2024年が半分終わりました。今月は24日からパリオリンピックがありますね。毎回、新競技は注目が集まるので検索も増えるかもしれません。前回はスケートボードに注目が集まり瞬間風速的に検索が急上昇していました。
オリンピックを楽しみにしつつ、6月の広告媒体主要なアップデートをみていきましょう。
目次
Google広告の注目アップデート
6月は、除外キーワードのマッチングの仕様変更や認知向けの広告配信に活用できる機能のアップデートがありました。
除外キーワードの仕様変更とブランドキーワードのコントロール性向上
検索広告の除外キーワードのマッチングの仕様変更とブランドキーワードのコントロール性向上に関してアップデートが発表されました。
これまで除外キーワードは、誤字脱字を含むスペルミスも考慮して登録する必要がありました。アップデートにより、正しいスペルの除外キーワードを1つ追加するだけで誤字脱字含むキーワードも除外されるようになっています。
また、スペルミスを含む検索語句は検索語句レポートに表示されませんでしたが、新機能では、スペルミスを含む検索語句が正しいスペルとともに集計されて報告されるようになりました。
部分一致キャンペーンで利用可能な「ブランドの制限」についても、名称の変更がありました。ブランド関連キーワードにのみ広告を掲載する仕様が分かりづらい名称であったため、「ブランドの登録」とされています。
ブランドキーワードの扱いはどの広告アカウントでも重要な位置にあるため、変更の内容を確認しておきたいですね。
ブランド最適化案が利用可能に
Googleによる広告キャンペーンの改善の提案機能である「最適化案」が、これまで対応していなかった主に認知向上を目的としたキャンペーンタイプでも「ブランド最適化案」として利用可能になりました。
ブランド最適化案の対象キャンペーンは、次の2つです。
- 認知向上キャンペーン(インプレッション単価 [CPM] )
- 比較検討促進キャンペーン(広告視聴単価 [CPV])
ブランドの最適化案は、広告管理画面の左メニューから最適化案を選択することで確認できます。
最適化案はアカウントのパフォーマンスをもとにして改善案を出す機能ですが、使い方を誤ると運用方針に合わない設定になってしまうこともあります。提案された最適化案を鵜呑みにするのではなく、運用方針と照らし合わせて活用していきましょう。
対象:認知向上キャンペーンと比較検討促進キャンペーン(インプレッション単価 [CPM] と広告視聴単価 [CPV])を実施しているアカウント
動画キャンペーンでクロスメディア リーチ測定が利用可能に
利用が増えている動画キャンペーンは、テレビCMの補完やリーチをさらに広げる目的で併せて実施するケースも多いですよね。
今回提供が開始されたGoogle広告の「クロスメディア リーチ」では動画キャンペーンとテレビを横断してリーチやフリークエンシーを確認できます。
広告管理画面の左メニュー、[ツール]の[目標]を選択、[測定]から[クロスメディアリーチ]を選択してレポートが作成可能です。
複数の動画キャンペーン全体で重複を除いたターゲットリーチとフリークエンシーを測定可能です。さらに、動画キャンペーンとテレビ視聴データを組み合わせての比較もできます。日本ではインテージのデータを利用してレポートが可能となっています。
クロスメディアリーチのレポートでは、リーチしたユニークユーザー数や、ユニークユーザーにリーチした頻度などがわかります。動画キャンペーンとテレビ視聴を両方実施している場合、どのくらいの人にリーチできたかを確認するには有効な手段です。
もし、動画キャンペーンとテレビ広告を実施されているのであれば一度クロスメディアリーチで現状の数値を把握しておくと、メディアプランを考える際に活かせそうです。
対象:動画キャンペーンまたはテレビCMを実施しているアカウント
Yahoo!広告のアップデート
Yahoo!広告では、使用できるクリエイティブの形式が増えたり、自動入札に関わるアップデートがありました。活用できるアカウントも多くあると思いますので、詳しく見ていきましょう。
※記事内表記 「ディスプレイ広告」:Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)を指します。
