永遠の課題に終止符!?検索連動型広告において「ブランドネームやサービス名」、または「オーガニック検索で1位のキーワード」には入札するべきなのか?

検索連動型広告において「ブランドネームやサービス名」、または「オーガニック検索で1位のキーワード」には入札するべきなのか?

この問題は僕がリスティング広告業界に入った当初(8年以上も前)から議論されている問題の1つです。未だに誰にでも、どのクライアントにも適用出来る万能薬のような明確な回答は持ちあわせていませんが、ケースバイケースでの助言や対応は可能です。今回はそういった内容を書き出してみました。

ブランドネームやサービス名で検索連動型広告に入札するべきなのか?

仮に自社のブランドネームやサービス名に競合が入札している場合、取りこぼしの無いように自社のブランドネームやサービス名を守る、という意味でも入札をするのがベストと考えます。こんなこというと、「自社のブランドネームやサービス名に入札し、お金を支払うのが馬鹿らしい。黙ってても来てくれるんじゃないか?」という声が聞こえてきそうですが、周知の通り、ブランドネームやサービス名で検索するユーザーは既にモチベーションの高いユーザーであると推測することが出来ますので、これを競合他社に奪われてしまうのは非常に勿体ないと言えます。

オークション分析レポートを利用して競合他社の出稿状況を確認する

競合他社がどの程度の強さで、どの程度の期間に入札しているのかはGoogleアドワーズのオークション分析レポートを利用することで詳細に見ることができます。
auction insights
※「Googleアドワーズにログイン→キーワードタブ→特定のキーワードにチェック→詳細→オークション分析→選択」で上図のようなオークション分析レポートの取得が可能。

普段はあまり競合他社の入札が見受けられない場合でも、異なるデバイスに集中的に配信していたり、深夜にのみ配信していたり、場合によっては確信犯的に特定の地域だけに配信していたりなど、さまざまなケースが起こりえるので、オークション分析レポートを使って詳細を調べることをお薦めします。インプレッション シェア、平均掲載順位あたりを中心的に見ていれば、どの程度競合が攻めてきているのかを把握することができます。

実際にブランドネームやサービス名の入札を止めてみたらどうなるのか?

実際にブランドネームやサービス名を止めて計測をしてみた、という人も多いかもしれません。筆者も幾度と無く挑戦しました。しかし仮に「オーガニック検索からのブランドネームのコンバージョン数は検索連動型広告で出稿していた昨月と比較して変わらなかった」、という結論が導き出されたとしても、それには大きな問題も存在しています。昨月行っていた全てのプロモーション、今月行っていた全てのプロモーションすべて異なりますよね。更には商材によっては「時事的要因は加味したのか?」や、「検索連動型広告を出していれば、更にコンバージョンは増加していたのではないか?」など、さまざまな変数が入るので本当の効果を見極めるのは非常に難しいのが現状です。

勿論、ブランドネームやサービス名の入札でクリック単価が2,000円を超える(実際に多々あります)など、べらぼうな金額にならない限りは入札したほうがよい、などという、一種の割りきりも非常に大事です。※答えを出すのに多大な時間、労力、コストが掛かるような問題を割り切るのは非常に重要です。

オーガニック検索で1位のキーワードには入札するべきなのか?

自社のブランドネームやサービス名で検索をするようなユーザーは出来る限り自社のサイトに誘導したいものです。そんな時、上記で上げた議論の他に議論になるのが「オーガニック検索(自然検索)で1位に掲載されている場合に検索連動型広告を出すべきかどうか?」という議論です。そんな方々に向けて、Googleがレポートを出していますのでご紹介します。

Googleは、オーガニック検索と検索連動型広告が互いにカニばる(競合する)度合いを調査しました。2011年に400社以上の検索連動型広告を調査し、検索連動型広告のクリックの89%はオーガニック検索では獲得できないものだったと結論付けています。更に、390社にものぼるサンプルでは、検索連動型広告について、オーガニック検索の順位との関係に注目し、3つのことが、わかってきたと結論付けています。

1. 検索結果の1ページ目において、検索連動型広告の表示回数の81%とクリック数の66%は、オーガニック検索に対象サイトが表示されない状態で発生していました。このような状況で発生するクリックは、すべて検索連動型広告による増加分といえるでしょう。

2. 対象サイトがオーガニック検索の掲載順位1位にある場合、検索連動型広告のクリックのうち純増分といえるのは50%でした。つまり、検索連動型広告を停止してしまった場合、検索連動型広告で獲得していたクリック数の半分はオーガニック検索では補えなくなりました。

3. 対象サイトがオーガニック検索の掲載順位2位から4位にあるとき、検索連動型広告のクリックのうち純増分といえるのは82%でした。対象サイトがオーガニック検索の5位以下にあるとき、検索連動型広告のクリックのうち純増分といえるのは96%でした。

参考:New research: Organic search results and their impact on search ads

これらのことから、いかなる状況(オーガニック検索で1位の場合でも)においても、検索連動型広告を出すことによって、より多くのクリックを集めることが出来るようになるといえます。注意点としては、この調査はキーワードの種別で分けたものではないため、慎重に取り扱わなければいけません。ブランドネームとそうでないキーワードではクリック率も大きく変化するはずなので、一概にすべてのキーワードがそうである、というのではなく、あくまでこういった傾向が発表されている、といった形で解釈するのが良いでしょう。

この調査自体は2012年3月27日のものなので、少々古いですが1つの参考データとしては利用できます。これらを加味した上で考えれば、より多くのユーザーを自社のサイトに誘導したいのであれば、仮にオーガニック検索で1位のキーワードであっても検索連動型広告で入札すべき、と結論付けることができます。そこからは実際にそのキーワード経由のユーザーの訪問が投資対効果が見合うのかどうかの試算次第で決定するのが良いと言えるでしょう。

まとめ

総論としては「検索連動型広告においてブランドネームやサービス名、またはオーガニック検索で上位に表示されているキーワードであっても入札するべき」となりますが、これは会社や立場などによっては一般的に言われる綺麗事である、とも受け止められる可能性があるかもしれませんし、場合によってはプレイヤーのエゴである場合もありますので、安易にこうあるべき、と結論づけてしまうのは時期早々の場合もあります。

実際に現場では、キーワード毎にかかる予算・投資対効果や、時に各部署での派閥、上司の指示など、目に見えるものだけではないものも加味しながら検討するのが良いと判断しますが、個人的には現場の体感値を重要視しながら、どのような姿勢で各キーワードに寄り添うのかを明確にした上で判断するのが良いと言えるでしょう。繰り返しになりますが、答えを出すのに多大な時間、労力、コストが掛かるような問題を割り切って次の施策に向かう姿勢は非常に重要です。

Keiji Abe

Keiji Abe

アナグラム株式会社 代表取締役。大手アパレルメーカーを経て運用型広告の世界へ。現在はCPAの改善だけにとらわれず、ビジネスの最大化を目指す支援を行う。著書には「新版 リスティング広告 成功の法則」「いちばんやさしいリスティング広告の教本」など多数。主な仕事は戦略策定、及び人事、総務、経理、組織論などを担当。