アナグラムの一風変わった評価制度のすべて

アナグラムの一風変わった評価制度のすべて
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こんにちは。

四半期に一度程度しか出現しないので忘れられているかもしれませんが、そうです、私です。

3月は多くの企業が決算期であったり、4月に向けての組織・部署改定、人事異動などみなさんも忙しく過ごしていることと思いますが、皆さんお元気でしょうか。私もこの時期に少しばかりいつもよりやることが多いので多少ワタワタしてあんなことやこんなこともあって、おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

今回もつらつらと社内の情報を駄々洩れで発信していきたいと思ってます。役得です。

さて、今回は最近どこに行っても評価制度について聞かれることが非常に多いのでそこに焦点を当てたいと思います。

そういえばこの1年、うちの評価制度は大きく変化して我々も驚くほどにうまくいっている状態と言えるかもしれません。どのくらいうまくいっているのかという言語化は難しいのですけれど、先日簡単な社内アンケートを取ったところ、自由記載にも関わらず、「社内の気に入っているところ」という項目に評価制度を挙げる方が多数派と相成りまして、マネジメントサイドでも正直予期せぬ事態となりザワつきました。

いや、他よりはうまくやれているという自負はありましたし、絶対にうまくいくはずだという自信は正直ありました。ただそれは仮説段階の話だったのでこれをもってして仮説は実証されたというわけですね。ということで、現時点のものをアウトプットします。勿論、まだまだ発展途上ですし、全員が納得性のあるものに仕上がっているとは思ってません。常にもっといい方法があるはずだ、と疑ってかかっています。

まずその前に、弊社の評価制度の歴史からさかのぼらねばなりません。

悪魔の制度「俺基準」暗黒時代

どのベンチャーも同じだと思うのですが、創業当初、創業者である私の「俺基準」が評価制度であるということを大々的に掲げてやってました。私自身、全員と毎月1on1を行い、決算期である3月には全員と夜ご飯1on1をしたり、彼ら彼女の持つクライアントのビジネス・アカウントの分析、仕事ぶりなどをすべて見ていたつもりなので、多少の意見はあれど「俺基準」として成立していましたが、社内のメンバーが20名を超えるあたりでほころびが出始めます。

そりゃそうですよね。今思えば1人の人間が20人ものスキルセットを確認し、納得性がある査定をできるわけがない。これはもう物理的に無理だぞ、となる。自業自得です。そのあたりから明確な評価制度の必要性が増し、コンサルタントの力を借りながらより納得性のある評価制度の作成に着手し始めます。

2017年度は100%定量的な評価制度を実施

評価制度の作成着手から約半年かけ、ほぼ完ぺき?なものが出来上がり、実際に導入しました。拘ったのは以下の3点です。

  • 100%定量的な評価制度
  • 利益相反にならぬような指標
  • 納得性

何をどのくらいしたら評価され、さらにはいくら年収が増えるのかをすべてエクセル上に表し、一目瞭然にすることで、評価への疑問をすべて払拭しました。「こういう場合はどうなりますか?」などの質問も即座に代替案を出し続け、結果的に注釈が山のように増えていき、ちょっとやばそうだぞ、みたいな雰囲気はかもしだしてましたね。


※赤字が注釈で注釈だらけに。

また、 100%定量的な評価制度のメリデメは以下かなと思います。

100%定量的な評価制度のメリット

  • 離職率が過去最低
  • 評価に納得感があり、迷いがない

100%定量的な評価制度のデメリット

  • 性善説の組織なのに疑ってかかってしまう
  • 劇的な成長に対応不可
  • 管理の疲弊

このままの評価制度でも大いに納得感はありましたし、実際に数字がついてきたこともあり、2018年度の評価制度をどうしようとぎりぎりまで考えていましたが、結論をお伝えすると、 評価の指標は基準として残しつつ、100%定量的な評価制度を廃止することに決めました。理由は上記で上げたデメリットの「性善説の組織なのに疑ってかかってしまう」「管理の疲弊」この二つが最も負担が大きかったです。

何度かブログを読んでくださっている方には周知の話ではありますが、アナグラムは基本的に性善説に基づいたマネジメントを展開しています。人の本質は「光」これは、キングダムの始皇帝政の言葉です。

※39巻より

私も常々「悪いことをしようとして悪いことをしている人はいない。正義と正義の方向性がずれているだけだ」という意思の元、仕組みを考えたり設計しています。そんな性善説ベースで作った会社が自分の今期やったこと一覧を提出された途端に、「本当にこんなに新規こなしてたっけ?」といった形で疑ってかかるようになってしまっている事に気づいたんですね。これにはさすがに凹みました。

また、細かな指標の分析や裏取り、疑いによる管理側の疲弊がかなり強く、正直こんなだったら組織なんてやらなないほうが気楽でいいなぁというマインド付近まで落ちたこともあり、代替案を模索することとなります。

2018年度は「なんとなくを統計化する」評価制度を実施

我々のお仕事は運用型広告を通してマーケティングの支援を行うことなんですが、そんな中で私は常々「なんとなくは意外と正しい」という言葉をよく使います。 雑な言い方をすれば、仮説というものは、基本的に「なんとなく」ですよね。「勘」に近い。勿論、さまざまな情報を網羅し、可能な限り精度を引き上げ、そのうえで「なんとなく」を研ぎ澄まし続けるお仕事です。

であるとするならば、この取り組み方同様に何らかの方法で「なんとなく」を研ぎ澄ませれば素晴らしい評価制度になるのではないか?という考えに行きつきました。

具体的にあげると、半期に一度評価合宿なるものを用意し、その中で各メンバーに対して今の評価が妥当であるか、そうではないかを議論して、「なんとなくを統計化する」のです。評価するのは自身より一つ上以上のクラスターに値するメンバー全員としています。各メンバーについて話せない者はその場にくる資格はない、とも告げています。

例えば1人のクルーが年収450万円から500万円にアップしたとしましょう。その場合、「今回なぜアップしたのか」また「今後次のフェーズに行くためにはこの辺りを強化してほしい」、という振り返りと今後の要望を話し合い、書記が書き起こし、後日、本人に直接フィードバックされる仕組みとなります。

まとめ

これが現状のアナグラムの評価制度です。我々は現在50名弱の組織であり、総務、経理以外の仕事がマルチタスクで展開されているので運用型広告の運用者が実に9割以上を占める組織になりますからこういった大胆なアプローチが取れるというのもあるかなと思います。皆が皆のスキルを評価しやすいという環境があります。

今のところ今回ご紹介した評価制度の評判はよく、マネジメントサイドでも多少の手ごたえがあるので、微調整はあれど来期も継続していく流れです。もちろん、100%皆が皆、納得感のある評価制度はおそらく存在しないでしょう。更に、私は常に「人が人を評価すること自体、烏滸がましい」、という前提があります。だからといって、評価をしないわけにはいきませんよね。であるとするならば、常に向き合い、この精度をより高みに持っていきたいと思って取り組んでいます。

補足

人事に当日の資料を一任(という名の丸投げ)したのですが、「心がけたいこと」という項目の中にこの文面が出たのを見てそれはそれは嬉しくて嬉しくて役員陣で盛り上がりました。こういうことが自然に出るのがアナグラムなんだよね。

いろんな人がいていいし、いろんな思想があっていい。大事なことはその思想や趣向を否定しないことなんだ。

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