【検索広告】自動入札の学習データから特定期間を除外可能に
自動入札の学習データから特定の期間を除外できるようになりました。特定の期間を学習データから除外することで、自動入札の学習に及ぼす悪影響を抑えます。
コンバージョン計測がうまくできていなかった場合や、不正にコンバージョンがあったり、サイトのメンテナンスでコンバージョンデータが取れなくなる予定がわかっている場合に除外設定を検討できます。
除外を設定する期間は、実際に計測に問題があった期間とコンバージョンまでの所要期間を含めて設定を検討しましょう。なお、学習データの除外は最大で14日間です。
セールや新商品発売で一時的にコンバージョン率が大幅に変動することが見込まれる場合については「自動入札のスポット機能」の利用が適しています。自動入札の設定を変えることなく短期間の変動に対応する調整ができます。
参考:自動入札のスポット調整について|Yahoo!広告ヘルプ
適用:コンバージョン計測をしているアカウント
【検索広告】自動入札の学習状況が確認できるように
自動入札の学習状況をキャンペーンの配信状況やレポートで確認できるようになりました。
これまで設定した自動入札の学習状況がわからず判断に困ることもあったかもしれませんが、今後は学習状況を確認しながら運用の設定見直しができます。次の一手を考える際の参考情報が一つ増えますね。
学習状況の確認方法は以下の通りです。
- 広告管理ツール キャンペーン一覧の「配信状況」欄を表示
- 広告管理ツール キャンペーン一覧のダウンロードファイル内「入札戦略の状況」項目
- キャンペーン単位のパフォーマンスレポート
影響範囲:自動入札を利用しているアカウント
【ディスプレイ広告】LINE Creative Labが連携、クリエイティブを作成しアカウントに入稿が可能に
ディスプレイ広告とLINE Creative Labが連携できるようになりました。連携するとLINE Creative Labで作成したクリエイティブをディスプレイ広告のアカウントに入稿できます。
※LINE Creative Labを利用するには、LINEビジネスIDか、LINEアカウントが必要です。
LINE Creative Labは、無料で利用できるビジネス用クリエイティブ作成ツールです。テンプレートから画像や動画のクリエイティブを作成することができます。
使い方は以下の記事もご参考ください。
適用範囲:すべてのアカウント
公式ヘルプ:【ディスプレイ広告】LINE Creative LabとYahoo!広告 ディスプレイ広告の連携を開始|LINEヤフー for Business
Meta広告のアップデート
サイトリンクが順次提供開始
Facebookモバイルフィード広告に「サイトリンク」を追加できるようになりました。
※一部のアカウントではまだ使用できない可能性があります。
サイトリンクを活用することで複数のリンク先を一つの広告に設定できます。サイトリンクが表示される場所は、メインの画像または動画の下にスクロールできる表示ラベルとして表示されます。複数のリンク先を表示することでユーザーにとって必要な情報にたどり着きやすくなったのではないでしょうか。
設定できるキャンペーンの広告の目的は、以下のとおりです。
- [トラフィック]
- [エンゲージメント]
- [リード]
- [売上]
広告の編集画面で広告ソースからサイトリンクの設定ができます。
サイトリンクは3つ以上設定が必要で、追加できるサイトリンクは20個が最大です。トラッキングセクションで設定されたURLパラメータがサイトリンクにも適用されます。
なお、リンク先の情報から自動的にサイトリンクが作成される場合もあります。自動的に作成されたサイトリンクは、編集または削除できます。
適用範囲:すべてのアカウントのうち、Facebookフィードに配信しているアカウント
アカウントレベルで配置除外のコントロールが可能に
これまでは、広告セットで配置を選択する必要がありましたが、アカウントレベルで配置除外が設定できるようになりました。
Advantage+ ショッピングキャンペーンのみが対象でしたが、すべてのキャンペーンで使用できるようにアップデートされています。
