検索離れと検索回帰、中国で感じた未来と2018年の日本というかアナグラム

検索離れと検索回帰、中国で感じた未来と2018年の日本というかアナグラム
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こんにちは。私です。

お前は最近何をやっているんだ、と言われる回数も増えてきましたので、近況報告などと思いまして筆を執りました。(キーボードですが)

そしてなんと!私のブログの更新が一年ぶりです。ありがとうございます。2017年の5月頃より育休という名目で15時上がりを進行形で継続中でして、時間的制約がある中で粛々と日々できることに向き合い続けてあっという間に一年が経過しました。

2017年のアナグラムは100%定量的な評価制度を取り入れ、ドラスティックな組織形態の変更を行い、ほとんどの組織情報を見える化するという大きな動きがありまして、その甲斐もあり、39名という世帯になり、会社自体も大きく成長した年になりました。それらの詳細は後日アップするとして、今回はこの業界で今起こっていること、私たちが取り組んでいることを書いていきたいと思います。


いきなりですが、11月半ばにとあるベンチャーキャピタルさんにお誘いいただき、中国(北京)の企業訪問に参加して、ここ数年で最も衝撃を受けたのを皮切りに、さまざまな事を考える機会が増え、趣味の読書が全く進ないくらいになりました。

ちなみに私が訪問したのは头条を運営するBytedance、Alibaba Entertainent、Huajiaoなどの北京の大手&スタートアップ企業。更にはTech Temple Beijing(リンクが見つからないのでTech Temple TOKYOへリンク)というスタートアップのシェアリングオフィスでのAlibabaの広告部門含む複数企業のピッチを聞いたくらいな3泊4日、6アポ/1日の超絶ハードスケジュールでした。

この場には主催のベンチャーキャピタルさんの出資先スタートアップや、関連会社の経営陣が数多く参加しており、それぞれのポジションで感じる箇所は異なっていたのが面白かったです。その一部を共有しつつ、私が中国で何を感じ、今何を考え、何に取り組んでいるのかを2017年の終わりに共有したいと思います。

中国の今

さまざまなメディアで報じられているとおり、中国のテクノロジーの進化、浸透は異常と思えるほどに進んでます。進化もそうなんですが、差は浸透力ですよね。既得権が少ない分、浸透するスピードは3年前に北京訪問したという方でさえ全く違う景色だというほど尋常ではありません。


どれほど便利なサービスがあるのかは他のメディアに譲りますが、Wechatpayのキャッシュレス生活しかり、どこにでも気軽に落ちてるmobikeでの移動しかり(近くのmobikeをアプリで探すのはドラゴンレーダーでドラゴンボールを探す体験に似てます)、中国最大のタクシー配車アプリDidiは本当に便利です。そして、これらは既に驚くほどに一般の人々(あくまで北京市民だけど)の生活レベルに浸透しています。

参考:日本が中国に完敗した今、26歳の私が全てのオッサンに言いたいこと

参考:中国のあまりの変化に、驚きを隠せない〜世界が注目する中国の決済革命〜 | 未来を変えるプロジェクト by DODA

中国企業のポートフォリオに検索が入っていない


さて、そんな中、私は幾つかの企業を周りディスカッションする中で1つの疑問を持ちました。それは検索の話がどこまで行っても出てこないということです。何度質問しても出てこない。こんなこと、日本では考えられないわけなんですが…。

勿論、Bytedanceはいわゆる情報キュレーションサービスのTech企業であり、Huajiaoは生中継(投げ銭)プラットフォームであるので検索はさほど重要視していないのは言わずもがななんですが、Tech Temple Beijingに入居していた中国専門のマーケティング会社までもが検索の話を全くしません。ほとんどがWechat上でのマーケティングの話であり、Alibaba上でのマーケティングの話でした。検索の話はちょっと異常なほどに話題にすら上がらないんです。


世の中に新しい価値を提供するのがスタートアップのあり方なのであれば検索がポートフォリオに入ってないのはそれはそうなんですが、ここまで話題に上がらないのはあまりに不自然です。あまりに気になったので直接関係者に質問してみると、少し前に百度が引き起こした問題が起因しているのは少なからず間違いなく、消費者の検索離れはあるかないかで言えば"ある"とのこと。

参考:男子大学生の死が投げかけた波紋--百度と中国式検索の信頼性揺らぐ
参考:がんの最新治療法を見つけ治療を受けた大学生が死亡、「詐欺広告だった」と体験談を遺す|ニューズウィーク日本版

実際の所、これが引き金になっているかどうかはわかりませんが、中国企業(少なくても私が訪問した北京の企業たち、またそこに紐づく企業には)のポートフォリオに検索がない(※注1)という事実を突きつけられました。


(※注1)企業のポートフォリオとして検索が入っていないだけであり、北京市民は日常的に百度を使って検索することは、ここで仲良くなった中国の方々より教えて頂きました。ただし、日本とは少し用度が異なる傾向もあります。それは調べ事などは日常的に百度を利用し、欲しいものは基本的にAlibaba内で検索するなど、目的別にプラットフォームを選択する癖がついているようです。中国は何故こんなにもアプリ文化なのだろうとずっと疑問に思っていたんですが、これでやっと腹落ちしました。

私が衝撃を受けたのは、検索をポートフォリオに組み込まない企業がこれほど多くいる国があるのだということです。勿論、それはサービスの性質や歴史的背景、はたまたお国柄な問題も抱えていることは承知の上ですが、それで成り立っていることに驚きを隠せません。これが未来の姿なのだと言うわけではないですが、それに向けて少なからず意識しておいて損はないはずです。

私たちが2018年に取り組むこと

全部をここで言えるわけではありませんが、日本では中国とは異なる現象が起き始めています。それは検索回帰です。私たちが見れているデータでは少なからず2017年前半にこの傾向はありました。勿論、ただのさまざまなデバイスからの検索だけではなく、音声検索やTwitter、Instagramを始めとするSNS上でのリアルタイム検索、及びハッシュダグでの行動も広義の意味での検索と言えるでしょう。

これらの膨大な量、及び分散化する能動的な行動である検索という行為を如何に企業のマーケティング活動に繋げて行くかは現在の大きな課題であり、常に脳みその半数以上の割合はそれに向けられています。

また、マクロな視点でいえばFacebook広告、及びInstagram広告を筆頭にTwitter広告、LINE Ads Platform、SmartNews Ads、Gunosy Ads、kurashiru ads、LOCARI Adsなど数多くの運用型広告が台頭し始めていますが、広告在庫(枠の量)自体が基本的には増加傾向にあるので、市場自体は引き続き拡大傾向にありますが、選択肢が多様になる分、それを担うプレイヤーの分布、パワーバランスが明らかに変わってきています。

拾い物のIRを見る限り、またさまざまな情報網から私が感じている所感ですが、各所で少なくとも広告費(Facebook等で言えば売上)、アカウント数ともに右肩上がりという認識ですので、私の感じる中では「完全に最初のフェーズが終わりつつある」という感じです。弊社も含め、大きな転換期であるのは間違い無さそうです。

あまり大きな声で言えないんですがね。

最後に

というわけで、ぼやっとした最後になりましたが、まだまだアナグラムにやれること、求められることがあるなぁと。特に直近では視座を変えるような話も多いですが、2018年も自分にできることを粛々と積み重ねて行きたいなと思ってます。少しスピードをあげて、ですが。

2017年もアナグラムブログをご愛読いただきありがとうございました。2018年も是非また見に来てくださいね。

尚、あまり言ってませんが、本サイトを完全リニューアルしてます。そして、メルマガはじめましたよ!

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