定と、広告の掲載率を上げるための最適化案を確認できます。
変化の要因 | 確認できる内容 |
---|---|
拒否率(※1)の変化 | 拒否のカテゴリ(低目標費用※2、制限付きリーチ、予算による制約、キャンペーンの重複、アセットの品質)ごとの拒否率の変動 |
拒否のカテゴリの定義とガイダンス | キャンペーンのパフォーマンスに影響を与えた「拒否のカテゴリ」と、「拒否のカテゴリ」毎の定義、拒否率を最小化する方法の説明 |
拒否のカテゴリの最適化案 | 拒否率の変動が最も大きい「拒否のカテゴリ」の発生を減らすための最適化案 |
※1:同じオークションに参加している他の広告主と比較して広告が掲載されなかった割合
※2:設定した目標単価が低いことが要因で、広告の掲載が拒否されたこと
拒否率の変化要因となる5つの「拒否のカテゴリ」ごとに拒否率の変動を数値化した「拒否率の変化」と、「拒否率の変化」が最も大きい「拒否のカテゴリ」の発生を減らすための最適化案を確認できるため、これらを参考に拒否率を下げる施策を打つことにより、最適化が上手く機能するようになりパフォーマンスの向上を期待できます。
アセット、アセットグループ、広告グループに関する変化の要因
アセットや広告の有効性などに変化があった際に、広告のパフォーマンスに影響があったかが分かります。
変化の要因 | 確認できる内容 |
---|---|
アセットの変更 | アプリキャンペーンまたはP-MAXキャンペーンで使用するアセットの変化が、パフォーマンスに与えた影響 |
アセットパフォーマンスの変更 | 個別のアセットグループのパフォーマンスの変化がキャンペーンの全体的なパフォーマンスに与えた影響 |
有効性 | 広告が入札の対象となった頻度について、予算不足やキャンペーンの一時停止など、さまざまな要素が与えた影響 |
変化の要因の表示方法
広告パフォーマンスの変化要因の表示方法は、次の3つです。
- 期間設定
- 入札戦略レポート
- キャンペーンや広告グループ、変更履歴
何の指標を確認したいかによって、表示方法が変わります。
パフォーマンスの変化要因の特定がスムーズに行えるように、それぞれの表示方法を押さえておきましょう。
期間設定の比較から表示する
2つの任意の期間を比較して、アカウント全体の変化の要因を分析したい場合は、期間設定の「比較」からの表示がおすすめです。
例えば、前月と比較して今月の進捗を確認したいときや施策の効果検証をする際などに、俯瞰的な視点で変化要因の当たりをつけるのに役立ちます。
期間設定の比較から、変化の要因を表示する手順は次のとおりです。
①管理画面右上の日付から、下向き矢印を選択
②[比較] のスライダーをオンにして、 [前の期間] [前年][カスタム]のいずれかより比較したい期間を指定し、[適用] をクリックします。
このとき、比較する2つの期間は同じ日数に設定する方が、期間の違いによる影響を受けにくいのでおすすめです。
③費用や平均クリック単価などの指標ごとに、比較期間の数値変動を確認できます。特に変化の幅が大きい数値はハイパーリンクが付く(青字)ので、カーソルをあわせてみましょう。右側にポップアップが表示され、変化の要因について詳しい説明を見ることができます。
入札戦略レポートから表示する
入札戦略に関する指標の変化を見たい場合は、入札戦略レポートから表示しましょう。
特定のキャンペーンの入札戦略を変更した前後で、どのような変化が起きているのかを把握したいときに便利です。例えば、あるキャンペーンで入札戦略変更後にコンバージョンが減ったときなどに、そもそも需要減による検索量の減少など外部要因であることが分かれば、打ち手も変わってきますよね。
入札戦略レポートより、変化の要因を確認する手順を紹介します。
①左側メニューから特定のキャンペーンのページに移動し、選択したキャンペーンの [入札戦略タイプ] 列のリンクをクリックします。
②[掲載結果履歴]より、確認したい指標にカーソルを合わせます。
なお、[変化の要因]を表示できるのは、ハイパーリンク付きの指標のみです。変化が小さい指標には[変化の要因]が表示されません。
③変化した内容が表示されるので、右下の[説明を表示する]をクリックすると、右側に[変化の要因]が表示されます。
キャンペーンや広告グループ、変更履歴から表示する
ここまでにご紹介した2つの表示方法のほか、特定のキャンペーンや広告グループ、変更履歴からも、変化の要因を確認できます。
大きな変化があった指標はリンク付きで表示され、そこから[変化の要因]を確認できます。
自ら考えた打ち手による変化は気づきやすいものの、外部要因などからくる影響は見落としやすいものです。大きな変化があった指標がないかを定期的にチェックするだけでも、パフォーマンスの変化とその要因に気づきやすくなりますね。
今回は例として、 [キャンペーン]より[変化の要因]を表示させる方法を説明します。
①左メニューの [キャンペーン]を選択します。
②大きな変化があった指標(リンク付きの指標)にカーソルを合わせ、表示されたポップアップ内の[説明を表示する]をクリックすると、右側に[変化の要因]が表示されます。
まとめ
今回ご紹介した「変化の要因」は、Google広告のアカウント内で把握できる変化の要因を分かりやすく明らかにしてくれるとても有意義な機能です。
成功要因・失敗要因のあたりをつけやすくなることで、次の戦略を考えるのに時間を割くことができるのも広告運用者にとっては嬉しいポイントです。
しかし、「変化の要因」で提示される要素が変化の要因のすべてではありません。「変化の要因」は、あくまでも変化の要因を特定するための一手段として考えておきたいですね。