設定方法は、広告マネージャー左のプライマリナビゲーションバーの「すべてのツール」→「広告アカウントの設定」をクリックします。
アカウント管理をクリック。
「配置の管理」を選択し、「特定の配置でのみ宣伝できる」に切り替えます。広告を配信しない配置にチェックを入れて認証をします。配置の管理を変更するには、アカウントの全権限が必要です。
なお、配信除外を設定した場合、既存のキャンペーンへの反映は最大で48時間かかる場合があります。
適用範囲 :すべてのアカウント
TikTok広告のアップデート
TikTok広告では、広告フォーマットのアップデートがありました。
カルーセル広告でスマートカバー画像選択機能がローンチ
カルーセル広告のフォーマットで、スマートカバー画像選択機能が設定できるようになりました。
スマートカバー画像選択機能は、カルーセル広告に設定した画像の中で最もパフォーマンスが良いと判断された1枚がカバー画像として表示される仕組みです。
これまでは、広告設定の1枚目に設定した画像がカバー画像になっていましたが、今後は設定した複数の画像の中からパフォーマンスを加味してカバー画像が選定されます。リアルタイムでパフォーマンスは判断されているため毎回カバー画像は変わります。
今回のアップデートで、スマートカバー画像選択機能は標準でオンになるため、固定でカバー画像を設定したい場合には設定をオフにするようにしてください。
適用範囲:すべてのアカウントが対象で、カルーセル広告を使用しているアカウント
Microsoft広告のアップデート
Microsoft広告は、AIを活用した機能をローンチしました。
広告プラットフォームのCopilot(コパイロット)機能を全広告主に提供開始
Microsoft広告は、広告プラットフォーム向けにCopilot(コパイロット)の機能を提供開始しました。広告プラットフォーム向けCopilotは、Microsoft広告の運用を手助けする生成AIを活用したツールです。
例えば、広告運用で困ったことがあればチャット機能を使って24時間サポートを受けられます。キャンペーン作成では、リンク先URLを設定すると自動的に画像やテキストなどのアセットを生成し、クリエイティブ作成においても画像、動画共に自動生成されます。
広告運用においてなんでもできるようにみえるCopilotですが、あくまで自動生成されたものです。提案されたものは、広告の目的と照らし合わせて活用していくことをおすすめします。
適用範囲:すべてのアカウント
公式ヘルプ:What you can do with Copilot in the Microsoft Advertising Platform|Microsoft広告
Pinterestアドのアップデート
Microsoft広告のCopilotに続いて、Pinterestアドでも生成AIを活用した広告サポート機能が発表されました。各媒体でAIの活用が進んでいると感じます。
生成AIを活用した広告支援ツールを発表
生成AIを活用したツールや取り組みが発表されました。「Pinterestアドラボ」の取り組み(一部のブランド向けに限定)では、ユーザーの好みに合わせた画像の背景生成や、広告主向けのコラージュを作成できる機能がテストされています。今後数ヶ月で徐々に公開範囲が広がっていくとのことです。
また、キャンペーン作成をサポートするPinterest Performance+(2024年7月9日時点で非公開β版)という機能も今後公開されていくとのことです。Pinterest Performance+は、最新AI ツールと自動化ツールを組み合わせて、パフォーマンスの向上が図られます。
近い将来、広告で活用できる新機能も追加されそうですので注目していきたいです。
適用範囲:すべてのアカウント
公式ヘルプ:Pinterestが広告、パフォーマンス、ブランドセーフティーをサポートする新たな AI ツールを導入|Pinterestニュースルーム
まとめ
細かな変更も含めて、世の中の流れに合わせた仕様変更が各社でされていますね。仕様変更の背景を推察しながら次月のアップデートもレポートしていきます。また来月、お会いしましょう。